100年を超える歴史と伝統を礎に、未来を切り拓く力を育む学校、それが神奈川県立平塚江南高等学校です。平塚市に根ざし、長年にわたり地域の信頼を集めてきたこの学校は、ただ歴史が長いだけではありません。文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受け、先進的な理数教育や探究活動を推進するなど、常に進化を続けています。
学校の教育目標の核となるのは「自主自律」という言葉。生徒一人ひとりが自ら考え、判断し、行動する力を身につけることを目指しています。勉強はもちろん、学校行事や部活動にも全力で打ち込む「文武両道」の精神が息づいており、活気に満ち溢れています。
この記事では、そんな平塚江南高等学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな声まで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。あなたの高校選びの、確かな道しるべとなれば幸いです。
平塚江南高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。進学相談会や学校見学に参加する際に役立ちます。
項目 | 内容 |
正式名称 | 神奈川県立平塚江南高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男女別の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒254-0063 神奈川県平塚市諏訪町5-1 |
代表電話番号 | 0463-31-2066 |
公式サイトURL | http://www.hiratsukakonan-h.pen-kanagawa.ed.jp |
平塚江南高等学校の偏差値・難易度・併願校
高校選びで最も気になるのが、やはり学力レベルでしょう。平塚江南高等学校の偏差値や、合格に必要な内申点の目安、そして受験生が併願先として選ぶことが多い私立高校について詳しく見ていきます。
各種の模擬試験機関によって偏差値の数値は多少異なりますが、平塚江南高等学校の偏差値は概ね〜の範囲にあります。これは神奈川県内の公立高校の中でもトップクラスに位置し、合格には高い学力が求められることを示しています。
偏差値だけでなく、合格の目安となる内申点も重要です。合格者の平均的な内申点は、中学2年・3年の9教科5段階評価で、合計点満点中点前後が一つの目標となるでしょう。これは、主要5教科だけでなく、技能4教科でも高い評価を得ている必要があることを意味します。
神奈川県の公立高校入試では、学力検査の得点、内申点、そして一部の高校で実施される特色検査(面接や自己表現検査など)の合計点で合否が決まります。平塚江南高等学校の第1次選考における評価比率は「内申点:学力検査:特色検査」が「」と定められています。この比率は、内申点ももちろん大切ですが、それ以上に試験当日の学力検査の得点が合否に大きく影響することを示しています。この配点は、学校側が単に中学時代の成績が良い生徒だけでなく、自ら学習計画を立てて高い学力を身につけ、試験本番で実力を発揮できる、自律した学習者を求めていることの表れと言えるでしょう。難関大学への進学を視野に入れた、高いレベルでの学力と思考力を重視する学校の方針がここに見て取れます。
神奈川県の制度では、公立高校は1校しか受験できないため、併願校は私立高校を選ぶことになります。平塚江南高等学校の受験生が併願先として選ぶことが多いのは、以下のような高校です。
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山手学院高等学校
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桐蔭学園高等学校
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平塚学園高等学校
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鎌倉学園高等学校
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日本大学藤沢高等学校
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湘南工科大学附属高等学校
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東海大学付属相模高等学校
平塚江南高等学校に設置されている学科・コース
平塚江南高等学校に設置されている学科は「普通科」のみです。しかし、そのカリキュラムには大きな特徴があります。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:多くの高校では2年生に進級する際に文系・理系に分かれますが、平塚江南高等学校では3年生になるまで文理選択を行いません。1・2年生のうちは、全員が幅広い科目を共通で履修し、総合的な学力の土台を固めます。
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どんな生徒におすすめか:将来の進路がまだ明確に決まっていない人や、文系・理系にとらわれず幅広い知識を身につけたい人におすすめです。特に、国公立大学の入試では多くの科目が課されるため、このカリキュラムは国公立大学を目指す生徒にとって非常に有利に働くでしょう。
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平塚江南高等学校の特色・校風
学校選びでは、データだけでなく、学校全体の雰囲気や文化(校風)も非常に重要です。ここでは、平塚江南高校でのリアルな学校生活について、キーワードや口コミを交えながら詳しく紹介します。
学校の雰囲気を表すキーワードは、何と言っても「自主自律」「文武両道」「メリハリ」の3つです。生徒が自らの責任で学校生活を充実させ、勉強するときは集中し、楽しむときは全力で楽しむという文化が根付いています。
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宿題の量:在校生の声を見ると、「宿題はあまり出ないが、予習が前提の授業が多いので日々の家庭学習が大事」という意見と、「課題の量が県内トップクラスで多く、長期休みは課題に追われる」という意見の両方があり、感じ方には個人差があるようです。これは、学校が掲げる「自主自律」の表れとも言えます。計画的に学習を進められる生徒にとっては manageable な量でも、後回しにしてしまうと大変に感じるのかもしれません。自分で学習を管理する力が求められる環境です。
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校則(スマホ、服装など):校則についても、「言われているほど厳しくない」という声と、「髪の色や服装には厳しい」という声があります。明文化されたルールは多くないものの、進学校としての品位を保つための指導は行われるようです。スマートフォンについては、1人1台の学習用端末(Chromebook)が導入されていることから、授業での活用も含め、一定のルールのもとで使用が認められていると考えられます。
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アルバイト:進学校という特性上、学業や部活動に専念する生徒が多く、アルバイトをしている生徒は少ない傾向にあるようです。
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生徒たちの雰囲気:全体的に「真面目で勉強熱心な人が多い」ですが、決して堅苦しいわけではなく、明るく活発な生徒も多いようです。行事などでは一体となって盛り上がり、普段の勉強との「メリハリ」を大切にしています。口コミでは「周りと切磋琢磨できる環境」「気の合う友達が必ずできる」といった声が多く、充実した友人関係を築けるようです。
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制服の評判:特に女子の制服は、ネクタイが特徴的で「可愛い」と評判が良く、制服が決め手で入学したという生徒もいるほどです。
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土曜授業:毎週の土曜授業は基本的にありませんが、希望者向けに「土曜講習」が開かれており、難関大学対策など、意欲のある生徒をサポートする体制が整っています。
平塚江南高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる江南高校では、部活動や学校行事も非常に盛んです。勉強だけでなく、高校生活を思い切り楽しみたい人にとって、最高の環境が用意されています。
部活動
部活動加入率は約85%と非常に高く、多くの生徒が学業と両立させながら活動に打ち込んでいます。運動部・文化部ともに種類が豊富で、自分の興味に合った活動がきっと見つかるはずです。
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競技かるた部:全国大会の常連として知られる強豪部です。映画や漫画の影響で人気も高く、集中力や記憶力を鍛えながら、全国の舞台を目指すことができます。
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スポーツクライミング部:県立高校では珍しい部活動の一つです。専用のクライミングウォールで本格的なトレーニングができ、体力だけでなく思考力も求められる奥深いスポーツに挑戦できます。
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陸上競技部:関東大会に出場するなど、高いレベルで活躍している部員も多く、伝統的に実績のある部活動です。
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その他の部活動:他にも、全国大会出場経験のある囲碁部や放送部、関東大会レベルの山岳部など、多くの部が活発に活動しています。また、弦楽部や物理部、化学部といった理系文化部が充実しているのもSSH指定校ならではの特色です。
イベント
平塚江南高校の学校行事は、生徒たちが主体となって創り上げる一大イベントです。その熱気とクオリティの高さは、多くの在校生が「江南で一番の思い出」と語るほどです。
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体育祭:6月に行われる体育祭は、江南高校で最も盛り上がる行事と言っても過言ではありません。全校生徒が学年縦割りの8つのブロックに分かれ、総合優勝を目指します。最大の特徴は、通常の授業を1週間近くストップして準備期間にあてること。この期間、生徒たちは「競技」「立て看板」「仮装」の3部門の準備に没頭します。特に「仮装」は、単なる仮装行列ではなく、ブロックごとにテーマを設定し、衣装制作からダンスの振り付け、大道具まで全て生徒の手で創り上げる本格的なパフォーマンスで、そのクオリティの高さは圧巻です。この行事は単なるお祭りではなく、学年を超えたチームで一つの目標に向かう、壮大なプロジェクト・マネジメントの実践の場であり、「自主自律」の精神を体現する最高の舞台となっています。
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江麗祭(こうれいさい):10月に開催される文化祭です。文化部の発表やクラスごとの企画、有志団体のステージなど、多彩な催しで盛り上がります。体育祭とはまた違った形で、生徒たちの個性や創造性が発揮される場です。
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合唱コンクール:冬の恒例行事として1月に開催されます。1・2年生がクラス対抗で美しいハーモニーを競い合い、練習を通じてクラスの団結力が一層深まります。ホールに響き渡る歌声は、多くの生徒にとって感動的な思い出となるようです。
平塚江南高等学校の進学実績
県内有数の進学校である平塚江南高等学校は、国公立大学や難関私立大学へ、毎年多くの合格者を輩出しています。生徒一人ひとりの第一志望実現に向けた、手厚いサポート体制も魅力です。
以下は、2024年春(2025年度入試)の主な大学合格実績です(現役・既卒含む)。
分類 | 主な大学名と合格者数 |
国公立大学 | 横浜国立大学 10人、東京都立大学 4人、東京科学大学 3人、東北大学 1人、北海道大学 1人、お茶の水女子大学 1人、埼玉大学 2人など、合計48人 |
難関私立大学(早慶上理) | 早稲田大学 12人、慶應義塾大学 10人、上智大学 1人、東京理科大学 23人 |
難関私立大学(GMARCH) | 明治大学 66人、青山学院大学 47人、法政大学 50人、中央大学 43人、立教大学 16人、学習院大学 15人など、合計237人 |
その他 | 日本大学 36人、東洋大学 35人、専修大学 32人、明治学院大学 39人など、多くの私立大学に合格者を出しています。また、国公立大学医学部にも1人の合格者を出しています。 |
これらの輝かしい実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校の充実した進学サポート体制に支えられています。希望者対象の「土曜講習」や「難関大学対策講座」「英検対策講座」といった補習・講習が豊富に用意されており、生徒の学習意欲に応えています。また、社会で活躍する卒業生を招いてキャリアについて考える「江南キャリア講座」や、大学の担当者による説明会なども実施され、早い段階から進路意識を高める機会が設けられています。特に、国公立大学への進学を強く意識した指導が行われる傾向があり、学校全体で高い目標を目指す雰囲気が醸成されています。
平塚江南高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、平塚江南高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
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スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての先進的な探究活動
文部科学省の指定を受け、大学のゼミのような形式で研究活動を行う「共創探究」という独自の授業があります。生徒は自らテーマを設定し、1年間かけて研究、論文作成、発表を行います。台湾での海外研修など、国際的な視野を広げる機会も用意されています。
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学びを深める「65分授業」
1コマの授業時間が65分と長めに設定されています。これにより、基礎の定着はもちろん、実験やグループワークといった「主体的・対話的で深い学び」をじっくりと行う時間が確保されています。
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じっくり将来を考える「3年次からの文理選択」
1・2年生では文理を分けず、幅広い科目を履修します。多様な学問に触れる中で自分の興味・関心を見極め、3年生で最適な進路を選択できるのが大きなメリットです。
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生徒が主役の圧倒的スケールの学校行事
特に体育祭は、準備期間も含めて生徒たちが主体となって創り上げる一大イベントです。企画力、協調性、リーダーシップなど、社会で役立つ力を実践的に学ぶ貴重な機会となっています。
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先進的なICT教育環境
生徒は1人1台のChromebookを所有し、授業での調べ学習やGoogle Classroomを通じた協働学習など、日常的にICTを活用しています。未来の社会で必須となる情報活用能力を自然に身につけることができます。
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「自主自律」を育む自由な校風
校則で細かく縛るのではなく、生徒一人ひとりの主体性を尊重する文化が根付いています。自由には責任が伴うことを学びながら、自ら考えて行動する力を3年間で養います。
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手厚い進学サポート体制
難関大学対策講座や土曜講習、卒業生によるキャリア講座など、生徒の高い進学目標を達成するためのサポートが充実しています。
平塚江南高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校生活のリアルなイメージを掴むための参考にしてください。
良い点
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「行事が本当に楽しくて、クラスやブロックの団結力がすごい。一生の思い出が作れる」という声が非常に多いです。
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「自主自律の精神が根付いていて、自由な雰囲気。自分で考えて行動したい人には最高の環境」。
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「勉強と遊びのメリハリがしっかりしている。やるときはやる、楽しむときは楽しむ、という仲間がたくさんいる」。
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「個性豊かな面白い友達がたくさんできて、毎日が充実している」。
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「女子の制服が可愛いと評判で、モチベーションが上がる」。
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「先生方は質問に行けば親身になって教えてくれるし、進路相談にも熱心に乗ってくれる」。
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「SSHの探究活動など、他ではできない貴重な経験ができる」。
気になる点
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「校舎が古く、雨漏りするなど設備の老朽化が気になる」という意見が複数見られます。ただし、近年トイレや中庭などがリニューアルされ、改善も進んでいるようです。
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「最寄り駅から徒歩25分と遠く、バスを利用する生徒も多い。アクセスは少し不便」という声は共通して聞かれます。
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「授業の進度が速く、課題も多いので、自分で計画的に勉強しないとすぐについていけなくなる」。
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「先生によっては国公立大学への進学を強く勧める傾向があり、プレッシャーに感じることもある」。
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「先生の指導方針に当たり外れがあると感じることもある」。
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「グラウンドの水はけが悪いなど、部活動の環境面で不満な点もある」。
これらの口コミから、平塚江南高校が、生徒の主体性に多くを委ねる「高リターン・高責任」な環境であることがうかがえます。自ら積極的に学び、楽しもうとする生徒にとっては最高の3年間になる一方で、受け身の姿勢でいると、その自由さや学習ペースに戸惑う可能性もあると言えるでしょう。
アクセス・通学
平塚江南高等学校への通学は、複数の駅からのアクセスが可能です。自宅からのルートを考える際の参考にしてください。
出発駅 | 交通手段 | 所要時間・備考 |
JR東海道線「平塚」駅 | 徒歩 | 西口から約25分 |
バス | 北口から約8分。「共済病院前・総合公園西」または「江南高校前」下車、徒歩約2分 | |
小田急線「伊勢原」駅 | バス | 南口から約20分。「共済病院前・総合公園西」下車、徒歩約2分 |
小田急線「秦野」駅 | バス | 北口から約30〜35分。「江南高校前」下車、徒歩約2分 |
最寄り駅から少し距離があるため、平塚駅などから自転車で通学する生徒も多いようです。平塚市は平坦な土地が多いため、自転車通学はしやすい環境です。通学エリアとしては、平塚市内はもちろん、小田急線沿線の伊勢原市や秦野市など、広い範囲から生徒が集まっています。
平塚江南高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んで、平塚江南高等学校の魅力に心が動かされた人も多いのではないでしょうか。最後に、皆さんへの応援の気持ちを込めて、アドバイスを送ります。
平塚江南高等学校は、「自分の高校生活は、自分で創り上げる」という強い意志を持った生徒に特におすすめの学校です。高いレベルの勉強と、誰もが主役になれる学校行事、その両方を本気で楽しみたい。そんな欲張りなあなたにとって、これ以上ない環境が待っています。この学校が掲げる「自主自律」は、あなたを大きく成長させてくれるはずです。
受験勉強では、学力検査で高得点を取ることを第一の目標にしてください。平塚江南高等学校の選考では、学力検査の比重が7割と非常に高いです。内申点に自信があっても決して油断せず、5教科全ての基礎を完璧に固め、応用問題にも対応できる実力を養いましょう。特に数学では思考力を問う難易度の高い問題が出題されることもあるため、過去問などでしっかり対策をすることが合格への鍵となります。挑戦する価値のある、素晴らしい学校です。皆さんの健闘を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。