広島商船高等専門学校は、瀬戸内海の美しい島、大崎上島にキャンパスを構える国立の高等専門学校です。中学卒業後からの5年一貫教育(商船学科は5年6ヶ月)を通して、海運業界をはじめとする様々な産業分野で活躍できる、実践的な技術者を育成しています。長い歴史と伝統の中で培われた専門教育は、国内外から高い評価を受けています。

この学校の最大の魅力は、なんといってもその専門性の高さと、社会で即戦力となるための徹底した実践教育にあります。座学だけでなく、専用の練習船「広島丸」を使った航海実習や、最先端の設備を用いた実験・実習が豊富に用意されており、教科書だけでは学べない「生きた知識」を身につけることができます。

船乗りやエンジニアに憧れている人、早くから専門的なスキルを身につけて社会で活躍したいと考えている人にとって、広島商船高等専門学校はまさに夢への最短ルートと言えるでしょう。この記事では、そんな広島商船高等専門学校の魅力を、偏差値や口コミ、学校生活の様子など、様々な角度から詳しく解説していきます。

広島商船高等専門学校の基本情報

項目 内容
正式名称 独立行政法人国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒725-0231 広島県豊田郡大崎上島町東野4272-1
代表電話番号 0846-67-3020
公式サイト https://www.hiroshima-cmt.ac.jp/

広島商船高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

広島商船高等専門学校の偏差値は52程度とされています。これは広島県内の高校と比較すると中堅レベルに位置しますが、高専の入試は一般の高校とは少し異なります。全国の国立高専で共通の問題が出題され、数学や理科といった理数系科目が重視される傾向があります。

同じくらいの偏差値の高校としては、広島県立五日市高等学校(偏差値53)や広島県立安芸南高等学校(偏差値52)などが挙げられます。合格に必要な内申点の明確な基準は公表されていませんが、中学での基礎学力をしっかりと固めておくことが重要です。特に、専門分野に直結する数学や理科、英語は重点的に学習しておくと良いでしょう。

高等専門学校は大学と同じ高等教育機関に位置付けられているため、広島商船高等専門学校を第一志望とする受験生が多いようです。併願校としては、広島工業大学高等学校や武田高等学校など、同じく工業系や理数系の教育に力を入れている私立高校が選ばれることがあります。

広島商船高等専門学校に設置されている学科・コース

広島商船高等専門学校には、社会のニーズに応えるための専門性の高い3つの学科が設置されています。

  • 商船学科

    • 航海コース: 船を安全に運航するための航海術や気象、法規などを学びます。将来、船長や航海士として世界中の海で活躍したい人におすすめです。

    • 機関コース: 船の心臓部であるエンジンや様々な機械の仕組み、整備・管理方法を学びます。機関長や機関士を目指す、機械いじりが好きな人にぴったりです。

  • 電子制御工学科: ロボットやコンピュータ制御など、メカトロニクス分野の知識と技術を幅広く学びます。ものづくりやプログラミングに興味がある人におすすめです。

  • 流通情報工学科: 物流システムや情報通信技術(ICT)、経営工学などを学びます。社会の仕組みを支える物流や情報システムの世界で活躍したい人に向いています。

広島商船高等専門学校の特色・校風

広島商船高等専門学校の校風は、「自主自立」と「実践躬行(じっせんきゅうこう)」という言葉で表せます。生徒の主体性を重んじつつも、社会で通用する規律やマナーを身につけるための指導が丁寧に行われています。

口コミを見ると、「先生のサポートが手厚い」という声が多く、専門的な学習でつまずいた時でも親身に相談に乗ってくれるようです。寮生活を送る生徒が多いため、仲間との絆が深まりやすいのも特徴です。

  • 校則: 1〜3年生までは制服がありますが、4年生からは私服が許可されるなど、学年に応じて自由度が高くなるようです。スマートフォンの持ち込みは可能で、むしろ学習で活用することが推奨されています。

  • 宿題・課題: 専門科目の実験・実習が多く、レポートなどの課題は多めな傾向があるようです。計画的に学習を進める力が必要とされます。

  • 生徒の雰囲気: 海や船、ものづくりが好きという共通の目標を持った生徒が集まっているため、真面目で落ち着いた雰囲気があるようです。寮生活を通じて協調性やコミュニケーション能力が育まれるという声もあります。

  • アルバイト: アルバイトは原則として禁止されていませんが、学業や寮生活との両立が求められます。

  • 制服: 男子生徒は一般的な学生服、女子生徒はブレザーとスカートの制服です。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

広島商船高等専門学校の部活動・イベント

部活動

広島商船高等専門学校には、体育系15、文化系12の部活動・同好会があります。高専ならではの特色ある部活動が盛んで、多くの生徒が熱心に取り組んでいます。

特に有名なのが「カッター部」や「ヨット部」です。カッター部は、手漕ぎボートで速さを競う競技で、全国の商船高専が集う大会で優秀な成績を収めています。チームワークと強靭な体力が求められる、まさに海の学校ならではの部活動です。また、ロボットコンテスト(ロボコン)やプログラミングコンテスト(プロコン)に参加する部活動も活発で、全国大会で活躍する実績を持っています。

イベント

広島商船高等専門学校では、一年を通して様々なイベントが開催されます。

  • 商船祭(文化祭): 毎年秋に開催される最大のイベントです。各クラスや部活動による展示、模擬店、ステージ発表などで盛り上がります。地域の方々も多く訪れ、学校全体が活気に包まれます。

  • クラスマッチ(体育祭): クラス対抗で様々な競技が行われ、仲間との団結力を深める良い機会となっています。

  • 航海実習: 商船学科の生徒にとって最も重要なイベントの一つです。学年ごとに練習船「広島丸」に乗船し、実際の海で航海技術や機関の運転技術を学びます。長期の宿泊を伴う実習もあり、実践的なスキルを磨きます。

  • 弓削商船高専との定期戦: 愛媛県にある弓削商船高等専門学校との間で行われるスポーツの定期戦で、両校の交流の場となっています。

広島商船高等専門学校の進学実績

広島商船高等専門学校の卒業生の進路は、大きく分けて就職と大学への編入学の二つがあります。

特筆すべきは、その高い就職率です。企業からの評価が非常に高く、求人倍率は例年10倍を超え、就職希望者の就職率は100%を誇ります。多くの卒業生が、海運会社、造船会社、プラントエンジニアリング会社など、学校で学んだ専門知識を直接活かせる業界で活躍しています。

一方で、さらに学びを深めたい生徒は、大学の3年次に編入学する道も開かれています。特に、神戸大学や東京海洋大学といった海事系の難関国公立大学への編入実績が豊富です。また、より高度な専門知識を学ぶために、広島商船高等専門学校に併設されている専攻科(2年制)へ進学する生徒もいます。

広島商船高等専門学校の特長・アピールポイント

広島商船高等専門学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 5年一貫の実践的専門教育: 中学卒業後すぐに専門分野の学習を始められ、5年間(商船学科は5年6ヶ月)かけてじっくりと知識と技術を深めることができます。

  • 練習船「広島丸」での本格的な実習: 商船学科では、本物の船を使った航海実習や機関実習を体験できます。これは、海のプロフェッショナルを目指す上で非常に貴重な経験となります。

  • 驚異的な就職率と高い社会的評価: 卒業生は即戦力として社会から高く評価されており、就職希望者の就職率は100%を誇ります。

  • 人間力を育む寮生活: 全校生徒の約6割が寮で生活しており、共同生活を通じて自主性や協調性、コミュニケーション能力を育むことができます。

  • 海事系大学への編入に強い: 神戸大学や東京海洋大学など、専門性をさらに高められる国公立大学への編入学の道が拓かれています。

  • 瀬戸内海の豊かな自然に囲まれた学習環境: 穏やかな瀬戸内海に浮かぶ大崎上島という、勉学や課外活動に集中できる恵まれたロケーションです。

  • 次世代のデジタル教育: IoTやAI、データサイエンスといった最先端のデジタル社会で活躍できる人材を育成するための新しいカリキュラムが導入されています。

広島商船高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

広島商船高等専門学校の口コミを見ると、その専門性の高さと手厚いサポート体制を評価する声が多く見られます。

  • 良い点:

    • 「専門的なことを深く学べるので、将来の目標がはっきりしている人には最高の環境」

    • 「先生方がとても親身で、勉強で分からないことがあっても丁寧に教えてくれる」

    • 「就職率が抜群に良く、大手企業への就職も多いので安心できる」

    • 「寮生活を通して、一生付き合える仲間ができた」

    • 「部活動が盛んで、特にカッター部など商船高専ならではの活動が楽しい」

  • 気になる点:

    • 「専門分野への興味が薄れると、授業についていくのが大変かもしれない」

    • 「島にあるため、交通の便が少し不便に感じることがある」

    • 「実験や実習のレポートが多く、課題に追われることがある」

    • 「寮生活は楽しいが、集団生活が苦手な人には少し窮屈に感じるかもしれない」

アクセス・通学

広島商船高等専門学校は離島にあるため、通学にはフェリーの利用が必須となります。

  • 竹原港から: フェリーで白水港(約30分)または垂水港(約25分)へ。白水港から学校までは徒歩約30分、タクシーで約5分です。

  • 安芸津港から: フェリーで大西港(約30分)へ。大西港から学校までは徒歩約60分、タクシーで約20分です。

生徒の多くはキャンパス内にある学生寮で生活しています。広島県内からの生徒が約75%を占めますが、県外からも約25%の生徒が集まっています。週末に自宅へ帰省する生徒も多くいます。

広島商船高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

広島商船高等専門学校は、「海が好き」「船に乗りたい」「機械を触るのが好き」「早く専門的な技術を身につけて社会で活躍したい」そんな明確な目標を持つ君にこそ、ぜひ目指してほしい学校です。5年間という時間を使って、同じ夢を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、未来を切り拓くための「本物の力」を身につけることができるでしょう。

受験勉強においては、高専の入試で特に重要視される数学と理科の基礎を徹底的に固めることが合格への鍵となります。難しい応用問題に手を出すよりも、まずは教科書レベルの問題を完璧に理解し、ケアレスミスをなくす練習を繰り返しましょう。広島商船高等専門学校で学べる専門分野に興味を持ち、なぜこの学校で学びたいのかを自分の言葉で語れるようにしておくことも、面接対策として大切です。君の挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。