広島県立庄原実業高等学校は、農業を中心とした専門的な知識と技術を学び、地域社会に貢献できる人材を育成する歴史ある専門高校です。1908年の創立以来、時代のニーズに合わせて学科を再編しながら、多くの卒業生を社会に送り出してきました。庄原実業高等学校では、座学だけでなく、広大な実習農場での実践的な学びを重視しているのが大きな特長です。

「未来思考型PBL(課題解決学習)」といった探究活動にも力を入れており、生徒が主体的に地域の課題を見つけ、解決策を探る学習プログラムが充実しています。 このような学びを通して、専門知識だけでなく、社会で活躍するための思考力や実践力を身につけることができます。

この記事では、そんな魅力あふれる庄原実業高等学校について、偏差値や難易度、設置されている学科、学校生活の様子などを詳しく解説していきます。専門的な分野に興味がある中学生や、自然豊かな環境で実践的に学びたいと考えている受験生にとって、庄原実業高等学校がどのような学校なのか、具体的なイメージを掴む手助けになれば幸いです。

庄原実業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 広島県立庄原実業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒727-0013 広島県庄原市西本町1丁目24-34
代表電話番号 0824-72-2151
公式サイトURL https://www.shobara-j.hiroshima-c.ed.jp/

庄原実業高等学校の偏差値・難易度・併願校

庄原実業高等学校は、専門的な知識や技術を実践的に学べることに重きを置いている学校です。そのため、普通科の高校とは少し違った視点で学校選びをすることが大切になります。

学科ごとの偏差値の目安は40程度とされています。 広島県の公立高校入試は、2023年度から制度が変わり、学力検査(6割)、調査書(内申点、2割)、自己表現(2割)の比率で評価されます。 調査書(内申点)は中学3年生の成績が重視される配点(中1:中2:中3=1:1:3)になっているため、中学3年生での頑張りが合格への大きな鍵となります。

庄原実業高等学校を第一志望とする場合、広島県の公立高校入試制度では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、併願校としては私立高校を受験する生徒が多いようです。近隣のエリアでは、広島新庄高等学校(安芸高田市)などが選択肢として考えられます。自分の興味や将来の進路に合わせて、慎重に併願校を選ぶことが重要です。

庄原実業高等学校に設置されている学科・コース

庄原実業高等学校には、農業や生活に関する専門的な学びを深めることができる、特色豊かな4つの学科が設置されています。 それぞれの学科で、将来の夢につながる専門知識と技術を身につけることができます。

  • 生物生産科

    野菜や果樹、草花の栽培、和牛の飼育など、動植物の生産と活用について幅広く学びます。 生き物や自然が好きで、将来は農業生産や食品加工、造園などの分野で活躍したい人におすすめです。

  • 食品工学科

    パンやジャムなどの製造・加工技術から、食品の成分分析、衛生管理まで、食に関する科学的な知識と技術を学びます。食べることが好きで、食品開発や品質管理、栄養士などの仕事に興味がある人に向いています。

  • 環境工学科

    農業土木や測量、環境保全、バイオマスエネルギーの活用など、農業と環境の調和について学びます。 自然環境を守り、持続可能な社会づくりに貢献したいという意欲のある生徒におすすめの学科です。

  • 生活科学科

    ファッションや保育、福祉、調理など、生活に関わる幅広い分野を総合的に学びます。 人の暮らしを豊かにすることに興味があり、将来は介護福祉士や保育士、デザイナーなどを目指す生徒に適しています。

庄原実業高等学校の特色・校風

庄原実業高等学校は、「実学尊重」と「地域貢献」を大切にする校風が根付いています。専門的な知識や技術を、実習や課題研究を通して実践的に学ぶことを重視しており、生徒たちは生き生きと活動しています。

  • 校風・雰囲気

    専門学科ということもあり、生徒はそれぞれの分野に明確な目的意識を持って学習に取り組んでいます。全体的に落ち着いた雰囲気ですが、実習や学校行事では活気にあふれています。

  • 校則

    校則は基本的にゆるやかだという声が多いようです。 スマートフォンの校内での使用はルールがありますが、先生によってはある程度黙認されているという口コミもあります。 アルバイトは、1年生の3学期から許可証を申請すれば可能になります。

  • 制服

    男子は伝統的な学ラン、女子はブレザーです。セーターなどを着用することも認められているようです。

  • 宿題・授業

    専門教科が中心のため、普通教科の宿題はそれほど多くないという意見が見られます。土曜授業は基本的にありません。授業では、各学科の専門性を高めるための実習が多く取り入れられています。

  • 生徒の雰囲気

    クラスの仲は良いと感じている生徒が多いようです。 専門分野の学習を通して、共通の目標を持つ仲間との一体感が生まれやすい環境です。

庄原実業高等学校の部活動・イベント

部活動

庄原実業高等学校では、多くの生徒が部活動に加入し、学業と両立しながら熱心に活動しています。運動部、文化部ともに、専門高校ならではの特色ある部活動もあります。

  • 運動部

    野球部、バレーボール部、陸上競技部などが真面目に練習に取り組んでいると評判です。 この他にも、ソフトテニス部、バドミントン部、剣道部などがあります。

  • 文化部

    吹奏楽部や美術部などが活動しています。 特に、農業クラブは専門高校ならではの部活動で、家畜審査競技会やフラワーアレンジメント競技会、プロジェクト発表会などで全国レベルの優秀な成績を収めています。 また、生活科学科の生徒が中心となる「地域福祉研究部」では、地域の高齢者施設でレクリエーションを行うなど、地域に根差した活動も行っています。

イベント

庄原実業高等学校では、生徒たちの団結力を高め、学校生活を彩る様々なイベントが年間を通して開催されています。

  • 体育祭

    毎年6月に行われる体育祭は、学年対抗で競い合います。 2025年度のテーマは「挑夢(いどむ)~夢中になるくらいまで挑戦して青春をつかみとれ~」で、パン食い競争や応援合戦などの新競技も加わり、大変な盛り上がりを見せました。

  • 学園祭(庄実祭)

    11月に開催される学園祭は、各学科が日頃の学習成果を発表する最大のイベントです。 生徒が生産した野菜や加工品の販売は毎年大人気で、地域住民も楽しみにしています。特に、生活科学科の3年生が3年間の集大成として自作のドレスを披露するファッションショーは、非常に見応えがあり、このショーに憧れて入学する生徒もいるほどです。

  • 修学旅行

    行き先は年度によって異なりますが、生徒たちは仲間との絆を深め、貴重な思い出を作ります。

  • 体験入学・学校説明会

    夏休み期間中には中学生を対象とした体験入学が実施され、各学科の専門的な学びを体験することができます。 また、秋には学校説明会も開催されます。

庄原実業高等学校の進学実績

庄原実業高等学校は、専門高校としての強みを活かし、就職から大学・専門学校への進学まで、生徒一人ひとりの多様な進路希望に対応しています。卒業生の多くが、高校で学んだ専門知識や取得した資格を活かして、それぞれの道で活躍しています。

  • 進学実績の概要

    卒業後の進路は、就職が最も多く、次いで専門学校、大学・短大への進学となっています。就職に強い学校という評判があり、先生方のサポートも手厚いようです。

  • 主な進学先

    大学進学では、島根県立大学や吉備国際大学、福山平成大学、安田女子大学などの看護・教育系の学部への進学実績があります。 短期大学や、トリニティカレッジ広島医療福祉専門学校、三次看護専門学校といった医療・福祉・保育系の専門学校への進学者も多いです。

  • 主な就職先

    就職先は、農業、食品製造、建設、福祉、サービス業など多岐にわたります。 地元庄原市内の企業はもちろん、県内各地の企業へも多くの卒業生が就職しています。海上自衛隊へ入隊する卒業生もいます。

  • 進路サポート

    2年次には、大学や企業への派遣実習「庄実デュアルシステム」を実施しており、生徒は専門的な知識や技術を現場で深めることができます。 また、土木関係の企業フォーラムに参加するなど、早期から職業観を育む機会も設けられています。

庄原実業高等学校の特長・アピールポイント

庄原実業高等学校には、他の高校にはないユニークな強みや魅力的な取り組みがたくさんあります。

  • 未来思考型PBL(課題解決学習)

    「10年後の庄原地域をどう創るか」といったテーマに対し、生徒が主体的に課題を見つけ、解決策を探究する学習プログラムです。 地域企業や大学教授など外部の専門家から助言をもらいながら、実践的な学びを深めます。

  • 充実した実習施設

    広大な農場(三日市農場、西本町農場など)を複数所有しており、和牛や乳牛、鶏の飼育、田植えや稲刈りといった本格的な実習が可能です。 食品加工や測量など、各学科の専門分野に応じた最新の設備も整っています。

  • 地域との強い連携

    地域の高齢者施設との交流会や、地元企業と連携した商品開発、地域のイベントへの参加など、学校外での活動が盛んです。 生徒たちは地域の一員として、実践的な学びを通して社会に貢献しています。

  • 豊富な資格取得の機会

    各学科の専門分野に関連する様々な資格取得を奨励しており、将来の進学や就職に有利な資格に挑戦することができます。

  • 生徒が生産した農産物や加工品の販売

    生徒たちが実習で育てた野菜や果物、製造したパンやジャムなどを定期的に販売しています。 特に梨やブドウは人気が高く、地域住民に親しまれています。

  • 遠方からの生徒も安心の学生寮

    男子寮(止水寮)と女子寮(明鏡寮)が完備されており、通学が困難な生徒も安心して学校生活を送ることができます。 集団生活を通して、自主性や協調性を育む教育の場ともなっています。

  • 環境に配慮した農業への取り組み

    化学肥料を減らし、和牛堆肥を中心とした有機質肥料で土づくりを行うなど、環境負荷の低減に取り組んでいます。 この取り組みは農林水産省の「みえるらべる」で三ツ星に登録されており、全国の高校で初の快挙となりました。

庄原実業高等学校の口コミ・評判のまとめ

庄原実業高等学校について、在校生や卒業生からは様々な声が寄せられています。学校選びの参考として、良い点と気になる点の両方を見てみましょう。

  • 良い点

    • 「専門的な知識や資格が身につき、将来の夢に直結する学びができる」という意見が非常に多いです。

    • 「実習が多く、座学だけでは学べない実践的な技術が身につくのが楽しい」といった、カリキュラムへの満足度が高い声が目立ちます。

    • 「先生方が就職先の斡旋に熱心で、サポートが手厚い」という、進路指導に関する評価も高いようです。

    • 「学園祭のファッションショーは圧巻。3年間の最高の思い出になった」など、学校行事、特に学園祭への満足度は非常に高いです。

    • 「同じ目標を持つ仲間と出会え、充実した高校生活を送れた」という声もあります。

  • 気になる点

    • 「専門高校なので、大学への一般入試での進学を考えている人には少し厳しいかもしれない」という意見があります。 進学希望者は指定校推薦やAO入試を利用することが多いようです。

    • 「進学希望者へのサポートが就職希望者に比べて手薄に感じる」という声も一部で見られました。

    • 「学科によっては、男子生徒・女子生徒の比率に偏りがある」という点も挙げられています。

    • 「駅から少し距離があるため、アクセスが不便に感じる」という意見もあります。

アクセス・通学

庄原実業高等学校へのアクセス方法と、通学エリアについて紹介します。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • JR芸備線「備後庄原駅」から徒歩で約15分です。

    • 備後庄原駅からは、備北交通のバスも利用できます。

  • 通学エリア

    庄原市内の生徒が最も多いですが、三次市や安芸高田市など、近隣の市町から通学している生徒もいます。 また、学校には男子寮と女子寮が完備されているため、県内全域から入学することが可能です。 実際に、遠方から入学し、寮生活を送りながら学んでいる生徒も少なくありません。

庄原実業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

庄原実業高等学校を目指す受験生のみなさんへ、進学アドバイザーとして応援メッセージを送ります。

庄原実業高等学校は、「将来、農業や食品、環境、福祉など、専門的な分野で活躍したい」という明確な目標を持っている人に特におすすめの学校です。座学だけでなく、実際に土に触れ、動物の世話をし、製品を作り出すという「本物の学び」がここにはあります。もしあなたが、体を動かすことが好きで、探究心が旺盛なら、庄原実業高等学校での3年間は、きっとかけがえのない時間になるでしょう。

受験勉強においては、広島県の新しい入試制度をしっかり理解することが大切です。特に中学3年生の内申点が重視されるため、日々の授業態度や提出物を大切にし、定期テストで着実に点数を取ることが合格への近道です。また、面接形式の「自己表現」では、なぜ庄原実業高等学校で学びたいのか、将来どんなことに挑戦したいのかを、自分の言葉で熱意をもって伝えられるように準備しておきましょう。あなたの夢への第一歩を、心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。