新発田農業高等学校、通称「芝農(しばのう)」は、100年以上の歴史を誇る、新潟県下越地方を代表する農業高校です。「農業高校」と聞くと、田んぼや畑で作業する姿を思い浮かべるかもしれませんが、新発田農業高等学校の学びはそれだけにとどまりません。食料の生産から加工、流通、環境の保全、そして私たちの生活を彩るフラワーデザインまで、”生きる”ことの根幹に関わる多様で専門的な知識と技術を、実践的に学ぶことができる場所なのです。

広大な農場や充実した実習設備を活かした体験的な学びは、新発田農業高等学校ならではの大きな魅力です。仲間と共に汗を流し、作物を育て、命と向き合う経験は、学力だけでなく、人間的にも大きく成長させてくれるでしょう。教科書だけでは得られない、本物の知識と感動がここにあります。

この記事では、そんな新発田農業高等学校の具体的な魅力や特色を、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。偏差値や学科の紹介はもちろん、学校生活のリアルな様子や卒業後の進路まで、受験生や保護者の皆さんが本当に知りたい情報を詳しくお届けしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

新発田農業高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 新潟県立新発田農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒957-8502 新潟県新発田市大栄町六丁目4番23号
代表電話番号 0254-22-2303
公式サイト https://www.shibatan-h.nein.ed.jp/

新発田農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

新発田農業高等学校の受験を考える上で、偏差値や難易度は気になるところですよね。ここでは、具体的なデータと共に、合格の目安について解説します。

偏差値

  • 農業科:44

最新の偏差値は44とされています。これは、新潟県内の公立高校の中では、専門知識をじっくり学びたい生徒にとって、目標としやすい難易度と言えるでしょう。

難易度・合格の目安

偏差値44というのは、中学校の基礎的な学習内容がしっかりと身についていれば、十分に合格を狙えるレベルです。具体的には、学校の定期テストで平均点前後を安定して取れていることが一つの目安になります。

新潟県の公立高校入試では、内申点(調査書)も重視されます。中学1年生から3年生までの9教科の成績が評価対象となるため、日々の授業に真面目に取り組み、提出物をきちんと出すなど、コツコツとした努力が大切です。

同じくらいの偏差値の高校としては、同じ農業系の加茂農林高等学校(偏差値41)や高田農業高等学校(偏差値45)などがあります。

主な併願校

新潟県の公立高校入試では、原則として1校1学科しか出願できません。そのため、新発田農業高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。

主な併願校としては、以下のような高校が挙げられます。

  • 敬和学園高等学校

  • 中越高等学校

  • 北越高等学校

  • 新潟第一高等学校

これらの私立高校は、普通科だけでなく、特色あるコースを設置している場合も多いので、自分の興味や学力に合わせて検討してみると良いでしょう。

新発田農業高等学校に設置されている学科・コース

新発田農業高等学校では、1年次は「農業科」として全員が同じ内容を学び、2年生から自分の興味や関心に合わせて8つの「専攻」に分かれる「専攻学習形式」をとっています。これにより、農業の基礎を幅広く学んだ上で、より専門的な分野に進むことができるのが大きな特長です。

  • 農業科(1年次共通)

    • どんなことを学ぶ場所か:農業の基礎基本を幅広く学び、2年生からの専門分野(専攻)を見つけるための期間です。様々な実習を体験し、自分の適性や興味を探ります。

    • どんな生徒におすすめか:農業のどの分野に進みたいかまだ決まっていない人や、まずは農業全体について知りたいという人におすすめです。

  • 2年次からの8つの専攻

    • 作物専攻:米や麦、大豆などの栽培技術や経営について学びます。日本の食料生産の根幹を支えたい人におすすめです。

    • 野菜専攻:トマトやキュウリ、イチゴなど、様々な野菜の栽培方法や品質管理を学びます。安全で美味しい野菜を食卓に届けたい人におすすめです。

    • 動物専攻:牛や豚、鶏などの飼育管理や、動物バイオテクノロジーの基礎を学びます。動物が好きで、畜産業や動物関連の仕事に興味がある人におすすめです。

    • 草花園芸専攻:シクラメンやパンジーなどの花や観葉植物の栽培、管理技術を学びます。花で人々の生活に彩りや癒やしを与えたい人におすすめです。

    • フラワーデザイン専攻:切り花の生産から、フラワーアレンジメントやブーケ制作などの活用技術までを学びます。花の美しさを活かして表現することが好きな人におすすめです。

    • 地域環境デザイン専攻:庭園の設計・施工や管理、測量技術などを学びます。緑豊かな空間づくりや、自然環境の保全に貢献したい人におすすめです。

    • 食品化学専攻:パンやジャム、味噌などの食品加工の原理や技術、衛生管理について学びます。食品づくりや商品開発に興味がある人におすすめです。

    • 栄養科学専攻:食品の栄養成分や機能性、調理の科学について学びます。食と健康の関係に興味があり、栄養士などを目指したい人におすすめです。

新発田農業高等学校の特色・校風

新発田農業高等学校は、一言で表すと「実践重視でアットホーム」な校風です。生徒たちは広大な敷地でのびのびと学校生活を送っています。

  • 校風キーワード:実践重視、地域密着、アットホーム、協調性

  • 宿題の量:専門教科では実習やレポートが多く、計画的に進める必要がありますが、普通教科の宿題は標準的な量という声が多いようです。

  • 校則:他の高校と比較すると、校則は比較的落ち着いているという意見が見られます。ただし、農業高校という特性上、実習時の服装や安全に関するルールは厳しく指導されます。スマートフォンの使用については、校内でのルールを守れば使用可能なようです。頭髪や服装に関しても、高校生らしい清潔感のある身だしなみが求められます。

  • 生徒たちの雰囲気:動物や植物が好きな生徒が多く、おっとりとしていて真面目な雰囲気があるようです。男女比は学科によりますが、女子生徒の割合が高い傾向にあります。共通の興味を持つ仲間と協力して行う実習が多いため、自然と協調性が身につきます。

  • アルバイト:アルバイトは原則として許可制で、長期休業中などに届出をすれば可能という声があります。学業との両立が前提となります。

  • 制服:制服は男女ともにブレザースタイルで、落ち着いたデザインが評判です。特に女子のスカートのチェック柄が可愛いという口コミが見られます。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的にありませんが、農作物の管理やイベントなどで登校日になる場合があるようです。

新発田農業高等学校の部活動・イベント

部活動

新発田農業高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの生徒が参加し、文武両道で活躍しています。特に、農業高校ならではの「農業部」があるのが大きな特色です。

  • 運動部

    野球部は過去に何度も甲子園に出場した実績のある名門として知られています。また、空手道部や柔道部も強豪として有名です。その他、陸上競技部、バレーボール部、バスケットボール部、ソフトテニス部、バドミントン部など、多くの部が活発に活動しています。

  • 文化部

    文芸部、写真部、調理部、華道部、茶道部など、文化的な活動も充実しています。

  • 農業部

    農業機械部、バイテク部、パソコン部といった専門的な部活動があります。これらの部では、授業で学んだ知識をさらに深め、各種の競技会や研究発表会で全国レベルの成果を上げています。

イベント

新発田農業高等学校では、生徒が主体となって作り上げる学校行事が多く、一年を通して活気に満ちています。

  • 体育祭(6月)

    クラス対抗で様々な競技に熱中し、学年を超えて盛り上がるイベントです。仲間との団結力が一層深まります。

  • 稲穂祭(いなほさい・文化祭)(10月または11月)

    新発田農業高校の最大のイベントの一つです。生徒たちが丹精込めて育てた新鮮な野菜や草花、手作りのジャムやパンなどの加工品を販売する「農産物販売会」は、毎年地域の方々で大変な賑わいを見せます。クラスごとの展示やステージ発表もあり、学校全体が一体となるお祭りです。

  • 球技大会(10月)

    クラス対抗でバレーボールやバスケットボールなどの球技を楽しみます。

  • 研修旅行(2年次)

    行き先は年度によって異なりますが、仲間との絆を深め、見聞を広める貴重な機会となっています。

新発田農業高等学校の進学実績

新発田農業高等学校の卒業生は、農業分野はもちろん、多様な分野で活躍しています。専門知識を活かした進学・就職が大きな強みです。

  • 国公立大学

    新潟大学など、地域の国公立大学へ進学する生徒もいます。

  • 私立大学・短期大学

    農業系の大学(東京農業大学、日本獣医生命科学大学など)や、栄養系の大学への進学実績があります。その他、多様な学部・学科へ進学しています。

  • 専門学校

    農業大学校や、看護、調理、製菓、公務員など、専門技術を身につけるための各種専門学校への進学者が多い傾向にあります。

  • 就職

    公務員(農業職、林業職など)や、JA(農業協同組合)、食品関連企業、造園会社、地元の優良企業など、幅広い業種への就職実績があります。学校で学んだ専門知識と技術、そして実習で培った真面目な勤務態度が高く評価されています。

進学や就職に向けて、先生方が一人ひとりの希望に沿って手厚いサポートをしてくれるのも、新発田農業高等学校の魅力の一つです。

新発田農業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、新発田農業高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを紹介します。

  1. 1年次に基礎を学び、2年次から選べる8つの専門専攻

    入学後に農業の様々な分野を体験してから自分の専門を決められるため、ミスマッチが少なく、興味関心を深く追求できます。

  2. 広大な農場と充実した実習施設

    校内だけでなく、新発田市川東地区に「長峰農場」という広大な実習地を所有しており、本格的な農業実習が可能です。

  3. 地域に愛される「稲穂祭」での農産物販売

    生徒が生産した農産物や加工品を販売する文化祭は、地域の名物イベント。実践的な学びの成果を発表し、販売の喜びや難しさを体験できます。

  4. 全国レベルで活躍する農業クラブ活動

    農業に関する知識や技術を競う「農業クラブ」の活動が盛んで、全国大会で優秀な成績を収める生徒を毎年輩出しています。

  5. 食と緑のプロフェッショナルを目指せる多様な資格取得

    危険物取扱者、ボイラー技士、日本農業技術検定、フラワー装飾技能士など、将来に役立つ多くの専門資格の取得を学校がサポートしています。

  6. 地域社会との連携による実践的な学び

    地域の企業や小中学校と連携したプロジェクトや交流活動が盛んで、社会との関わりの中で学ぶ機会が豊富にあります。

  7. 100年以上の歴史と伝統

    明治44年の開校以来、多くの卒業生を輩出してきた歴史と伝統があり、地域からの信頼が厚い学校です。

新発田農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、どのような声が聞かれるのでしょうか。良い点と気になる点をまとめました。

  • 良い点

    • 「実習が多くて楽しい。教科書だけでは学べないことがたくさん経験できる」

    • 「動物や植物が好きなので、毎日が充実している」

    • 「専門的な知識や資格が取れるので、将来の夢に直結する」

    • 「先生方が親身になって進路相談に乗ってくれる」

    • 「同じ目標を持つ友達がたくさんできるので、協力し合える雰囲気が良い」

    • 「稲穂祭の農産物販売は大変だけど、自分たちが作ったものが売れると嬉しい」

  • 気になる点

    • 「夏は暑く、冬は寒い中での実習は体力的に大変なこともある」

    • 「虫が苦手な人は少し慣れが必要かもしれない」

    • 「駅から少し歩くので、雨や雪の日は大変」

    • 「専門教科のレポートや課題が多く、計画的にやらないと間に合わなくなることがある」

アクセス・通学

新発田農業高等学校へのアクセス方法です。

  • 最寄り駅

    • JR羽越本線・白新線「新発田駅」から徒歩約15分

    • JR白新線「西新発田駅」から徒歩約23分

  • バス

    • 新潟交通観光バス 「農業高校前」バス停下車すぐ

新発田市内をはじめ、阿賀野市、胎内市、聖籠町など、近隣の市町村から多くの生徒が電車やバス、自転車で通学しています。

新発田農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

新発田農業高等学校を目指す皆さんへ、進学アドバイザーとして最後に応援メッセージを送ります。

新発田農業高等学校は、「自然が好き」「動物や植物と触れ合うのが好き」「食べ物に関わる仕事がしたい」「環境問題に興味がある」そんなあなたにぴったりの学校です。机に向かう勉強だけでなく、体を動かし、五感を使って学ぶことに喜びを感じる人なら、きっと充実した3年間を送ることができるでしょう。専門的な知識や技術を身につけたいという強い意欲が、合格への一番の近道です。

受験勉強においては、まず中学校の5教科の基礎を固めることが何よりも大切です。特に、理科や社会は農業の学びと深く関わってくるので、興味を持って取り組むと良いでしょう。また、面接が実施される場合は、なぜ新発田農業高校で学びたいのか、将来どんなことをしたいのかを自分の言葉でしっかりと伝えられるように準備しておくことが重要です。学校説明会やオープンスクールにはぜひ参加して、学校の雰囲気を肌で感じてみてください。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。