日本女子大学附属高等学校は、100年以上の歴史を誇る伝統ある女子校で、単に大学進学を目指すだけでなく、一人の人間として自立し、社会で輝くための力を育む場所です。ここでは、生徒一人ひとりの個性を尊重し、自ら考え、学び、行動する「自学自動」の精神が、創立以来の教育の根幹として深く根付いています。
この「自学自動」という言葉は、学校生活のあらゆる場面で実感できる、日本女子大学附属高等学校の最も大切なフィロソフィーです。先生方が一方的に教えるのではなく、生徒が主体となって学校行事を運営し、時には校則さえも自分たちで見直していきます。学校から与えられる「やらされる学び」ではなく、自らの好奇心から生まれる「探究する学び」が、ここにはあります。
この記事では、そんな特別な環境を持つこの学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータだけでなく、在校生のリアルな声や学校生活の細部に至るまで、詳しくご紹介していきます。緑豊かなキャンパスで送る充実した3年間は、きっとあなたの未来を大きく広げるはずです。さあ、一緒にその扉を開いてみましょう。
日本女子大学附属高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 日本女子大学附属高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/女子校の別 | 女子校 |
所在地 | 〒214-8565 神奈川県川崎市多摩区西生田1-1-1 |
代表電話番号 | 044-952-6705 |
公式サイトURL | https://www.jwu.ac.jp/hsc/ |
日本女子大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校
日本女子大学附属高等学校への進学を考える上で、まず気になるのが偏差値と難易度でしょう。最新のデータによると、この学校の偏差値は「66」とされており、神奈川県内の私立女子校の中でもトップクラスに位置します。
この「66」という数字は、非常に高い学力が求められることを意味します。同じくらいの偏差値の高校としては、日本大学高等学校(総合進学コース)や山手学院高等学校(進学コース)などが挙げられ、難関校の一つであることが分かります。合格のためには、中学校での成績(内申点)も非常に重要です。具体的な基準は公表されていませんが、このレベルの高校を目指す場合、主要5教科はもちろん、副教科も含めてほぼオール5に近い優秀な成績が求められると考えておくと良いでしょう。
日本女子大学附属高等学校は私立高校なので、公立高校との併願が可能です。受験生の多くは、地域のトップレベルの公立高校を第一志望としながら、併願校として選ぶケースが多いようです。また、他の私立高校を併願する場合、桐蔭学園高等学校や山手学院高等学校など、同等か少し下の偏差値帯の進学校が候補となる傾向があります。
日本女子大学附属高等学校に設置されている学科・コース
日本女子大学附属高等学校の大きな特徴の一つが、学科やコースが分かれていないことです。設置されているのは「普通科」のみで、全生徒が3年間同じカリキュラムで学びます。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:文系・理系といった枠にとらわれず、幅広い分野の基礎学力をバランス良く、そして深く身につけることを目指します。特定の分野に早くから特化するのではなく、豊かな教養を土台として、将来どんな道にも進める可能性を広げるためのカリキュラムが組まれています。
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どんな生徒におすすめか:「まだ将来の夢がはっきり決まっていないから、高校で色々なことを学びながら自分の興味を見つけたい」「国公立大学や難関私立大学を目指していて、文理両方の学力が必要」と考えている生徒に最適な環境です。
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日本女子大学附属高等学校の特色・校風
この学校の雰囲気を一言で表すなら、「自主自律」と「自由闊達」という言葉がぴったりです。緑豊かな落ち着いた環境の中で、生徒たちがのびのびと学校生活を送っています。
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キーワード:自主自律、自由闊達、落ち着いた雰囲気、緑豊かな環境
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宿題の量:在校生の声によると、特に長期休暇中の宿題は多めと感じる人が多いようです。各教科のワークブックに加えて、レポート形式の課題など、自分で調べてまとめる力が求められるものも出されます。これは「自ら学ぶ」という学校の方針の表れと言えるでしょう。
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校則(スマホ、服装など):校則は、生徒が主体となって組織する「自治会」が見直しや改定を行います。これは、自分たちの生活に必要なルールは自分たちで決めるという、強い信頼の証です。
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スマホ:持ち込みは許可されています。授業中はカバンにしまうのが基本ですが、調べ学習などで先生の許可を得て使用することもあります。
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服装:高校には制服がありません。代わりに、生徒の自治会が「高校生らしい服装」のガイドラインを定めており、生徒はその範囲内で自由に服装を選びます。
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アルバイト:原則として長期休暇中に可能とされています。
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生徒たちの雰囲気:女子校ならではの、穏やかで協力的な雰囲気が特徴です。生徒同士がお互いを尊重し、支え合う文化が根付いているという声が多く聞かれます。リーダーシップを発揮する機会も多く、活発な生徒もいれば、物静かに自分の興味を追求する生徒もいて、多様な個性が共存しています。
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制服の評判:前述の通り、高校には制服がないため、日々の服装選びも自己表現の一つとして楽しんでいる生徒が多いようです。
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土曜授業:年間行事予定を見る限り、毎週の正規授業としての土曜授業は設定されていないようです。
日本女子大学附属高等学校の部活動・イベント
部活動
日本女子大学附属高等学校の部活動は非常に活発で、ほとんどの生徒が参加しています。ここでも「自治の精神」が息づいており、上級生が中心となって練習メニューを考えたり、後輩を指導したりと、生徒主体で運営されているのが大きな特徴です。運動部・文化部ともに充実しており、全国レベルで活躍するクラブから、ユニークな活動を行うクラブまで様々です。
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全国レベルで活躍する強豪クラブ
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ダンス体操クラブ:高校ダンス部の大会では全国大会の常連校です。関東予選では常に上位に入賞し、全国の舞台でも高い評価を得ています。その表現力豊かなパフォーマンスは、学校行事でも大きな見どころの一つです。
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かるたクラブ:競技かるたの世界では、全国でも屈指の強豪として知られています。団体戦での県大会優勝や、個人戦での全国大会入賞など、輝かしい実績を誇ります。
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コーラスクラブ:NHK全国学校音楽コンクールや関東合唱コンクールで金賞を受賞するなど、その美しいハーモニーは高い評価を受けています。
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珍しい・ユニークなクラブ
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ロボット研究クラブ:女子校には珍しいこのクラブは、アイデアコンテストで毎年特別賞を受賞するなど、創造性と技術力を発揮しています。
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人形劇団ペロッコクラブ:ボランティア活動と舞台芸術を融合させたユニークなクラブ。全国規模のボランティア・アワードに出場するなど、社会貢献活動にも力を入れています。
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馬術クラブ:高校の部活動としては非常に珍しい馬術部があり、専門的な活動が可能です。
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イベント
生徒が主体となって作り上げるイベントは、学校生活のハイライトであり、一生の思い出になります。
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運動会:5月に行われる運動会は、クラス対抗で大いに盛り上がります。特に見どころは、3年生全員による「創作ダンス」です。振り付けから構成まで全て生徒たちが考え、学年全体で一つの作品を創り上げる経験は、協調性と達成感を育む貴重な機会となっています。
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もみじ祭(文化祭):秋に開催される文化祭は、まさに生徒の自治活動の集大成です。各クラブが一年間の活動の成果を発表する場であると同時に、クラスごとの企画や有志によるパフォーマンスでキャンパス中が熱気に包まれます。企画・運営のほとんどを生徒が行うため、実践的なリーダーシップを養うことができます。
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修学旅行:2年生の時に行く修学旅行は、生徒の興味関心に合わせて複数のコースから行き先を選べるという、非常にユニークな形式です。2024年度は、広島・神戸などを巡るコース、四国や九州を訪れるコース、そして北海道を巡るコースなど、多彩な選択肢が用意されました。平和学習や文化体験、大自然とのふれあいなど、それぞれのコースで深い学びと忘れられない思い出を得ることができます。
日本女子大学附属高等学校の進学実績
日本女子大学附属高等学校は、卒業生の進路において非常に大きな強みを持っています。それは、併設の日本女子大学への内部進学という安定した道と、国公立大学や難関私立大学を目指す道の両方が力強くサポートされている点です。2024年度の現役大学進学率は96.7%と、ほとんどの生徒が大学へ進学しています。
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日本女子大学への内部進学:例年、卒業生の約75%がこの道を選びます。日本女子大学には家政学部、文学部、理学部、国際文化学部など7学部16学科があり、多様な学問分野をカバーしています。附属高校生のための推薦枠は生徒数を大きく上回っているため、希望が極端に集中する学科を除けば、ほとんどの生徒が第一希望の学科に進学できるという、大きな安心感があります。
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他大学への進学実績:卒業生の約25%は、外部の大学へ進学します。その実績は目覚ましく、最難関大学への合格者を毎年輩出しています。
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国公立大学(2024年度合格実績):東京大学 1名、東京科学大学 1名、お茶の水女子大学 1名、東京外国語大学 1名、東京藝術大学 1名など、難関国公立大学に合格しています。
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難関私立大学(2024年度合格実績):早稲田大学と慶應義塾大学を合わせて15名、上智大学と東京理科大学を合わせて15名、GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)には合計で43名が合格しています。
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その他:医学部、歯学部、薬学部といった医療系の難関学部への進学者も多く、理系分野での強さも示しています。
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進学サポート体制:この高い進学実績を支えているのが、手厚いサポート体制です。
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併願制度:日本女子大学への推薦資格を保持したまま、国公立大学や、日本女子大学にはない学部(医学部、歯学部、薬学部、法学部など)を受験できる制度があります。これは「挑戦したい」という生徒の気持ちを最大限に後押しする、非常に魅力的な制度です。
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指定校推薦:卒業生の活躍により、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学をはじめとする多くの有名私立大学から、豊富な指定校推薦枠が寄せられています。
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進路指導:担任との定期的な面談はもちろん、大学の教員による説明会や卒業生による相談会など、自分の将来をじっくり考えるための機会が数多く設けられています。
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日本女子大学附属高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、この学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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信頼から生まれる「自学自動」の教育
学校生活の根幹にあるのは、生徒への深い信頼に基づいた「自学自動」の精神です。校則や学校行事を生徒自身が主体的に運営することを通じて、机上の勉強だけでは得られない本物の責任感とリーダーシップが育まれます。
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安心と挑戦を両立する「ダブルパス」の進路
約75%が進学する日本女子大学への内部推薦という確かな進路を確保しながら、国公立大学や最難関私立大学への挑戦も可能にする独自の「併願制度」は、生徒が安心して自分の限界に挑戦できる理想的な環境を提供します。
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可能性を狭めない「文理非選択」のカリキュラム
高校2年生や3年生になっても文系・理系のコース分けを行わず、幅広い教養を身につけることを重視します。これにより、生徒は自分の興味や関心の変化に柔軟に対応でき、将来の選択肢を最後まで広く持ち続けることができます。
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「森の中の学校」と呼ばれる緑豊かな広大なキャンパス
東京ドーム6個分以上という広大な敷地は、多摩丘陵の豊かな自然に囲まれています。5万冊以上の蔵書を誇る図書室、複数の体育館、温水プールなど、充実した施設が揃っており、落ち着いた環境で学習や部活動に打ち込めます。
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全国レベルで輝く、活気あふれる部活動
ダンス部やかるた部、コーラス部のように全国大会で活躍するクラブがある一方で、ロボット研究や人形劇団といったユニークなクラブも盛んに活動しています。生徒主体の運営の中で、誰もが自分の「好き」を追求し、高め合うことができます。
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自信を育む、エンパワーメントな女子教育環境
女子だけの環境だからこそ、生徒一人ひとりが臆することなくリーダーシップを発揮する機会に恵まれています。互いを尊重し、高め合う文化の中で、社会で活躍するための自信と実践力を身につけることができます。
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生徒が創り上げる、忘れられない学校行事
生徒が企画段階から主体的に関わる「もみじ祭(文化祭)」や、複数の目的地から自分で選べる「修学旅行」など、一つ一つの行事が生徒の自主性を尊重したユニークなものになっています。仲間と協力して何かを成し遂げる経験は、一生の宝物になります。
日本女子大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からのリアルな声を集め、良い点と少し気になる点を公平にご紹介します。
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良い点
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「生徒を本当に信頼してくれる学校」:「自学自動」の精神が口先だけでなく、行事運営や校則のあり方にまで浸透している点が高く評価されています。自分たちで考えて行動する経験が、大きな自信につながるという声が多数あります。
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「先生方のサポートが手厚い」:勉強で分からないことがあれば親身に教えてくれるだけでなく、進路や友人関係の悩みにも温かく寄り添ってくれる先生方が多いようです。
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「自分らしくいられる居心地の良い場所」:制服がなく、校則も生徒主体で決めるため、自由な雰囲気があります。女子だけの環境でのびのびと過ごせる、という意見も多く見られます。
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「キャンパスが広くて綺麗」:緑に囲まれた広々とした環境は、学校生活を送る上で大きな魅力と捉えられています。施設が充実している点も好評です。
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「友達との絆が深まる」:ギスギスした競争よりも、お互いに助け合い、高め合おうという協力的な雰囲気があるようです。
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気になる点
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「駅から少し歩く、坂がある」:最寄り駅の読売ランド前駅から徒歩10分ですが、丘陵地にあるため坂道があります。バスを利用する生徒もいますが、都心部の駅直結の学校と比べると、アクセスが少し不便に感じるかもしれません。
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「施設に新旧の差がある」:全体的に施設は充実していますが、歴史ある学校のため、一部の校舎は少し古いと感じるという意見もあります。
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「自由な分、自己管理能力が問われる」:「自学自動」の方針は、裏を返せば、自分で計画を立てて勉強を進める力が必要だということです。手取り足取り指導してほしいタイプの生徒には、少し戸惑いがあるかもしれません。
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「課題は多いと感じることも」:特に長期休暇中の課題は量が多く、部活動との両立には計画性が求められる、という声がありました。
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アクセス・通学
緑豊かな丘陵に位置する日本女子大学附属高等学校へのアクセス方法です。
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最寄り駅からのアクセス
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小田急線「読売ランド前駅」から徒歩約10分
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京王相模原線「京王稲田堤駅」からバス約10分、「女子大前」下車すぐ
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JR南武線「稲田堤駅」から徒歩7分で「城下」バス停へ、そこからバス約10分
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京王相模原線「京王よみうりランド駅」からバス約15分、「女子大前」下車すぐ
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通学エリア
生徒は神奈川県内(川崎市、横浜市など)だけでなく、東京都内(世田谷区、町田市など)や近隣の県からも幅広く通学しています。平均通学時間は約63分と、少し時間をかけてでも通いたいと思われる魅力が、この学校にはあるようです。
日本女子大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、日本女子大学附属高等学校を目指すあなたにメッセージを送ります。
この学校は、「誰かに言われたからやる」のではなく、「自分で考えて行動したい」という強い意志を持つ生徒に特におすすめです。もしあなたが、自由な環境で自分の可能性を試し、仲間と協力しながら何かを創り上げることにワクワクするなら、日本女子大学附属高等学校は最高の舞台になるでしょう。受験勉強では、5教科の基礎を徹底的に固めることが何よりも大切です。特に、文理を分けないカリキュラムを重視しているため、苦手科目を作らないようバランス良く学習を進めてください。単なる暗記だけでなく、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できる深い理解を目指しましょう。
挑戦の先には、あなたを信頼し、成長を温かく見守ってくれる環境が待っています。自分を信じて、夢に向かって頑張ってください。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。