春日部高等学校埼玉県立春日部高等学校、通称「春高(かすこう)」。120年以上の輝かしい歴史を誇るこの男子校は、ただの進学校という言葉だけでは語り尽くせない、特別な魅力に満ちあふれています。

校訓に掲げる「質実剛健」の精神と、教育方針である「文武両道」を本気で追求する校風の中で、生徒たちは勉強にも、部活動にも、そして学校行事にも、すべてに全力で打ち込みます。そこには、男子校ならではの熱気と、何事にも本気で挑戦できる自由な雰囲気があり、一生涯の宝物となるような固い友情が育まれていきます。

この記事を読み進めながら、春日部高等学校が持つ独特の文化とエネルギーが、あなたの求める高校生活と重なるかどうか、ぜひ想像してみてください。

春日部高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの第一歩として、正確な情報を把握しておくことが大切です。

項目 内容
正式名称 埼玉県立春日部高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男子校
所在地 〒344-0061 埼玉県春日部市粕壁5539
代表電話番号 048-752-3141
公式サイトURL https://kasukabe1899.spec.ed.jp/

春日部高等学校の偏差値・難易度・併願校

春日部高等学校への合格を目指す上で、最も気になるのが偏差値や難易度でしょう。ここでは具体的な数字だけでなく、合格に必要な力の目安を詳しく解説します。

偏差値・難易度

多くの受験情報サイトでは、春日部高等学校の偏差値は65から72と幅広く紹介されています。なぜこれほど差があるかというと、模試の種類によって受験者層が異なり、偏差値の算出方法も違うためです。埼玉県内の高校受験で最も重要な指標とされる「北辰テスト」では、偏差値65前後が合格の一つの目安とされています。これは県内トップクラスの学力が求められることを意味します。

さらに重要なのが、埼玉県独自の「学校選択問題」です。春日部高校では、英語と数学でこの応用力が問われる難易度の高い問題が出題されます。合格者の5教科合計の平均点が374点前後であるのに対し、不合格者の平均点は332点前後というデータもあり、当日の学力試験でいかに高得点を取るかが合否を分けることがわかります。

合格に必要な内申点の目安

埼玉県の公立高校入試では、内申点の計算方法も独特です。中学1年生、2年生、3年生の成績が「1:2:4」という比率で評価されます。これは、中学3年生の成績が非常に重視されることを意味しており、最後の1年間での頑張りが大きく結果に影響します。

過去の合格者のデータを見ると、内申点の平均は1年生で38.9、2年生で40.0、3年生で42.5といったあたりが目安です。9教科の評定がオール5で45点満点ですから、3年生ではほとんどの教科で「5」を取る必要がある、非常に高いレベルが求められます。

主な併願校

埼玉県では公立高校を複数併願することはできないため、春日部高等学校を第一志望とする受験生の多くは、万が一に備えて私立高校を併願します。学力レベルや校風などを考慮して、以下のような私立高校が併願先として選ばれることが多いようです。

  • 栄東高等学校

  • 開智高等学校

  • 大宮開成高等学校

  • 春日部共栄高等学校

  • 城北埼玉高等学校

  • 川越東高等学校

春日部高等学校に設置されている学科・コース

春日部高等学校に設置されている学科は「普通科」のみです。特定のコース分けはありませんが、これは全ての生徒が1年生の段階で幅広い教養を身につけることを重視しているためです。

  • 普通科

    • 1年生では文系・理系を問わず、全ての科目をバランス良く学び、自分の興味や適性を見極める期間となります。2年生に進級する際に、将来の進路希望に応じて文系・理系にクラスが分かれ、それぞれの目標に合わせた専門的な学習が本格的にスタートします。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校として、文理を問わず探究的な学びがカリキュラムに組み込まれているため、論理的思考力や課題解決能力を総合的に伸ばせるのが大きな特長です。

春日部高等学校の特色・校風

120年以上の歴史を持つ伝統校でありながら、その校風は驚くほど自由です。生徒の自主性を重んじる文化が根付いています。

  • キーワード:自由闊達、文武両道、質実剛健、生徒主体、唯一無二の男子校文化

宿題・校則・生徒の雰囲気など

中学生の皆さんが特に気になる学校生活のリアルな部分を、口コミなどから詳しく見ていきましょう。

  • 宿題の量:宿題として課される量は標準的ですが、授業の進度は速く、レベルも高いです。特に小テストが頻繁に行われるため、日々の予習・復習が欠かせないという声が多く聞かれます。自主的に学習を進める習慣が求められます。

  • 校則の厳しさ:県内の高校の中でも際立って校則が緩やかです。頭髪検査や持ち物検査は基本的に行われません。この自由さは、生徒一人ひとりへの信頼の証です。ただし、その信頼に応える自律した行動が求められます。

  • スマホの扱い:スマートフォンの校内への持ち込みは許可されていますが、校内での使用は原則として禁止されています。このルールも生徒の自主的な判断に委ねられている面が大きく、多くの生徒がマナーを守って生活しています。

  • 生徒たちの雰囲気:非常にエネルギッシュで、何事にも全力で取り組む生徒が多いです。勉強するときは集中し、行事や部活では思い切り楽しむ、というメリハリがついています。男子校ならではの気兼ねない雰囲気で、周りの目を気にせず自分らしさを発揮できるため、固い絆で結ばれた仲間ができるようです。

  • アルバイト:原則として禁止されています。学業と学校活動に専念することが求められます。

  • 制服の評判:伝統的な黒の詰襟学生服(学ラン)です。デザイン性について特筆すべき点はありませんが、「春高生」であることの誇りの象徴と捉えられています。

  • 土曜授業:あります。原則として隔週土曜日に4時間の授業が実施されており、難関大学進学に対応するための十分な授業時間を確保しています。

春日部高等学校の部活動・イベント

部活動

春日部高等学校の「文武両道」を象徴するのが、非常に活発な部活動です。多くの生徒が部活動に加入し、学業と両立させながら高いレベルで活動しています。

運動部、文化部ともに充実しており、全国大会や関東大会で活躍する部が数多くあります。特に以下の部活動は、その実績で広く知られています。

  • 陸上競技部:100年以上の歴史を誇る名門です。毎年のようにインターハイ(全国高等学校総合体育大会)出場選手を輩出しており、学校を代表する部活動の一つです。

  • 物理部:スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校の強みを活かし、世界大会に出場するなど、国際的なレベルで活躍しています。科学的な探究活動に興味がある生徒には最高の環境です。

  • 囲碁部・書道部:文化部も非常に強力で、これらの部は全国高等学校総合文化祭の常連です。全国の舞台で輝かしい成績を収めています。

  • 応援指導部:春高の魂ともいえる伝統的な部活動です。体育祭や部活動の大会などで、力強い応援を繰り広げ、学校全体を一つにまとめ上げます。

イベント

春高の学校生活を語る上で欠かせないのが、生徒が主体となって創り上げる熱狂的な学校行事です。

  • 春高祭(文化祭):毎年6月に行われる春高最大のイベントで、来場者数は1万人を超えることもあります。名物は、文化祭実行委員が10ヶ月もの歳月をかけて制作する巨大な「入場門」。そして、男子校ならではのユーモアと創造性が爆発する「ミス春高グランプリ」(女装コンテスト)は、毎年大きな盛り上がりを見せます。フィナーレでは、全校生徒で肩を組んで踊る「春高ジェンカ」やバルーンリリースがあり、感動的な一体感を味わうことができます。

  • 大運動会(体育祭):10月に開催される体育祭もユニークです。単なる競技会ではなく、3年生がクラスごとに趣向を凝らした寸劇を披露しながら行進する「コント行列」が伝統となっています。全ての競技が団体戦で行われるため、クラスや学年を超えた団結力が育まれます。

  • 修学旅行:2年生の秋に、京都・奈良方面へ旅行します。歴史や文化に触れる貴重な機会です。

  • 校内体育大会:年間を通じて、バレーボール、水泳、卓球、サッカー、バスケットボールなどのクラス対抗の大会が開催され、1年間の総合優勝を目指して競い合います。

春日部高等学校の進学実績

埼玉県内屈指の進学校として、春日部高等学校は毎年優れた大学進学実績を誇ります。生徒一人ひとりの努力はもちろん、SSH指定校としての探究活動や充実した進学講習などが、その高い実績を支えています。

以下は、2025年春の最新の大学合格実績です(合格者数は延べ人数)。

国公立大学

国公立大学全体で141名が合格し、そのうち100名が現役での合格です。

  • 主な合格大学と人数

    • 東京大学:1名

    • 京都大学:2名

    • 東北大学:18名

    • 北海道大学:9名

    • 大阪大学:4名

    • 一橋大学:3名

    • 東京科学大学:3名

    • 筑波大学:7名

    • 千葉大学:10名

    • 埼玉大学:32名

    • 国公立大学医学部医学科:1名(東北大学)

難関私立大学

早稲田大学、慶應義塾大学をはじめとする難関私立大学にも、多くの合格者を出しています。

  • 主な合格大学と人数

    • 早稲田大学・慶應義塾大学:合計73名(早稲田48名、慶應25名)

    • GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政):合計403名

      • 明治大学:126名

      • 法政大学:102名

      • 中央大学:64名

      • 立教大学:58名

      • 青山学院大学:32名

      • 学習院大学:21名

    • 東京理科大学:85名

これらの実績は、生徒たちが主体的に学ぶ環境と、それをサポートする学校側の手厚い体制が両立していることの証と言えるでしょう。

春日部高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、春日部高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての高度な探究学習

    全校生徒が取り組む「課題研究」を通じて、大学での研究や社会に出てからも役立つ論理的思考力、課題解決能力、プレゼンテーション能力を養います。

  • 生徒主体で創り上げる、伝説的な学校行事

    「春高祭」や「大運動会」は、単なるお祭りではありません。企画から運営まで生徒が中心となって行うことで、リーダーシップや協調性を学ぶ最高の「実践の場」となっています。

  • 圧倒的な自由を支える、生徒への信頼

    校則が非常に緩やかなのは、学校が生徒一人ひとりを信頼し、その自主性・自律性を尊重しているからです。この環境が、責任感のある大人へと成長させます。

  • 私立に引けを取らない、美しく近代的な校舎

    公立高校とは思えないほど校舎が綺麗で設備が整っていると評判です。快適な学習環境が、日々の学校生活の質を高めています。

  • 駅から徒歩1分という抜群のアクセス

    最寄りの八木崎駅から徒歩1分という立地は、通学の負担を大きく軽減します。その分の時間を勉強や部活動に充てることができます。

  • 全国レベルの部活動と学業を両立する「文武両道」の実践

    多くの部が全国レベルで活躍する中、高い進学実績も維持しています。高い目標を持つ仲間たちと切磋琢磨できる環境です。

  • 120年以上の歴史が育んだ、強力なOBネットワーク

    卒業生の多くが母校に強い愛情を持ち、教員や講演者として後輩の指導にあたることがあります。社会の様々な分野で活躍する先輩との繋がりは、将来の大きな財産となります。

春日部高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からの「生の声」は、学校選びの貴重な参考になります。ここでは、良い点と気になる点を公平にまとめました。

良い点

  • 「とにかく学校行事が楽しく、一生の思い出になる。クラスの団結力がすごい」という声が圧倒的に多いです。特に春高祭の熱狂は格別のようです。

  • 「自由な校風のおかげで、のびのびと過ごせる。先生方も生徒を信頼してくれている」と、自主性を重んじる文化を評価する意見が目立ちます。

  • 「男子校だからこそのノリがあり、気を使わずに本当の友達ができる。最高の仲間に出会えた」という、男子校ならではの深い友情を挙げる声も多数あります。

  • 「周りのレベルが高く、勉強へのモチベーションが保ちやすい。切磋琢磨できる環境」と、学習環境の良さを評価する声も多いです。

  • 「校舎が綺麗で、駅から近いのが最高」といった、施設の充実度やアクセスの良さを評価する意見も多く見られます。

気になる点

  • 「文武両道は言うほど簡単ではない。勉強と部活を高いレベルで両立できているのは一握りの生徒だけという印象」という現実的な意見もあります。自己管理能力が問われるようです。

  • 「小テストが多く、自主学習の時間が取りにくいことがある」という声も。日々の積み重ねが重要になります。

  • 「良くも悪くも男子校。女子との交流は全くないので、それを求める人には向かない」という点は、覚悟しておく必要があるでしょう。

  • 「進学実績は素晴らしいが、それは生徒自身の努力と塾のおかげという面も大きい。学校のサポートだけで難関大は難しいかも」と、学校の自由な校風ゆえに、個人の努力がより重要になると指摘する声もあります。

  • 「制服が伝統的で、おしゃれさはない」という点は、多くの生徒が感じているようです。

アクセス・通学

春日部高等学校への通学方法と、どのエリアから生徒が通っているかの傾向です。

  • 最寄り駅とアクセス

    • 東武アーバンパークライン(野田線)「八木崎駅」下車、徒歩1分

    • 東武スカイツリーライン・アーバンパークライン「春日部駅」下車、徒歩約15〜20分、または野田線に乗り換えて1駅

  • 通学エリアの傾向

    学区は埼玉県全域(全県学区)のため、春日部市、越谷市、さいたま市をはじめ、県内の広範囲から生徒が通学しています。また、「隣接県協定」により、千葉県や茨城県の特定の地域からも受験・通学が可能です。そのため、多様な地域から高い志を持つ生徒が集まっているのが特長です。

春日部高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、春日部高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。

この学校は、「自ら目標を立てて、自由な環境で自分を試したい君」「勉強も、部活も、行事も、何一つ諦めずに全部全力で楽しみたい君」に特におすすめです。春日部高等学校での三年間は、受け身では何も得られません。しかし、自ら手を挙げ、挑戦する者にとっては、これ以上ないほど成長できる場所です。受験勉強では、内申点に大きく影響する中学3年生の授業一日一日を大切にしてください。そして、応用力が問われる学校選択問題に対応できるよう、基礎を固めた上で難易度の高い問題にも果敢に挑戦しましょう。君の挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。