神奈川県立柏陽高等学校は、県内トップクラスの学力を誇る進学校として、毎年多くの優秀な受験生が目標に掲げる憧れの高校です。しかし、その魅力は高い偏差値や大学進学実績だけにとどまりません。「授業の柏陽」というスローガンを掲げ、生徒の自主性を重んじる自由な校風の中で、勉強はもちろん、部活動や学校行事にも全力で打ち込む「文武両道」ならぬ「三兎を追う青春」が、ここにはあります。

この記事では、そんな柏陽高等学校が一体どんな学校なのか、中学生の皆さんと保護者の皆様が本当に知りたい情報を、口コミや最新データを交えながら、余すところなくお伝えしていきます。この記事を読めば、柏陽高校での3年間が、きっと具体的にイメージできるようになるはずです。

柏陽高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 神奈川県立柏陽高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒247-0004 神奈川県横浜市栄区柏陽1-1
代表電話番号 045-892-2105
公式サイトのURL https://www.pen-kanagawa.ed.jp/hakuyo-h/

柏陽高等学校の偏差値・難易度・併願校

柏陽高校の難易度を、具体的な数字で見ていきましょう。

偏差値・難易度

柏陽高等学校の偏差値は、受験情報サイトや模試の種類によって幅がありますが、おおむね70から72前後とされています。一部の塾では63や69といった数値も出ていますが、これは模試を受ける母集団の違いによるものです。いずれにせよ、神奈川県の公立高校の中では横浜翠嵐高校、湘南高校に次ぐトップ3に位置する最難関校であることに変わりはありません。

偏差値だけでなく、合格の目安となる内申点も非常に重要です。柏陽高校の合格者の平均内申点は135点満点中、126点から128点前後です。これは、中学2年生と3年生の9教科の成績で、ほとんど「5」を取る必要がある高いレベルです。

さらに、神奈川県の公立高校入試では、第1次選考において「学習の記録(内申点):学力検査:特色検査」の比率が定められています。柏陽高校の比率は「3:7:2」です。この比率が示すのは、内申点もさることながら、当日の学力検査の得点が合否に極めて大きな影響を与えるということです。特に、読解力や思考力が問われる「特色検査」は、他の受験生と差がつくポイントになります。高い内申点を確保して挑戦権を得て、当日の試験でいかに高得点を取るかが、柏陽高校合格への鍵となります。

同じくらいの偏差値の他の高校

  • 横浜翠嵐高等学校(普通科):偏差値 74-75

  • 湘南高等学校(普通科):偏差値 73-74

  • 横浜緑ケ丘高等学校(普通科):偏差値 68-71

  • 川和高等学校(普通科):偏差値 67-69

主な併願校

神奈川県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、柏陽高校を受験する生徒の多くは、滑り止めとして難関私立高校を併願します。主な併願先としては、以下のような高校が挙げられます。

  • 山手学院高等学校

  • 鎌倉学園高等学校

  • 中央大学附属横浜高等学校

  • 桐蔭学園高等学校

  • 法政大学第二高等学校

  • 日本大学藤沢高等学校

これらの高校は、柏陽高校受験生の学力層に合った進学実績や教育内容を持つため、併願先として人気が高い傾向にあります。

柏陽高等学校に設置されている学科・コース

柏陽高等学校に設置されている学科は、以下の通りです。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所なのか:国公立大学や難関私立大学への進学を目標に、高いレベルの学力を身につけるためのカリキュラムが組まれています。1・2年次では文系・理系の区別なく幅広い教養を学び、3年次でそれぞれの進路希望に応じた科目を選択し、専門性を深めていきます。

    • どんな生徒におすすめか:特定の分野だけでなく、幅広い学問に興味があり、自ら主体的に学習を進められる生徒、そして高いレベルの大学進学を目指す生徒に最適な学科です。

柏陽高等学校の特色・校風

キーワード:自由闊達、文武両道、グローバル、落ち着いた雰囲気、自主自律

柏陽高校の校風をひと言で表すなら、「自由と責任」に裏打ちされた「穏やかな知性」と言えるでしょう。生徒一人ひとりの自主性を尊重する文化が根付いています。

  • 宿題の量:

    口コミによると、毎日大量の宿題に追われるというよりは、授業の進度が速くレベルも高いため、予習・復習といった自主的な学習が不可欠、という声が多いようです。学校側が強制する学習よりも、生徒が自ら必要性を感じて勉強する雰囲気が強いのが特徴です。

  • 校則(スマホ、服装など):

    校則は比較的緩やかで、生徒の自主性に任されている部分が大きいようです。

    • スマホ:校内での使用について、厳しい規則で縛るというよりは、生徒がマナーを守って使用することが期待されています。公式な生徒心得には「自律の精神を持って高校生として相応しい身なりを心がけること」とあり、この精神が基本となっています。

    • 服装:制服はありますが、セーターやパーカーなどを組み合わせた自由な着こなしが認められており、生徒は思い思いにおしゃれを楽しんでいるようです。髪染めは原則禁止ですが、体育祭などの特別なイベントでは許可されることもあるなど、柔軟な運用がされているとの口コミもあります。ピアスやメイクも、比較的自由な雰囲気があるようです。

  • 生徒たちの雰囲気:

    「根は真面目だけど、明るくて面白い人が多い」「穏やかで優しい常識人ばかり」といった声が多数聞かれます。高い学力を持つ生徒が集まっていますが、お互いを尊重し合う平和な雰囲気があり、無用なプライドをぶつけ合うようなことは少ないようです。勉強するときは集中し、遊ぶときは全力で楽しむ、メリハリのついた生徒が多いのが魅力です。

  • アルバイト:

    校則で明確に禁止されているわけではないようですが、学業や部活動、学校行事が非常に忙しいため、実際にアルバリトをしている生徒は少ないと考えられます。

  • 制服の評判:

    男子は伝統的な黒の詰襟(学ラン)、女子はダブルのブレザーです。制服そのものが特別人気というよりは、着こなしの自由度が高いことが評価されているようです。

  • 土曜授業:

    毎週の土曜授業は実施されていません。ただし、希望者向けに「実力アップ講習」という進学講座が土曜日や長期休暇中に開講されており、多くの生徒が活用しています。

柏陽高等学校の部活動・イベント

部活動

柏陽高校では、約9割の生徒が部活動に加入しており、勉強や行事と両立させながら熱心に活動しています。運動部16、文化部16と、多種多様なクラブがあり、放課後の校内は活気に満ちています。

  • 特に有名な部活動:

    • 軽音楽部:関東甲信越地区の大会で準グランプリに輝き、全国大会に出場するなど、非常に高いレベルで活動しています。

    • ソフトテニス部:インターハイ(全国大会)への出場経験があり、強豪として知られています。

    • 理科部:ロボット製作や農作物の栽培、天体観測など、多岐にわたるユニークな活動を行っています。これは、かつて文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けていた伝統の表れでもあります。

    • 英語部:パーラメンタリーディベート(即興型英語ディベート)の大会で全国レベルの好成績を収めています。

  • 全体の様子:

    運動部、文化部ともに、関東大会や全国大会で活躍する部が複数あり、学校全体のレベルの高さを物語っています。ラグビー部のように長い歴史を持つ部もあれば、クイズ研究同好会のような新しい部もあり、生徒の興味関心に応える多様な選択肢が用意されています。

イベント

柏陽高校の学校生活を彩るのが、生徒が主体となって作り上げる数々のイベントです。特に「三大行事」と呼ばれる体育祭、文化祭、合唱祭は、学校全体が一体となって盛り上がります。

  • 体育祭:

    6月下旬から7月にかけて開催される、柏陽高校で最も熱いイベントの一つです。全校生徒が赤・青・黄・黒の4つの組に分かれ、総合優勝を目指します。各組には3年生の「色長」や「ダンス長」といったリーダーがおり、応援合戦やダンスパフォーマンスの準備を主導します。この期間だけは髪を染める生徒も多く、非日常的なお祭りムードに包まれます。

  • 柏陽祭(文化祭):

    9月に開催される文化祭は、地域の人々も訪れる一大イベントです。クラスごとの展示や演劇、有志団体によるステージパフォーマンス、文化部の発表など、多彩な企画でキャンパスが賑わいます。

  • 合唱祭:

    年度末の3月に行われるクラス対抗の合唱コンクールです。1年間の集大成としてクラスの団結力を高める、感動的な行事として知られています。

  • 修学旅行:

    2年次に実施され、近年では台湾などを訪れる海外修学旅行となっています。現地の高校生との交流などを通じて、異文化理解を深める貴重な機会です。

柏陽高等学校の進学実績

柏陽高校は、神奈川県内でも屈指の大学進学実績を誇ります。ほぼ全ての生徒が4年制大学への進学を希望し、現役進学率は例年80%から90%と非常に高い水準です。

2025年度 主要大学合格者数

最新の2025年度入試(2024年度卒業生)の主な大学の合格者数(既卒生含む)は以下の通りです。特に国公立大学への現役合格率の高さが、柏陽高校の大きな強みです。

大学分類 主な大学名 合格者数
国公立大学 東京大学 5
京都大学 2
東京科学大学(旧 東京工業大学) 10
一橋大学 6
東北大学 18
北海道大学 10
大阪大学 7
九州大学 1
横浜国立大学 47
国公立大学 合計 158
難関私立大学 早稲田大学 75
(早慶上理) 慶應義塾大学 63
上智大学 55
東京理科大学 88
難関私立大学 明治大学 218
(GMARCH) 青山学院大学 68
立教大学 72
中央大学 76
法政大学 90
学習院大学 29

※合格者数は延べ人数です。一人の生徒が複数の大学・学部に合格した場合、それぞれカウントされています。

進学実績を支える取り組み

高い進学実績の背景には、学校独自のきめ細やかなサポート体制があります。

  • 実力アップ講習:土曜日や夏休みなどの長期休暇中に、希望者向けの講習会が年間を通じて開講されます。基礎力の定着から応用力、実践力の育成まで、生徒のニーズに合わせた多様な講座が用意されています。

  • キャリアアップ講座:大学教授や各分野の専門家を講師として招き、科学、薬学、国際関係など、知的好奇心を刺激する講座を開講しています。これにより、生徒は早期から将来のキャリアを具体的に考えるきっかけを得ることができます。

  • 東大in柏陽 / 東工大in柏陽:東京大学や東京工業大学の先生や学生を学校に招き、模擬授業や交流会を行う特別なイベントです。最先端の研究に触れ、トップ大学の雰囲気を肌で感じることで、学習意欲を大いに高めます。

柏陽高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、柏陽高校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。

  1. 学力向上進学重点校としての先進的な教育

    神奈川県教育委員会から、大学進学指導の重点校として指定されています。これにより、独自のカリキュラム編成や教育活動が可能となり、生徒の進路希望実現に向けた質の高い教育が提供されています。

  2. 独自の探究学習プログラム「科学と文化」

    1・2年次に行われる必修の探究学習です。生徒は自ら課題を設定し、調査・研究を行い、最終的にはポスターセッション形式で発表します。この活動を通じて、大学での研究や社会で必要となる思考力、表現力、情報活用能力を実践的に養います。

  3. 「授業の柏陽」を象徴する65分授業

    一般的な50分授業より15分長い65分授業を採用しています。この時間を活用し、じっくりと考える活動や、生徒同士の対話、実験・演習などを豊富に取り入れ、知識の暗記にとどまらない「深い学び」を実現しています。

  4. 世界に目を向ける活発なグローバル教育

    海外修学旅行をはじめ、希望者向けにUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)やスタンフォード大学での海外研修プログラムなど、国際社会で活躍するための視野を広げる機会が豊富に用意されています。

  5. 生徒が主役となって創り上げる熱い学校行事

    体育祭や柏陽祭などの「三大行事」は、企画から運営まで生徒が中心となって行います。このプロセスを通じて、リーダーシップや協調性を育み、一生の思い出となる強烈な一体感を味わうことができます。

  6. 将来の夢を広げる充実した進路サポート

    大学や社会の第一線で活躍する専門家を招く「キャリアアップ講座」や、トップ大学の学生と交流する「東大in柏陽」など、生徒が自らの将来像を描くための多様なプログラムが充実しています。

  7. 互いに高め合える、知的で穏やかな仲間たち

    何よりも大きな魅力は、そこに集う生徒たちです。真面目で知的好奇心が旺盛、かつ他者を尊重できる穏やかな生徒が多く、お互いに刺激を受けながら成長できる最高の環境が整っています。

柏陽高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生、保護者からの声をまとめました。学校選びの参考にしてください。

良い点

  • 人間関係が最高:「とにかく周りの友達に恵まれた」「根が真面目で面白い人が多く、いじめなどの話は全く聞かない」など、生徒の質の高さを評価する声が圧倒的に多いです。穏やかで知的な仲間と過ごす3年間は、何物にも代えがたい財産のようです。

  • 行事が本当に楽しい:「体育祭や文化祭は、想像を絶する楽しさ」「生徒主体だからこそ、本気で取り組めるし、クラスの団結力が強まる」という声が多数あります。学校生活の一番の思い出として行事を挙げる卒業生は少なくありません。

  • 自由な校風:「校則が緩く、生徒が信頼されている感じがする」「服装も自由で、個性を尊重してくれる」など、自主性を重んじる校風が心地よいという意見が多いです。

  • 駅からのアクセスが良い:「本郷台駅から徒歩5分で坂もないので、通学がとても楽」という点は、毎日のことなので大きなメリットと感じている生徒が多いようです。

気になる点

  • 授業の質にばらつきがある:「『授業の柏陽』というスローガンに期待して入学したが、先生によって授業の分かりやすさや熱意にかなり差がある」という厳しい意見が散見されます。「結局は自分の努力や塾のおかげで進学した」と感じる生徒もいるようです。これは、学校が手取り足取り教えるのではなく、生徒の自主的な学びを促すスタイルであることの裏返しとも言えます。

  • 施設が古い:「校舎は歴史を感じる、正直言って古い」「トイレなど、もう少しきれいだと嬉しい」といった、施設の老朽化を指摘する声は少なくありません。

  • 良くも悪くも「自称進学校」?:一部の口コミでは、「学校のサポートというより、もともと優秀な生徒が集まっているから進学実績が良いだけ」といった、学校の取り組みに対する批判的な見方もあります。これは、学校への期待値が高いことの表れかもしれません。

アクセス・通学

柏陽高等学校へのアクセスは非常に便利です。

  • 最寄り駅:JR根岸線「本郷台」駅

  • 駅からのアクセス:徒歩約5分

駅からの道のりは平坦で、毎日の通学の負担が少ないのが大きな魅力です。所在地は横浜市栄区ですが、JR線でアクセスしやすいため、横浜市内の広範囲(戸塚区、港南区、磯子区など)や、鎌倉市、藤沢市、逗子市方面から通学している生徒も多いようです。

柏陽高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、柏陽高校を目指す君たちにメッセージを送ります。

柏陽高等学校は、「誰かにやらされる勉強」ではなく「自ら学びたい」という強い意欲を持つ君にこそ、最高の環境を提供してくれる学校です。高い目標を持つ仲間と切磋琢磨し、勉強も行事も部活も、すべてに全力で打ち込みたい。そんなエネルギッシュな高校生活を望むなら、柏陽高校は間違いなく素晴らしい選択肢となるでしょう。

受験勉強では、5教科の学力検査で高得点を取ることはもちろんですが、合否を分ける「特色検査」の対策に特に力を入れてください。長い英語の文章を速く正確に読み解く力、そして教科の枠を超えて知識を結びつけ、論理的に思考する力が問われます。過去問を繰り返し解き、時間配分を意識した実践的な練習を積み重ねることが不可欠です。高い壁ではありますが、乗り越えた先には、自由で、知的で、刺激に満ちた3年間が待っています。君の挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。