鹿児島県立楠隼高等学校は、2015年に開校した、全国でも珍しい県立の中高一貫・全寮制男子校です。 校名の「楠」は県の木、「隼」は鳥のハヤブサや小惑星探査機「はやぶさ」に由来し、未来へ大きく羽ばたいてほしいという願いが込められています。 この学校の最大の魅力は、なんといってもJAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携した独自の教育プログラム「シリーズ宇宙学」です。

宇宙という壮大なテーマを通して、科学的な探究心はもちろん、文系・理系を問わず幅広い視野と課題解決能力を養うことを目指しています。 全国の仲間たちと寮で共同生活を送りながら、互いに切磋琢磨し、人間的に大きく成長できる環境が楠隼高等学校にはあります。

この記事では、そんな楠隼高等学校の特色や偏差値、気になる寮生活や進学実績まで、受験生と保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく解説していきます。まだ見ぬ可能性に挑戦したい、唯一無二の高校生活を送りたいと考えている君にとって、きっと魅力的な選択肢の一つになるはずです。

楠隼高等学校の基本情報

楠隼高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 鹿児島県立楠隼高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校の別 男子校
所在地 〒893-1206 鹿児島県肝属郡肝付町前田5025
代表電話番号 0994-65-1192
公式サイトURL http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/nansyun/

なお、社会情勢の変化などを踏まえ、2026年度(令和8年度)の入学生から段階的に共学化し、自宅などからの通学も可能になる方針が示されています。 また、2029年度(令和11年度)からは、高校からの生徒募集を停止し、完全中高一貫校となる予定です。

楠隼高等学校の偏差値・難易度・併願校

楠隼高等学校は中高一貫校ですが、高校からも編入という形で若干名の募集があります。

楠隼高等学校の偏差値は、おおむね「65」前後とされています。これは鹿児島県内でも上位に位置し、しっかりとした学力が必要とされるレベルです。同じくらいの偏差値の高校としては、鹿児島市内にある甲南高等学校や鹿児島中央高等学校などが挙げられます。

高校からの入学者選抜は、国語・数学・英語の学力検査(各30分・各60点満点)と面接、そして調査書などを総合的に判断して選抜されます。 鹿児島県の公立高校入試は、原則として1校1学科しか出願できません。 そのため、楠隼高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、鹿児島市内の鹿児島高等学校や樟南高等学校、鹿屋市にある鹿屋中央高等学校などが考えられます。

楠隼高等学校に設置されている学科・コース

楠隼高等学校に設置されているのは「普通科」のみです。 しかし、この普通科の中には、楠隼高等学校ならではの特色ある教育プログラムが数多く含まれています。

  • 普通科: 難関大学への進学を目標とした質の高い授業が展開されます。 1年次は、中学からの内部進学生と高校からの入学生は別のクラスで学び、2年次から文系・理系に分かれて混合クラスとなります。 少人数指導や習熟度別授業を取り入れ、一人ひとりの理解度に合わせた丁寧な指導が行われるのが特徴です。 特に、JAXAと連携した「シリーズ宇宙学」は、この学校を象徴する学びであり、宇宙をテーマにした探究活動を通して、科学的思考力や課題解決能力を養います。 将来、理系の研究者を目指す生徒はもちろん、文系の生徒にとっても知的好奇心を刺激される魅力的なプログラムです。

楠隼高等学校の特色・校風

楠隼高等学校の校風は、「大志・叡智・至誠」という校訓に象徴されるように、高い志を持って知性を磨き、誠実な心で社会に貢献するリーダーの育成を目指すものです。 全寮制の男子校という環境が、生徒たちの自立心や協調性を育んでいます。

  • 校風・生徒の雰囲気: 全国から集まった意識の高い仲間たちと切磋琢磨できる環境です。生徒たちは真面目で落ち着いた雰囲気がありつつも、寮生活や学校行事では強い団結力を見せるようです。

  • 宿題・学習: 7時限授業に加え、朝課外や土曜講座、夜間の寮学習など、学習時間は豊富に確保されています。 宿題の量も多い傾向にあり、日々の予習・復習が欠かせません。寮には学習指導員が常駐し、生徒の学習をサポートする体制が整っています。

  • 校則: 校則は、集団生活の規律を保つために、ある程度厳しい面があるようです。特に、寮内へのスマートフォンなどの通信機器の持ち込みは禁止されています。 服装や頭髪に関する指導も行われることがあります。

  • アルバイト: 原則としてアルバイトは認められていないようです。学業と寮生活に専念することが求められます。

  • 制服: 制服はブレザータイプで、落ち着いたデザインが評判です。

  • 土曜授業: 土曜日には土曜講座が設定されており、学習時間の確保に充てられています。

楠隼高等学校の部活動・イベント

部活動

楠隼高等学校では、原則として全ての生徒が部活動に参加します。 文武両道を掲げ、限られた時間の中で集中して活動に取り組んでいます。

  • 運動部: サッカー部、バスケットボール部、硬式テニス部、陸上競技部、剣道部、弓道部など9つの部が活動しています。 強豪校と比べると実績面ではまだ発展途上ですが、仲間と共に汗を流す中で、心身ともに鍛えられています。

  • 文化部: 文化部で特にユニークなのが「宇宙部」です。 JAXAとの連携という地の利を活かし、天体観測やモデルロケットの製作など、宇宙に関する専門的な活動を行っています。そのほか、音楽部、囲碁・将棋部、ディベート部などがあり、知的好奇心を満たす多様な活動が展開されています。最近では、囲碁部が九州大会に出場するなど、目覚ましい活躍を見せています。

イベント

寮生活と連動した、楠隼高等学校ならではのユニークなイベントが数多く企画されています。

  • 楠隼祭(文化祭・体育祭): 6月に行われる文化祭では、各クラスや文化部が趣向を凝らした展示や発表を行います。 体育祭は、寮のブロック対抗で行われることもあり、非常に盛り上がるイベントの一つです。

  • 修学旅行: 楠隼高等学校では、修学旅行を「フロントランナー研修」と呼んでいます。 中学では九州大学訪問、高校では海外の大学や企業を訪問する研修など、将来の進路を考える上で貴重な体験ができるプログラムが組まれています。

  • 寮のイベント: 寮では、新入生を歓迎するオリエンテーションや、クリスマス会、おにぎり会といった、寮生同士の絆を深めるためのイベントが年間を通して行われています。

楠隼高等学校の進学実績

楠隼高等学校は、開校以来、着実に大学進学実績を伸ばしており、全国の難関大学へ卒業生を送り出しています。

  • 国公立大学: 2023年度の入試では、東京大学に1名が合格したほか、九州大学、北海道大学などの旧帝国大学や、広島大学、熊本大学、そして地元の鹿児島大学などに多数の合格者を出しています。 卒業生に対する国公立大学合格者の割合は非常に高く、県内でもトップクラスの実績を誇ります。

  • 難関私立大学: 私立大学では、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学といった難関大学に合格者を出しています。 また、GMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)や関西の有名私立大学にも多くの生徒が進学しています。

  • 進学サポート: 7時限授業や朝課外、土曜講座、寮での夜間学習など、豊富な学習時間が進学実績を支えています。 また、各界の第一線で活躍するリーダーを招いて講演会を行う「トップリーダー教室」や、国内外の大学や企業と連携した研修など、生徒の視野を広げ、高いレベルでの進路実現を後押しするプログラムが充実しています。

楠隼高等学校の特長・アピールポイント

楠隼高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • JAXAと連携した「シリーズ宇宙学」: 内之浦宇宙空間観測所に近いという立地を活かし、JAXAの職員や大学教員から直接指導を受けられる、他では体験できない独自の探究学習プログラムです。

  • 全国から仲間が集う全寮制: 親元を離れ、全国から集まった多様なバックグラウンドを持つ仲間と6年間(または3年間)生活を共にすることで、一生涯の友人を得るとともに、自立心や協調性が育まれます。

  • リーダー育成のための「トップリーダー教室」: 社会の様々な分野で活躍するリーダーを講師として招き、その生き方や考え方に触れることで、将来への視野を広げ、高い志を育みます。

  • 充実した学習サポート体制: 少人数指導や習熟度別授業に加え、寮には学習指導員が常駐しており、生徒一人ひとりの学習をきめ細かくサポートします。

  • グローバルな視野を養う海外研修: 高校では海外の大学や企業を訪問する研修が用意されており、国際感覚を養い、世界で活躍するための素地を築きます。

  • 豊かな自然環境: 学校が位置する肝付町は、豊かな自然に囲まれています。農業や漁業の民泊体験など、都会では味わえない貴重な体験を通して、人間性を育みます。

  • 「ことば探究」などの独自科目: 論理的思考力や表現力を鍛えるための独自科目「ことば探究」や、国際性を養う「中国語会話」など、特色あるカリキュラムが組まれています。

楠隼高等学校の口コミ・評判のまとめ

楠隼高等学校の在校生や卒業生からは、そのユニークな教育環境について様々な声が寄せられています。

  • 良い点:

    • 「JAXAと連携した宇宙学の授業は、他では絶対に体験できない貴重なもの」

    • 「全国から集まった仲間と寮生活を送ることで、一生の友達ができた」

    • 「先生方のサポートが手厚く、学習に集中できる環境が整っている」

    • 「寮生活を通して、自己管理能力やコミュニケーション能力が身についた」

    • 「トップリーダー教室など、将来を考えるきっかけになるプログラムが多い」

  • 気になる点:

    • 「全寮制で親元を離れるため、ホームシックになることがある」

    • 「校則が厳しく、特にスマホが使えないのは不便に感じることもある」

    • 「学習時間が長く、宿題も多いので、自分のペースで勉強したい人には少し窮屈かもしれない」

    • 「学校の周りにはお店などが少なく、少し不便な面もある」

    • 「部活動にそこまで力を入れたい人には、少し物足りないかもしれない」

アクセス・通学

楠隼高等学校は全寮制のため、一般的な「通学」とは異なりますが、学校へのアクセス方法や帰省時の交通手段について説明します。

  • 所在地: 鹿児島県肝属郡肝付町前田5025

  • 主なアクセス方法:

    • 飛行機を利用する場合: 最寄りの空港は鹿児島空港です。空港からは、鹿屋行きの連絡バスに乗車し、鹿屋バス停で乗り換えるルートが一般的です。空港から学校までは車で約85分かかります。

    • 新幹線・電車を利用する場合: JR鹿児島中央駅が拠点となります。そこから学校までは公共交通機関を乗り継ぐか、レンタカーを利用することになります。車での所要時間は約90分です。

    • 最寄りのバス停: 「西上ノ原」または「高山高校前」バス停から徒歩約4分です。

生徒は鹿児島県内だけでなく、九州各県、さらには関東や関西など、全国各地から集まっています。 長期休暇の際には、これらの交通機関を利用して帰省します。

楠隼高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

楠隼高等学校を目指す君へ。この学校は、ただ学力が高ければ良いというわけではありません。JAXAとの連携プログラムや全寮制という特殊な環境に魅力を感じ、「ここでしかできない学びを追求したい」「全国の仲間と切磋琢磨しながら人間的に成長したい」という強い意志を持つ生徒を求めています。

楠隼高等学校は、知的好奇心が旺盛で、自ら課題を見つけて探究していくことが好きな君に特におすすめです。また、親元を離れて自立した生活を送りたい、集団生活の中で協調性を学びたいと考えている君にとっても、最高の環境が待っています。受験勉強においては、基礎学力を徹底することはもちろんですが、面接で「なぜ楠隼で学びたいのか」「寮生活で何を成し遂げたいのか」を自分の言葉で熱く語れるように、自己分析を深めておくことが合格への鍵となるでしょう。未来のリーダーを目指す君の挑戦を、心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。