熊本県立第一高等学校は、熊本城の美しい石垣に囲まれた特別な場所に立つ、120年以上の歴史を誇る伝統校です。明治36年に高等女学校として開校して以来、多くの卒業生を社会に送り出してきました。その歴史の中で育まれた「白梅の精神」は、知性や品格を重んじる校風として今もなお受け継がれています。

この学校の大きな魅力は、高いレベルの学習環境と、全国大会で活躍するような活発な部活動が見事に両立している点です。生徒たちは日々の勉強に真剣に取り組む一方で、部活動や学校行事にも情熱を注ぎ、充実した高校生活を送っています。熊本県立第一高等学校は、まさに「文武両道」を体現できる場所と言えるでしょう。

高校選びは、これからの自分を形作る大切な一歩です。このページでは、第一高校が持つ独自の魅力や、実際の学校生活の様子を、偏差値から在校生のリアルな声まで、さまざまな角度から詳しくご紹介します。あなたにとって、第一高校が本当に「行きたい」と思える場所なのか、一緒に見ていきましょう。

熊本県立第一高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 熊本県立第一高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男女の別 男女共学
所在地 〒860-0003 熊本県熊本市中央区古城町3-1
代表電話番号 096-354-4933
公式サイトURL https://sh.higo.ed.jp/dai1sh/

熊本県立第一高等学校の偏差値・難易度・併願校

熊本県立第一高等学校への合格を目指す上で、偏差値や難易度を具体的に把握しておくことはとても重要です。

学科ごとの最新の偏差値の目安は以下の通りです。

  • 普通科: 65

  • 普通科英語コース: 66

この偏差値は、熊本県内の公立高校の中でもトップクラスに位置します。同じくらいの偏差値の高校としては、熊本北高校(普通科・理数科 偏差値65)などが挙げられます。県内でも屈指の進学校であり、合格するには高い学力が求められることが分かります。

合格に必要な内申点の目安としては、45点満点中でおおむね38点以上が一つの基準となるようです。もちろんこれはあくまで目安ですが、合格した先輩たちのデータを見ると、中学3年生の時点で40点前後の内申点を確保しているケースが多く見られます。これは、受験本番の学力だけでなく、中学校での日々の授業態度や提出物など、コツコツとした努力の積み重ねが非常に大切であることを示しています。

熊本県立第一高等学校を第一志望とする受験生の多くは、併願校として私立高校を受験します。主な併願校としては、九州学院高校、熊本マリスト学園高校、真和高校、熊本学園大学付属高校といった、大学進学に力を入れている私立高校が選ばれる傾向にあります。これらの高校を併願校として視野に入れ、万全の態勢で受験に臨むことが一般的です。

熊本県立第一高等学校に設置されている学科・コース

熊本県立第一高等学校には、生徒一人ひとりの興味や進路希望に応えるための2つのコースが設置されています。

  • 普通科

    • 国語、数学、理科、社会、英語といった主要教科をバランス良く学び、幅広い大学受験に対応できる学力を養成するコースです。2年生からは文系・理系に分かれ、それぞれの進路希望に合わせた専門的な学習を深めていきます。将来の夢がまだ具体的に決まっていない人や、文系・理系どちらの可能性も残しておきたい人におすすめです。

  • 普通科英語コース

    • 英語や国際関係に強い関心を持つ生徒のための専門コースです。通常の授業に加え、「異文化理解」といった独自の科目や、2泊3日で英語漬けの生活を送る「イングリッシュキャンプ」など、特色あるプログラムが用意されています。将来、語学力を活かした仕事に就きたい人や、海外の大学への進学を考えている人に最適です。ただし、このコースは文系進学を前提としているため、2年次以降に理系を選択することはできない点に注意が必要です。

熊本県立第一高等学校の特色・校風

第一高校の雰囲気を知る上で、いくつかのキーワードが挙げられます。それは「伝統と革新」「文武両道」「質実剛健」そして「凜とした雰囲気」です。120年以上の歴史が育んだ落ち着きと品格がありながら、常に高い目標を目指して生徒と教師が一体となって努力する、活気のある学校です。

ここでは、中学生の皆さんが特に気になる学校生活のリアルなポイントを、口コミや評判を基にご紹介します。

  • 宿題の量は多いか少ないか

    • 「多い」という声が圧倒的です。特に平日は、毎日の予習・復習に加えて多くの課題が出されるため、「部活動と両立していると寝る時間も惜しい」と感じる生徒もいるようです。これは、高い進学実績を維持するための学校の熱心な指導の表れとも言えますが、入学後は計画的に学習を進める習慣が不可欠です。

  • 校則は厳しいか緩やかか

    • 全体的に「厳しい」と捉えられているようです。特にスマートフォンの使用は厳しく、原則として校内での使用は禁止されています(先生の許可があった場合を除く)。服装に関しても、制服の着こなしには細かい規定があり、きちんと着ることが求められます。特に女子生徒の校則については、元々が女子校だった歴史からか、やや厳しいと感じる声も聞かれます。

  • 生徒たちの雰囲気

    • 真面目で落ち着いた生徒が多いようです。「友好的な人が多く、勉強とそれ以外のけじめがしっかりついている」という評判があります。高い目標を持つ仲間たちと切磋琢磨できる環境である一方、一部では「勉強ができることを鼻にかけるような雰囲気がある」と感じる人もいるようです。しかし、多くの生徒が良い友人関係を築き、卒業後も続く大切な仲間を見つけています。

  • アルバイトは可能か

    • 原則として禁止されています。学業と部活動に専念することが第一と考えられています。

  • 制服の評判はどうか

    • 特に女子の夏服(長袖のセーラー服)は、学校のシンボルとして非常に有名で、歴史と伝統を感じさせるデザインが人気です。男子は一般的な黒の詰襟学生服で、胸ポケットの白い一本線が特徴です。

  • 土曜授業はあるか

    • はい、あります。月に1回程度、年間で9回、土曜日に4時間の授業が実施されています。

熊本県立第一高等学校の部活動・イベント

部活動

第一高校は「文武両道」を掲げており、部活動が非常に盛んです。多くの部が県内トップレベルの実績を誇り、全国大会で活躍する部も少なくありません。運動部、文化部ともに充実しており、自分に合った活動を見つけることができるでしょう。

特に有名な部活動をいくつかご紹介します。

  • 音楽部(合唱)

    • 全国的にその名を知られる強豪です。全日本合唱コンクール全国大会の常連であり、過去には何度も金賞を受賞しています。美しいハーモニーは学校の誇りであり、多くの生徒が憧れを抱いています。

  • 放送部

    • こちらも全国レベルの実力を持つ部です。NHK杯全国高校放送コンテストで優勝経験のある部員を輩出するなど、アナウンスや番組制作の分野で高い評価を得ています。学校行事の運営はもちろん、県主催のイベントで司会を務めることもあります。

  • ウエイトリフティング部

    • 高校から競技を始める生徒がほとんどでありながら、毎年全国大会に出場する選手を育て上げるなど、指導力に定評があります。努力次第で全国の舞台を目指せる、夢のある部です。

  • なぎなた部

    • 古武道であるなぎなたに打ち込む、珍しい部活動の一つです。精神を鍛え、礼儀作法を身につけながら、県大会優勝やインターハイ出場といった高い目標を掲げて活動しています。

この他にも、ユニークな活動を行う「白梅太鼓部」や、文化の継承を目指す茶道部、華道部など、多種多様な部・同好会が存在します。

イベント

第一高校の学校生活は、勉強や部活動だけでなく、多彩なイベントによって彩られます。生徒が主体となって作り上げる行事は、クラスの団結力を高め、かけがえのない思い出となります。

  • 一高祭(いっこうさい)

    • 学校最大のイベントで、体育部門と文化部門に分かれています。5月に行われる「体育部門」は、いわゆる体育祭です。団対抗のリレーや応援合戦は大変な盛り上がりを見せます。9月に行われる「文化部門」は文化祭にあたり、文化部のステージ発表やクラスごとの展示、有志によるパフォーマンスなどで賑わいます。

  • 合唱コンクール

    • 3月に行われる、第一高校の特色ある伝統行事です。クラスごとに課題曲と自由曲を練習し、その成果を競い合います。高校の行事としては珍しく、非常にレベルの高い歌声がホールに響き渡り、毎年大きな感動を呼びます。

  • クラスマッチ

    • 7月に行われるクラス対抗の球技大会です。男子はサッカーやバレーボール、女子はバレーボールやキックベースなどの種目で汗を流し、学年の垣根を越えて交流を深めます。

  • 修学旅行

    • 高校生活の大きな楽しみの一つです。行き先は年によって異なりますが、仲間と共に過ごす数日間は、見聞を広め、友情を深める貴重な機会となります。コロナ禍を経て、現在は通常通り実施されています。

熊本県立第一高等学校の進学実績

熊本県立第一高等学校は、県内有数の進学校として、毎年優れた大学進学実績を挙げています。卒業生の約85%が大学へ進学しており、生徒一人ひとりの夢を実現するための手厚いサポート体制が整っています。

近年の主な大学合格実績は以下の通りです。(人数は既卒生を含まない現役合格者数を中心に記載)

  • 国公立大学

    • 地元の熊本大学へは毎年50名前後、熊本県立大学へは60名前後と、非常に多くの合格者を輩出しているのが最大の強みです。これは、第一高校の教育が地元の難関大学の入試に非常に強いことを示しています。

    • その他、九州大学へも毎年5名以上が合格しているほか、大阪大学、神戸大学といった全国の難関大学にも合格者を出しています。2023年度の国公立大学合格者総数は213名にのぼります。

  • 難関私立大学

    • 関東の早稲田大学、慶應義塾大学、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)や、関西の関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)といった全国の有名私立大学にも、多数の合格実績があります。

  • その他の進路

    • 大学進学だけでなく、国立病院機構熊本医療センター附属看護学校などの看護・医療系専門学校へ進む生徒も毎年十数名います。公務員や民間企業への就職を選ぶ生徒も少数ながらいます。

こうした高い進学実績を支えているのが、充実した学習サポート体制です。1・2年生対象の「一高ゼミ」と呼ばれる朝課外や、3年生になると始まる夕課外、夏休みや冬休み中の集中セミナーなどを通して、応用力や実践力を徹底的に鍛えます。

熊本県立第一高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、第一高校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。

  • 熊本城の敷地内という歴史と風格のある学習環境

    • 国の特別史跡である熊本城の旧敷地内に校舎があり、教室の窓から天守閣を望むことができます。他では得られない、歴史と文化に囲まれた環境で3年間を過ごせます。

  • 「白梅の精神」に根差した品格を重んじる教育

    • 「叡知・自律・高潔・品格」を掲げる「白梅の精神」が、120年以上にわたって教育の根幹にあります。学力だけでなく、人間性や教養を育むことを大切にしています。

  • 全国レベルで活躍する多彩な部活動

    • 音楽部(合唱)や放送部、ウエイトリフティング部など、全国の頂点を目指せる部活動が複数存在します。高いレベルで文武両道を実践したい生徒にとって、最高の環境です。

  • 本格的な英語力と国際感覚を養う英語コース

    • 「イングリッシュキャンプ」や独自の専門科目を通じて、世界で通用する英語力を身につけることができます。グローバルな舞台で活躍したいという夢を力強く後押しします。

  • 熊本大学をはじめとする地元国公立大学への圧倒的な進学実績

    • 熊本大学と熊本県立大学だけで毎年100名以上の合格者を出すなど、地元の難関大学を目指す受験生にとって最も確かな選択肢の一つです。

  • 伝統を象徴する、品格ある制服

    • 特に女子のセーラー服は、昭和初期から続く伝統的なデザインで、学校の歴史と品位を象徴するものとして、生徒たちの誇りとなっています。

  • クラスが一つになる「合唱コンクール」という独自の学校行事

    • 高校では珍しい本格的な合唱コンクールは、第一高校の伝統行事です。クラス全員で一つの目標に向かって努力する経験は、一生の思い出になります。

熊本県立第一高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点

    • 「一生付き合える友達ができた」「卒業後も高校の仲間と集まるのが楽しい」といった、固い絆で結ばれた友人関係を築けたという声が非常に多く聞かれます。厳しい学校生活を共に乗り越えた仲間との友情は、特別なものになるようです。

    • 「先生方がとても親切で、放課後も熱心に質問対応をしてくれる」など、手厚い学習サポートを評価する声も多いです。

    • 「熊本市の中心部にあり、交通の便が最高に良い」「学校帰りに友達と遊ぶ場所にも困らない」など、その恵まれた立地をメリットとして挙げる生徒が多数います。

    • 「朝課外などは大変だったけれど、今となっては良い経験だった」と、厳しい環境が自分を成長させてくれたと肯定的に振り返る卒業生もいます。

  • 気になる点

    • 最も多く聞かれるのが、学習面の厳しさです。「典型的な自称進学校で、課題の量がとにかく多い」「朝から夕方まで学校に拘束される感覚がある」といった、学業の負担の大きさを指摘する声が目立ちます。

    • 「校則が時代に合っておらず、特にスマホに関するルールが厳しすぎる」「女子の服装規定が細かい」など、校則に対する不満の声も少なくありません。

    • 「精神的にも体力的にも強くないと、やっていけないかもしれない」と、高いレベルの自己管理能力と忍耐力が求められる環境であることを示唆する意見もあります。

    • 「文化祭は他の高校と比べると少し地味かもしれない」という声もあり、学業優先の雰囲気からか、行事の自由度はやや低いと感じる生徒もいるようです。

アクセス・通学

熊本県立第一高等学校は、熊本市の中心部に位置しており、公共交通機関でのアクセスが非常に便利です。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • 熊本市電:「洗馬橋」電停から徒歩約3分

    • バス:「桜町バスターミナル」から徒歩約5分

  • 通学エリア

    • 通学区は「県央学区」に指定されており、熊本市、合志市、宇土市、宇城市、上益城郡、下益城郡などのエリアから通う生徒が中心です。しかし、県内最大の交通拠点である桜町バスターミナルから近いため、実際には県内の非常に広い範囲から生徒が集まっており、多様な出身中学校の生徒と交流できるのも魅力の一つです。

    • なお、普通科英語コースについては通学区域が「県下全域」となっており、熊本県内どこからでも受験・通学が可能です。

熊本県立第一高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

熊本県立第一高等学校を目指して頑張っている皆さん、こんにちは。進学アドバイザーとして、最後に皆さんへ応援メッセージを送ります。

第一高校は、「高い目標に向かって、真剣に勉強も部活も頑張りたい」と考える君にぴったりの学校です。少し厳しいくらいの環境に身を置き、自分を律しながら成長したい、そして同じ志を持つ仲間と切磋琢磨したい、そんな強い意志を持つ生徒が輝ける場所です。

熊本県立第一高等学校の合格を勝ち取るためには、まず中学校の基礎内容を完璧に固めることが何よりも大切です。そして、内申点も非常に重視されるため、日々の授業や提出物を大切にする習慣を今からつけておきましょう。英語コースを目指すなら、単語力や英作文の力をさらに磨いておくと、大きな強みになります。受験勉強は大変ですが、その努力は必ず未来の自分を助けてくれます。夢に向かって、最後まで走り抜けてください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。