熊本県人吉市に佇む球磨工業高等学校は、ものづくりのプロフェッショナルを目指す生徒たちが集う、活気あふれる学び舎です。1963年の創立以来、地域社会や日本の産業界を支える多くの優れた技術者を育成してきました。長い歴史の中で、卒業生は1万人を超え、全国各地の様々な分野で活躍しています。

球磨工業高等学校では、機械科、電気科、建築科、建設工学科という4つの専門学科が設置されており、それぞれの分野で基礎から応用まで、体系的かつ実践的に学ぶことができます。特に、全国でも珍しい「伝統建築コース」を有する建築科は、宮大工などの伝統技術を継承する人材育成の拠点として、球磨工業高等学校の大きな魅力の一つとなっています。

この記事では、そんな球磨工業高等学校の偏差値や気になる口コミ、学校生活の様子などを、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。ものづくりに興味がある、専門的な技術を身につけたい、そんなあなたにぴったりの情報がきっと見つかるはずです。

球磨工業高等学校の基本情報

球磨工業高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 熊本県立球磨工業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒868-8515 熊本県人吉市城本町800
代表電話番号 0966-22-4189
公式サイトURL https://sh.higo.ed.jp/kumakogyo/

球磨工業高等学校の偏差値・難易度・併願校

球磨工業高等学校への進学を考える上で、偏差値や難易度は重要なポイントです。ここでは、学科ごとの偏差値の目安や、同じくらいの難易度の高校、そして併願校について解説します。

学科・コースごとの偏差値は以下の通りです。

  • 機械科: 38

  • 電気科: 38

  • 建築科建築コース: 38

  • 建築科伝統建築コース: 37

  • 建設工学科: –

偏差値37〜38は、熊本県内の高校の中では比較的入学しやすいレベルと言えます。同じくらいの偏差値の公立高校としては、上天草高等学校や菊池農業高等学校などがあります。合格に必要な内申点の目安としては、中学校での成績が5段階評価で平均3程度あると安心できるでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、当日の試験の得点も重要になります。

熊本県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、球磨工業高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、同じ人吉市内にある人吉高等学校や、工業系の学科を持つ開新高等学校、秀岳館高等学校などが考えられます。

球磨工業高等学校に設置されている学科・コース

球磨工業高等学校には、専門性の高い4つの学科と、建築科の中に2つのコースが設置されています。それぞれの学科でどんなことが学べるのか、どんな人におすすめなのかを見ていきましょう。

  • 機械科

    • どんなことを学ぶ場所か: ものづくりの基本となる機械の設計、製作、制御など、幅広い知識と技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか: ロボットや自動車など、動くものに興味がある人や、自分の手で何かを作り出すのが好きな人におすすめです。

  • 電気科

    • どんなことを学ぶ場所か: 私たちの生活に欠かせない電気エネルギーの発生から利用までを学び、電気工事や電子制御の技術を習得します。

    • どんな生徒におすすめか: コンピュータや電気製品の仕組みに興味がある人や、社会を支えるインフラに関わる仕事がしたい人に向いています。

  • 建築科(建築コース)

    • どんなことを学ぶ場所か: 住宅やビルの設計、施工、管理など、快適で安全な建物をつくるための知識と技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか: 家やインテリアのデザインに興味がある人や、地図に残るような大きな仕事をしてみたい人におすすめです。

  • 建築科(伝統建築コース)

    • どんなことを学ぶ場所か: 神社仏閣などの伝統的な木造建築の技術や文化を学び、宮大工などの専門家を目指します。全国でも数少ない貴重なコースです。

    • どんな生徒におすすめか: 日本の伝統文化や歴史的建造物が好きな人や、繊細な手仕事で後世に残るものづくりをしたい人に最適です。

  • 建設工学科

    • どんなことを学ぶ場所か: 道路や橋、ダムなど、社会基盤(インフラ)をつくるための測量、設計、施工技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか: 地図や地形に興味がある人や、人々の暮らしを豊かにするダイナミックな仕事に魅力を感じる人におすすめです。

球磨工業高等学校の特色・校風

球磨工業高等学校は、「ものづくり教育」と「地域貢献」を大きな柱としており、実践的な学びを通して社会で活躍できる人材を育成することを目指しています。

校風は「剛健誠実・自主自律・好学敬愛」という綱領のもと、真面目で落ち着いた雰囲気があるようです。生徒たちは、それぞれの専門分野の学習に熱心に取り組んでいます。

  • 宿題の量: 専門教科の実習や課題が多く、決して少なくはないようですが、計画的に取り組めばこなせる量だという声が多いです。

  • 校則: 他の高校と比較すると、頭髪や服装に関する指導はやや厳しいという意見が見られます。しかし、これは社会人としての規律を身につけるための指導の一環と捉えることもできます。スマートフォンの校内での使用については、一定のルールが定められているようです。

  • 生徒たちの雰囲気: ものづくりが好きという共通点を持った生徒が多く、真面目で探究心旺盛な生徒が多い傾向があります。クラスや学科内での仲間意識が強く、協力して課題に取り組む雰囲気があるようです。

  • アルバイト: 原則として許可されていませんが、家庭の事情など特別な理由がある場合は、学校に申請し許可を得ることで可能になる場合があります。

  • 制服: 男子生徒は伝統的な黒の学ラン、女子生徒はブレザーです。特にデザインについての目立った評判はありませんが、清潔感があり、工業高校らしい質実剛健な印象を与えます。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

球磨工業高等学校の部活動・イベント

部活動

球磨工業高等学校は部活動も盛んで、多くの生徒が文武両道を目指して活動に励んでいます。

特にカヌー部や弓道部は全国レベルの実績を誇り、インターハイや国民体育大会の常連校として知られています。また、工業高校ならではの「ものづくり部」や、各種ロボット競技大会で活躍する部活動もあり、専門知識を活かして全国の舞台で競い合っています。運動部、文化部ともに充実しており、生徒たちは自分の興味や目標に合わせて活動を選択することができます。

イベント

球磨工業高等学校では、生徒たちの学校生活を彩る様々なイベントが年間を通して開催されます。

  • 球磨工フェスタ(文化祭): 毎年秋に開催される文化祭は、最大のイベントの一つです。各学科の特色を活かした作品展示や実演、研究発表が行われ、日頃の学習の成果を披露する貴重な機会となっています。また、クラスごとのステージ発表や模擬店、有志によるパフォーマンスなどもあり、学校全体が大きな熱気に包まれます。

  • 体育祭: 全校生徒が一体となって盛り上がるイベントです。学科対抗のリレーなど、工業高校ならではの競技もあり、クラスや学科の団結力が試されます。

  • 修学旅行: 近年では、関東方面や関西方面を訪れることが多いようです。仲間との絆を深め、見聞を広める貴重な体験となります。

球磨工業高等学校の進学実績

球磨工業高等学校の卒業生は、専門的な知識と技術を活かして、多様な進路に進んでいます。就職と進学の割合は、例年、就職が圧倒的に多いのが特徴です。

就職に関しては、県内トップレベルの求人数を誇り、大手企業や地元の優良企業から多くの求人が寄せられます。製造業、建設業、電力会社など、学校で学んだ専門性を直接活かせる企業への就職が目立ちます。

進学については、工業系の大学や専門学校への進学者が多い傾向にあります。主な進学先としては、第一工科大学、京都美術工芸大学、京都芸術大学、東京農業大学などが挙げられます。また、さらに専門性を高めるために、校内に設置されている「伝統建築専攻科」へ進学する生徒もいます。

学校としても、進路指導に力を入れており、生徒一人ひとりの希望や適性に応じたきめ細やかなサポートを行っています。

球磨工業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、球磨工業高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 全国でも珍しい「伝統建築コース」の設置: 宮大工を目指せる専門コースがあり、日本の伝統技術を継承する貴重な学びの場となっています。

  • 充実した実習設備と実践的なカリキュラム: 各学科に専門的な実習設備が整っており、即戦力となる技術を身につけることができます。

  • 高い就職率と手厚い進路サポート: 地元企業との強固な連携により、毎年多くの求人が寄せられ、安定した就職実績を誇ります。

  • 資格取得への強力なバックアップ: 技能検定や各種国家資格など、将来に役立つ資格取得を学校全体でサポートしています。

  • 地域社会と連携したプロジェクト: 地域の課題解決や活性化に貢献する体験的な学習活動を積極的に行っています。

  • 全国レベルで活躍する部活動: カヌー部や弓道部、ものづくり系の部活動など、全国の舞台で活躍する部活動が多数あります。

  • 卒業後の進路「伝統建築専攻科」: 高校卒業後、さらに2年間専門技術を磨くことができる専攻科が校内に設置されています。

球磨工業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からの声をまとめました。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点:

    • 「専門的な知識や技術が身につき、将来の夢に直結する学びができる」

    • 「資格がたくさん取れるので、就職にとても有利だと感じた」

    • 「先生方が親身になって指導してくれ、進路相談にも熱心に乗ってくれる」

    • 「同じ目標を持つ仲間が多く、お互いに高め合える環境がある」

    • 「就職率が非常に高く、大手企業への道も開かれている」

  • 気になる点:

    • 「校則が少し厳しいと感じることがある(特に頭髪検査など)」

    • 「専門教科の勉強は難しく、予習・復習が欠かせない」

    • 「駅から少し距離があるため、アクセスが不便に感じる人もいるかもしれない」

    • 「工業高校なので、男子生徒の割合が高い」

アクセス・通学

球磨工業高等学校へのアクセス方法です。

  • 最寄り駅:

    • くま川鉄道湯前線 「人吉温泉駅」から徒歩約20分

    • JR肥薩線 「人吉駅」から徒歩約21分

  • バス:

    • 産交バス 「上瓦屋町」バス停から徒歩約10分

人吉市や球磨郡内から通学する生徒が中心ですが、専門的な学びを求めて郡外から通う生徒もいます。2020年の豪雨災害の影響でJR肥薩線の一部区間が不通となっており、くま川鉄道も代替バス輸送区間があるため、通学の際は最新の運行情報を確認することが重要です。

球磨工業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

球磨工業高等学校を目指す皆さんへ、進学アドバイザーとしてメッセージを送ります。

この学校は、「ものづくりが好き」という気持ちを、将来の仕事に繋げたいと本気で考えている君にこそ、おすすめしたい学校です。球磨工業高等学校には、君の探究心を満たしてくれる専門的な学びと、夢中になれる環境が整っています。特に、日本の伝統建築に興味があるなら、全国でも数少ない「伝統建築コース」は、他では得られない貴重な経験を約束してくれるでしょう。

受験勉強においては、まず中学校の5教科、特に数学と理科の基礎をしっかりと固めることが大切です。工業の専門分野は、これらの教科の知識が土台となります。また、面接では「なぜ球磨工業で学びたいのか」「将来どんな技術者になりたいのか」を自分の言葉で熱意をもって伝えられるように準備しておきましょう。君の「好き」を「技術」に変える3年間が、ここから始まります。応援しています!


※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。