甲府第一高等学校は、140年以上の輝かしい歴史を誇る山梨県で最も伝統のある高等学校です。高校選びは、皆さんのこれからの3年間、そしてその先の未来を考える上で非常に大切な一歩です。数ある高校の中で、「自分に合った学校はどこだろう?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな皆さんのために、甲府第一高等学校が持つ「伝統」と、未来を切り拓く「革新」という二つの顔を、深く、そして分かりやすく解き明かしていきます。歴史に裏打ちされた風格と、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出す先進的な教育。この独特な環境が、あなたにとって最高の学びの場となるのか。先輩たちのリアルな声も交えながら、甲府一高の魅力を余すところなくお伝えしますので、ぜひ最後まで読み進めて、あなたの高校選びの参考にしてください。
甲府第一高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。進路を考える上で、所在地や連絡先は大切な情報です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 山梨県立甲府第一高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒400-0007 山梨県甲府市美咲二丁目13番44号 |
代表電話番号 | 055-253-3525 |
公式サイトURL | http://www.first.kai.ed.jp/ |
甲府第一高等学校の偏差値・難易度・併願校
甲府第一高等学校の受験を考える上で、最も気になるのが学力的な難易度でしょう。ここでは、学科ごとの偏差値や合格の目安、そして多くの受験生が併願する私立高校について詳しく解説します。
甲府一高には「普通科」と「探究科」という二つの科があり、それぞれで求められる学力レベルが大きく異なるのが最大の特徴です。この点を理解することが、志望校決定の第一歩となります。
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探究科:偏差値 64~68
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普通科:偏差値 57
(※偏差値は複数の情報源を総合的に判断した目安です。)
探究科は、県内でもトップクラスの難易度を誇ります。偏差値60台後半は、甲府南高校(理数科)や甲府東高校(理数コース)といった県内の最難関校と肩を並べるレベルです。合格のためには、入試本番で5教科合計430点以上、できれば450点を目指す高い学力が求められます。これは1教科あたり平均90点という非常に高いハードルであり、苦手科目を作らず、全教科で高得点を取ることが不可欠です。内申点(5段階評価)の目安としては、中学3年生の成績で45点満点中42程度が必要とされています。
一方、普通科の偏差値は57前後で、こちらも県内上位の進学校に位置づけられます。同じくらいの偏差値の高校としては、甲府東高校(普通科)や吉田高校(普通科)などが挙げられます。合格の目安となる点数は、入試本番で5教科合計350点以上、安定して合格を目指すなら375点以上を取れるように準備を進めると良いでしょう。内申点の目安は、45点満点中35程度とされています。
このように、同じ甲府第一高等学校の中でも、探究科と普通科では求められる学力に大きな差があります。これは、入学後の授業内容や目指す進路の違いを反映したものであり、自分がどちらの環境で学びたいのかを明確にしておくことが重要です。
山梨県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、併願校は私立高校から選ぶことになります。甲府一高の受験生が主に併願する私立高校は以下の通りです。
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主な併願校(男女共通):駿台甲府高等学校、山梨学院高等学校、東海大学付属甲府高等学校
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女子の併願校例:山梨英和高等学校
特に探究科を目指す受験生は、駿台甲府のコア・スーパーコースや山梨学院の特進P系列など、難易度の高いコースを併願する傾向があります。普通科を目指す受験生は、山梨学院の特進A系列や東海大甲府の特進アドバンスコースなどを併願校として選ぶことが多いようです。
甲府第一高等学校に設置されている学科・コース
甲府第一高等学校には、それぞれ特色の異なる2つの科が設置されています。自分の興味や将来の目標に合わせて選ぶことが大切です。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:1年次に共通の科目を履修し、基礎学力を固めます。2年次からは文系・理系に分かれ、自分の進路希望に合わせた科目を選択し、幅広い大学受験に対応できる応用力を養います。
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どんな生徒におすすめか:国公立大学や私立大学など、幅広い進路を視野に入れながら、まずはじっくりと基礎学力を高めたい生徒におすすめです。
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探究科
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どんなことを学ぶ場所か:文部科学省の事業指定も受けた、専門性の高い学科です。国際的な視野と論理的思考力を持ち、地域や社会に貢献できるリーダーの育成を目指します。グループワークや実地調査、発表などを通じて、自ら課題を見つけて解決する「探究活動」に多くの時間を費やします。
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どんな生徒におすすめか:決まった答えのない問題に挑戦したい、教科書の枠を超えた深い学びをしたい、将来は難関大学や海外も視野に入れて活躍したい、という強い意欲を持つ生徒におすすめです。
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甲府第一高等学校の特色・校風
甲府一高の雰囲気は、いくつかのキーワードで表現できます。「伝統と革新」「文武両道」「自主自律」。これらは単なるスローガンではなく、学校生活の隅々にまで浸透している文化です。
学校全体の雰囲気は、歴史ある進学校としての落ち着きと、生徒たちの活気が共存しています。伝統を重んじる一方で、探究科のような新しい取り組みにも積極的で、生徒の主体性を尊重する校風があります。
中学生の皆さんが特に気になるであろう、具体的な学校生活の様子を口コミなどから見ていきましょう。
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宿題の量:口コミでは「課題が多く、勉強に対するプレッシャーは大きい」という声が見られます。進学校であるため、日々の予習・復習や課題への取り組みは必須であり、学習量は多いと覚悟しておくと良いでしょう。
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校則:「校則は少し厳しい」と感じる生徒が多いようです。特にスマートフォンの使用には明確なルールがあり、校舎内では電源を切り、カバンにしまっておくのが原則です。使用が許可されているのは、校舎外と校舎内の指定された場所(3階コモンスペース)のみで、違反した場合は預かり指導の対象となります。服装に関しても、伝統校らしく、きちんとした着こなしが求められる場面が多いようです。
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生徒たちの雰囲気:「人間関係という面ではとても良好」、「意識の高い仲間が集まり、よい刺激を受けている」といった声が多く、真面目で向学心の高い生徒が集まっていることがうかがえます。お互いに切磋琢磨し合える環境は、大きな魅力と言えるでしょう。
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アルバイト:原則として禁止されています。ただし、家庭の事情など特別な理由がある場合は、学校長の許可を得て行うことが可能です。
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制服の評判:制服のデザインに関する具体的な評判は、情報が限られています。伝統的な学生服(男子は詰襟、女子はセーラー服)のスタイルですが、詳細はオープンスクールなどで直接確認することをおすすめします。
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土曜授業:土曜日にも学習会などが設定されることがあります。進学実績を支える手厚いサポートの一環と捉えられています。
甲府一高の校風を理解する上で重要なのは、伝統と現代の高校生活との間にある種の「心地よい緊張感」です。厳しい校則や大変な行事は、一部の生徒にとっては窮屈に感じられるかもしれません。しかし、多くの卒業生は、その経験が自分を人間的に大きく成長させたと振り返っています。この学校の文化は、単に自由を謳歌するのではなく、規律の中で自らを律し、仲間と共に困難を乗り越えることで得られる達成感や成長を重視していると言えるでしょう。
甲府第一高等学校の部活動・イベント
甲府一高の「文武両道」を象徴するのが、活発な部活動と、他では味わえないユニークな学校行事です。
部活動
甲府一高では多くの生徒が部活動に加入し、学業と両立させながら熱心に活動しています。体育局、文化局ともに多種多様な部が揃っており、自分の興味関心に合わせて選ぶことができます。
特に以下の部活動は、県内でも強豪として知られ、全国大会などでも輝かしい実績を収めています。
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特に実績豊富な部活動
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アーチェリー部:県の強化指定にもなっており、インターハイや国際大会に出場する選手を輩出している強豪です。
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山岳部:特に女子はインターハイの常連で、県の強化指定も受けています。男子も県大会で上位の成績を収めています。
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弓道部:男女ともに団体・個人で関東大会や全国大会に出場するなど、非常に活発です。
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ア・カペラ部:全国高等学校総合文化祭の常連で、高いパフォーマンスレベルを誇ります。文化部の中でも特に人気の高い部活動の一つです。
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應援團吹奏楽部:正式名称が示す通り、応援団の一翼を担う伝統ある部です。コンクールでの金賞受賞など、演奏レベルも非常に高いです。
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珍しい部活動
上記の「ア・カペラ部」や、日本の伝統文化に触れる「箏曲部」、論理的思考を競う「英語研究部(ディベート)」など、特色ある文化部が充実しているのも魅力です。
部活動全体の加入率に関する具体的なデータはありませんが、多くの生徒が文武両道を実践しており、学校全体が部活動を奨励する雰囲気に包まれています。
イベント
甲府一高の学校行事は、単なるお楽しみイベントではありません。学校の伝統と教育理念が色濃く反映された、人間形成の場として位置づけられています。
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強行遠足
この学校を語る上で絶対に欠かせないのが、10月に行われる伝統行事「強行遠足」です。大正13年(1924年)から続くこの行事は、「遠足」という名前がついていますが、その実態は自らの限界に挑む過酷な強歩大会です。男子は甲府の学校から長野県小諸市までのおよそ100km超、女子もおよそ45kmの道のりを、夜を徹して24時間以内で歩き通します。標高差は1,000mを超え、完走率は6割に満たない年もあるほどです。なぜこんなにも過酷なことをするのか。それは、「安易な妥協を排し、精根尽きるまで歩く」ことで、克己心、つまり己に打ち克つ心を養うという、創立以来の教育哲学が根底にあるからです。つらく苦しい道のりですが、仲間と励まし合い、自分の足でゴールした時の達成感は、何物にも代えがたい一生の財産となります。卒業生たちが何十年経っても同窓会で熱く語り合う、まさに甲府一高の魂とも言える行事です。
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一高祭(文化祭)
6月に行われる文化祭は「一高祭(いっこうさい)」と呼ばれ、大きな盛り上がりを見せます。YCC県民文化ホールといった本格的な会場を借りて行われることもあり、各クラスや文化部が趣向を凝らした発表や展示を行います。
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その他の行事
新入生を待ち受ける4月の「応援練習」も、一高の伝統を肌で感じる最初の洗礼です。また、3月にはクラス対抗の「球技大会」も行われます。探究科ではオーストラリアへの海外短期研修なども企画されています。
甲府第一高等学校の進学実績
伝統と革新の教育は、確かな大学進学実績にも結びついています。甲府一高は、県内有数の進学校として、毎年多くの生徒を国公立大学や難関私立大学に送り出しています。
近年の進学実績を見ると、毎年100名以上が国公立大学に、延べ400名以上が私立大学に合格しています。
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国公立大学
地元の山梨大学や山梨県立大学への進学者が多いのが特徴ですが、それに留まりません。北海道大学、東北大学といった旧帝国大学や、筑波大学などの難関国立大学にも合格者を輩出しています。最近の実績では、東京都立大学、横浜市立大学、名古屋市立大学、大阪公立大学など、全国の主要な公立大学へも多数が進学しており、その進路指導の幅広さがうかがえます。
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難関私立大学
具体的な大学名と人数の詳細なリストは公表されていませんが、中央大学や法政大学などのGMARCHレベルの大学への合格実績があります。また、併願校の状況から、早慶上理やGMARCHを目指す生徒が多数在籍していると考えられます。
このような高い進学実績を支えているのが、学校独自の教育システムです。
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55分授業とユニット制:標準より5分長い授業時間を確保し、ユニット制と組み合わせることで、無理なく効率的に深い学びを実現しています。
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習熟度別学習や補習:数学などでは、生徒の理解度に合わせた習熟度別学習を実施しています。また、土曜学習や長期休業中の講習なども開かれ、生徒の学力向上を強力にバックアップしています。
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充実した進路指導:卒業生を招いての進路講話など、生徒が将来を具体的に考えるためのキャリア学習も充実しています。
甲府一高の進学戦略は、「地域への貢献」と「全国への挑戦」の二本柱で成り立っています。多くの生徒が地元の優良な国公立大学へ進学するという安定した基盤を持ちつつ、探究科などを中心としたトップ層が全国の難関大学に挑戦できる環境が整っています。これは、多様な目標を持つ優秀な生徒にとって、非常に魅力的なポイントと言えるでしょう。
甲府第一高等学校の特長・アピールポイント
ここまで見てきた甲府一高の魅力を、他の高校にはない特長として5つのポイントにまとめました。
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県内最古の歴史と「文化の香り」がする校風
1880年創立という県内一の歴史は、学校の隅々にまで風格を与えています。強力な同窓会組織は、冷暖房完備の個人ブース型自習室の設置や独自の奨学金制度などで、後輩たちを力強く支援しています。
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人間力を鍛え上げる名物行事「強行遠足」
単なる体力測定ではなく、精神的な強さ、自己管理能力、仲間との協調性を極限状態で養う、まさに「人間教育」の場です。この唯一無二の経験は、卒業後も続く大きな自信と誇りになります。
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未来志向のリーダーを育てる「探究科」
文部科学省の事業指定を受けた先進的な学科で、答えのない課題に挑戦します。大学や企業と連携した本格的な探究活動は、現代の大学入試で求められる思考力や表現力を養うのに最適です。
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文武両道を高いレベルで実践する部活動
アーチェリー部や山岳部、ア・カペラ部など、全国レベルで活躍する部活動が数多く存在します。学業と部活動のどちらにも全力で打ち込める環境が、生徒の充実した高校生活を支えています。
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質の高い学びを保証する教育システム
標準より長い55分授業や、個々の理解度に応じた習熟度別学習、手厚い補習体制など、生徒一人ひとりの学力を着実に伸ばすための工夫が凝らされています。
甲府第一高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の声をまとめることで、よりリアルな甲府一高の姿が見えてきます。ここでは、良い点と気になる点を公平にご紹介します。
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良い点
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「人間的に成長できる素晴らしい場」という声が非常に多いです。特に強行遠足などの厳しい行事を乗り越えた経験が、大きな自信につながっているようです。
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「意識の高い仲間が多く、良い刺激をもらえる」という意見も目立ちます。真面目に学習に取り組む雰囲気が、自然と学力を高める環境を作っています。
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先生方のサポートを手厚いと感じる生徒も多く、「熱心な先生の充実した授業」や、親身な進路相談への感謝の声が聞かれます。
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行事が独特で楽しく、「一高でしか味わえない素晴らしい体験ができる」と、学校生活の満足度は高いようです。
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気になる点
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「伝統に縛られすぎている感じがする」「校則が少し厳しい」という意見は、昔から聞かれる声です。特にスマートフォンの使用制限などを窮屈に感じる生徒もいます。
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「課題が多く、勉強のプレッシャーが大きい」という声もあります。高いレベルの文武両道を実践するには、相応の努力と自己管理が求められます。
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3年生の秋に行われる強行遠足について、「受験勉強に影響がある」と心配する声も一部にはあります。学校行事と受験勉強との両立が、一つの課題となるようです。
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施設の古さについて言及する口コミも散見されます。歴史ある学校ならではの側面と言えるかもしれません。
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アクセス・通学
甲府一高への通学方法と、どのエリアから生徒が通っているかの傾向を見てみましょう。
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最寄り駅からのアクセス
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JR甲府駅から徒歩で約17分です。
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JR甲府駅から山梨交通バスを利用し、「一高前」バス停で下車すると、徒歩約2分で到着します。
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通学エリア
甲府市内の生徒はもちろんですが、公共交通機関の拠点である甲府駅からのアクセスが良いため、広い範囲から生徒が集まっています。在校生のメッセージには北杜市から通学している例もあり、甲府盆地全域や郡内地方からも多くの生徒が通っていると考えられます。また、自宅から最寄りの駅やバス停までが遠いなど、特定の条件を満たす場合には、バイク通学が許可される制度もあり、遠距離通学の生徒への配慮も見られます。
甲府第一高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで甲府第一高等学校について詳しく見てきましたが、いかがでしたか?最後に、進学アドバイザーとして、皆さんへの応援メッセージをお届けします。
甲府第一高等学校は、「ただ偏差値が高い学校に行きたい」というだけでなく、「高校3年間で自分を鍛え、人間として大きく成長したい」と強く願う生徒に特におすすめしたい学校です。伝統を重んじる校風、楽ではないけれど達成感のある行事、そして共に高め合える仲間たち。これら全てが、皆さんを心身ともにタフな大人へと育ててくれるはずです。もしあなたが、挑戦することに喜びを感じ、自ら学ぶ意欲にあふれているなら、甲府一高は最高の舞台となるでしょう。
受験勉強においては、探究科を目指すなら、苦手科目を作らないことが絶対条件です。全教科で高いレベルを目指し、基礎の穴を完全になくしてください。普通科を目指す場合も、5教科のバランスを意識し、安定して得点できる力を養うことが合格への鍵となります。そして、甲府一高が大切にする「探究」の精神は、入試のその先にも繋がっています。普段からニュースや本に触れ、「なぜだろう?」「自分ならどうする?」と考える習慣をつけてみてください。その知的好奇心こそが、合格、そして入学後の充実した学校生活の原動力になります。皆さんの挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。