神奈川県立相模原高等学校、通称「県相(けんそう)」は、相模原エリアを代表する進学校の一つとして、多くの受験生が憧れを抱く存在です。単に学力が高いだけでなく、「文武両道・切磋琢磨」をモットーに掲げ、生徒一人ひとりが勉強、部活動、学校行事のすべてに全力で打ち込む活気に満ちた学校です。

SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校としての先進的な学びや、生徒が主体となって創り上げる熱い学校行事など、他校にはない魅力がたくさん詰まっています。

この記事では、そんな神奈川県立相模原高等学校のリアルな姿を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生の口コミや学校生活の様子まで、進学アドバイザーの視点から徹底的に解説していきます。あなたの高校選びの確かな一助となれば幸いです。

神奈川県立相模原高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的なプロフィールを確認しましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。

項目 内容
正式名称 神奈川県立相模原高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学 男女共学
所在地 〒252-0242 神奈川県相模原市中央区横山1-7-20
代表電話番号 042-752-4133
公式サイトURL https://www.pen-kanagawa.ed.jp/sagamihara-h/

神奈川県立相模原高等学校の偏差値・難易度・併願校

県相の合格を勝ち取るためには、どのくらいの学力が必要なのでしょうか。ここでは、偏差値だけでなく、神奈川県の公立高校入試で重要となる「内申点」や「学力検査」、「特色検査」の目安についても詳しく見ていきましょう。

神奈川県立相模原高等学校の偏差値は、各種情報源によるとおおむね64から68の範囲で示されており、県内でもトップクラスの難関校であることが分かります。同じくらいの偏差値帯には、横浜平沼高校や川和高校といった人気の進学校が名を連ねており、非常に高いレベルでの競争となります。

しかし、神奈川県の公立高校入試では、偏差値だけでは難易度を測れません。合否は、中学2年・3年の成績である「内申点」、入試当日の5教科「学力検査」、そして学校独自の「特色検査」という3つの要素で総合的に判断されます。神奈川県立相模原高等学校を目指す上で、この3つのバランスをどう取るかが合格の鍵を握ります。

項目 合格目標の目安
偏差値 64~68
内申点 (135点満点) 120~126点
学力検査 (500点満点) 390~424点
特色検査 (100点満点) 50~60点

内申点の120点以上というのは、9教科の成績がオール5に近いレベルを意味し、中学2年生の時から日々の授業や定期テストに真剣に取り組む姿勢が求められます。学力検査では、各教科で8割以上の得点を目指す必要があり、基礎力はもちろん、応用力まで高いレベルで完成させておかなければなりません。

さらに、県相の入試を特徴づけているのが「特色検査」です。これは、教科の枠を超えた思考力や表現力を問う記述式の問題で、付け焼き刃の対策では歯が立ちません。普段から物事を多角的に考え、自分の言葉で説明するトレーニングが不可欠です。

このように、県相の入試は、日々の学習の積み重ね(内申点)、高い学力(学力検査)、そして柔軟な思考力(特色検査)という3つの力が試される、まさに総合力勝負の厳しい戦いと言えるでしょう。

主な併願校

神奈川県の公立高校入試では、公立高校を複数併願することはできません。そのため、県相を第一志望とする受験生の多くは、万が一に備えて私立高校を併願します。以下に、よく選ばれる主な併願校を挙げます。

桐蔭学園、日本大学藤沢、桜美林、麻布大学附属、八王子実践、横浜隼人など。

これらの高校は、県相と同じく高いレベルの学力や、特色ある教育プログラムを持つ学校です。併願校を選ぶ際は、偏差値だけでなく、通学時間や校風、大学進学実績などを総合的に考慮し、自分に合った学校を見つけることが大切です。

神奈川県立相模原高等学校に設置されている学科・コース

神奈川県立相模原高等学校に設置されている学科は「全日制普通科」のみです。しかし、学年が上がるにつれて、生徒一人ひとりの興味や進路希望に合わせて専門性を高めていける、柔軟かつ体系的なカリキュラムが組まれています。

  • 1年次:芸術(音楽または美術)の選択以外は、全員が同じ共通科目を履修します。ここで文系・理系問わず、幅広い分野の基礎学力を徹底的に固めます。高校入学時点で将来の夢がまだ固まっていない生徒も、この1年間で自分の興味や適性を見極めることができます。

  • 2年次:地理B、物理、生物といった科目から1つを選択するなど、少しずつ進路を意識した科目選択が始まります。この段階から、将来の大学受験を見据えた学習が本格化していきます。

  • 3年次:進路希望に応じて「文系」「理系」の類型に完全に分かれます。国公立大学の二次試験や難関私立大学の入試に対応できるよう、多様な選択科目が用意されており、自分の目標に合わせた時間割を組むことが可能です。

このように、神奈川県立相模原高等学校のカリキュラムは、1年次に広い視野と土台を築き、2年次、3年次と段階的に専門性を深めていく「構造的な柔軟性」が特長です。生徒がじっくりと自分の進むべき道を選択できる、考え抜かれたシステムと言えるでしょう。

神奈川県立相模原高等学校の特色・校風

県相の魅力は、高い学力だけではありません。ここでは、学校生活のリアルな雰囲気を、キーワードや口コミを交えて詳しく紹介します。

学校全体の雰囲気を表すキーワードは、「文武両道」「切磋琢磨」「自主性」「活気」といった言葉がぴったりです。生徒たちは高い目標に向かって互いに刺激し合いながらも、行事や部活動では学年を超えて協力し合う、温かい雰囲気に包まれています。

  • 宿題の量:多くの在校生や卒業生が「多い」と口を揃えます。特に長期休暇中の課題はかなりの量になるようです。しかし、これは生徒に学習習慣を定着させ、高い学力を維持するための学校の方針でもあり、「この課題のおかげで勉強する習慣がついた」というポジティブな声も聞かれます。

  • 校則(スマホ、服装など):全体的には「厳しすぎない」という意見が多いですが、スカート丈やネクタイの締め方など、身だしなみに関する指導は先生によって厳しく行われることもあるようです。スマートフォンの校内への持ち込みは許可されていますが、使用は昼休みなど限られた時間のみとされており、ルールは学年や時期によって見直されることもあるようです。

  • 生徒たちの雰囲気:基本的には「真面目」で学習意欲の高い生徒が多いですが、学校行事や部活動には全力で取り組む「活発」な一面も持ち合わせています。競争が激しい環境ながらも、お互いを尊重し合える「優しい」生徒が多いという評判で、「いじめは聞いたことがない」という声が多数を占めるのは大きな特長です。

  • アルバイト:原則として禁止されています。ただし、家庭の事情など特別な理由がある場合は、学校に届け出て許可を得ることで可能になります。学業と部活動に集中してほしいという学校の考えが表れています。

  • 制服の評判:女子の制服はブレザーにチェックのスカートで、「可愛い」と在校生からの評判は上々のようです。制服も高校選びの重要なポイントと考える生徒にとっては、嬉しい要素かもしれません。

  • 土曜授業:平常授業としての土曜授業は実施されていません。ただし、大学受験対策の講習などが土曜日に行われることはあります。

県相の校風は、生徒に大きな自主性を与える一方で、学業や生活態度においては高いレベルを求める「高信頼・高期待」の環境と言えます。生徒主体の行事を任せるほどの信頼があるからこそ、それに応えるだけの成熟した行動と、厳しい学習課題をやり遂げる規律が期待されているのです。自ら考えて行動し、高いレベルで自分を律することができる生徒にとって、最高の成長の場となるでしょう。

神奈川県立相模原高等学校の部活動・イベント

「文武両道」を掲げる県相では、部活動や学校行事も学校生活の重要な柱です。ここでは、その熱気あふれる活動の一部を紹介します。

部活動

県相の部活動加入率は、兼部も含めると約97%という驚異的な高さを誇ります。これは、ほとんどの生徒が部活動に所属し、勉強と両立しながら青春を謳歌している証です。運動部、文化部ともに非常に充実しており、全国レベルで活躍する部も少なくありません。

  • 硬式野球部:県内屈指の強豪として知られ、2019年の夏の神奈川県大会では、優勝候補の横浜高校を破り、創部初のベスト4進出という快挙を成し遂げました。2015年の春季大会では準優勝するなど、常に上位を狙える実力を持っています。

  • 陸上競技部・水泳部:強豪として知られ、定期的にインターハイ(全国高等学校総合体育大会)へ出場する選手を輩出しています。

  • 吹奏楽部:神奈川県下の高校でもトップレベルの実力を持ち、吹奏楽コンクール神奈川県大会では金賞の常連、さらに上位大会である東関東大会でも優秀な成績を収めています。

  • KIC英語ディベート部:2019年にPDA神奈川県即興型英語ディベート大会で優勝するなど、県内ではその名を知られた存在です。論理的思考力と英語力を同時に鍛えることができます。

  • 科学研究部:SSH指定校である県相を象徴する部活動の一つです。大学と連携した本格的な研究活動を行い、日本地学オリンピックで入賞者を出すなどの実績もあります。

この他にも、サッカー部、マンドリン部、応援団部など、多くの部活動が活発に活動しています。

イベント

県相の学校行事は、生徒が企画・運営の主役となるのが最大の特長です。生徒たちのエネルギーが爆発する、熱いイベントが目白押しです。

  • 相翼祭(そうよくさい):県相の学校生活で最も盛り上がるイベントです。6月に行われる「体育部門」と、9月に行われる「文化部門」の二部構成になっています。体育部門では、各クラスが団結して様々な競技に挑みます。文化部門は、クラスごとの演劇やアトラクション、文化部の展示やステージ発表、模擬店などで校内が熱気に包まれ、多くの来場者で賑わいます。企画から運営まで生徒たちの手で行われるため、達成感と一体感は格別です。

  • 県相スタートキャンプ(KSC):新入生が高校生活にスムーズに馴染めるよう、入学直後に2泊3日で行われるオリエンテーション合宿です。ディベートや登山などの活動を通して、高校での学び方を身につけるとともに、クラスメイトとの絆を深める貴重な機会となっています。

  • 修学旅行:2年次に実施され、行き先は沖縄が多いようです。仲間との忘れられない思い出を作ることができます。

  • その他:クラス対抗で熱戦を繰り広げる「百人一首大会」や、新入生をバレーボールで歓迎する「新入生歓迎球技大会」など、年間を通して多彩な行事が用意されています。

神奈川県立相模原高等学校の進学実績

県相の高い教育レベルは、優れた大学進学実績にもはっきりと表れています。卒業生の約9割が4年制大学へ進学し、国公立大学や難関私立大学へも多数の合格者を輩出しています。

以下は、最新の主な大学合格実績です(2025年度入試、既卒生含む)。

分類 主な大学名と合格者数
国公立大学 東京大学 1名、京都大学 1名、一橋大学 1名、東京工業大学 2名、東北大学 2名、大阪大学 1名、名古屋大学 2名、九州大学 1名、横浜国立大学 17名、東京都立大学 22名など、合計 89名
難関私立大学 早稲田大学 32名、慶應義塾大学 20名、上智大学 14名
GMARCH 明治大学 97名、法政大学 78名、青山学院大学 65名、中央大学 52名、立教大学 19名、学習院大学 14名など、合計 325名

この輝かしい実績を支えているのが、学校の手厚い進路サポート体制です。

  • 講習・補習:長期休業中や放課後には、大学受験対策のための講習や補習が数多く開講され、生徒の学力向上を強力にバックアップしています。

  • 学力向上進学重点校:エントリー校として、より効果的な指導法や最新の入試情報を得るための研修会に参加しており、常に教育の質の向上に努めています。

  • SSH・高大連携:SSHプログラムでの探究活動や、大学の先生から直接講義を受けられる高大連携講座などを通して、生徒の知的好奇心を刺激し、大学での学びに繋がる高度な学習機会を提供しています。

  • 指定校推薦:公にはされていませんが、難関大学を含む多くの指定校推薦枠があると評判です。日々の学習を真面目にこなし、高い評定を維持している生徒にとっては、大きなアドバンテージとなります。

神奈川県立相模原高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、県相ならではの強みや魅力を5つのポイントにまとめました。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての先進的な探究学習

    SSH指定校である県相では、大学の研究室と連携して本格的な課題研究に取り組みます。科学的な思考力やプレゼンテーション能力を養うこの経験は、理系だけでなく文系の生徒にとっても、将来の大きな財産となります。

  • 生徒が主役の活気あふれる学校行事

    文化祭「相翼祭」を筆頭に、多くの学校行事が生徒主体で企画・運営されます。仲間と協力して一つのものを創り上げる経験を通して、リーダーシップや協調性を育み、一生の思い出と強い絆を育むことができます。

  • 97%の加入率を誇る文武両道の部活動

    ほぼ全ての生徒が部活動に所属し、学業と両立しながら高いレベルで活動に打ち込んでいます。全国大会レベルの運動部から、県トップクラスの文化部まで、自分の興味や才能を存分に伸ばせる環境が整っています。

  • 学力向上進学重点校としての質の高い教育と手厚い進路支援

    エントリー校として、常に指導力の向上に努めており、生徒の第一志望の進路実現を全力でサポートします。長期休暇中の講習や個別指導など、手厚い支援体制が自慢です。

  • 切磋琢磨できる仲間と出会える環境

    学習意欲が高く、何事にも真剣に取り組む生徒が集まっています。レベルの高い仲間たちと互いに刺激し合い、高め合える環境は、県相でしか得られない貴重なものです。

神奈川県立相模原高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平に紹介します。

良い点

  • 「学校行事、特に相翼祭が本当に楽しくて、クラスの団結力が強まります。最高の思い出です。」

  • 「周りの友達はみんな真面目で意識が高く、一緒に勉強しているだけでモチベーションが上がります。いじめなども全くなく、安心して過ごせます。」

  • 「先生方は熱心で、質問にも丁寧に対応してくれます。授業もレベルが高く、知的好奇心が満たされることが多いです。」

  • 「SSHの活動は、普通の高校では絶対にできない貴重な経験。大学の研究に触れることができ、視野が大きく広がりました。」

  • 「勉強と部活の両立は大変ですが、その分、毎日がとても充実していて楽しいです。卒業する時には、多くの人がこの学校で良かったと言っています。」

気になる点

  • 「宿題や課題の量がとにかく多く、計画的に進めないと終わりません。部活との両立には工夫が必要です。」

  • 「校舎が全体的に古く、きれいとは言えません。ただ、学校生活に慣れるとあまり気にならなくなります。」

  • 「最寄り駅から徒歩だと15分以上かかり、少し不便です。バスを利用する生徒も多いです。」

  • 「熱心で素晴らしい先生が多い一方で、先生によって授業の質や指導の厳しさに差があるように感じることがあります。」

  • 「常に高いレベルでの競争があるので、プレッシャーを感じやすい人には少し厳しい環境かもしれません。」

アクセス・通学

県相への通学方法と、どのエリアから通っている生徒が多いのかについて説明します。駅から少し距離があるため、事前に通学ルートを確認しておくことをお勧めします。

  • JR横浜線「相模原駅」から

    • 徒歩:約20分~23分

    • バス:神奈川中央交通バス「横山団地経由 上溝行き(相14)」に乗車し、「横山団地」バス停で下車、目の前です。または、「市役所前経由 上溝行き(相12)」に乗車し、「高校入口」バス停で下車、徒歩約4分です。

  • JR相模線「上溝駅」から

    • 徒歩:約15分~18分

    • バス:相模原駅からの逆方向のバスを利用できます。

駅から学校までの道のりは、決して近いとは言えません。この毎日の通学時間も、高校生活の一部となります。オープンキャンパスや文化祭に参加する際には、ぜひ一度、自分の足で歩いてみて、実際の距離感や道のりの雰囲気を確かめてみてください。その少しの不便さを乗り越えてでも通いたいと思えるかどうかが、あなたの県相への熱意を測る一つのバロメーターになるかもしれません。

通学している生徒は、地元の相模原市内からが最も多いですが、その高い教育レベルと魅力から、隣接する町田市や八王子市、さらには厚木市や海老名市など、広範囲から多くの生徒が集まっています。

神奈川県立相模原高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。最後に、進学アドバイザーとして、神奈川県立相模原高等学校を目指すあなたへ応援メッセージを送ります。

この学校は、「大学進学のためだけに勉強する3年間では物足りない」と考えているあなたにこそ、強くお勧めします。高いレベルの授業に挑戦したい、全国を目指せる部活動に打ち込みたい、仲間と一生の思い出になる学校行事を創り上げたい。そんな強い好奇心とチャレンジ精神を持っているなら、神奈川県立相模原高等学校での生活は、間違いなくあなたを大きく成長させてくれるでしょう。忙しくも充実した毎日の中で、切磋琢磨できる最高の仲間が待っています。

受験勉強においては、とにかく「バランス」を意識してください。苦手科目をなくすことはもちろん、得意科目をさらに伸ばし、5教科すべてで高得点を狙う必要があります。そして何より重要なのが、中学2年生からの「内申点」です。日々の授業を大切にし、提出物をきちんと出し、定期テストで結果を出すという地道な努力の積み重ねが、合格への道を拓きます。また、県相独自の「特色検査」対策も早めに始め、思考力と表現力を磨いておきましょう。頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。