県立柏高等学校千葉県立柏高等学校、通称「県柏(けんかし)」は、高いレベルの学びと、温かく充実した高校生活を両立させたいと考える中学生にとって、非常に魅力的な選択肢です。あなたは、「大学進学のためにしっかり勉強したい、でも、一生の思い出になるような友情や学校行事も諦めたくない」と考えていませんか?県立柏高等学校は、まさにその二つを高い次元で実現できる場所です。

千葉県の「進学指導重点校」であり、先進的な理数教育を行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」でもあるアカデミックな側面と、在校生たちが口を揃えて「平和で楽しい」と語る、穏やかで協力的な校風。この二つの顔を持つ県柏の本当の魅力に、これから一緒に迫っていきましょう。

県立柏高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの第一歩として、所在地や連絡先は正確に把握しておくことが大切です。

項目 内容
正式名称 千葉県立柏高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒277-0825 千葉県柏市布施254
代表電話番号 04-7131-0013
公式サイトURL https://cms1.chiba-c.ed.jp/kashiwa-h/

県立柏高等学校の偏差値・難易度・併願校

県立柏高等学校の学力的なレベルは、千葉県内でもトップクラスに位置します。しかし、単に偏差値の数字だけでは見えてこない、この学校ならではの難易度の特徴があります。

偏差値は普通科が60以上、理数科が59以上とされています。千葉県の公立高校では、専門学科である理数科の偏差値が普通科より少し低く出ることがありますが、これは理数科の入試で数学と理科の得点が1.5倍になる「傾斜配点」が採用されているためで、一概に難易度が低いわけではありません。むしろ、理数系科目が得意な生徒にとっては有利になる仕組みです。

合格を勝ち取るためには、具体的な目標設定が重要です。内申点は135点満点中、120点あたりが目安とされており、これは中学校の成績でオール4では少し足りないレベル感です。学力検査では、500点満点中380点以上を目指すことが一つの目標となります。

興味深いのは、その高い学力レベルにもかかわらず、近年の県立柏高等学校の入試倍率が比較的落ち着いている点です。2024年度入試の実質倍率は普通科で1.26倍、理数科で1.10倍でした。これは、後述するアクセス面の影響から、他の同レベルの高校に比べて競争が穏やかになっている可能性を示唆しており、実力のある受験生にとっては「穴場」的な存在、つまり戦略的に狙い目の学校と言えるかもしれません。

公立高校が第一志望の場合、併願校として私立高校をいくつか受験するのが一般的です。県柏の受験生が併願する主な私立高校としては、芝浦工業大学柏高等学校、専修大学松戸高等学校、流通経済大学付属柏高等学校、土浦日本大学高等学校などが挙げられます。

学科 偏差値(目安) 内申点(目安) 学力検査(目標点)
普通科 60~ 120点~ 380点~ / 500点
理数科 59~ 120点~ 380点~ / 500点 (※)
(※)理数科は、学力検査において数学と理科の得点が1.5倍で計算されます。

県立柏高等学校に設置されている学科・コース

県立柏高等学校には、生徒一人ひとりの興味や進路希望に応えるための、特色ある二つの学科が設置されています。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:1年次では芸術科目以外は全員が同じ科目を履修し、基礎学力を徹底的に固めます。2年次から少しずつ選択科目が増え、3年次には「文系」「理系」に分かれて、それぞれの志望大学の入試に特化した学習を進めます。

    • どんな生徒におすすめか:幅広い分野に興味があり、高校生活の中で自分の進みたい道じっくりと見つけたい生徒や、特定の大学・学部にこだわらず、高いレベルの大学進学を目指したい生徒におすすめです。

  • 理数科

    • どんなことを学ぶ場所か:文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受けており、通常の授業に加えて「課題研究」と呼ばれる探究活動に多くの時間を割きます。大学や研究機関と連携した実験や、アメリカでの海外研修など、他ではできない貴重な体験ができます。

    • どんな生徒におすすめか:数学や理科が大好きで、「なぜ?」を突き詰める探求心にあふれる生徒に最適です。受け身の授業ではなく、自らテーマを見つけて研究し、発表するような能動的な学びを求めている生徒にとって、最高の環境です。

このSSHでの探究活動は、理数科だけの閉じたものではありません。「SSHを学校全体に!」というスローガンのもと、探究し、その成果を他者に伝える力は、学校全体の教育方針の柱となっています。そのため、普通科の生徒も、知的好奇心を刺激し、主体的に学ぶ文化の中で高校生活を送ることができます。

県立柏高等学校の特色・校風

県柏の最大の魅力は、その独特の校風にあると言っても過言ではありません。キーワードは「文武両道」「自主自律」、そして何より「穏やかで平和」です。

学校全体の雰囲気は、多くの在校生や卒業生が「平和」、「民度が高く、いい人ばかり」と表現するように、非常に穏やかです。生徒たちは互いを尊重し、いじめなどはほとんど聞かれません。いわゆるスクールカーストのようなものもなく、活発な生徒も物静かな生徒も、誰もが自分らしく過ごせる居心地の良い空間がそこにはあります。この雰囲気は、単に「真面目でおとなしい」のではなく、「真面目な陽キャ」という言葉で表現されるように、やるべきことはしっかりやりつつ、行事などでは大いに盛り上がる、知的で明るい活気に満ちています。

この独特のカルチャーは、学校の生徒への信頼に基づいた方針によって育まれています。

  • 宿題の量:口コミでは「課題が多すぎるということはなく、割とゆるいイメージ」という声が見られ、生徒の自主的な学習意欲を尊重する姿勢がうかがえます。

  • 校則:全体的に「厳しすぎず緩すぎず」と評されています。

    • スマホ:校内での使用はルール上、一定の制限がありますが、実際には授業での調べ物に使われるなど、学習ツールとして活用する場面も多く、生徒の自律的な利用が信頼されているようです。

    • 服装:制服は「シンプルで可愛い」と評判です。着こなしについては、学校側も「県柏生としてふさわしい着こなしを生徒自らが考え、律していく」ことを期待しており、頭ごなしに厳しく指導するのではなく、生徒の自主性を重んじています。

  • アルバイト:原則として禁止ですが、家庭の事情などがある場合は届け出により許可される場合があります。学業や部活動に集中してほしいという学校の考えの表れです。

  • 土曜授業:進学指導重点校として、模試や補習などが土曜日に行われることがあります。

このような環境が生まれる背景には、一つの興味深い構造があります。県柏は最寄り駅から徒歩25分とアクセスが良いとは言えず、この物理的な不便さが、結果的に生徒層を特徴づけている側面があります。流行や利便性よりも、県柏の持つアカデミックな環境や穏やかな校風そのものに価値を見出す、目的意識の高い生徒が集まりやすいのです。そうして集まった生徒たちが、またその穏やかで協力的な校風をさらに強固にしていく。このような好循環が、「平和な進学校」という県柏ならではのアイデンティティを確立しているのです。

県立柏高等学校の部活動・イベント

勉強だけでなく、仲間との活動を通して成長できる機会が豊富にあるのも県柏の魅力です。

部活動

「文武両道」を掲げる県柏には、運動部16、文化部16と、非常に多くの部活動・同好会があり、多くの生徒が学業と両立させながら熱心に活動しています。

  • 吹奏楽部:千葉県吹奏楽コンクールで毎年金賞を受賞し、県代表を決める本選大会へ進出する常連校です。高いレベルでの演奏活動ができます。

  • 書道部:高校生国際美術展などで入賞者を輩出するなど、文化活動においても全国レベルで活躍しています。

  • 天文部:SSH指定校ならではの、知的好奇心を満たせる珍しい部活動の一つで、活発に活動しています。

  • 演劇部:他校との合同練習を積極的に行うなど、本格的な活動を展開しています。文化祭での発表は特に見ごたえがあります。

イベント

県柏の学校生活を彩るイベントは、生徒たちの手で創り上げられ、大きな盛り上がりを見せます。

特に有名なのが、毎年9月に行われる文化祭「黎明祭(れいめいさい)」です。2日間で3000人以上が来場する大規模なイベントで、各クラスや部活動が趣向を凝らした展示や発表を行います。中でも、クラス単位で上演される演劇のレベルは非常に高く、観客が涙するほどの感動を呼ぶこともあるそうです。3年生が中心となって創り上げるミュージカルは、黎明祭の伝統であり、圧巻の一言です。

この黎明祭の熱気は、県柏の校風を象徴しています。生徒たちは、学業に向けるのと同じ真剣さと熱量で、文化的な創造活動にも全力で取り組みます。そこにあるのは、単なるお祭り騒ぎではなく、仲間と協力して一つの高い目標を達成しようとする「真面目な楽しさ」です。体育祭や修学旅行といった他の行事も同様に、クラスの団結力を高める大切な思い出となっています。

県立柏高等学校の進学実績

「進学指導重点校」として、県立柏高等学校は千葉県内でも屈指の大学進学実績を誇ります。生徒の努力と、それを支える学校のきめ細やかな指導体制の成果が、具体的な数字として表れています。

2025年度の入試では、国公立大学に72名、早稲田・慶應・上智・東京理科大といった難関私立大学にのべ57名、GMARCHにはのべ189名もの合格者を輩出しています。過去には東京大学への合格者も出すなど、生徒の目標次第で最難関大学も十分に狙える環境です。

これらの輝かしい実績は、日々の授業はもちろん、計画的に実施される進路指導やキャリア教育、必要に応じて行われる補習や講習によって支えられています。

大学グループ 2025年度 合格者数(のべ人数)
国公立大学 72名
早慶上理 57名
GMARCH 189名
主な大学別合格実績(2025年度・抜粋)
国公立大学
千葉大学: 14名
筑波大学: 6名
東京科学大学(旧東工大): 6名
東北大学: 1名
北海道大学: 3名
お茶の水女子大学: 3名

県立柏高等学校の特長・アピールポイント

県柏が他の高校と一線を画す、独自の強みや魅力をまとめました。

  • 全国レベルの先進的な理数教育(SSH)

    文部科学省指定のスーパーサイエンスハイスクールとして、大学と連携した研究活動やアメリカでの海外科学研修など、他では経験できない高度で実践的な学びの機会が豊富にあります。

  • 高い進学実績と穏やかな校風の両立

    「進学指導重点校」として難関大学へ多数の合格者を出す一方で、校内は競争よりも協力を重んじる「平和」な雰囲気に満ちています。高い目標と居心地の良さを両立できる稀有な環境です。

  • 「真面目に楽しむ」文化と圧巻の学校行事

    生徒が主体となって創り上げる文化祭「黎明祭」は、地域でも評判のイベントです。特に演劇やミュージカルのレベルの高さは、勉強も遊びも全力で取り組む県柏生のエネルギーを象

    徴しています。

  • 生徒を信頼し、自主性を育む校風

    スマホの活用や服装など、校則は生徒の自律的な判断を尊重する運用がなされています。「自主自律」の精神を育み、大学や社会で必要とされる主体性を高校生活の中で自然と身につけることができます。

  • 文武両道を体現する多彩な部活動

    30を超える部活動・同好会があり、多くの生徒が加入しています。吹奏楽部のように全国レベルで活躍する部から、趣味をとことん追求できる部まで、誰もが熱中できる場所を見つけられます。

  • 戦略的に狙える「隠れた優良校」

    その高い実力に比して、アクセス面から倍率が比較的落ち着いている傾向があります。利便性よりも教育内容や校風を重視する受験生にとって、まさに「穴場」であり、戦略的な志望校選択となり得ます。

県立柏高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生の声を公平にまとめることで、県柏のリアルな姿が見えてきます。

  • 良い点

    • 圧倒的に多いのが「平和で、とにかく人が良い」という声です。「本当に毎日が楽しい」「一生の友達ができた」といった意見が多数寄せられており、いじめの心配がほとんどない、穏やかで居心地の良い人間関係が最大の魅力のようです。

    • 「行事が最高に楽しい」という評判も非常に多いです。特に文化祭は、クラス一丸となって準備し、大きな達成感を味わえるようです。

    • 「先生との距離が近く、相談しやすい」「授業が面白い」など、教員に対するポジティブな評価も見られます。

    • 「自由で、生徒を信頼してくれる校風が良い」という声も多く、校則が厳しすぎず、のびのびと過ごせる点を評価する意見が目立ちます。

  • 気になる点

    • 最も多く指摘されるのが「立地の悪さ」です。最寄りの北柏駅から徒歩25分という距離は、多くの生徒にとって最大のネックのようです。「とにかく駅から遠い」という声は、ほぼすべての口コミで見られます。

    • 「校舎や施設が古い」という意見も散見されます。歴史のある学校ならではの課題ですが、一部の生徒は設備の老朽化を気にしているようです。

    • 「先生の質にばらつきがある」という指摘も一部にはあります。熱心な先生が多い一方で、一部の授業に不満を感じる生徒もいるようです。

アクセス・通学

県立柏高等学校への通学方法を具体的に確認しておきましょう。

  • JR常磐線「北柏」駅:最も利用者が多い最寄り駅です。駅から学校までは、徒歩で約25分かかります。駅南口から出ている路線バスを利用する方法もあります。

  • つくばエクスプレス「柏たなか」駅:こちらの駅からも路線バスでアクセスすることが可能です。

口コミにもある通り、駅から距離があるため、生徒の多くは自転車を利用して通学しています。柏市、松戸市、我孫子市、流山市など、JR常磐線やつくばエクスプレスの沿線から通う生徒が多い傾向にあります。

県立柏高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。県立柏高等学校が、いかに勉強と学校生活のバランスが取れた素晴らしい学校か、伝わったでしょうか。

最後に、進学アドバイザーとして、この高校を目指す君にメッセージを送ります。もし君が、「高いレベルの大学を目指して真剣に勉強したい。でも、冷たい競争は苦手で、お互いを尊重し合える仲間と、温かい雰囲気の中で高校生活を送りたい」と願うなら、県立柏高等学校は最高の場所になるはずです。自ら学ぶ意欲があり、行事や部活にも全力で打ち込みたい、そんな君を県柏は待っています。

受験勉強では、まず中学校の成績、つまり内申点をしっかり確保することが大切です。そして学力検査では、特に理数科を目指すなら数学と理科の応用問題に力を入れましょう。普通科志望でも、380点以上という目標を意識して、苦手分野をなくす努力を続けてください。駅から遠いというハードルはありますが、それは君と同じ価値観を持つ仲間と出会うためのフィルターのようなもの。その先には、かけがえのない3年間が待っています。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。