福岡県の自然豊かな糸島半島に位置する糸島農業高等学校は、120年以上の長い歴史と伝統を誇る農業の専門高校です。「いのちを育て、いのちを学ぶ」をスローガンに、単なる農業技術の習得にとどまらず、食や環境、そして生命そのものと向き合う教育を実践しています。広大な敷地には水田や畑、牛舎などが広がり、生徒たちは日々、土や動植物と触れ合いながら、実践的な学びを深めています。

この記事では、そんな糸島農業高等学校の魅力や特色を、偏差値や学科の内容、学校生活の様子まで、中学生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく解説していきます。専門的な知識を身につけたい、自然の中で高校生活を送りたい、将来は食や緑に関わる仕事がしたいと考えている皆さんにとって、糸島農業高等学校がどのような場所なのか、具体的なイメージを掴む手助けになれば幸いです。

この記事を読めば、きっと糸島農業高等学校ならではの学びの面白さや、生徒たちの活気ある学校生活が伝わるはずです。あなたの未来の選択肢の一つとして、ぜひじっくりと読み進めてみてください。

糸島農業高等学校の基本情報

糸島農業高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 福岡県立糸島農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒819-1117 福岡県糸島市前原西3丁目2番1号
代表電話番号 092-322-2654
公式サイト https://itoshima-ah.fku.ed.jp/

糸島農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

糸島農業高等学校での学びは、専門的な知識と技術が中心となります。そのため、普通科の高校とは少し違う視点で難易度を考える必要があります。

学科・コースごとの偏差値の目安は以下の通りです。

  • 食品科学科:40

  • 動植物活用科:38

  • 生活科学科:37

  • 園芸技術科:36

偏差値はあくまで一つの目安ですが、同じくらいの偏差値の高校としては、福岡県内では水産高等学校(海洋水産全科)や八女農業高等学校(生産技術科など)などが挙げられます。合格に必要な内申点の目安については、具体的な点数は公表されていませんが、中学での基礎学力はもちろんのこと、「なぜ糸島農業高校で学びたいのか」という明確な目的意識や学習意欲が重視される傾向にあります。

福岡県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、併願校としては私立高校を受験する生徒が多いようです。具体的な併願校としては、福岡市西区や糸島市周辺の私立高校が選ばれることが一般的です。

糸島農業高等学校に設置されている学科・コース

糸島農業高等学校には、それぞれ特色ある4つの専門学科が設置されています。ここでは、各学科でどのようなことが学べるのか、どんな生徒におすすめかを紹介します。

  • 園芸技術科

    野菜や草花の栽培技術を専門的に学びます。自分で育てた作物を販売する実習もあり、生産から流通までを体験できます。植物を育てることが好きな人や、将来、造園やフラワーアレンジメントの仕事に興味がある人におすすめです。

  • 動植物活用科

    動物の飼育管理や、地域の資源を活用した商品開発などを学びます。牛や豚などの家畜の世話を通して、命の大切さを実感できます。動物が大好きで、畜産やペット関連の仕事に就きたいと考えている人にぴったりの学科です。

  • 食品科学科

    パンやジャム、ソーセージなどの食品加工技術や、食品の成分分析について学びます。大人気の「糸農ソース」をはじめ、オリジナル商品の開発にも挑戦できます。食べることが好きで、食品開発や品質管理の分野に興味がある人におすすめです。

  • 生活科学科

    保育や福祉、調理、被服など、生活に関わる幅広い知識と技術を学びます。地域の保育園での実習など、実践的な授業が多いのが特徴です。将来、保育士や介護福祉士、調理師などを目指す人に適した学科です。

糸島農業高等学校の特色・校風

糸島農業高等学校は、「勤労努力」「和衷協同」「研究啓発」を校訓に掲げ、実践的な学びを通して社会で活躍できる人材の育成を目指しています。

学校全体の雰囲気は、農業高校ならではの実習が多く、生徒たちは活発で明るい印象です。校風をキーワードで表すなら、「実践重視」「地域密着」「アットホーム」といった言葉がぴったりでしょう。

  • 宿題の量: 専門的な実習やレポートが多いため、決して少なくはないようですが、自分の興味のある分野をとことん追求できる環境です。

  • 校則: 口コミを見ると、校則はやや厳しめという声があります。特に、頭髪や服装に関する指導は、就職など将来を見据えて厳しく設定されているようです。スマートフォンの使用については、校内でのルールが定められています。

  • 生徒たちの雰囲気: 専門分野を学びたいという共通の目的を持った生徒が集まっているため、真面目で協力的な雰囲気があるようです。男女ともに仲が良く、和気あいあいとした学校生活を送っている様子がうかがえます。

  • アルバイト: アルバイトは原則として許可制となっている場合が多いようです。学業との両立が条件となります。

  • 制服: 制服については、一般的なデザインのようですが、生徒からは様々な意見が聞かれます。

  • 土曜授業: 土曜授業の有無については、年度によって異なる可能性があるため、学校説明会などで確認することをおすすめします。

糸島農業高等学校の部活動・イベント

部活動

糸島農業高等学校では、運動部・文化部合わせて21の部活動・同好会があり、多くの生徒が熱心に活動しています。

  • 運動部: 運動部は、ボクシング部や弓道部などが九州大会に出場するなど、近年力をつけています。剣道部も少人数ながら日々稽古に励んでいます。その他、軟式野球部、バレーボール部、サッカー部、ソフトテニス部、バドミントン部など、多様な部活動が揃っています。

  • 文化部: 文化部では、太鼓部や、動物の飼育を行う「あにとぴあ同好会」、地域の課題解決に取り組む「地域イノベーション部」など、糸島農業高校ならではのユニークな部活動が活発です。食品加工同好会では、専門知識を活かした活動が期待できます。

イベント

糸島農業高等学校では、農業高校ならではの体験ができる学校行事がたくさんあります。

  • 糸農祭(文化祭): 毎年11月に行われる「糸農祭」は、最大のイベントです。生徒たちが丹精込めて育てた野菜や花、手作りの加工品などが販売され、毎年多くの地域住民で賑わいます。一般公開もされており、学校の雰囲気を知る絶好の機会です。

  • 体育祭: 5月に行われる体育祭は、学科対抗で盛り上がります。農業高校らしい競技も取り入れられ、生徒たちの団結力が高まります。

  • 田植え・収穫体験: 6月には田植えが行われるなど、年間を通して農業に関わる様々な体験ができます。

  • 修学旅行: 1月には3泊4日の日程で修学旅行が実施されます。大自然に親しみ、仲間との友情を深める貴重な機会となっています。

  • クラスマッチ: 年に2回、クラスマッチが開催され、スポーツを通してクラスの親睦を深めます。

糸島農業高等学校の進学実績

糸島農業高等学校の卒業生は、専門知識と実践力を活かして、多様な進路に進んでいます。就職と進学の割合は、年度によって変動しますが、専門性を活かした就職に強いのが大きな特徴です。

  • 大学・短大・専門学校への進学: 進学を希望する生徒の多くは、農業系の大学や、食、動物、保育、福祉など、各学科で学んだ専門分野に関連する大学、短期大学、専門学校へ進学しています。主な進学先として、東海大学や中村学園大学短期大学部、福岡県農業大学校などが挙げられます。また、麻生公務員専門学校や中村調理製菓専門学校、福岡ECO動物海洋専門学校など、幅広い分野の専門学校に進む生徒も多いです。

  • 就職: 就職希望者の内定率は高く、多くの生徒が希望する企業へ就職しています。主な就職先としては、農業関連企業、食品製造会社、地元の企業などが中心です。例えば、イオン九州株式会社、株式会社ピエトロ、JR九州エンジニアリング株式会社など、多岐にわたる企業で卒業生が活躍しています。

学校では、生徒一人ひとりの希望進路を実現するために、きめ細やかな進路指導が行われています。

糸島農業高等学校の特長・アピールポイント

糸島農業高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 広大な農場での実践的な学び: 学校の敷地内には水田、畑、果樹園、牛舎などがあり、本物の環境で学ぶことができます。授業の多くが実習で、体験を通して知識と技術を身につけられます。

  • 「いとのうマーケット」での販売実習: 生徒たちが生産した農産物や加工品を、月に一度「いとのうマーケット」で地域の人々に直接販売します。生産から販売までを経験することで、流通や経済の仕組みも学べます。

  • 地域との連携: 地域の課題解決に取り組むプロジェクト学習や、地元のイベントへの参加など、糸島市という地域に根ざした活動が盛んです。

  • 豊富な資格取得のチャンス: 農業技術検定や危険物取扱者、食物調理技術検定など、将来に役立つ様々な専門資格の取得を学校がサポートしています。

  • 命と向き合う教育: 動物の飼育や作物の栽培を通して、命の尊さや食への感謝の気持ちを育むことができます。これは、他の高校ではなかなかできない貴重な経験です。

  • 専門分野のスペシャリストを目指せる: 4つの専門学科があり、自分の興味や関心に合わせて、好きな分野をとことん追求することができます。

  • NHK朝ドラのロケ地にも: 2024年度後期のNHK連続テレビ小説「おむすび」の撮影ロケ地となり、全国的にも注目を集めました。

糸島農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

糸島農業高等学校についての在校生や卒業生からの口コミをまとめました。

  • 良い点:

    • 「普通科では学べない専門的なことが学べるのが楽しい」という声が非常に多いです。

    • 「実習が多く、体を動かしながら学べるので飽きない」

    • 「動物や植物が好きなので、毎日が充実している」

    • 「先生たちが就職に熱心で、サポートが手厚い」

    • 「同じ目標を持つ仲間と出会えて、楽しく学校生活が送れる」

    • 「資格がたくさん取れるので、将来に役立つ」

    • 「糸農祭などの行事がとても盛り上がる」

  • 気になる点:

    • 「校則が少し厳しいと感じることがある」という意見が見られます。

    • 「実習は楽しいが、夏は暑く冬は寒いなど、体力的に大変なこともある」

    • 「施設や校舎が少し古い部分がある」という声もあります。

    • 「大学進学、特に4年制大学を目指すには、個人の努力がかなり必要になる」

    • 「駅から少し歩くので、雨の日は少し大変」

アクセス・通学

糸島農業高等学校へのアクセス方法です。

  • 最寄り駅: JR筑肥線「筑前前原駅」

  • アクセス方法:

    • JR筑肥線「筑前前原駅」から徒歩約8分

    • JR筑肥線「美咲が丘駅」から徒歩約16分

福岡市内や唐津方面からもJR筑肥線一本でアクセスできるため、糸島市内だけでなく、福岡市西部など広いエリアから生徒が通学しています。

糸島農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

糸島農業高等学校を目指す皆さんへ。この学校は、ただ勉強するだけでなく、「好き」を専門的な学びに変え、将来の仕事に繋げたいと考える君にぴったりの場所です。動物が好き、植物を育ててみたい、美味しいものを作りたい、人の役に立ちたい。そんな純粋な気持ちを、糸島農業高校は全力で応援してくれます。

受験勉強では、もちろん国語、数学、英語などの基礎学力は大切です。しかし、それ以上に「なぜ糸農で学びたいのか」「将来どんなことをしてみたいのか」を自分の言葉で語れるようにしておくことが重要です。面接では、君の熱意や探究心がきっと評価されるはずです。

糸島農業高校での3年間は、教室の机に向かうだけでは得られない、かけがえのない経験に満ちています。生命と向き合い、仲間と汗を流す日々は、君をたくましく成長させてくれるでしょう。夢への第一歩、自信を持って踏み出してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。