大阪府立茨木高等学校は、ただ学力が高いだけの学校ではありません。120年以上の歴史と伝統を礎に、「自主自律」の精神を何よりも大切にする、生徒が主役の学校です。ノーベル文学賞を受賞した川端康成をはじめ、数多くの優れた卒業生を輩出してきたことでも知られています。
勉強はもちろん、学校行事も部活動も、すべてに本気で打ち込み、自分だけの高校生活をデザインしたい。もしあなたがそう強く願うなら、この茨木高等学校(いばらきこうとうがっこう)は、最高の学び舎となり、かけがえのない3年間を約束してくれる場所になるはずです。
この記事では、そんな茨木高等学校の魅力を、進学アドバイザーの視点から余すところなくお伝えします。
茨木高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩として、所在地や連絡先は正確に把握しておくことが大切です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 大阪府立茨木高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒567-0886 大阪府茨木市新庄町12番1号 |
代表電話番号 | 072-622-3423 |
公式サイトURL | https://www2.osaka-c.ed.jp/ibaraki/ |
茨木高等学校の偏差値・難易度・併願校
茨木高等学校への入学を考える上で、最も気になるのがその難易度でしょう。偏差値だけでなく、合格に必要な内申点や併願校の傾向を具体的に知ることで、目標設定がしやすくなります。
茨木高等学校に設置されているのは「文理学科」のみで、その偏差値は73とされています。これは大阪府内の公立高校の中でもトップクラスに位置し、北野高校や天王寺高校、大手前高校といった最難関校と肩を並べるレベルです。
この高い偏差値が示す通り、合格を勝ち取るためには非常に高い学力が求められます。大阪府の公立高校入試では、学力検査の難易度別に「A・B・C」の3種類の問題がありますが、茨木高校が採用するのは最も難易度の高い「C問題(発展的問題)」です。単なる暗記では太刀打ちできない、深い思考力や応用力が試される問題への対策が不可欠です。
さらに、学力検査の点数だけでなく、中学校での成績を数値化した「内申点」も重要になります。茨木高校の合格者の傾向を見ると、9教科の5段階評定がほぼオール5に近い、極めて高い内申点が求められるようです。具体的な目標としては、450点満点の内申点を0.6倍した270点満点換算で、260点以上が一つの目安とされています。これは、中学校3年間を通じて、主要5教科だけでなく副教科においても、常にトップレベルの成績を維持する必要があることを意味します。
このように、茨木高等学校の入試は、試験当日の得点力と、日々の学習への真摯な取り組みの両方が高いレベルで問われます。この厳しい基準は、入学後、自由な校風の中で自らを律し、主体的に学びを深めていける生徒を選抜するための、最初のステップとも言えるでしょう。
大阪府の公立高校は併願ができないため、受験生は万が一に備えて私立高校を併願するのが一般的です。茨木高校の受験生が併願校として選ぶことが多いのは、同じく高い学力レベルを誇る以下の私立高校です。
項目 | 目安 |
偏差値 | 73 (文理学科) |
合格に必要な内申点の目安 | 260/270点以上 (オール5に近い成績が求められる傾向) |
主な併願校 | 関西大倉高等学校、清風南海高等学校、四天王寺高等学校、明星高等学校、桃山学院高等学校など |
茨木高等学校に設置されている学科・コース
茨木高等学校は、2018年度から普通科の募集を停止し、現在は「文理学科」のみが設置されています。この一本化は、すべての生徒に最高水準の教育を提供するという学校の強い意志の表れです。
-
文理学科
-
どんなことを学ぶ場所か:難関大学進学に対応する高い学力はもちろん、物事の本質を探究する力や、論理的思考力、表現力を育むことに重点を置いた学科です。単なる受験勉強にとどまらない、知的好奇心を刺激する深い学びが展開されます。
-
どんな生徒におすすめか:特定の分野への強い探究心を持つ生徒や、ハイレベルな環境で切磋琢磨しながら自分の可能性を広げたいと考える生徒に最適です。
-
文理学科では、1年生の後期に科目選択を行い、2年生から文系(人文社会国際系)と理系(理数探究系)の学習内容に分かれていきます。しかし、特筆すべきは、文系・理系でクラスを分けない「混合クラス制」を基本としている点です。将来、法曹界を目指す生徒と、医学研究者を志す生徒が同じ教室で学び、議論を交わす。このような環境が、専門分野の枠を超えた幅広い視野と豊かな人間性を育む土壌となっています。
茨木高等学校の特色・校風
茨木高等学校の最大の特色は、一言でいえば「生徒主体の自由な校風」です。学校の雰囲気や文化をキーワードで表現するなら、「自由闊達」「自主自律」「文武両道」といった言葉がぴったりでしょう。ここでは、中学生の皆さんが特に気になるであろう学校生活のリアルな姿を、口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。
-
宿題の量:65分授業や土曜授業で授業時間が確保されている分、日々の課題や予習・復習の量は少なくないようです。しかし、「やらされる」というよりは、高いレベルの授業についていくために「自主的に勉強する」という雰囲気です。生徒一人ひとりが自分の学習計画を管理する能力が求められます。
-
校則(スマホ、服装など):校則は非常に緩やかで、生徒の自主性が尊重されています。
-
服装・身だしなみ:制服はありますが、髪型や髪色、ピアス、ネイルなどについて厳しい規則はないようです。常識の範囲内で、生徒が自ら判断することが期待されています。
-
スマホの持ち込み:持ち込みは許可されており、休み時間などは自由に使用できます。授業中の使用は原則禁止ですが、先生の許可があれば調べ学習などで活用することもあります。
-
-
生徒たちの雰囲気:真面目で知的好奇心が旺盛な生徒が多い一方で、行事や部活には全力で取り組む活発さも兼ね備えています。個性的な生徒が多く、「何かに夢中になっている人」が尊敬される文化があるようです。
-
アルバイト:校則で禁止されてはいませんが、学業、部活動、学校行事の準備などで非常に忙しいため、実際にアルバイトをしている生徒はほとんどいないようです。
-
制服の評判:男子は伝統的な黒の学ラン、女子はセーラー服です。特に女子のセーラー服は「可愛い」と評判で、これに憧れて入学する生徒もいるようです。
-
土曜授業:あります。月におよそ2回、土曜日にも授業が行われ、質の高い学びを支える十分な授業時間を確保しています。
この「自由」は、何もしなくてよいという意味ではありません。むしろ、自由だからこそ、一人ひとりが「自分はどうすべきか」「何をしたいのか」を常に考え、行動することが求められます。この厳しい自己管理の要求こそが、茨木高校の生徒を精神的に大きく成長させる要因となっています。
茨木高等学校の部活動・イベント
部活動
茨木高等学校では、「文武両道」が単なるスローガンではなく、生徒たちの日常に深く根付いています。部活動への加入率はほぼ100%に近く、非常に活気があります。運動部・文化部ともに種類が豊富で、全国レベルで活躍する部から、ユニークな活動を行う同好会まで、自分の興味や関心に合わせて打ち込める環境が整っています。
-
運動部
運動部は、伝統的に強豪として知られる部が多いのが特徴です。
-
水泳部:全国大会や近畿大会の常連として知られる強豪です。校内には、国体の水球競技会場としても使用された本格的な50m屋内プールがあり、最高の環境で練習に打ち込めます。
-
ダンス部:高いパフォーマンスレベルを誇り、大会で優秀な成績を収めている人気の部活動です。
-
ライフル射撃部:他の高校ではあまり見られない珍しい部活動です。集中力と精神力が鍛えられ、全国大会を目指して活動しています。
-
その他、硬式野球部、ラグビー部、ハンドボール部なども盛んに活動しています。
-
-
文化部
文化部も非常に多彩で、生徒の知的好奇心や創造性を満たす活動が展開されています。
-
吹奏楽部:コンクールでの活躍はもちろん、学校行事での演奏など、発表の機会も多い人気の部です。
-
競技かるた部:日本の伝統文化に触れながら、団体戦などで熱い戦いを繰り広げています。
-
クイズ研究同好会:テレビのクイズ番組に出場した実績もあり、知の探求を楽しむ生徒たちが集まっています。
-
その他、FUSION部、数学研究部、天文地球科学部、レゴサークルなど、ユニークな部や同好会が数多く存在します。
-
イベント
茨木高等学校の学校生活を語る上で欠かせないのが、生徒の手で一から創り上げられる学校行事です。その熱量とクオリティの高さは、まさに圧巻の一言です。
-
茨高祭(文化祭):毎年6月上旬に開催される文化祭は、学校中が熱気に包まれる最大のイベントです。2日間で数千人もの来場者があり、各クラスが演劇、映像作品、お化け屋敷、飲食店など、趣向を凝らした出し物で競い合います。企画から準備、運営まで、すべて生徒が主体となって行います。
-
体育祭:9月に行われる体育祭も、生徒たちの情熱が爆発する一大イベントです。全校生徒が赤団と青団などに分かれ、団長や応援団を中心に数週間にわたって準備を進めます。巨大な応援パネルの制作や、息の合った応援合戦の練習など、クラスや学年を超えた強い一体感が生まれます。
-
宿泊野外行事(修学旅行):2年生で実施されるこの行事は、茨木高校の「自主自律」を象徴するものです。驚くべきことに、行き先、日程、活動内容、さらには利用する旅行会社まで、すべて生徒で構成される行事委員会が中心となって決定します。過去にはカンボジア、オーストラリア、フィリピンといった海外や、沖縄、九州、東北地方など、実に多様な場所が選ばれてきました。これは単なる旅行ではなく、調査、企画、交渉、合意形成といった、社会で必要とされるスキルを実践的に学ぶ、最高のプロジェクト型学習と言えるでしょう。
-
妙見夜行登山:大正時代から続く伝統行事で、夜通し山道を歩くことで、心身の忍耐力と仲間との絆を育みます。
これらの行事は、単なる「お楽しみ」ではありません。生徒たちが主体的に関わることで、リーダーシップ、協調性、問題解決能力といった、学力だけでは測れない「生きる力」を育む、重要な教育活動として位置づけられています。
茨木高等学校の進学実績
自由な校風の中で育まれた生徒たちは、卒業後、それぞれの「高い志」を胸に、輝かしい進路を実現しています。茨木高等学校は、大阪府内でも屈指の進学実績を誇り、特に難関国公立大学や難関私立大学へ、毎年多数の合格者を輩出しています。
関西圏の大学への進学を希望する生徒が多い「地元志向」の強さが見られますが、全国の難関大学へも果敢に挑戦しています。以下は、2025年度の最新の主要大学合格実績です。
大学群 | 主な大学名と合格者数(2025年度実績・既卒生含む) |
最難関国公立大学 | 京都大学 (32), 大阪大学 (79), 神戸大学 (31), 北海道大学 (5), 東北大学 (6), 名古屋大学 (1), 九州大学 (3) |
その他国公立大学 | 大阪公立大学 (52) をはじめ、全国の国公立大学に265名が合格 |
難関私立大学 | 【関関同立】 同志社大学 (269), 立命館大学 (378), 関西学院大学 (119), 関西大学 (130) 【早慶上理】 早稲田大学 (8), 慶應義塾大学 (7), 上智大学 (4), 東京理科大学 (13) |
この素晴らしい進学実績を支えているのが、質の高い授業と手厚い進学サポート体制です。
-
65分授業:1コマの授業時間を65分と長めに設定することで、実験や演習、グループでの議論など、思考力を深める活動にじっくりと取り組むことができます。
-
土曜・夏季授業:月に2回程度の土曜授業や、8月下旬からの夏季授業を実施することで、難関大学入試に対応するための十分な学習時間を確保しています。
-
少人数授業:数学や英語などの主要科目では、習熟度に応じた少人数クラス編成を取り入れ、一人ひとりの理解度に合わせたきめ細やかな指導を行っています。
-
学問発見講座・卒業生講座:土曜日などを活用し、大学教授や社会の第一線で活躍する卒業生を講師に招く講座を開講しています。学問の面白さや、社会との繋がりに触れることで、生徒の学習意欲を高め、将来の進路を考えるきっかけを提供しています。
これらの取り組みは、単に受験テクニックを教えるのではなく、生徒一人ひとりの知的好奇心を引き出し、自ら学ぶ力を育てることを目的としています。
茨木高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中で、茨木高等学校がひときわ輝きを放っている理由、それは他の学校にはないユニークな魅力があるからです。ここでは、その特長を7つのポイントに絞ってご紹介します。
-
生徒が主役の「自主自律」の文化
校則が緩やかであることに象徴されるように、学校生活のあらゆる場面で生徒の自主性が尊重されています。この信頼に基づいた自由な環境が、生徒一人ひとりの責任感と自己管理能力を育みます。
-
究極のPBL(プロジェクト型学習)である生徒主体の学校行事
文化祭や体育祭はもちろん、行き先さえも生徒が決める修学旅行など、すべての行事が生徒の手で創られます。これは、企画力、交渉力、リーダーシップなど、社会で生きる上で不可欠なスキルを実践的に学ぶ最高の機会です。
-
「北辰プロジェクト」による全人教育
学習、部活動、学校行事といったすべての教育活動を「北辰プロジェクト」という一つのコンセプトのもとに連携させ、生徒の人間的な成長を総合的に支援する独自の取り組みです。一部の優秀な生徒だけでなく、全員の可能性を伸ばすことを目指しています。
-
思考力を深める独自のカリキュラム
「文理学科」への一本化、じっくり学べる「65分授業」、文系・理系の枠を超えて刺激し合う「混合クラス制」など、単なる知識の詰め込みではなく、物事の本質を考える力を養うための工夫が随所に見られます。
-
GLHS指定校としてのグローバルな視野
大阪府の「グローバルリーダーズハイスクール(GLHS)」として、留学生の受け入れや独自の英語教育プログラムが充実しています。異文化に触れる機会が豊富にあり、国際社会で活躍するための素地を養うことができます。
-
卒業生との強固なネットワーク
社会の様々な分野で活躍する卒業生が「卒業生講座」などで後輩のために力を貸してくれるのも大きな魅力です。先輩たちの生き方に触れることで、自分の将来像を具体的に描くことができます。
-
120年を超える歴史と伝統が育む誇り
ノーベル賞作家・川端康成を輩出した輝かしい歴史は、生徒たちの大きな誇りです。この伝統が、生徒たちの「高い志」を育む無形の力となっています。
茨木高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に通っている生徒や卒業生は、茨木高等学校での生活をどのように感じているのでしょうか。ここでは、様々な口コミから見えてくる「良い点」と「気になる点」を公平にご紹介します。
-
良い点
-
「とにかく自由で楽しい」という声が圧倒的に多いです。校則に縛られず、生徒が信頼されていると感じられる環境が、高校生活の満足度に繋がっているようです。
-
「行事が最高に盛り上がる」という意見も多数あります。生徒が一から創り上げる文化祭や体育祭は、クラスや学年を超えた強い絆を生み、一生の思い出になると評価されています。
-
「周りのレベルが高く、常に刺激を受けられる」点も魅力として挙げられています。優秀で個性的な仲間たちと切磋琢磨することで、自分自身も大きく成長できると感じる生徒が多いようです。
-
「やりたいことに本気で挑戦できる」という声もあります。勉強、部活、趣味など、どんなことであっても情熱を注ぐことが肯定される雰囲気があります。
-
先生方のサポートについても、「普段は自主性に任されているが、相談すれば親身になってくれる」といったポジティブな意見が見られます。
-
-
気になる点
-
「自主性がないと厳しい」という意見は、自由な校風の裏返しと言えます。指示待ちの姿勢では、充実した学校生活を送るのは難しいかもしれません。自ら考えて行動する積極性が求められます。
-
「生徒間の学力差が大きい」と感じる生徒もいるようです。トップレベルの生徒がいる一方で、勉強についていくのが大変だと感じることもあり、プレッシャーになる可能性も指摘されています。
-
「とにかく忙しい」という声もよく聞かれます。レベルの高い授業、本格的な部活動、大規模な行事の準備を両立させるため、スケジュール管理が大変なようです。のんびりした高校生活を送りたい人には向かないかもしれません。
-
「施設が少し古い」という意見も一部で見られます。歴史ある学校ならではですが、プールなどの優れた施設がある一方で、校舎の一部に古さを感じる部分もあるようです。
-
アクセス・通学
茨木高等学校は、交通の便が非常に良い場所にあります。複数の駅が利用できるため、広いエリアから通学することが可能です。
-
最寄り駅からのアクセス
-
阪急京都線「茨木市」駅:西口から徒歩約7分
-
JR京都線「茨木」駅:西口から徒歩約15分
-
-
主な通学エリア
現在は学区が撤廃され、大阪府内全域から通学が可能ですが、立地的に地元の茨木市、高槻市、吹田市、摂津市といった北摂エリアから通う生徒が多い傾向にあります。しかし、阪急線とJR線の両方が利用できるため、大阪市内や京都方面、兵庫方面から通学している生徒もいます。
茨木高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、茨木高等学校を目指す君にエールを送ります。
茨木高等学校は、「誰かに与えられた正解」を探すのではなく、「自分で問いを立て、仲間と協力して答えを創り出したい」と考える君にこそ、最高の環境です。勉強も行事も、すべてを「自分ごと」として楽しめる、知的好奇心と行動力にあふれた生徒を待っています。もし君が、自由な環境で自分を試したい、高めたいと願うなら、茨木高等学校はその挑戦に全力で応えてくれるでしょう。
入試では、思考力が問われるC問題が出題されます。まずは中学校の学習内容を完璧に固めること。その上で、C問題の過去問や応用問題に数多く挑戦し、難問に粘り強く向き合う訓練を積んでください。高いレベルが求められますが、今の君の努力は、茨木高等学校での充実した未来に必ず繋がっています。高校選びは、これからの3年間をどう過ごしたいかを考える大切な時間です。この記事が、君と保護者の方にとって、茨木高等学校という素晴らしい選択肢を深く知る一助となれば、これほど嬉しいことはありません。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。