埼玉県立蕨高等学校は、ただ学力を高めるだけの場所ではありません。ここは、生徒一人ひとりが勉強、部活動、そして学校行事という3つの柱に全力で挑戦し、自分史上最高の高校生活を創り上げていく舞台です。学校が掲げる「Wの挑戦」というスローガンには、校名である「蕨(Warabi)」の頭文字だけでなく、この3本柱への挑戦という意味が込められています。
伝統ある「文武両道」の精神を受け継ぎながらも、それを現代的に進化させ、グローバルな視点を持つ次世代のリーダーを育成することを目指しています。高い目標を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、自分を大きく成長させたいと考えている皆さんにとって、蕨高等学校での3年間は、きっとかけがえのない財産になるでしょう。
この記事では、そんな蕨高校の多岐にわたる魅力を、中学生とその保護者の皆様に分かりやすくお伝えしていきます。
蕨高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの第一歩として、正確な情報を把握しておくことはとても大切です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 埼玉県立蕨高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒335-0001 埼玉県蕨市北町5-3-8 |
代表電話番号 | 048-443-2473 |
公式サイトURL | https://warabi-h.spec.ed.jp/ |
蕨高等学校の偏差値・難易度・併願校
蕨高等学校への合格を目指す上で、学力的な難易度を具体的に把握しておくことは不可欠です。偏差値や内申点の目安を知り、自分の現在地と目標との距離を確認しましょう。
最新の偏差値の目安は以下の通りです。
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普通科:
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外国語科:
この偏差値は県内の公立高校の中でも高い水準にあります。合格のためには、中学3年間の継続的な努力が求められます。難易度をより具体的にイメージするために、いくつかの指標を見てみましょう。
まず、埼玉県で多くの受験生が利用する北辰テストでは、偏差値前後がひとつの目標となります。
次に、合格に必要とされる内申点の目安ですが、普通科で、外国語科で程度が目標とされています。埼玉県の公立高校入試では、中学1年生から3年生までの成績が評価対象となり、蕨高校の場合、その比率は「」と中学3年生の成績が2倍で計算されるのが特徴です。つまり、3年生での頑張りが合否に大きく影響します。オール4をベースに、得意教科で5をいくつか獲得できると、目標に近づくでしょう。
蕨高校を第一志望とする受験生の多くは、万が一に備えて私立高校を併願します。その併願先の選択肢からも、蕨高校を目指す生徒たちの学力層や意欲の高さがうかがえます。主な併願校としては、以下のような進学校の上位コースが選ばれることが多いようです。
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大宮開成高等学校(特進選抜コースなど)
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浦和学院高等学校(T特、特進など)
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春日部共栄高等学校(特進コースα、選抜など)
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武南高等学校(特進、選抜など)
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栄東高等学校
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川越東高等学校(男子)
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淑徳与野高等学校(女子)
これらの併願校の選択は、蕨高校の生徒たちが高い学習意欲を持ち、大学進学を強く意識していることの表れと言えるでしょう。
蕨高等学校に設置されている学科・コース
蕨高等学校には、それぞれに特色のある2つの学科が設置されています。自分の興味や将来の目標に合わせて、どちらの学科がより自分に合っているかを考えてみましょう。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:2年次まで文系・理系に分かれず、幅広い科目を履修することで、基礎学力を徹底的に固めます。3年次で初めて文系・理系コースに分かれるため、じっくりと自分の興味や適性を見極める時間があります。
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どんな生徒におすすめか:「まだ将来の夢がはっきり決まっていないけれど、高校で様々なことを学びながら自分の可能性を探したい」という生徒に最適な学科です。
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外国語科
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どんなことを学ぶ場所か:英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)を少人数クラスで集中的に学びます。2年次からは第二外国語(フランス語、ドイツ語、中国語から選択)の授業も始まります。英語劇やディベート大会、イングリッシュキャンプなど、実践的なプログラムも豊富です。
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どんな生徒におすすめか:「英語が大好きで、語学力を活かして将来は国際的な舞台で活躍したい」という明確な目標を持つ生徒にとって、最高の環境が整っています。
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この2つの学科は、いわば「柔軟な探求」を重んじる普通科と、「専門的な深化」を目指す外国語科という、2つの異なる教育哲学を一つの学校で提供していると言えます。この選択肢の多様性が、蕨高校の大きな魅力の一つです。
蕨高等学校の特色・校風
学校選びでは、偏差値や進学実績だけでなく、3年間を過ごす場所の「空気感」も非常に重要です。蕨高等学校は、「文武両道」「自由闊達」「活気がある」といった言葉で表現されることが多い、エネルギッシュな校風を持っています。
生徒たちが本当に知りたい学校生活のリアルな姿を、口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。
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宿題・課題の量:進学校ということもあり、「勉強は大変」という声が多く聞かれます。日々の授業の予習・復習はもちろん、長期休暇中の課題など、学習量は決して少なくありません。しかし、それは高い進学実績を支える基盤でもあります。
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校則(スマホ・服装・アルバイトなど):校則は、県内の進学校の中では比較的「緩やか」とされています。
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スマートフォンの持ち込みは許可されています。
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アルバイトは原則として禁止ですが、届け出をすれば可能な場合もあります。実際には、黙認されているケースもあるようです。
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頭髪検査や服装チェックが厳しく行われることは少ないようですが、テストの際に先生が確認していることもあるとの声も。
この背景には、高い目標を持って入学してくる生徒たちの自主性や責任感を学校が信頼しているという側面があるようです。厳しい規則で縛るのではなく、生徒一人ひとりが高校生としての自覚を持って行動することが期待されています。ただし、「キラキラな高校生活に憧れて入学すると後悔する」という声があるように、この自由は学業や部活動に真剣に取り組むという前提の上で成り立っていることを理解しておく必要があります。
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生徒たちの雰囲気:「明るく活発な生徒と、物静かで真面目な生徒がバランスよくいる」という評価が多く、多様な個性を受け入れる土壌があります。学力レベルの高い生徒が集まっているため、知的な刺激を受けられる会話が多く、互いに高め合える環境です。
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制服の評判:男子は伝統的な黒の学ラン、女子は紺のブレザーです。特に女子の制服について、「リボンが少し個性的(ダサい)」という声が正直なところ多く聞かれます。しかし、「毎日着ているうちに慣れるし、気にならなくなる」というのが在校生の共通した感想のようです。
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土曜授業:2学期制を採用しており、授業時間を確保するために土曜授業が実施されています。
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施設の特徴:学校の最もユニークな特徴として、「ベランダ廊下」が挙げられます。教室の外がそのまま廊下になっている構造で、「インスタ映えするし青春を感じる」と好意的に捉える声がある一方で、「雨や冬は寒くて不便」という実用面での指摘もあります。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、蕨高校を象徴する忘れられない風景となることは間違いないでしょう。
蕨高等学校の部活動・イベント
「Wの挑戦」の柱である部活動と学校行事は、蕨高校の学校生活を語る上で欠かせない要素です。ここでは、生徒たちが情熱を注ぐ活動の一部をご紹介します。
部活動
蕨高校では部活動への加入が奨励されており、多くの生徒が学業と両立させながら活動に打ち込んでいます。運動部、文化部ともに非常に活発で、全国レベルで活躍する部も少なくありません。
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特に有名な部活動
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バトン部・ダンス部:いずれも全国大会の常連として知られ、そのパフォーマンスレベルの高さは学校の誇りです。これらの部活動に憧れて入学を決める生徒も多いようです。
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陸上競技部:関東大会出場など、個人・リレー共に高い実績を誇ります。
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柔道部:関東大会や全国大会への出場経験があり、伝統的に強豪として知られています。
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吹奏楽部:西関東大会に出場するなど、高い演奏技術で評価されています。
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この他にも、サッカー部、野球部、テニス部などの運動部から、化学部、パソコン部、漫画研究部といった文化部まで、多種多様な部活動があり、生徒たちは自分の興味に合わせて活動の場を選ぶことができます。
イベント
蕨高校の学校行事は、生徒たちの手で創り上げられ、非常に大きな盛り上がりを見せます。特に以下の三大行事は、高校生活の忘れられない思い出となるでしょう。
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臨海学校(1年次):現在は社会情勢を鑑みて新潟県での林間学校となっていますが、もともとは千葉県の岩井海岸で実施されていた伝統行事です。埼玉県の高校では珍しいこの行事は、入学して間もない1年生の絆を深める貴重な機会となっています。
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強歩大会:彩湖の周辺を、男子はkm、女子はkmという長い距離を走る、または歩くという非常に過酷なイベントです。この行事は単なる体力測定ではなく、苦しい道のりを仲間と励まし合いながら乗り越えることで、忍耐力や精神力を鍛えるという教育的な目的を持っています。この共有体験が、学校全体の強い団結力を生み出す源泉の一つとなっています。
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蕨高祭(文化祭):数ある行事の中で最も盛り上がるのがこの文化祭です。クラスや部活動単位での展示や発表、ステージパフォーマンスなど、生徒たちの創造性とエネルギーが爆発します。先生方も一体となって本気で取り組むため、学校全体が熱気に包まれます。
蕨高等学校の進学実績
蕨高校は、生徒の進路希望を実現する進学校として、非常に高い大学進学実績を誇ります。卒業生の9割以上が現役で大学に進学しており、その進学先も国公立大学から難関私立大学まで多岐にわたります。
以下に、2025年度入試における主要大学の合格実績(既卒生含む)を抜粋して示します。
大学区分 | 主な大学名と合格者数 | 合計 |
国公立大学 | 東北大学 3名、一橋大学 3名、筑波大学 7名、千葉大学 6名、横浜国立大学 6名、お茶の水女子大学 2名、東京都立大学 6名、埼玉大学 12名 など | 86名 |
早慶上理ICU | 早稲田大学 45名、慶應義塾大学 13名、上智大学 16名、東京理科大学 26名 など | 101名 |
GMARCH | 法政大学 113名、立教大学 91名、明治大学 83名、中央大学 43名、学習院大学 40名、青山学院大学 30名 | 400名 |
これらの輝かしい実績は、生徒個人の努力はもちろん、学校の強力なサポート体制によって支えられています。その中心となるのが、以下の取り組みです。
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理想の進路実現追求プログラム「キャリアプラン(CP)」:単に大学に合格することだけをゴールとせず、生徒が自らの将来像を描き、その実現のために何を学ぶべきかを考えることを促す独自のプログラムです。卒業生による講演会や面談を通じて、長期的な視点での進路意識を育みます。
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充実した進学補習:放課後や長期休暇中に、多種多様な進学補習が開講されています。これにより、多くの生徒が塾や予備校に頼ることなく、学校内での学習だけで難関大学への合格を勝ち取っています。
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「受験は団体戦」の文化:蕨高校には、「受験は個人の戦いではなく、クラスや学年全体で乗り越えるものだ」という文化が根付いています。互いに教え合い、励まし合う協力体制が、生徒一人ひとりの学習意欲を高め、学年全体の学力向上につながっています。
蕨高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中から蕨高校が選ばれる理由、それは他校にはない独自の強みがあるからです。ここでは、その特長とアピールポイントを7つに絞ってご紹介します。
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独自の進路指導「キャリアプラン(CP)」がある
大学合格の先にある人生を見据え、生徒が主体的に将来を設計する力を養う、未来志向のキャリア教育プログラムが実践されています。
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挑戦心を育む伝統の体育的行事
男子18.8km、女子14.1kmを走破する「強歩大会」や、1年次の「臨海・林間学校」など、心身を鍛え、仲間との絆を深めるハードな伝統行事が受け継がれています。
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充実したグローバル教育環境
専門的な「外国語科」の設置、第二外国語の履修機会、希望者対象の海外研修など、世界に目を向けるためのプログラムが豊富に用意されています。
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「受験は団体戦」を掲げる手厚い学習サポート
学校全体で生徒を支える文化と、塾要らずとも言われるほどの充実した進学補習体制が、高い大学進学実績を生み出しています。
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生徒の自主性を尊重する「責任ある自由」な校風
比較的緩やかな校則のもと、生徒の自主性が尊重されています。これは、高い目標を持つ生徒たちへの信頼の証であり、大学生活にも通じる成熟した雰囲気を醸成しています。
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じっくり進路を考える普通科のカリキュラム
普通科では3年次まで文理を分けず、幅広い教養を身につけます。これにより、生徒は自分の適性をじっくり見極めた上で、最適な進路を選択することができます。
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学校のシンボル「ベランダ廊下」
好き嫌いは分かれるものの、校舎の外に廊下があるというユニークな建築様式は、蕨高校の個性を象徴する忘れられない風景として、多くの卒業生の記憶に刻まれています。
蕨高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に学校に通っている生徒や卒業生の「生の声」は、学校の本当の姿を知る上で非常に参考になります。ここでは、様々な口コミを公平にまとめました。
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良い点
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「勉強や行事など、何事にも本気で取り組める雰囲気が良い。先生方も熱心で、生徒と一体となって盛り上げてくれる」という声が非常に多いです。
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「周りの生徒のレベルが高いので、会話が面白く、知的な刺激を受けることができる。自然と自分も頑張ろうと思える環境」と、仲間との切磋琢磨を評価する意見も目立ちます。
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「校則が緩やかで自由な雰囲気。なんだかんだ言って、住めば都でとても楽しい学校生活が送れる」といった、学校への愛着が感じられる口コミも多数あります。
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気になる点
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最も多く指摘されるのが、アクセスの問題です。「最寄りの3駅(蕨駅、南浦和駅、北戸田駅)のどこからでも徒歩で25分~30分ほどかかり、通学が大変」という声は覚悟しておく必要がありそうです。
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「『キラキラした女子高生ライフ』に憧れて入学すると、勉強や行事の大変さとのギャップに後悔するかもしれない」という、現実的なアドバイスも散見されます。蕨高校の楽しさは、楽な楽しさではなく、努力の先にある充実感だと言えるでしょう。
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「女子の制服、特にリボンが正直ダサい」という意見は、昔から根強くあります。
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名物の「ベランダ廊下」は、冬の寒さや雨の日の不便さを指摘する声も少なくありません。
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「自我が強く、はっきりものを言う生徒が多いので、人によっては馴染むのに時間がかかるかもしれない」といった、人間関係に関する意見も見られました。
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総じて、蕨高校は「『なんとなく』で選ぶと後悔する可能性がある学校」と言えます。しかし、その明確な校風や挑戦を求める環境が自分に合っていると確信できる生徒にとっては、最高の3年間を約束してくれる場所であることも、多くの口コミが示しています。
アクセス・通学
蕨高等学校への通学方法と、通学エリアの傾向について説明します。
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最寄り駅からのアクセス
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JR京浜東北線「蕨駅」西口より 徒歩約18分 またはバス
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JR京浜東北線・武蔵野線「南浦和駅」西口より 徒歩約20分 またはバス
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JR埼京線「北戸田駅」より 徒歩約20分
公式サイトでは上記のように案内されていますが、在校生や卒業生からは「実際には25分から30分程度かかる」という声が多く聞かれます。毎日のことなので、一度自分の足で歩いてみて、時間を計っておくことを強くお勧めします。
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通学エリア
駅からの距離があるにもかかわらず、その教育内容の魅力から、非常に広い範囲から生徒が通学しています。所在地である蕨市や戸田市、隣接するさいたま市や川口市はもちろんのこと、草加市、越谷市、上尾市など、県内の広域から生徒が集まるのが特徴です。
蕨高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、蕨高等学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
蕨高等学校は、「困難なことにも進んで挑戦したい」「勉強も部活も行事も、すべてに全力で打ち込みたい」と考える、エネルギッシュな生徒に特におすすめの学校です。高いレベルの仲間たちと切磋琢磨し、時には厳しい課題や行事を共に乗り越える中で得られる達成感や一体感は、他では味わえない大きな魅力となるでしょう。
受験勉強においては、まず北辰テストで偏差値以上を安定して取れるようになることが一つの目標です。そして、内申点は中学3年生の成績が2倍になることを意識し、日々の授業と定期テストに真剣に取り組み、通知表で以上を目指してください。蕨高等学校での充実した3年間は、皆さんのこれからの人生の大きな糧となります。高い志を持ち、最後まで諦めずに挑戦を続けてください。心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。