中央大学附属高等学校は、ただ偏差値が高いだけでなく、生徒一人ひとりの個性を最大限に尊重し、大学生活を先取りするような自由な環境で学べる、非常に魅力的な学校です。高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を考える上でとても大切な一歩。だからこそ、表面的な情報だけでなく、その学校が持つ「空気感」や「哲学」まで知ってほしいと願っています。
この学校の最大のキーワードは「自主・自治・自律」。これは、厳しい校則で縛るのではなく、生徒を信頼し、自ら考え、判断し、行動する力を育むという教育方針の表れです。この理念のもと、中央大学附属高等学校では、勉強はもちろん、部活動、学校行事、そして日々の過ごし方まで、生徒が主役となって創り上げていくことができます。
ここでは、そんな中央大学附属高等学校のリアルな姿を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生の声に基づく校風や学校生活の詳細まで、皆さんが本当に知りたい情報を余すところなくお伝えします。この記事を読み終えたとき、あなたがこの学校でどんな3年間を送れるのか、きっと具体的にイメージできるようになっているはずです。
中央大学附属高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 中央大学附属高等学校 |
区分 | 私立・男女共学 |
所在地 | 〒184-8575 東京都小金井市貫井北町3-22-1 |
電話番号 | 042-381-5413 |
公式サイト | https://www.hs.chuo-u.ac.jp/ |
中央大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校
中央大学附属高等学校を目指す上で、まず気になるのが学力レベルでしょう。ここでは、具体的な偏差値から合格に必要な力の目安まで、詳しく解説します。
偏差値・難易度
中央大学附属高等学校の偏差値は、各種模擬試験や情報サイトによるとおおむね69から70とされています。これは東京都内の私立高校の中でもトップクラスに位置し、非常に高い学力が求められる難関校であることを示しています。
単に偏差値の数字を見るだけでなく、合格の目安として「内申点」も重要になります。推薦入試を考える場合、9教科の素内申(5段階評価の合計)で、少なくとも39以上、合格者の平均は42前後という声が多く聞かれます。これは、主要5教科だけでなく、技能4教科でも高い評価を得ている必要があることを意味します。日々の授業態度や提出物など、中学校での学習への真摯な取り組みが合格への鍵となります。
同じくらいの偏差値の他の高校
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明治大学付属明治高等学校(普通科)
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成蹊高等学校(普通科)
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広尾学園高等学校(普通科インターナショナルコース)
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本郷高等学校(普通科)
主な併願校
中央大学附属高等学校を受験する生徒は、以下のような高校を併願校として選ぶ傾向があります。
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私立併願校:錦城高等学校(特進)、拓殖大学第一高等学校、明治大学付属八王子高等学校、中央大学杉並高等学校など、同じく高いレベルの大学附属校や進学校が選ばれることが多いようです。
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公立併願校:国立高等学校、国分寺高等学校、西高等学校、日比谷高等学校など、都立のトップ校を第一志望とする生徒が併願するケースも多く見られます。
中央大学附属高等学校に設置されている学科・コース
中央大学附属高等学校には、他の多くの私立高校に見られるような「特進コース」や「国際コース」といった区分けはなく、「普通科」のみが設置されています。
しかし、これは決して画一的な教育が行われているという意味ではありません。むしろ、すべての生徒が高いレベルの教育を受けられる環境が整っていることの証です。カリキュラムは、約9割の生徒が進学する中央大学のどの学部にも対応できるような学力を養うことを基本としつつ、国公立大学や他の難関私立大学を目指す生徒にも十分対応できる深度と広がりを持っています。特に、以下の2つのプログラムが、実質的に専門コースのような役割を果たしています。
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教養総合:全生徒が必修で取り組む探究学習プログラムです。自ら問いを立て、調査し、論文にまとめ、発表するという一連のプロセスを通じて、思考力や表現力を磨きます。知的好奇心が旺盛で、好きなことをとことん突き詰めたい生徒におすすめです。
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SSH(スーパーサイエンスハイスクール):文部科学省の指定を受け、先進的な理数教育を実践するプログラムです。大学の研究室と連携した実験や、英語での研究発表など、高度な学びに挑戦できます。将来、科学者や技術者を目指す生徒にとって最高の環境です。
中央大学附属高等学校の特色・校風
この学校の最大の魅力は、その独特の校風にあります。キーワードは「自主・自治・自律」「自由闊達」。生徒一人ひとりが大人として尊重され、大きな裁量が与えられています。
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校則は厳しいか緩やかか:校則は「ない」と言っても過言ではないほど自由です。制服はなく、生徒は毎日私服で通学します。髪を染めること、ピアス、メイク、ネイルもすべて個人の判断に任されています。この自由さは、生徒が「自分らしさ」を表現する機会であると同時に、社会の一員としてTPOをわきまえる責任感を学ぶための教育的な意図も含まれています。
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スマホの扱い:校内でのスマートフォンの所持は認められており、TPOに合わせた使用が指導されています。休み時間に友達と連絡を取ったり、調べ物をしたりと、多くの生徒が有効に活用しているようです。
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宿題の量は多いか少ないか:宿題の量については、生徒の状況によって感じ方が異なるようです。日々の学習にしっかりついていけている生徒にとっては標準的な量ですが、もし成績が振るわなかったり、提出が遅れたりした場合には、「愛のムチ」とも言える手厚い補習や追加の課題が出されることがあります。これは、自由な校風の中でも学業をおろそかにさせないという学校の強い意志の表れです。
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生徒たちの雰囲気:明るく、コミュニケーション能力が高い生徒が多いと評判です。中学からの内部進学者と高校からの入学者もすぐに打ち解け、和気あいあいとした雰囲気です。自由な環境でのびのびと過ごしながらも、根は真面目で知的な生徒が多く、互いに良い刺激を与え合える関係が築かれています。
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アルバイトは可能か:アルバイトは許可されています。学業や部活動と両立させながら、社会経験を積んでいる生徒もいます。
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土曜授業はあるか:基本的に土曜日は休みですが、部活動の練習や試合、SSHの課外活動、学校行事などが行われることがあります。
中央大学附属高等学校の部活動・イベント
自由な校風の中、生徒たちは部活動やイベントにも全力で取り組み、最高の思い出を作っています。
部活動
運動部・文化部合わせて30以上のクラブがあり、多くの生徒が加入して活発に活動しています。全体のレベルも高く、全国大会で活躍する部も少なくありません。
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マンドリン部:全国高等学校ギター・マンドリン音楽コンクールで、最高賞である「文部科学大臣賞」を受賞した実績を持つ、全国トップレベルの部です。その美しい音色は、多くの人を魅了しています。
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ライフル射撃部:高校の部活動としては珍しいですが、こちらも全国屈指の強豪です。数々の大会で優勝や上位入賞を果たしており、集中力と精神力を鍛えたい生徒に人気です。
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水球部:関東大会の常連であり、パワフルなプレーが魅力です。チームワークを大切に、日々厳しい練習に励んでいます。
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ソングリーディング部:チアダンスの全国大会で上位入賞を果たすなど、華やかさと高い技術力を兼ね備えた部です。学校行事でも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれます。
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生物部(WILDLIFE):SSHの活動とも連携し、本格的な研究活動を行っています。学会で研究成果を発表し、賞を受賞するなど、学術的な実績も豊富です。
イベント
生徒が主体となって企画・運営するイベントは、どれも大変な盛り上がりを見せます。
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白門祭(文化祭):毎年9月に行われる文化祭は、中附(ちゅうふ)生活のハイライトとも言える一大イベントです。各クラスや部活動が趣向を凝らした展示や発表、模擬店を出し、校内は熱気に包まれます。特に、ダンス部やバンドなどのステージパフォーマンスは圧巻です。
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体育祭:秋に開催される体育祭は、クラス対抗で様々な競技に挑みます。クラスTシャツを揃え、仲間と一丸となって応援する時間は、かけがえのない思い出になります。
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修学旅行・移動教室:高校生活の大きな楽しみの一つである旅行行事も充実しています。2年生では奈良・京都へ、3年生では沖縄へと向かい、歴史や文化、自然を学びながら友人との絆を深めます。
中央大学附属高等学校の進学実績
中央大学の附属校として、その進学実績には大きな強みがあります。しかし、単なる「エスカレーター式」の学校とは一線を画す、ユニークな制度が魅力です。
中央大学への内部推薦
最大の特長は、卒業生の約87%から90%が中央大学へ推薦で進学することです。3年間の学業成績の合計順位によって、希望する学部・学科への推薦が決まる仕組みのため、生徒たちは日々の学習に真剣に取り組みます。看板学部である法学部は特に人気が高く、例年100名以上が進学しています。
他大学への進学実績
中央大学附属高等学校の進学サポートがユニークなのは、「中央大学への推薦資格を保持したまま、他大学を受験できる」という制度がある点です。これにより、生徒は「もしもの時のための安心」を確保しながら、自分の夢に挑戦できます。ただし、この制度が適用されるのは、国公立大学、または中央大学にはない学部(医学部、歯学部、薬学部など)を受験する場合に限られます。
この制度を活用し、毎年多くの生徒が難関大学への合格を勝ち取っています。
進路分類 | 主な大学名と合格者数 (2025年度実績参考) |
中央大学への推薦進学 | 合計 352名 (法103, 経済65, 商63, 理工39, 文42, 他) |
国公立大学 | 筑波大学 (2), 東京農工大学 (2), 千葉大学 (1), 電気通信大学 (1), 他 |
難関私立大学 (早慶上理) | 上智大学 (14), 東京理科大学 (6), 慶應義塾大学 (4), 早稲田大学 (2) |
難関私立大学 (GMARCH) | 青山学院大学 (3), 立教大学 (3), 明治大学 (1), 法政大学 (1) |
このように、中央大学への安定した進学パスと、より高い目標に挑戦できる環境の両方が用意されているのが、この学校の進路指導の大きな強みです。
中央大学附属高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、この学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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圧倒的な自由を尊重する校風:制服なし、校則も最小限。生徒を大人として信頼し、自主性を育む大学のような雰囲気の中で、のびのびと個性を伸ばすことができます。
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中央大学への推薦を確保しつつ他大学に挑戦できる制度:大学受験のプレッシャーから解放され、安心して自分の限界に挑戦できる、附属校の中でも特に恵まれた「セーフティネット」があります。
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SSH指定校としての高度な探究学習:「教養総合」の授業では、全生徒が3年間かけて一つのテーマを研究し、卒業研究としてまとめ上げます。本物の学問に触れる貴重な経験ができます。
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大学の授業を先取りできる高大連携プログラム:高校在学中に中央大学の授業を履修できるプログラムがあり、一足先に大学での学びを体験することが可能です。
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全国レベルで活躍する多彩な部活動:文部科学大臣賞を受賞したマンドリン部をはじめ、ライフル射撃部や水球部など、全国の舞台で輝かしい実績を誇る部活動が数多く存在します。
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生徒が主役で創り上げる熱気あふれる学校行事:「白門祭」に代表される学校行事は、企画から運営まで生徒が中心となって行います。学校全体が一体となる盛り上がりは、中附ならではの魅力です。
中央大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からは、学校生活の充実度を称賛する声が数多く寄せられています。一方で、その独特な校風ゆえの注意点も指摘されています。
良い点
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「とにかく高校生活が楽しい」という声が圧倒的に多いです。自由な校風のもと、勉強、部活、行事のすべてに全力で打ち込める環境が、最高の3年間を約束してくれるようです。
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「本当の自由が手に入る」と、生徒を信頼し、尊重する学校の姿勢を評価する声も目立ちます。自分で考えて行動することが求められるため、自然と自立心が育まれるとの意見です。
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「先生との距離が近く、親身に相談に乗ってくれる」という口コミも多く、分かりやすい授業だけでなく、生徒一人ひとりに寄り添うサポート体制が整っていることがうかがえます。
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「大学受験のストレスなく、好きなことに没頭できる」のは、附属校ならではの大きなメリットです。受験勉強に追われることなく、探究学習や部活動、趣味に時間を費やせることを魅力に感じる生徒が多いようです。
気になる点
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「自主性がないと厳しいかもしれない」という意見は、この学校の特性をよく表しています。時間管理や学習計画を自分で立てられないと、自由な環境の中で遅れをとってしまう可能性があります。
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「外部の大学受験を本気で考えている人には、周りの雰囲気が緩く感じられるかもしれない」という声もあります。多くの生徒が内部進学を目指すため、難関大学への一般受験を目指す場合は、強い意志と自己管理能力が不可欠です。
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「課題は意外と多い」という口コミも見られます。特に、成績が振るわない生徒に対しては、しっかりとフォローするための課題や補習が用意されており、決して「楽ができる」学校ではないようです。
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「駅から少し歩く」点が、通学の負担として挙げられることがあります。武蔵小金井駅から徒歩で約18分かかりますが、バスも利用できます。
アクセス・通学
緑豊かな小金井市に位置する中央大学附属高等学校へのアクセス方法と、生徒の通学状況です。
最寄り駅からのアクセス
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JR中央線「武蔵小金井」駅:
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徒歩で約18分。
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北口6番バス乗り場から京王バス「中大循環」に乗車し、約6分。「中大附属高校」バス停で下車すぐです。
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西武新宿線「小平」駅:
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南口から銀河鉄道バスに乗車し、約12分。「中央大学附属中学・高等学校」バス停で下車します。
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通学エリア
学校の規定により、通学は東京都および隣接県(神奈川、埼玉、千葉)に居住する保護者または保証人のもとからと定められています。実際の生徒の通学時間は、30分~60分が約5割、60分~90分が約4割となっており、広範囲から多くの生徒が通学していることがわかります。
中央大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。中央大学附属高等学校は、高い学力はもちろんのこと、「自由」の中で自分を律し、成長したいと考える、自立心旺盛なあなたにこそ、最高の舞台となる学校です。誰かに指示されるのではなく、自分で自分の高校生活をデザインしたい。大学受験の先にある、本当の学びを探究したい。そんな強い意志を持つ生徒にとって、これほど刺激的で充実した環境は他にないでしょう。
中央大学附属高等学校の合格を勝ち取るためには、まず中学校の成績、特に内申点を高いレベルで安定させることが不可欠です。日々の授業を大切にし、すべての教科に真摯に取り組んでください。その上で、入試本番では、単なる知識だけでなく、物事を多角的に捉える思考力や、自分の考えを的確に表現する力が問われます。過去問を解くだけでなく、「なぜそうなるのか」を常に考える習慣をつけましょう。あなたの挑戦を、心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。