九州国際大学付属高等学校、通称「九国」は、15年連続で福岡県内の受験者数が最も多いという、絶大な人気を誇る私立高校です。毎年4000人近くの中学生がこの学校を目指すのには、一体どのような理由があるのでしょうか。その答えは、学校が持つ多様な魅力と、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出す環境にあります。

この学校の最大の特長は、「自分次第で、どんな高校生活もデザインできる」という点にあります。全国トップレベルの大学を目指すための徹底した学習環境から、甲子園や全国大会を本気で目指す部活動まで、幅広い選択肢が用意されています。九州国際大学付属高等学校は、生徒数も多く、まさに社会の縮図のような場所。様々な価値観を持つ仲間と出会い、切磋琢磨する中で、自分だけの「答え」を見つけていく3年間が待っています。

この記事では、そんな九州国際大学付属高等学校の学習環境、学校生活のリアルな姿、そして卒業後の進路まで、あらゆる角度から詳しく解説していきます。偏差値やコースの詳細だけでなく、在校生や卒業生の「生の声」も交えながら、九国が持つ本当の魅力を探っていきます。この記事が、皆さんの高校選びの確かな一助となることを願っています。

九州国際大学付属高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校見学や問い合わせの際に役立ちます。

項目 内容
正式名称 九州国際大学付属高等学校 (きゅうしゅうこくさいだいがくふぞくこうとうがっこう)
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒805-0002 福岡県北九州市八幡東区枝光5丁目9-1
代表電話番号 093-671-8443
公式サイトURL https://www.kif.ed.jp/

九州国際大学付属高等学校の偏差値・難易度・併願校

九州国際大学付属高等学校の大きな特徴は、コースによって偏差値が大きく異なる点です。自分の学力や目標に合ったコースがあるか、しっかり確認しましょう。

学科・コース名 偏差値の目安
普通科 難関クラス 72
普通科 S特進クラス 68
普通科 特進クラス 61
普通科 進学クラス 52
普通科 トップアスリートクラス 45

この偏差値の幅広さは、九州国際大学付属高等学校が多くの受験生を集める理由の一つです。最難関の難関クラスは県内トップクラスの学力が求められる一方、進学クラスやトップアスリートクラスは、より幅広い学力層の生徒を受け入れています。これにより、学業でトップを目指す生徒と、スポーツで全国を目指す生徒が同じキャンパスで学ぶという、ユニークな環境が生まれています。

難易度をより具体的にイメージするために、合格に必要な得点率の目安も公表されています。難関クラスで80%、S特進クラスで70%、特進クラスで50%、進学クラスで45%程度が目安とされています。まずは自分の目標とするコースの得点率をクリアすることを目標に、学習計画を立てると良いでしょう。

主な併願校としては、同じ北九州地区や福岡都市圏の私立高校が挙げられます。具体的には、敬愛高校、西南学院高校、筑陽学園高校、自由ケ丘高校、福岡大学附属大濠高校などが主な併願先として考えられます。自分の学力や校風の好みに合わせて、これらの高校も研究しておくと、より納得のいく高校選びができます。

九州国際大学付属高等学校に設置されている学科・コース

九州国際大学付属高等学校には、生徒の多様な進路希望に応えるため、特徴の異なる5つのコースが設置されています。どのコースも、入学時の成績だけでなく、入学後の頑張り次第で上のコースへ移るチャンスがあるのが大きな魅力です。

  • 難関クラス

    東京大学や京都大学、国公立大学医学部といった最難関大学への現役合格を目指す少数精鋭のクラスです。在籍者は全員が授業料全額支給のA特待生となるなど、手厚いサポートが受けられます。

  • S特進クラス

    難関クラスに次ぐトップクラスで、九州大学をはじめとする難関国公立大学を目指します。模試の成績などで難関クラスを上回ることもあり、互いに競い合うライバルとして高い学習意欲を維持できる環境です。

  • 特進クラス

    国公立大学や難関私立大学への進学を目標とする、学校の中心的クラスです。在籍者数が最も多く、学校全体の活気ある雰囲気はこのクラスが作っていると言っても過言ではありません。

  • 進学クラス

    部活動と勉強を両立させながら、九州国際大学をはじめとする私立大学や、専門学校など多様な進路を目指すクラスです。小論文指導など、一人ひとりの進路に合わせたきめ細やかなサポートが特徴です。

  • トップアスリートクラス

    スポーツ推薦で入学した生徒が在籍し、野球、サッカー、バドミントンなどで全国制覇を目指すクラスです。専用グラウンドやトレーニングルームなど充実した施設で練習に打ち込みながら、8割以上の生徒が大学進学も実現しています。

九州国際大学付属高等学校の特色・校風

九州国際大学付属高等学校の校風を表すキーワードは、「文武両道」「多様性」「自主性」です。ここでは、口コミなどを基に、学校生活のリアルな姿を詳しく見ていきましょう。

  • 校風・生徒たちの雰囲気

    生徒数が多く、様々なコースがあるため、生徒の雰囲気は「多様」の一言に尽きます。真面目に勉強に打ち込む生徒、部活に青春を捧げる生徒、趣味や自分の好きなことに没頭する生徒など、個性的な仲間がたくさんいます。「友達がたくさんできる」「毎日が楽しい」という声が多く、活気のある学校生活を送りたい人にはぴったりの環境です。一方で、一部の生徒からは「サッカー部と野球部が偉そうにしている」といった声もあり、スポーツ強豪校ならではの雰囲気を感じる場面もあるようです。

  • 校則(スマホ・服装・アルバイト)

    校則は「私立にしては緩やか」という意見と、「意外と厳しい」という意見の両方があります。

    • スマホ:持ち込みは許可されていますが、校内での使用には制限があるようです。オープンスクールでは「自由に使える」と説明されたのに、実際は違った、という声も見られるため、ルールをしっかり確認しておくことが大切です。

    • 服装:制服は「可愛い」「かっこいい」と評判が良く、学校選びのポイントにしている生徒も少なくありません。学校側もオリジナルデザインに誇りを持っているようです。

    • アルバイト:原則として禁止されている可能性が高いです。多くの進学校と同様に、学業や部活動に専念することが求められます。

  • 宿題・学習面

    「自称進学校」という口コミがあるように、学習サポートは手厚いですが、その分、学校からの要求も多いようです。特に、希望制のはずの課外授業や模試について、「先生からの圧で強制的に受けさせられる」と感じる生徒もいます。これは、高い進学実績を維持するための学校側の熱意の表れとも言えます。自主的にどんどん勉強したい生徒には最高の環境ですが、自分のペースで学習したい生徒は、少し窮屈に感じるかもしれません。

  • 先生について

    「良い先生と悪い先生の差が激しい」「先生は当たり外れがある」という口コミが非常に多く見られます。これは生徒数の多い大規模校ならではの課題かもしれません。熱心に放課後まで指導してくれる先生がいる一方で、頭が固いと感じる先生もいるようです。良い先生を見つけて、積極的に質問に行くなど、自分から動く姿勢が、学校生活を充実させる鍵となりそうです。

  • 土曜授業

    「サタデープログラム」という名称で、希望制の土曜授業が実施されています。平日の授業の補習や、大学受験に向けた演習などが行われ、多くの生徒が活用しているようです。

九州国際大学付属高等学校の部活動・イベント

九国での高校生活を語る上で欠かせないのが、活発な部活動と、学校全体が一体となるイベントです。

部活動

運動部・文化部ともに数多くのクラブがあり、全国レベルで活躍する部から、和気あいあいと活動する同好会まで様々です。特に以下の運動部は、九州国際大学付属高等学校の顔とも言える存在です。

  • 野球部

    甲子園の常連校として全国的に有名で、春の選抜大会で準優勝、夏の選手権大会でベスト8という輝かしい実績を誇ります。若松区にある専用グラウンドで日々厳しい練習に励んでおり、多くのプロ野球選手を輩出しています。原則としてトップアスリートクラスの生徒のみが入部可能です。

  • サッカー部

    九州の強豪校が集う「プリンスリーグ」に所属し、全国高校サッカー選手権大会への出場経験もあります。「観る人を魅了するサッカー」を目標に掲げ、大学の人工芝グラウンドという恵まれた環境で活動しています。こちらもJリーガーを何人も育てています。

  • バドミントン部

    男女ともに全国大会の常連で、特に女子は全国制覇を達成したこともある超強豪です。元日本代表の潮田玲子さんをはじめ、多くのオリンピック選手やトップアスリートを輩出してきました。

この他にも、陸上競技部、硬式テニス部、体操部なども全国大会に出場経験があり、非常に高いレベルで活動しています。文化部では、年々部員が増え、コンクールや学校行事で活躍する吹奏楽部や、国際交流を行うIECなどが活発です。

イベント

九国には「九国三大祭」と呼ばれる大きな行事があり、生徒たちの楽しみの一つとなっています。

  • 咲橘祭(さきつさい)

    6月に行われる文化祭です。クラスごとの模擬店やステージ発表、文化部の展示などでキャンパスが熱気に包まれます。2日目は一般公開もされ、多くの来場者で賑わいます。吹奏楽部の演奏やチアリーディング部のパフォーマンスは必見です。

  • 体育祭

    9月に行われる、咲橘祭と並ぶ二大行事の一つです。クラス対抗で様々な競技に臨み、応援にも熱が入ります。クラスの団結力が一気に高まるイベントとして、多くの生徒が楽しみにしています。

  • 探九祭(たんきゅうさい)

    3月に行われる、比較的新しい行事です。探究学習の成果を発表する場として設けられており、九国の学習面の特色を象徴するイベントと言えるでしょう。

この他にも、修学旅行やクラスマッチなど、思い出に残る行事がたくさん用意されています。

九州国際大学付属高等学校の進学実績

九州国際大学付属高等学校は、近年、大学進学実績を大きく伸ばしており、国公立大学の合格者数は過去最多を更新し続けています。生徒一人ひとりの目標達成を支える、手厚い進学サポート体制の成果と言えるでしょう。

以下は、近年の主な大学合格実績です。(※主に2022年度から2024年度の実績を参考にしています)

大学区分 主な合格大学と人数(複数年度の代表例)
国公立大学 九州大学(10)、東北大学(3)、大阪大学(1)、九州工業大学(18)、山口大学(26)、北九州市立大学(34)など、合計188名(2023年実績)
難関私立大学(関東) 早稲田大学(4)、慶應義塾大学(3)、明治大学(12)、立教大学(6)、中央大学(7)など
難関私立大学(関西) 同志社大学(7)、立命館大学(39)、関西学院大学(7)、近畿大学(36)など
地元有力私立大学 西南学院大学(40)、福岡大学(137)、産業医科大学(5)など
附属大学 九州国際大学(77)
その他 短大、看護系専門学校、公務員、民間企業就職など多様な進路

この高い進学実績は、コース制によるきめ細かな指導の賜物です。難関・S特進クラスが最難関大学への合格を牽引し、最も人数の多い特進クラスが国公立大学合格者数の土台を支えています。また、進学クラスからも小論文指導などの手厚いサポートによって国公立大学への合格者が出ています。夏季・冬季の課外授業や勉強合宿、頻繁に実施される校外模試など、学力を伸ばすためのプログラムが豊富に用意されており、生徒の「もっと学びたい」という意欲に応える体制が整っています。

九州国際大学付属高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、九州国際大学付属高等学校ならではの強みや魅力を5つのポイントにまとめました。

  • 多様な目標に応える5コース制とステップアップ制度

    最難関大学を目指す「難関クラス」から、全国の頂点を目指す「トップアスリートクラス」まで、自分の夢に直結した環境を選べます。さらに、入学後の成績と希望によってコース変更も可能なため、常に高い目標を持って努力し続けられるのが大きな魅力です。

  • 福岡県No.1の人気が作る、圧倒的なスケールと活気

    15年連続で受験者数県内トップという事実は、それだけ多くの生徒を惹きつける魅力がある証拠です。約2000人もの生徒が通うマンモス校ならではの活気、多様な仲間との出会い、そして強力な卒業生ネットワークは、他校では得られない大きな財産になります。

  • 本物の「文武両道」を実現する環境

    甲子園常連の野球部や全国制覇を成し遂げたバドミントン部など、全国トップレベルの運動部が多数存在する一方で、国公立大学に毎年200名近い合格者を出す進学実績も誇ります。これは、学校全体で学業と部活動の両方を尊重し、本気で取り組む文化が根付いていることを示しています。

  • 「自分次第」を支える自主性と手厚いサポート

    「自主的に勉強できる人には最高の環境」という口コミが示す通り、生徒のやる気を引き出す仕掛けが豊富です。全生徒へのタブレット端末導入によるICT教育の推進、勉強合宿やサタデープログラムといった学習機会の提供など、生徒の「伸びたい」という気持ちを全力で後押しします。

  • 学校全体が一つになる、活気あふれる学校行事

    「咲橘祭」「体育祭」「探九祭」の三大祭をはじめ、甲子園のアルプススタンドを埋め尽くす全校応援など、学校全体で盛り上がるイベントが目白押しです。これらの行事を通して、クラスや学年を超えた強い一体感が生まれ、一生の思い出を作ることができます。

九州国際大学付属高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点

    • 「とにかく学校が楽しい。友達がたくさんできて、毎日が充実している」という声が最も多く聞かれます。

    • 「咲橘祭や体育祭などの行事が本当に盛り上がる。クラスの団結力が強くなる」と、イベントを高く評価する意見も多数あります。

    • 「制服が可愛い・かっこいいと評判で、それが決め手になった」という生徒も少なくありません。

    • 「熱心な先生が多く、質問に行けば放課後でも親身に教えてくれる。受験の最後まで支えてくれた」と、先生への感謝の声もあります。

    • 「校舎が新しくて綺麗。清潔感があって気持ちよく過ごせる」という点も好評です。

    • 「部活動と勉強の両立ができる環境が整っている」と感じている生徒も多いようです。

  • 気になる点

    • 「先生の質の差が激しい。熱心な先生もいれば、そうでない先生もいて、当たり外れがある」という指摘が最も多く見られます。

    • 「希望制のはずの課外授業や模試に、先生からの圧があり、強制参加のような雰囲気がある」という不満の声があります。

    • 「オープンスクールでの説明と、入学後の実際の校則(特にスマホの使用)にギャップを感じた」という意見も散見されます。

    • 「一部の強豪運動部の生徒が、少し偉そうにしていると感じることがある」という、大規模なスポーツ強豪校ならではの悩みも聞かれます。

    • 「良くも悪くも『自称進学校』。勉強の面倒見は良いが、管理が厳しいと感じることもある」という、学校の体質に関する意見もあります。

アクセス・通学

九州国際大学付属高等学校は、北九州市八幡東区の小高い丘の上にあります。主な通学方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅

    • JR鹿児島本線「枝光駅」:駅から徒歩約12分です。「望玄坂」という坂道を登りますが、この坂を3年間歩いて通う生徒も多くいます。

    • JR鹿児島本線「スペースワールド駅」:こちらも最寄り駅の一つです。

  • スクールバス

    朝の登校時間帯には、「枝光駅」と「スペースワールド駅」から学校まで無料のスクールバスが運行されており、多くの生徒が利用しています。

  • 路線バス

    西鉄バスを利用する場合、「大宮町」バス停から徒歩約5分、または「九国大附属高校前」バス停で下車すぐです。

  • 通学エリア

    北九州市内全域はもちろん、JRを利用して福岡市や筑豊、京築エリアなど、福岡県内の広範囲から生徒が通学しています。県外出身の寮生も在籍しています。

九州国際大学付属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで九州国際大学付属高等学校の様々な情報を見てきましたが、最後にアドバイザーとして、受験生の皆さんへメッセージを送ります。

九州国際大学付属高等学校は、「明確な目標を持つ、自立した生徒」に特におすすめの学校です。最難関大学に行きたい、スポーツで日本一になりたい、たくさんの仲間と最高の高校生活を送りたい。どんな目標でも構いません。その目標に向かって、自ら考え、行動できる人にとって、九国は最高の舞台となるでしょう。多様な価値観が混在する大きな学校だからこそ、自分をしっかりと持ち、主体的に動く力が何よりも大切になります。

受験勉強では、まず中学校の基礎・基本を完璧に固めることに全力を注いでください。学校側も「基礎ができないのに応用は解けない」とアドバイスしています。その上で、自分が目指すコースの合格得点率(難関80%、S特進70%など)を具体的な目標として設定しましょう。ゴールが明確になることで、日々の勉強に集中力と意味が生まれます。九州国際大学付属高等学校という大きな船に乗り込むための、確かな切符を手に入れてください。

高校選びは、これからの人生を左右する大きな決断です。ぜひ一度オープンスクールに足を運び、九国の活気ある空気を肌で感じてみてください。そこで学ぶ先輩たちの姿に、3年後の自分の姿を重ねることができたなら、そこがあなたの進むべき道なのかもしれません。皆さんの挑戦を心から応援しています。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。