高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を考える大切な一歩ですね。数ある高校の中で、愛媛大学附属高等学校は、一人ひとりの「学びたい」という気持ちをどこまでも応援してくれる、とてもユニークで魅力的な学校です。一般的な高校とは少し違う、特別な環境がここにはあります。

この学校の最大の特長は、愛媛大学と深く連携しながら、まるで大学生のように自分の興味をとことん追求できる点にあります。決まったコースに縛られるのではなく、自分だけの時間割を作り、専門的な研究に挑戦することも可能です。愛媛大学附属高等学校が、あなたにとって最高の学びの舞台となるかもしれません。

この記事では、そんな愛媛大学附属高等学校の具体的な魅力や学校生活の様子を、進学アドバイザーの視点から詳しく解説していきます。偏差値や進学実績といったデータだけでなく、在校生の声や学校の雰囲気まで、あなたが本当に知りたい情報を詰め込みました。ぜひ、じっくりと読んで、未来の高校生活を想像してみてください。

愛媛大学附属高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 愛媛大学附属高等学校
国立/公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 愛媛県松山市樽味3-2-40
代表電話番号 089-946-9911
公式サイトのURL https://www.hi.ehime-u.ac.jp/

愛媛大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校

愛媛大学附属高等学校への合格を目指す上で、学力的な難易度を把握しておくことはとても重要です。

偏差値

  • 総合学科:63

この偏差値は、愛媛県内の高校の中でも上位に位置します。ただし、これはあくまで目安の一つです。その年の倍率や入試問題の内容によって合格の難易度は変わるため、参考として捉えてください。愛媛大学附属高等学校は、学力だけでなく、あなたの個性や学びへの意欲も大切にする学校です。

難易度のイメージと内申点

偏差値63は、愛媛県立高校でいうと松山北高等学校などが同じくらいのレベル感になります。合格を勝ち取るためには、しっかりとした学力が必要です。

  • 合格に必要な内申点の目安:一般入試の場合、中学3年間の9教科の評定合計で、135点満点中105点あたりが目標となるようです。これは、通知表の評価で「4」を中心に、いくつか「3」や「5」があるイメージです。推薦入試を目指す場合はさらに高く、108点(オール4)以上が一つの基準になると言われています。

  • 学力試験の目安:県の模擬試験では、180点以上(250点満点)が一つの目安とされています。愛媛大学附属高等学校の入試問題は、県立高校の入試とは傾向が異なる独自の問題が出題されるため、過去問などを通じた専用の対策が欠かせません。

主な併願校

愛媛大学附属高等学校は国立のため、愛媛県立高校との併願が可能です。しかし、入試日程などを考慮すると、主に私立高校を併願校として選択する受験生が多い傾向にあります。

  • 主な併願校の例:済美高等学校(特進エクセレントコースなど)、新田高等学校(スーパー特別進学コースなど)

愛媛大学附属高等学校に設置されている学科・コース

愛媛大学附属高等学校には「総合学科」が一つだけ設置されています。しかし、この総合学科こそが、この学校の最大の特長です。生徒は、自分の興味や将来の進路希望に合わせて、4つの「系列」を参考にしながら、幅広い科目の中から自分だけの時間割を組み立てていきます。

  • 生命科学系列

    • どんなことを学ぶ?:生物や化学を中心に、農業など生命に関わる専門的な内容を学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:農学部や理学部、医学部など、生命科学の分野に興味がある人におすすめです。

  • 物質科学系列

    • どんなことを学ぶ?:物理や数学を中心に、工業など物質の原理に関わる専門的な内容を学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:工学部や理学部など、ものづくりや科学技術の分野に進みたい人におすすめです。

  • 教養文化系列

    • どんなことを学ぶ?:国語や英語、歴史などを中心に、文学や語学、文化について深く学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:文学部や教育学部など、人文科学の分野に興味がある人におすすめです。

  • 社会文化系列

    • どんなことを学ぶ?:地理や公民を中心に、政治や経済、福祉など社会の仕組みについて学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:法学部や経済学部、教育学部など、社会科学の分野に関心がある人におすすめです。

愛媛大学附属高等学校の特色・校風

学校選びでは、データだけでは分からない「雰囲気」も大切なポイントです。愛媛大学附属高等学校は、キーワードで表すなら「自立創造」「自由な校風」「アットホーム」「探究学習」といった言葉がぴったりです。

  • 宿題の量:探究学習やレポートなど、自分で考えて進める課題が多いようです。特に理系科目では、授業の進度が速いと感じる生徒もおり、日々の予習・復習が欠かせません。単に量が多いというより、質の高い自学自習が求められる環境と言えるでしょう。

  • 校則(スマホ、服装など):校則は、生徒の自主性を尊重しつつも、高校生としての規律を保つために明確に定められています。2023年度には生徒会の意見も取り入れて校則の見直しが行われました。

    • スマホ:校内での自由な使用は認められておらず、先生の許可があった場合のみ使用できます。試験中の持ち込みには厳しいルールがあります。

    • 服装:制服の着こなしにはルールがあります(スカート丈は膝頭程度、改造は禁止など)。靴下は紺・黒・白の無地またはワンポイントまでと決められています。

    • 頭髪:染髪やパーマ、華美な髪型は禁止されています。

    • 全体的に:他の高校と比べて特別厳しいわけではありませんが、「自由」というのは主に学問的な側面にあり、学校生活の規律はしっかりと保たれているようです。

  • 生徒たちの雰囲気:一学年が120名と少人数のため、生徒同士や先生との距離が近く、非常にアットホームな雰囲気です。穏やかで真面目、そして自分の夢や目標を持った生徒が多いという声が多数聞かれます。「オラオラした感じの子はいない」という口コミもあり、落ち着いた環境で学校生活を送りたい人には最適です。

  • アルバイト:原則として禁止されています。

  • 制服の評判:ミントグリーンのシャツ・ブラウスが特徴的で、「豊かな自然環境・大学との連動性」がコンセプトになっています。爽やかで知的な印象を与えるデザインです。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業は行われていないようです。

愛媛大学附属高等学校の部活動・イベント

部活動

愛媛大学附属高等学校では、多くの生徒が部活動に励んでおり、文武両道を実践しています。運動部・文化部ともに充実しており、少人数だからこそ一人ひとりが主役として活躍できるチャンスが多くあります。

運動部

県大会などで活躍する部も多く、活気にあふれています。

  • ローイング部:学校の伝統ある部活動の一つで、日々体力と精神力を鍛え、大会での入賞を目指しています。

  • 硬式野球部:「声とダッシュにスランプはない」を合言葉に、限られた時間の中で質の高い練習に取り組んでいます。

  • その他:ソフトテニス部、陸上競技部、バスケットボール部なども、それぞれの目標に向かって熱心に活動しています。

文化部

大学附属という特色を活かした、知的好奇心を満たすユニークな部活動が揃っています。

  • 理科部:この学校の探究的な学びを象徴する部活動です。生物・化学・物理の各分野で研究活動を行い、学会で発表したり、地域の小中学生向けに理科実験教室を開催したりと、非常に活発です。

  • 農業部:前身が農業高校だった歴史を受け継ぐ部活動です。作物の栽培などを通じて、「科学性」「指導性」「社会性」を身につけることを目標にしています。

  • 伝統文化系の部活動:茶道部、華道部、書道部など、日本の伝統文化に触れられる部も人気です。茶道部が開催する「七夕茶会」は、生徒たちが浴衣姿でおもてなしをするなど、風情あるイベントとして知られています。

イベント

愛媛大学附属高等学校の学校行事は、他校にはないユニークなものがたくさんあります。生徒が主体となって企画・運営に関わる機会が多く、一人ひとりが輝ける場となっています。

  • 探究学習関連の行事:「基礎科学実験」や、博物館・劇場を訪れる「応用科学探究」など、座学だけではない体験的な学びが年間を通して数多く組み込まれています。これらは授業の一環でありながら、学校行事のような楽しさも伴います。

  • 農業関連の行事:自分たちで育てた野菜や卵などを校内で販売する「校内販売」は、生徒たちにとって貴重な実践の場です。口コミでは、収穫したお米を使った炭火焼き実習など、食と農に触れる楽しい体験が挙げられています。

  • 国際交流イベント:留学生との交流会や、国際教育リーダー研修会への参加など、グローバルな視点を養う機会が豊富に用意されています。

  • 文化祭・運動会:もちろん、高校生活を彩る定番のイベントも盛大に行われます。少人数のためクラスの団結力が強く、全員で一丸となって盛り上がるのが愛附流です。

愛媛大学附属高等学校の進学実績

愛媛大学附属高等学校の進路指導は、生徒一人ひとりの希望を最大限に尊重しつつも、非常に特徴的な強みを持っています。

最新の大学進学実績(2024年度入試結果より)

ほぼ全員が4年制大学への進学を希望します。その中でも、特筆すべきは愛媛大学への高い進学率です。

  • 国公立大学:合計 75名

    • 主な合格大学:愛媛大学 51名、その他国公立大学 24名(公立大学12名含む)

  • 難関私立大学:関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学(いわゆる「関関同立」)に4名が合格しています。

  • その他の進路:地元の有力私立大学である松山大学へも、例年多くの生徒が進学しています。

進学実績を支える取り組み

愛媛大学附属高等学校の進学実績、特に愛媛大学への圧倒的な強さは、学校独自の教育システムに裏打ちされています。

  • 愛媛大学への強力な推薦枠:進学者の多くは、学力試験だけでなく意欲や個性を評価する「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」を利用しています。これは、高校3年間の探究活動や大学との連携授業で培った力が、そのまま入試でのアピールポイントになるためです。

  • 大学と連携した「課題研究」:高校にいながら大学の先生から直接指導を受け、専門的な研究に取り組む「課題研究」は、この学校でしかできない貴重な経験です。この研究の成果が、推薦入試などで高く評価されます。愛媛大学への進学を考えている生徒にとっては、これ以上ない最高の環境と言えるでしょう。

愛媛大学附属高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、愛媛大学附属高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 愛媛大学への強力な進学ルート

    学校推薦型選抜などを活用し、毎年、学年の約4割が愛媛大学へ進学するという圧倒的な実績があります。愛媛大学を第一志望に考えている人には、最短かつ最適な道筋を示してくれます。

  • 大学レベルの本格的な「課題研究」

    3年間を通して一つのテーマを深く掘り下げる探究学習は、まさにこの学校の真骨頂です。愛媛大学の教授から直接指導を受けられる機会もあり、高校生のレベルを超えた本格的な研究が可能です。

  • 自由度の高い「総合学科」のカリキュラム

    必修科目以外は、自分の興味や進路に合わせて自由に科目を選択できます。文系・理系の枠にとらわれず、農業や工業、情報などの専門科目も学べるため、自分だけの学びをデザインできます。

  • 少人数制のアットホームな学習環境

    1学年120名という少人数教育により、生徒一人ひとりに先生の目が行き届きます。生徒同士もすぐに顔と名前が一致し、学年を超えて仲が良い、温かい人間関係が育まれます。

  • 農業の伝統を活かした体験型学習

    緑豊かなキャンパスには畑や実習施設があり、動物の飼育や作物の栽培といった、自然と触れ合う体験学習が豊富です。知識だけでなく、五感で学ぶ楽しさを実感できます。

  • グローバルな視点を育む国際交流

    文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイト校として、留学生の受け入れや海外研修への参加機会が豊富です。日常的に異文化に触れることで、国際感覚が自然と身につきます。

  • 生徒の自主性を尊重する校風

    「自立創造」の校訓のもと、生徒が自ら考えて行動することが奨励されています。校則の改定に生徒が関わるなど、学校運営にも主体的に参加できる文化が根付いています。

愛媛大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ

実際に通っている在校生や卒業生からは、どのような声が聞かれるのでしょうか。良い点と気になる点を公平にまとめました。

良い点

  • 「先生との距離が近く、相談しやすいアットホームな雰囲気が最高。少人数なので、クラスや学年全体の仲がとても良いです。」

  • 「農業実習や大学の先生と行う研究など、他の高校では絶対にできないようなユニークな授業や体験がたくさんあって楽しいです。」

  • 「愛媛大学に進みたい人にとっては、最高の環境だと思います。推薦入試のサポートが手厚く、とても心強いです。」

  • 「自分の好きなことや興味があることをとことん追求できる校風です。周りの生徒も目標を持っていて、お互いに高め合えます。」

  • 「穏やかで優しい人が多く、いじめなどの話は全く聞きません。落ち着いた環境で勉強に集中したい人にはぴったりです。」

気になる点

  • 「愛媛大学以外の難関国公立大学を目指す場合、カリキュラムが少し特殊なので、受験勉強は自分で計画的に進める必要があります。」

  • 「探究活動や発表の準備に時間がかかることもあり、純粋に受験科目の勉強だけに集中したい人には、少し忙しく感じるかもしれません。」

  • 「授業の進度が速い科目もあるため、自主的な予習・復習をしないと、ついていくのが大変になることがあります。」

  • 「自由な校風というイメージですが、服装やスマホなど、日常生活のルールは意外としっかり決められています。」

アクセス・通学

愛媛大学附属高等学校は、愛媛大学農学部に隣接する「樽味キャンパス」内にあります。

  • バスでのアクセス:JR「松山駅」から伊予鉄バス(8番線 道後温泉駅前行き)に乗車し、「愛大農学部前」バス停で下車するのが最も一般的です。所要時間は約25分です。その他、最寄りのバス停として「正円寺」バス停もあり、こちらは徒歩約2〜3分です。

  • 電車でのアクセス:伊予鉄道の「道後公園」駅が最寄りですが、駅から徒歩で約25分かかるため、電車通学の生徒は少ないようです。

  • 通学エリア:主に松山市内やその近郊から、路線バスを利用して通学している生徒が多いようです。

愛媛大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。愛媛大学附属高等学校は、「これを学びたい!」という強い好奇心や探究心を持っているあなたに、最高の環境を提供してくれる学校です。もしあなたが、将来、愛媛大学で専門的なことを学びたいと考えているなら、この学校以上に魅力的な選択肢はないでしょう。

受験勉強では、もちろん高い学力と内申点が求められます。日々の授業を大切にし、基礎を固めることが合格への一番の近道です。しかし、それと同時に「なぜ愛媛大学附属高等学校で学びたいのか」「この学校でどんな研究をしてみたいのか」を自分の中で深めてみてください。その熱い思いこそが、あなたを合格へと導く最大の力になります。あなたの挑戦を心から応援しています!