須磨学園高等学校は、兵庫県内でトップクラスの大学進学を目指す中学生なら、一度は耳にしたことがある名前ではないでしょうか。最難関国公立大学や医学部への高い合格実績を誇り、高い志を持つ仲間たちと切磋琢磨できる環境として、多くの受験生が憧れる学校です。その輝かしい実績は、学校全体で作り上げられた独自の教育システムの賜物と言えるでしょう。
しかし、その一方で、須磨学園の魅力は単なる進学実績だけではありません。在校生や卒業生からは「しんどいけれど、確実に鍛えられる」「厳しいけれど、最高の環境」といった声が数多く聞かれます。この言葉が意味するのは、高い目標を達成するために、生徒一人ひとりに相応の努力と覚悟が求められるということです。この学校での3年間は、間違いなく濃密で挑戦に満ちたものになるはずです。
この記事では、偏差値や進学実績といったデータはもちろん、学校生活のリアルな姿、ユニークな教育プログラム、そして在校生たちの本音の口コミまで、あらゆる角度から須磨学園高等学校を徹底的に解剖していきます。この学校があなたにとって本当に「行きたい」と思える場所なのか、一緒に見極めていきましょう。
須磨学園高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 須磨学園高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒654-0009 兵庫県神戸市須磨区板宿町3-15-14 |
代表電話番号 | 078-732-1968 |
公式サイトURL | https://www.suma.ac.jp/ |
須磨学園高等学校の偏差値・難易度・併願校
須磨学園高等学校の難易度は、コースによって大きく異なりますが、全体として兵庫県内で最上位に位置します。特にⅢ類は、県内のトップ公立高校と肩を並べる、あるいはそれを超えるレベルです。
コースごとの偏差値の目安は以下の通りです。
-
普通科Ⅲ類理数系:72
-
普通科Ⅲ類英数系:71
-
普通科Ⅱ類:66
-
普通科Ⅰ類:63
Ⅲ類理数系の偏差値72は、私立高校としては全国的に見ても非常に高く、兵庫県では灘高校に次ぐレベルとされています。Ⅱ類でも偏差値66と、公立トップ校に匹敵する難易度です。
この難易度を具体的にイメージするために、同じくらいの偏差値の公立高校を挙げると、Ⅲ類は神戸高校(総合理学)、長田高校(普通科)、姫路西高校(普通科)などが比較対象となります。Ⅱ類は、星陵高校(普通科)や北須磨高校(普通科)などを第一志望とする受験生が多く併願しています。
須磨学園の入試で最も特徴的なのは、合否判定において中学校の内申点が考慮されない点です。これは、学力試験当日の得点のみで評価される完全な実力勝負であることを意味します。中学校での成績に自信がなくても、試験本番で高得点を取る力があれば合格を勝ち取れるチャンスがある一方で、内申点によるアドバンテージがないため、純粋な学力が問われる厳しい戦いとなります。
このような入試制度のため、神戸高校、長田高校、兵庫高校といった県内トップの公立高校を第一志望とする生徒の、最も有力な併願先の一つとなっています。その他、滝川第二高校(スーパーフロンティア)、滝川高校(Science Global)、雲雀丘学園高校(文理探究)などが主な併願校として挙げられます。
須磨学園高等学校に設置されている学科・コース
須磨学園高等学校には、目標とする進路に応じて4つのコースが設置されています。それぞれのコースで特色あるカリキュラムが組まれており、自分の目指す未来に合わせた学びが可能です。
-
普通科 Ⅲ類理数系
最難関国公立大学の医学部・歯学部・薬学部や理系学部への現役合格を目指す、学園最上位のコースです。高度で先進的な授業が展開され、最高の学習環境で夢の実現に挑みたい人におすすめです。
-
普通科 Ⅲ類英数系
東京大学や京都大学をはじめとする最難関国公立大学の文系・理系学部への現役合格を目指すコースです。高いレベルで文武両道を実践し、日本の未来を担うリーダーを目指す人に最適です。
-
普通科 Ⅱ類
神戸大学や大阪大学などの難関国公立大学への現役合格を目指します。Ⅲ類に次ぐハイレベルなコースで、部活動にも打ち込みながら、高い学力を身につけたいバランス重視の人におすすめです。
-
普通科 Ⅰ類
国公立大学への進学を目指しながら、スポーツや芸術活動での全国レベルの活躍を両立させるコースです。特定の分野で高い能力を持ち、学業も決して諦めたくないという強い意志を持つ人に向いています。
特筆すべきは、2年生に進級する際に、成績に応じてコース変更が可能である点です。例えば、Ⅱ類で入学した生徒が1年間努力を重ね、Ⅲ類へステップアップすることができます。この制度は、常に高い目標を持ち続けるためのモチベーションとなり、学園全体に良い緊張感と活気をもたらしています。入学時のコースがゴールではなく、常に上を目指せる環境が須磨学園にはあります。
須磨学園高等学校の特色・校風
須磨学園の校風をキーワードで表すなら、「文武両道」「実力主義」「面倒見の良さ」、そして何より「厳しいけれど、成長できる環境」と言えるでしょう。ここでは、中学生の皆さんが気になる学校生活のリアルな姿を、口コミを基に詳しく見ていきます。
-
宿題の量
「大量に出される」「課題の量が多い」という声が圧倒的に多く、宿題の量はかなり多いようです。日々の授業内容を確実に定着させるため、相応の家庭学習時間が求められます。この課題を計画的にこなす力が、自然と身についていきます。
-
校則(スマホ、服装など)
校則は、一見すると厳しい面があります。個人のスマートフォンの持ち込みは禁止されていますが、その代わりに学校から「制携帯」と呼ばれるスマートフォンが全員に貸与されます。学習アプリの利用や緊急連絡には使えますが、ゲームなどは制限されており、勉強に集中するための工夫がされています。服装や頭髪に関する規定はありますが、生徒たちが勉学に集中しているため、校則を破るような生徒は少なく、窮屈に感じることは少ないという意見もあります。ただし、遅刻や課題の未提出など、基本的なルールを守らない生徒に対しては、厳しい指導が入ることもあるようです。
-
生徒たちの雰囲気
非常に学習意欲が高く、真面目な生徒が多いのが特徴です。「上のクラスはみんな学習意欲が高く、切磋琢磨して勉強に力を入れることができる」という声の通り、周りの仲間から良い刺激を受けられる環境です。休み時間や放課後も、友達同士で教え合ったり、先生に質問に行ったりする光景が日常的に見られます。
-
アルバイト
原則として禁止されているようです。平日7時間授業に加え、土曜授業、放課後の講座、そして夜9時までの自習時間「9時学」と、学業に専念するための時間が確保されているため、アルバイトをする時間的余裕はほとんどないでしょう。
-
制服の評判
制服は、男子・女子ともにブレザースタイルです。デザインについて特に強い賛否の声は見られず、多くの生徒が機能的で現代的なデザインとして受け入れているようです。
-
土曜授業
土曜日も授業があります。Ⅲ類は毎週、Ⅰ類・Ⅱ類は隔週で4時間の授業が組まれており、豊富な授業時間数を確保しています。
この学校の文化は、「合う人には最高の環境、合わない人には非常に厳しい環境」とはっきり分かれる傾向があります。自ら高い目標を掲げ、厳しい環境に身を置いてでも成長したいと考える生徒にとっては、これ以上ないほど手厚いサポートを受けられる場所です。一方で、自分のペースで学習したい、自由な時間を大切にしたいと考える生徒にとっては、少し窮屈に感じられるかもしれません。須磨学園を志望する際は、この独特のカルチャーが自分に合っているかをしっかり見極めることが何よりも重要です。
須磨学園高等学校の部活動・イベント
部活動
須磨学園は、勉強だけでなく部活動も全国レベルで非常に盛んです。「文武両道」を本気で目指せる環境が整っています。ナイター照明付きのグラウンドや50mプールなど、施設も充実しています。学業優先の方針から、放課後の講座などが活動より優先されることもありますが、多くの生徒が限られた時間の中で集中して練習に励んでいます。
-
陸上競技部
学校の顔とも言える部活動で、男女ともに全国トップクラスの実力を誇ります。特に女子駅伝チームは全国高校駅伝での優勝経験もあり、男子も毎年のように全国大会で活躍しています。全国からトップアスリートが集まり、日々ハイレベルな練習が行われています。
-
水泳部・弓道部
陸上競技部と同様に、全国レベルで活躍する強豪です。弓道部も全国選抜大会での優勝実績があります。充実した施設で、高い目標を持って活動しています。
-
ユニークな文化部
運動部だけでなく、文化部も非常に多彩です。一般的な部活動に加え、「数学研究部」「理科研究部」「社会研究部」といった進学校ならではのアカデミックな部活動が存在するのが特徴です。他にも「鉄道研究部」や「クイズ研究会」など、自分の興味をとことん追求できる場所が用意されています。
須磨学園が掲げる「文武両道」は、単なる両立ではありません。学業でも部活動でも、それぞれの分野で頂点を目指すという、非常に意識の高いものです。それを可能にするのが、後述する「PMTMシート」による自己管理や、夜9時まで学校で勉強できる「9時学」といった独自のシステムです。日本一を目指して部活動に打ち込みながら、最難関大学への合格も目指せる。そんな挑戦をしたい生徒にとって、須磨学園は最高の舞台となるでしょう。
イベント
須磨学園の学校行事は、スケールが大きく、教育的な目的が明確に組み込まれているのが特徴です。単なる息抜きではなく、人間的成長の機会として位置づけられています。
-
文化祭(傑作展)
「傑作展」という名の通り、各クラスや文化部が非常にクオリティの高い展示や発表を行います。過去には教室内にジェットコースターを作ったクラスもあるなど、生徒たちの創造性と本気度がうかがえる一大イベントです。
-
体育祭
団対抗リレーや騎馬戦など、伝統的な競技で学校全体が一体となって盛り上がります。クラスや団のチームワークが試され、生徒たちが夢中になれる一日です。
-
研修旅行
須磨学園の行事の中でも特に象徴的なのが、この研修旅行です。単なる観光旅行ではなく、明確な学習目的を持ったプログラムが組まれています。高校1年生では古都研修(京都・奈良)やヨーロッパ研修、2年生では東京研修やヨーロッパ研修など、国内外の様々な場所を訪れます。さらに希望者には、夏休みや春休みを利用したカナダ、イギリス(オックスフォード大学など)、アメリカへの短期留学プログラムも用意されており、グローバルな視野を養う絶好の機会となっています。これらの体験は、生徒たちの世界観を大きく広げ、将来の夢へと繋がっていきます。
須磨学園高等学校の進学実績
須磨学園の最大の強みの一つが、圧倒的な大学進学実績です。学校全体で構築された手厚いサポート体制が、生徒たちの輝かしい未来を切り拓いています。
2025年度の主な大学合格実績は以下の通りです。
-
国公立大学
-
東京大学:7名
-
京都大学:25名
-
大阪大学:41名
-
神戸大学:48名
-
国公立大学医学部医学科:32名
-
国公立大学合計:326名
-
-
難関私立大学
-
早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学:合計 72名
-
関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学(関関同立):合計 673名
-
この驚異的な実績を支えているのが、「塾いらず」と公言するほどの徹底した学内サポート体制です。平日7時間+土曜授業という豊富な授業時間に加え、放課後や長期休暇中には、生徒の習熟度や志望校に合わせた数多くの「講座」が開かれます。さらに、部活動を終えた生徒も参加できる夜9時までの監督付き自習「9時学」は、須磨学園の代名詞ともいえる制度で、多くの生徒が学校でその日の学習を完結させています。
このシステムは、生徒に高いレベルの学力を保証する一方で、多くの時間を学校で過ごすことを意味します。しかし、それは「学校がすべての学習をサポートする」という強い意志の表れでもあります。これらの素晴らしい進学実績は、生徒と教員が一体となって、この緻密に設計された教育システムの中で努力を続けた結果なのです。
須磨学園高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、須磨学園ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
-
「塾いらず」を実現する徹底した学習サポート体制
質の高い授業、豊富な講座、そして夜9時まで利用できる自習室「9時学」により、学校内ですべての受験対策が完結します。塾に通う時間や費用をかけずに、最難関大学を目指せる環境が整っています。
-
独自の自己管理ツール「PMTMシート」
毎週金曜日に、生徒全員が「プロジェクトマネジメント(PM)」「タイムマネジメント(TM)」シートを作成します。目標達成までの計画を立て、日々のスケジュールに落とし込むことで、計画性と自己管理能力を養います。教員が一人ひとりのシートをチェックし、アドバイスを送ることで、きめ細やかなサポートも行われます。
-
生徒全員に貸与される「制PC・制スマホ」
1人1台のパソコンとスマートフォンが貸与され、ICTを活用した教育が日常的に行われています。災害時には安否確認ツールとして迅速に機能するなど、学習面以外でも大きな役割を果たしています。
-
世界を舞台にした多彩な海外研修プログラム
高校2年生でのヨーロッパ研修旅行をはじめ、希望者にはオックスフォード大学など海外トップ大学での短期留学の機会も提供されます。世界レベルの知と文化に触れる体験は、生徒に大きな刺激を与えます。
-
全国トップレベルを誇る部活動
陸上競技部を筆頭に、多くの部活動が全国の舞台で活躍しています。高いレベルで文武両道を実践したい生徒にとって、最高の環境が用意されています。
-
内申点に左右されない実力主義の入試
合否は試験当日の点数のみで決まるため、純粋な学力で挑戦することができます。中学校の成績に不安がある生徒にも、逆転のチャンスがある公平なシステムです。
-
学内で上下のコース変更が可能な流動的クラス制度
入学後の頑張り次第で、より上位のコースへ移ることが可能です。この制度が常に生徒の向上心を引き出し、学園全体の活気を生み出しています。
須磨学園高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生、保護者から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。
-
良い点
-
「先生方のサポートが本当に手厚い。塾に行かなくても学校の授業と講座だけで十分だった」という声が非常に多いです。特に「9時学」は、学習習慣を確立する上で大きな助けになっているようです。
-
「厳しい環境だったが、精神的にとても鍛えられた」「諦めかけていた夢に手が届いた」など、厳しい学校生活を乗り越えたことで得られる達成感や成長を評価する声も目立ちます。
-
「周りの生徒の意識が高く、自然と勉強する雰囲気がある」「切磋琢磨できる仲間に出会えた」といった、質の高い学習環境を魅力に感じる意見も多数あります。
-
「いじめは絶対に許さないという学校の姿勢が明確で安心できる」という、安全な学校生活に関する肯定的な口コミも見られます。
-
「トイレが綺麗」「施設が充実している」「海外研修が素晴らしかった」など、ハード面やプログラムを評価する声もあります。
-
-
気になる点
-
最も多く指摘されるのが、その厳しさです。「先生によっては高圧的で、怒鳴られることもあった」「精神的にかなりしんどかった」というネガティブな意見も少なくありません。
-
「課題の量が多すぎて、自分の時間が全くなかった」「毎日が勉強漬けで高校生活の青春はなかった」など、圧倒的な学習量に対する不満の声もあります。
-
「学校の方針に従う生徒は手厚く見てもらえるが、少しでも外れると置いていかれる感じがした」という、画一的な指導方法が合わなかったという意見も見られます。
-
「大学進学実績を上げることばかりに目が向いているように感じた」という、進学至上主義的な側面に疑問を呈する声も一部にあります。
-
「先生の質の差が大きい。良い先生に当たれば伸びるが、そうでないと厳しい」という、教員の質に関する指摘もありました。
-
アクセス・通学
須磨学園は高台に位置しており、毎日の通学が足腰を鍛えるトレーニングにもなると言われています。
-
最寄り駅
-
神戸市営地下鉄 西神・山手線「板宿駅」
-
山陽電鉄 本線「板宿駅」
-
-
駅からのアクセス
-
「板宿駅」から徒歩で約9分~15分です。ただし、道のりは急な坂道と140段以上あると言われる階段が続くため、体感的にはもう少し長く感じるかもしれません。
-
神戸市営バスを利用する場合、「明神町」バス停から徒歩約2~3分、「川上町」バス停から徒歩約3~5分です。
-
駅からシャトルバスを利用している生徒もいるようです。
-
-
通学エリア
私立高校のため学区の制限はなく、兵庫県内の広範囲から生徒が通学しています。神戸市内の生徒が中心ですが、明石市、加古川市、姫路市、西宮市、芦屋市といった阪神間の都市からも多くの生徒が通っています。学校側もこれらの地域で入試説明会を開催しており、広域から優秀な生徒を募集していることがわかります。
須磨学園高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んで、須磨学園高等学校の魅力と厳しさの両面を感じていただけたでしょうか。最後に、進学アドバイザーとして、この学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
須磨学園は、「高い目標を達成するためなら、どんな努力も惜しまない」と覚悟を決められる人にこそ、最高の環境を提供してくれる学校です。もしあなたが、厳しい環境に身を置くことで成長できるタイプで、周りの仲間と高め合いながら自分の限界に挑戦したいと強く願うなら、この学校はあなたにとって最高の選択肢となるでしょう。
須磨学園の受験を突破するための最大の鍵は、入試本番の得点力です。内申点が評価されない分、当日の試験がすべてを決します。特に、問題形式が独特であると言われているため、過去問研究が何よりも重要になります。過去問を繰り返し解き、出題傾向と時間配分を体に染み込ませてください。あなたの学力試験での「一発逆転」を、学校は待っています。もしこの挑戦に心が躍るなら、ぜひ自信を持って須磨学園高等学校の門を叩いてください。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。