香川県立丸亀高等学校は、県内でも屈指の進学校として長い歴史と輝かしい伝統を誇る学び舎です。地元では親しみを込めて「丸高(まるこう)」と呼ばれ、多くの生徒が知性と人間性を兼ね備えた人材へと成長していく場所として知られています。その門をくぐることは、多くの香川県の中学生にとって一つの大きな目標となっています。
丸高が掲げる校是は「文武両道」です。これは単なるスローガンではなく、生徒一人ひとりの学校生活に深く根付いています。高いレベルの学習に真摯に取り組む傍ら、部活動では全国大会を目指し、生徒会活動では大規模な学校行事を自分たちの手で作り上げるなど、生徒たちは情熱を燃やす対象を見つけ、充実した日々を送っています。
この記事では、そんな丸亀高等学校がどのような学校なのか、その魅力と特色を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生の声に基づくリアルな学校生活の様子まで、詳しく紐解いていきます。この記事を通して、丸高での3年間がどのようなものになるのかを具体的にイメージし、自分にとって最高の舞台となるかどうかを見極める一助となれば幸いです。
丸亀高等学校の基本情報
丸亀高等学校の基本的な情報を以下の表にまとめました。志望校を検討する上での基礎情報として確認してください。
項目 | 内容 |
正式名称 | 香川県立丸亀高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒763-8512 香川県丸亀市六番丁1番地 |
代表電話番号 | 0877-23-5248 |
公式サイトURL | https://www.kagawa-edu.jp/marukh02/ |
丸亀高等学校の偏差値・難易度・併願校
丸亀高等学校への合格を目指す上で、その難易度を正確に把握することは非常に重要です。偏差値だけでなく、合格に必要な内申点の目安や、併願校の選択についても理解を深めていきましょう。
複数の教育情報サイトによると、丸亀高等学校の偏差値は普通科で69から71程度とされており、香川県内の公立高校では高松高等学校と並んで最上位に位置します。この数値は、県内の中学生の上位数パーセントに入る学力が求められることを示しており、合格には相応の努力が必要です。
しかし、入学者の選抜は学力検査の点数だけで決まるわけではありません。香川県の公立高校入試では、中学校の成績を点数化した「内申点」も合否の重要な要素となります。内申点は220点満点で評価され、丸亀高校の合格者の平均的な内申点は200点前後、安全圏を目指すなら210点以上が一つの目安とされています。これは、通知表の9教科のほとんどで最高の「5」を獲得する必要があるレベルです。一般的に、内申点と学力検査(250点満点)の合計点で400点以上が合格の一つの基準と考えられています。
香川県の公立高校入試では、原則として一つの高校しか受験できないため、万が一に備えた私立高校の併願が一般的です。丸亀高等学校の受験生が併願校として選ぶことが多いのは、同じく高い進学実績を誇る私立高校です。具体的には、大手前高松高等学校(特に栄冠進学SS・Sコース)、香川誠陵高等学校、英明高等学校(特別進学コース)などが主な選択肢として挙げられます。
学科・コース | 偏差値 | 合格に必要な内申点の目安 | 主な併願校(私立) |
普通科 | 69 – 71 | 200点以上 / 220点満点 | 大手前高松高等学校、香川誠陵高等学校、英明高等学校など |
丸亀高等学校に設置されている学科・コース
丸亀高等学校には、生徒の多様なニーズに応えるため、複数の課程が設置されています。それぞれの特色を理解し、自分に合った学びのスタイルを選びましょう。
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全日制 普通科
多くの受験生が目指すのがこのコースです。国公立大学や難関私立大学への進学を主眼に置いた、質の高い教育が展開されています。後述する65分授業や活発な部活動、生徒主体の学校行事など、丸亀高等学校の特色を最も体現している課程と言えます。
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定時制
主に働きながら高校卒業を目指す生徒や、日中の通学が難しい生徒のために設置されている夜間の課程です。単位制が採用されており、自分のペースで学習を進めながら高卒資格の取得が可能です。
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通信制
自学自習を基本とし、定期的に「スクーリング」と呼ばれる登校日に授業や指導を受ける学習形態です。全日制への通学が困難な事情を持つ生徒など、最大限の柔軟性を必要とする生徒に適した課程です。高校卒業資格の取得を目的としており、全日制とは異なるサポート体制が整えられています。
丸亀高等学校の特色・校風
丸亀高等学校の校風をキーワードで表すなら、「文武両道」「生徒主体」「自由闊達」そして「良い意味での放任主義」と言えるでしょう。生徒の自主性を重んじる文化が、学校生活のあらゆる側面に浸透しています。
口コミなどから見えてくる学校生活の実態は以下の通りです。
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宿題の量と学習スタイル: 「宿題が山のように出る」というよりは、「自ら学ぶ」姿勢が強く求められるようです。特徴的な65分授業は内容が濃く、授業時間外での予習・復習が不可欠です。このため、自主的に学習計画を立てて実行できる生徒にとっては最高の環境ですが、受け身の姿勢でいると授業についていくのが大変になるという声もあります。この「自学自習」を前提としたスタイルが、一部で「放任主義」と表現される理由のようです。
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校則(スマホ、服装など): 校則は比較的緩やかで、生徒の良識や判断に委ねられている部分が大きいとされています。スマートフォンの校内での使用や服装について、細かく厳しい規則で縛るというよりは、TPOをわきまえた行動が求められる雰囲気です。ただし、スニーカーの色など一部に規定はあるようで、完全に自由というわけではありません。
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生徒たちの雰囲気: 生徒は知的で落ち着きがあり、互いを尊重する文化が根付いているようです。「自分の知らない分野の知識を豊富に持っている人がたくさんいるので話をしていてとても面白い」という声があるように、知的好奇心が旺盛な生徒が多く集まっています。いじめなどの大きなトラブルは少ないという評判で、安心して学校生活を送れる環境が整っていると言えます。
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アルバイト: 原則として禁止されているか、あるいは学業や部活動との両立が困難なため、行っている生徒はほとんどいないと考えられます。学校全体が学業と学校活動を優先する雰囲気です。
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制服の評判: 制服については、特に女子生徒の制服が近隣の高校と比べても可愛いと評判のようです。
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土曜授業: 土曜授業の有無に関する明確な情報はありませんが、進学校の多くが模試や補習などで土曜日を活用する傾向があります。正確な情報は学校説明会などで確認することをおすすめします。
丸亀高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる丸亀高等学校では、部活動も学校行事も非常に活発で、生徒たちの高校生活を彩る重要な要素となっています。
部活動
運動部・文化部ともに数多くの部が設置されており、全国レベルで活躍する部も少なくありません。加入率も高く、多くの生徒が学業と両立させながら熱心に活動に取り組んでいます。
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特に有名な部活動:
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演劇部: 全国高等学校演劇大会で複数回の優勝を誇る、全国屈指の強豪です。その表現力の高さは学校の大きな誇りとなっています。
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野球部: 選抜高等学校野球大会(春の甲子園)や全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)への出場経験を持つ古豪です。専用グラウンドなどの恵まれた環境で、日々練習に励んでいます。
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放送部: 全国大会の常連で、アナウンスや番組制作の各部門で度々上位入賞を果たしています。
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書道部: 書道パフォーマンスで地域のイベントや文化祭を盛り上げる一方、展覧会でも高い評価を得ています。
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地学部・数学部: 国際地学オリンピックでメダルを獲得した生徒を輩出したり、プログラミングコンテストで大臣賞を受賞したりと、知的な分野でも目覚ましい活躍を見せています。
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その他運動部: 弓道部、水泳部、ワンダーフォーゲル部、ソフトボール部などもインターハイ出場などの輝かしい実績を持っています。
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イベント
丸亀高等学校の学校行事は、その多くが生徒会を中心に生徒主体で企画・運営されるのが大きな特徴です。
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運動会: 毎年5月に、Jリーグの試合も開催される「Pikaraスタジアム(香川県立丸亀競技場)」を貸し切って行われます。名物となっている全クラスによる入場行進や、クラス全員で行う「X人Y脚」は圧巻の一言で、単なる体育祭の域を超えた一大イベントです。
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斯文祭(しぶんさい): 9月に行われる文化祭です。近隣の高校では最大規模を誇り、毎年多くの来場者で賑わいます。クラスや文化部による研究発表や展示、ステージパフォーマンスなど、生徒たちの創造性が存分に発揮される2日間です。
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寒稽古(かんげいこ): 2月の早朝に行われる、心身の鍛錬を目的とした丸高独自の伝統行事です。男子は柔道か剣道、女子はなぎなたなどを選択し、厳しい寒さの中で稽古に励みます。最終日に振る舞われるぜんざいの味は、参加した生徒にとって忘れられない思い出となるようです。
丸亀高等学校の進学実績
香川県を代表する進学校である丸亀高等学校は、毎年優れた大学進学実績を上げています。特に国公立大学や難関大学への進学に強いのが特徴です。
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国公立大学:
最新の2025年の実績では、最難関とされる東京大学に3名、京都大学に5名が合格しています。その他、大阪大学(18名)、神戸大学(11名)、九州大学(6名)といった旧帝国大学をはじめとする難関国立大学にも多数の合格者を輩出しています。また、地域の中核大学である岡山大学(27名)や地元の香川大学(41名)にも非常に強く、安定した進学実績を誇ります。特筆すべきは医学部医学科への進学実績で、国公立大学医学部に毎年10名以上が合格しており、学力の高さを証明しています。
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難関私立大学:
関西の難関私立大学群である「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)には、合計で230名以上が合格しています。また、首都圏の「早慶上理」(早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学)にも合計で20名以上、「GMARCH」にも多数の合格者を出すなど、全国の有名私立大学にも幅広い進学実績があります。
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進学サポート体制:
こうした高い進学実績を支えているのが、学校の手厚いサポート体制です。特に3年次には、成績上位者を集めて最難関国公立大学を目指す特別編成クラス「ダッシュクラス」が設置されるなど、目標に応じたきめ細やかな指導が行われています。また、日常的な補習や長期休暇中の講習、進路指導室による個別相談なども充実しており、生徒の進路実現を強力にバックアップしています。
丸亀高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、丸亀高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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思考力を深める「65分授業」
一般的な50分授業より15分長い65分授業を採用しています。これにより、一つのテーマに対してより深く掘り下げた学習が可能となり、大学の講義形式にもスムーズに対応できる思考力と集中力が養われます。
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生徒が主役の壮大な学校行事
プロの競技場で行う運動会や地域最大級の文化祭「斯文祭」など、行事のスケールが大きいのが特徴です。企画から運営まで生徒会が中心となって行うため、実践的なリーダーシップや協調性を育む絶好の機会となっています。
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名実ともに「全国レベルの文武両道」
「文武両道」をスローガンで終わらせず、演劇部の全国制覇や野球部の甲子園出場、地学オリンピックでのメダル獲得など、学問・文化・スポーツのあらゆる分野で全国トップレベルの実績を上げています。
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圧倒的な大学進学実績と「ダッシュクラス」
東京大学・京都大学をはじめとする最難関大学へ安定して合格者を輩出しています。特に国公立大学や医学部への進学に強く、目標達成を後押しする選抜クラス「ダッシュクラス」の存在も大きな魅力です。
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「自由」と「責任」を学ぶ校風
校則が比較的緩やかで、生徒の自主性を尊重する「放任主義」的な校風が特徴です。この自由な環境の中で、自らを律し、主体的に行動する責任感を学ぶことができ、社会で通用する自立した人間へと成長できます。
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知性と人間性を磨く独自の伝統行事
心身を鍛える冬の「寒稽古」や、各界で活躍する卒業生を招いての講演会など、独自の伝統行事が豊富です。これらは学力だけでなく、人間的な深みや広い視野を育む貴重な体験となります。
丸亀高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生から寄せられる声には、学校の魅力と、入学前に知っておきたい注意点の両方が含まれています。ここでは、公平な視点でその両方を要約して紹介します。
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良い点:
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「先生方は熱心で、質問に行けば親身になって教えてくれる」といった、手厚い学習サポートを評価する声が多数あります。
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「知的で面白い友人がたくさんできる」「人間関係のトラブルが少なく、平和に過ごせる」など、生徒の質の高さと良好な友人関係を挙げる声も多いです。
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「大学進学を目指すには最高の環境」「周りのレベルが高いので、自然と勉強する雰囲気になる」というように、学習環境の良さは多くの生徒が認めるところです。
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「行事がとにかく楽しくて盛り上がる。クラスの団結力が強まる」と、生徒主体の学校行事への満足度は非常に高いようです。
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「自主性が重んじられるので、精神的に自立できる」と、自由な校風が人間的成長につながったと感じる卒業生もいます。
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気になる点:
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「授業の進度が速く、自主的に勉強しないとついていけなくなる。塾に通っている生徒も多い」という意見があります。高いレベルの学習環境であることの裏返しと言えます。
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「自由な校風だが、それは自己責任ということ。手取り足取り指導してほしいタイプには厳しいかもしれない」という声もあり、主体性が求められる環境が合うかどうかは考える必要があります。
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「国公立大学への進学を重視する雰囲気が強い。私立大学専願だと少し肩身が狭く感じるかもしれない」といった、進路指導の傾向に関する指摘も見られます。
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「勉強と部活に打ち込む毎日なので、のんびりした高校生活を送りたい人には向かないかもしれない」という意見もあり、高い目標を持つ生徒に適した学校だと言えるでしょう。
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アクセス・通学
丸亀高等学校への通学方法と、通学可能なエリアについて説明します。
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最寄り駅からのアクセス:
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JR予讃線「丸亀駅」が最寄り駅です。駅から学校までは南へ約1.1km、徒歩で10分から15分程度の距離です。多くの生徒が丸亀駅を利用して電車で通学しています。
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バスを利用する場合、学校のすぐ近くに「丸亀高校」バス停があり、琴参バスや丸亀市コミュニティバスが停車するため便利です。
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通学エリアについて:
香川県の公立高校普通科には「学区制」が導入されており、住んでいる地域によって受験できる高校が定められています。丸亀高等学校は「第二学区」に属しています。
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第二学区に含まれる主な市町: 丸亀市、坂出市、善通寺市、観音寺市、三豊市、綾歌郡、仲多度郡。
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基本的に、これらの地域に住所がある生徒が丸亀高等学校を受験できます。自分の住んでいる場所がどの学区に含まれるか、必ず事前に確認しておきましょう。
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丸亀高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで丸亀高等学校について詳しく見てきましたが、最後にこの学校を目指す受験生に向けて、進学アドバイザーとしてメッセージを送ります。
丸亀高等学校は、特に「自ら学ぶ意欲」と「高い目標」を持つ生徒にとって、最高の成長の場となるでしょう。受け身で授業を聞くのではなく、知的好奇心を持って主体的に学習に取り組める人、そして、勉強だけでなく部活動や学校行事にも全力で打ち込み、充実した3年間を送りたいと考える人に特におすすめです。丸亀高等学校が与えてくれる「自由」を、自分を成長させるための「機会」として最大限に活用できる生徒が、この学校で大きく飛躍していきます。
丸亀高等学校の合格を勝ち取るためには、中学3年生になってから頑張るだけでは足りません。合否の重要な要素である内申点は、中学1・2年生からの成績の積み重ねです。日々の授業を大切にし、一つ一つの定期テストで着実に得点することを心がけてください。学力検査では、5教科すべてで高いレベルが求められます。苦手科目を作らず、基礎を固めた上で、思考力を問う応用問題にも対応できる実力を養うことが合格への鍵となります。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。