京都府立福知山高等学校、通称「福高」は、長い歴史と伝統を礎に、未来を見据えた教育を実践する、地域を代表する進学校です。高校選びは、皆さんとご家族にとって、これからの3年間、そしてその先の未来を左右する大切な決断です。だからこそ、偏差値や進学実績といった数字だけでなく、その学校が持つ空気感、日々の学びや生活の様子を深く知ることが重要になります。
この案内は、皆さんが福知山高等学校という学校を多角的に理解するための一助となることを目指しています。勉強に打ち込みたい、部活動で輝きたい、新しい自分を見つけたい。一人ひとりの思い描く高校生活は違うはずです。在校生や卒業生の声に耳を傾けると、この学校には「高い目標に向かって仲間と切磋琢琢できる最高の環境」という賞賛と、「勉強中心で、思い描いていた青春とは少し違うかもしれない」という正直な意見の両方が存在します。
この両方の視点を知ることで、福知山高等学校があなたにとって、本当に「ここで成長したい」と思える場所なのか、じっくりと見極めることができるでしょう。さあ、一緒に福高の扉を開き、その魅力と実像を探る旅に出かけましょう。
福知山高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。これらの情報は、学校を正確に理解するための第一歩です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 京都府立福知山高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒620-0857 京都府福知山市字土師650 |
代表電話番号 | 0773-27-2151 |
公式サイトのURL | https://www.kyoto-be.ne.jp/fukuchiyama-hs/cms/ |
福知山高等学校の偏差値・難易度・併願校
福知山高等学校の学力レベルを具体的に把握するために、偏差値や合格に必要な内申点の目安を見ていきましょう。ただ数字を見るだけでなく、それが実際の受験においてどのような意味を持つのかを理解することが大切です。
福知山高等学校には2つの学科があり、それぞれで求められる学力レベルが異なります。
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文理科学科:偏差値 68
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普通科:偏差値 56
これはあくまで一般的な目安ですが、文理科学科は府内でもトップクラスの難易度であることがわかります。一方、普通科も地域の中心的な進学校として、しっかりとした学力が求められます。
偏差値だけでなく、中学校での成績である「内申点」も合否の重要な要素です。京都府の公立高校入試では、中学1年生から3年生までの成績が評価対象となります。合格の目安とされる内申点(195点満点)は以下の通りです。
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文理科学科:176点程度
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普通科:150点程度
この数字は、主要5教科だけでなく、実技4教科の成績も重要視されることを示しています。日々の授業態度や提出物、定期テストへの取り組みが、そのまま受験での力になることを覚えておきましょう。
同じくらいの偏差値の高校としては、普通科の場合、莵道高等学校や鳥羽高等学校などが挙げられます。これらの学校と比較検討することで、福知山高等学校の位置づけがより明確になるでしょう。
京都府では、公立高校同士の併願は基本的にできません。そのため、福知山高等学校を第一志望とする場合、万が一に備えて私立高校を併願することが一般的です。主な併願校としては、同じ中丹エリアの福知山成美高等学校、福知山淑徳高等学校、京都共栄学園高等学校などが多く選ばれているようです。また、より高いレベルを目指す受験生の中には、京都市内の立命館高等学校や立命館宇治高等学校などを併願先に選ぶケースもあります。
福知山高等学校に設置されている学科・コース
福知山高等学校には、生徒一人ひとりの進路目標に合わせて専門性の異なる2つの学科が設置されています。それぞれの学科がどのような場所で、どんな人に向いているのかを知ることは、入学後のミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。
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文理科学科
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どんなことを学ぶ?:京都大学などの難関国公立大学や、医学部・歯学部・薬学部への進学を目標に、高度で発展的な内容を学ぶ専門学科です。
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どんな生徒におすすめ?:明確に高い学力目標を持ち、知的好奇心が旺盛で、ハイレベルな仲間と競い合いながら自分の限界に挑戦したい人におすすめです。
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普通科
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どんなことを学ぶ?:1年次は共通のカリキュラムで基礎学力を固め、2年次から文系中心の「人文・社会科学コース」と理系中心の「自然科学コース」に分かれます。国公立大学から私立大学、短期大学、専門学校、就職まで、幅広い進路に対応できる力を養います。
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どんな生徒におすすめ?:高校生活を通して自分の興味や適性を見極めたい人や、部活動や学校行事にも力を入れながら、自分に合った進路を見つけたい人におすすめです。
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この2つの学科の大きな違いは、目指すゴールだけではありません。例えば、2年生の研修旅行では、普通科が北海道へ行くのに対し、文理科学科はシンガポール・マレーシアへ向かうなど、体験学習の内容にも差が設けられています。これは、それぞれの学科が目指す人材育成の方向性の違いを象徴していると言えるでしょう。
福知山高等学校の特色・校風
学校選びで最も大切なことの一つが、その学校の持つ「空気感」や「文化」、つまり校風です。福知山高等学校は、キーワードで表すと「文武両道」「落ち着いた雰囲気」「真面目」といった言葉が当てはまるでしょう。ここでは、口コミなどを基に、中学生が本当に知りたい学校生活のリアルな姿を詳しく見ていきます。
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宿題の量:多くの在校生や卒業生が「多い」と口を揃えます。特に1年生では「日々の演習」として課題が課されるなど、家庭学習を重視する姿勢が明確です。これは、一部の生徒からは「典型的な自称進学校」という厳しい評価につながる一方で、「この課題のおかげで学力がついた」という肯定的な声もあります。学習習慣を確立したい生徒にとっては、非常に効果的なシステムと言えるかもしれません。
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校則(スマホ、服装など):校則は、現代の高校生の感覚からすると「厳しい」と感じられる部分があるようです。特にスマートフォンは、校内での使用が登校後から放課後まで原則禁止されています。これは、授業に集中できる環境を整えるという学校の方針の表れです。服装や頭髪については、過度に厳しい指導はないという声もありますが、制服のデザインについては「ダサい」という意見が複数見られます。ただし、女子生徒向けにスラックスが用意されている点は、現代的な配慮と言えるでしょう。
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生徒たちの雰囲気:全体的に真面目で落ち着いた生徒が多いようです。勉強を頑張ろうという雰囲気が学校全体にあるため、学習に集中したい生徒にとっては良い環境です。一方で、「青春を謳歌したい人には物足りないかもしれない」という声もあり、活発で自由な校風を求める生徒には、少し堅苦しく感じられる可能性も指摘されています。
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アルバイト:原則として禁止されています。ただし、家庭の事情などを考慮し、担任や保護者と相談の上で許可される場合もあります。その際は、正式な届け出が必要です。
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制服の評判:前述の通り、残念ながらデザインに関するポジティブな評判は少ないようです。制服も高校選びの重要な要素と考える生徒は、オープンスクールなどで実際に確認することをおすすめします。
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土曜授業:週4日が7時間授業という時間割が組まれており、毎週の土曜授業は基本的にありません。ただし、希望者向けに「土曜講座」が開講されることがあり、週末に学習機会を求める生徒へのサポートも用意されています。
福知山高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、仲間と共に何かに打ち込む時間も高校生活の大きな魅力です。福知山高等学校では、「文武両道」を掲げ、多くの生徒が部活動に積極的に参加しています。
部活動
運動部10、文化部13と、バランスの取れたクラブが活動しています。特に、普通科の生徒には部活動への参加が推奨される傾向があるようです。中でも、目覚ましい実績を上げている部活動がいくつかあります。
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放送部:全国大会の常連であり、NHK杯全国高校放送コンテストに2年連続で出場するなど、輝かしい実績を誇ります。夏の高校野球京都大会の開会式で、部員が司会を務めるという大役も担っています。
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陸上競技部:近畿大会への出場者をコンスタントに輩出しています。近年では、男子800m、1500m、ハンマー投げといった種目で選手が活躍しています。
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サッカー部:地域の強豪として知られ、両丹高校総体で3連覇を達成するなど、圧倒的な力を見せています。
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女子バレーボール部:11年ぶりに近畿インターハイ出場を決めるなど、チーム一丸となって成果を上げています。
これらの部活動の活躍は、学校全体の活気にも繋がっています。
イベント
福知山高等学校の学校生活を彩るイベントは、生徒たちの団結力を高める大切な機会です。
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福高祭(ふっこうさい):文化祭と体育祭を数日間にわたって行う、学校最大のイベントです。文化祭では、1年生の教室展示、2年生の演劇やダンス、3年生の合唱など、学年ごとの特色ある出し物で盛り上がります。体育祭は、付属中学校の生徒も参加し、青・赤・黄の3つの団に分かれて優勝を目指します。学年や学校の垣根を越えた交流が生まれる、一体感のあるイベントです。
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研修旅行:2年生の時に実施されます。前述の通り、普通科は北海道、文理科学科はシンガポール・マレーシアへ向かいます。行き先は異なりますが、どちらも仲間との絆を深める貴重な体験となるでしょう。
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耐久レース:毎年10月に行われる伝統行事です。男子14km、女子12kmという長い距離を走り抜きます。体力的な厳しさはありますが、走り終えた後の達成感は格別です。
福知山高等学校の進学実績
福知山高等学校の最も大きな強みの一つが、その高い大学進学実績です。特に国公立大学や難関私立大学への合格者数は、地域の期待に応えるものとなっています。
最新の2025年度の合格実績(延べ人数)を見ると、その実力がよくわかります。
大学群 | 主な大学名と合格者数 |
国公立大学 | 合計81名。うち、京都大学4名、大阪大学3名、神戸大学5名など |
難関私立大学 | 関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学(関関同立)に合計106名 |
医学部医学科 | 国公立6名、私立3名の合計9名 |
その他、地元の福知山公立大学や、近畿大学、龍谷大学、京都産業大学などにも多くの進学者を輩出しています。
この優れた進学実績は、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。
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長期休業中進学講習:夏・冬・春の長期休み中に、全学年対象の進学講習が開かれます。普段の授業の復習から応用まで、学力向上を強力にバックアップします。部活動との両立が可能なように、午前中に実施される配慮もなされています。
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にじゼミ:これは福知山高等学校の進学指導を象徴する取り組みです。3年生の国公立大学志望者を中心に、大学入学共通テスト後から2次試験までの約3週間、集中的な対策講座を実施します。志望校別の講義や個別指導、小論文対策など、合格を勝ち取るための最後のひと押しを力強くサポートする、まさに「虹の架け橋」となるゼミです。
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定期的な模擬試験と個別面談:定期的に全国模試を受験し、客観的なデータに基づいて自己の学力到達度を確認します。その結果をもとに、生徒・保護者・教員の三者面談などを通じて、きめ細かな進路指導が行われます。
福知山高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中で、福知山高等学校が持つ独自の強みや魅力は何でしょうか。ここでは、他の高校にはない、特筆すべきアピールポイントを5つに絞って紹介します。
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大学レベルの探究学習「みらい学」
文理科学科の「総合的な探究の時間」として行われる「みらい学」は、生徒が自ら問いを立て、調査・分析し、発表するという大学での研究活動を先取りしたプログラムです。答えのない課題に取り組む中で、思考力や表現力といった、これからの社会で本当に必要とされる力を養います。
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国が認める先進的プログラム(WWL・SSN)
福知山高等学校は、グローバル人材育成を目指す「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」の共同実施校であり、科学技術人材を育てる「SSN(スーパーサイエンスネットワーク京都)」の指定校でもあります。これにより、大学や企業と連携した高度な学びや、国内外の生徒との交流機会が提供されます。
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専門分野特化型の進路支援プログラム
将来の目標が明確な生徒のために、専門的なサポートプログラムが用意されています。医師などを目指す「医学進学プログラム」、教師を目指す「教員養成プログラム」、国際的な視野を養う「国際理解プログラム」など、夢の実現に向けた具体的な道筋を示してくれます。
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国公立大学合格を掴む「にじゼミ」
進学実績の項目でも触れましたが、国公立大学の2次試験に特化した集中講座「にじゼミ」は、本校最大の武器の一つです。多くの先輩たちがこのプログラムを経て、難関突破を果たしており、志望校合格に向けた強力なサポート体制が整っています。
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世界を体感する海外研修旅行
文理科学科の生徒が参加するシンガポール・マレーシアへの研修旅行は、地域の公立高校としては非常に特色ある取り組みです。多文化社会に触れ、現地の学生と交流する経験は、グローバルな視野を育む上で何物にも代えがたい財産となるでしょう。
福知山高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に学校生活を送った先輩たちの「生の声」は、学校選びにおいて非常に参考になります。ここでは、在校生や卒業生から寄せられた口コミを、良い点と気になる点に分けて公平に紹介します。
良い点
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「勉強に集中したい人には最高の環境。周りの意識も高く、自然と自分も頑張れる雰囲気がある」という声が多数あります。
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「先生方が親身に進路相談に乗ってくれる。大学受験に関するデータやノウハウが豊富で頼りになる」といった、進路指導の手厚さを評価する意見も多いようです。
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「落ち着いた校風で、いじめなどもなく平和に過ごせる。安心して学校生活を送りたい人におすすめ」という、穏やかな学校生活を肯定的に捉える声が見られます。
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「課題は多いが、しっかりこなせば確実に学力が伸びるのを実感した」という、厳しい学習環境が結果的に力になったと感じる卒業生もいます。
気になる点
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「いわゆる『自称進学校』で、勉強第一。キラキラした高校生活や青春を謳歌したい人には向かないかもしれない」という意見は、最も多く見られる注意点です。
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「宿題や課題の量がとにかく多く、部活動との両立が大変だった」という、学習負担の大きさを指摘する声があります。
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「校内でのスマホ使用禁止など、校則が時代に合っていないと感じる部分がある」という、ルールに対する不満も少なくありません。
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「制服のデザインが正直ダサい」という声は、男女問わず多くの口コミで見られます。
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「先生によって授業の分かりやすさや熱心さに差がある」という、教員の質に関する指摘もあります。
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「校舎の一部が古く、特にトイレなどの設備が気になる」という、施設面での改善を望む声も挙がっています。
これらの口コミから浮かび上がるのは、福知山高等学校が「目的意識が明確な生徒にとっては非常に良い環境だが、そうでない生徒には厳しい環境に感じられる可能性がある」ということです。自分自身の性格や高校生活に何を求めるかを考えた上で、これらの声を参考にすることが重要です。
アクセス・通学
福知山高等学校は、京都府北部の「中丹通学圏」に属し、地域の学問の中心としての役割を担っています。そのため、地元の福知山市内だけでなく、綾部市、舞鶴市、京丹波町など、広範囲から生徒が通学しています。この事実は、遠方からでも通いたいと思わせる魅力がこの学校にあることの証左と言えるでしょう。
主なアクセス方法は以下の通りです。
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JR福知山駅から:路線バスで約10分、または自転車で約15分。
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JR石原駅から:路線バスで約5分。
最寄りのバス停は、その名の通り「福高前」です。多くの生徒が自転車やバスを利用して通学していますが、雨や雪の日には学校周辺の道路が渋滞することもあるようです。
福知山高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで福知山高等学校について詳しく見てきましたが、最後に進学アドバイザーとして、この学校を目指す皆さんへメッセージを送ります。
福知山高等学校は、「高い目標に向かって、自ら努力し続けることができる人」にとって、最高の成長の舞台となる学校です。もしあなたが、明確な大学進学の目標を持ち、少し厳しいくらいの環境で自分を鍛え、仲間と高め合いたいと強く願うなら、福高はあなたの期待に全力で応えてくれるでしょう。この学校が持つ豊富な進路データと、長年培われてきた合格へのノウハウは、あなたの夢を現実にするための強力な武器となります。
福知山高等学校の入試、そして入学後の学習に備える上で最も大切なことは、「基礎学力の徹底」です。特に5教科の土台を盤石に固めてください。単に公式や年号を暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」という本質を理解する学習を心がけましょう。その深い理解こそが、応用力が問われる入試や、入学後のハイレベルな授業についていくための最大の資産となるはずです。あなたの挑戦を心から応援しています。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。