島根県立出雲高等学校は、100年を超える長い歴史と伝統を誇る、県内屈指の進学校です。多くの卒業生が社会の様々な分野でリーダーとして活躍しており、高いレベルの教育を求める中学生にとって、常に憧れの的となっています。その魅力は、単に大学進学実績の高さだけではありません。
「文武両道」と「自主自立」の精神が深く根付いているのが、出雲高等学校の大きな特色です。学業に全力で打ち込むのはもちろんのこと、部活動や学校行事にも情熱を注ぐ生徒が多く、活気に満ち溢れています。高い学力レベルと、生徒の自主性を重んじる自由な校風が両立している、非常にユニークな環境がここにはあります。
高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を左右する大切な決断です。この記事では、出雲高等学校がどのような学校で、どんな魅力を持っているのかを、様々な角度から詳しく解説していきます。この情報が、あなたにとって最高の高校選びの助けとなることを願っています。
出雲高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。進路を考える上での基礎となる大切な情報です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 島根県立出雲高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒693-0001 島根県出雲市今市町1800 |
代表電話番号 | 0853-21-0008 |
公式サイト | https://www.izumo-hs.ed.jp/ |
出雲高等学校の偏差値・難易度・併願校
出雲高等学校への合格を目指す上で、その難易度を正確に把握しておくことは非常に重要です。偏差値はあくまで一つの目安ですが、目標設定の参考にしてください。
学科ごとの最新の偏差値は以下の通りです。
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理数科:65
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普通科:61
この偏差値は、島根県内の公立高校の中ではトップクラスに位置します。例えば、松江北高等学校の理数科(偏差値69)や普通科(偏差値59)、大社高等学校の普通科(偏差値56)などが、学力レベルを比較する際の参考になるでしょう。
合格を勝ち取るためには、当日の学力検査の得点だけでなく、中学校での内申点も重要になります。島根県の公立高校入試では、中学1年生から3年生までの成績が評価対象となり、特に3年生の成績は2倍で計算されるなど、重く見られる傾向があります。具体的な目安として、9教科の評定平均で4以上、通知表の合計で年間36〜40程度を安定して取っておくことが望ましいとされています。また、合格者の実力テストの平均点は250点満点で175点前後というデータもあり、高いレベルでの学力が求められることが分かります。
このように、出雲高等学校は出雲地域における学力のトップ層が集まる学校です。周囲の生徒は、それぞれの中学校で優秀な成績を収めてきた仲間たちであり、入学後は互いに刺激し合える高いレベルの学習環境に身を置くことになります。
島根県の公立高校入試制度では、他の公立高校との併願はできません。そのため、併願校は私立高校となります。多くの受験生が、出雲北陵高等学校(特別進学コース)、石見智翠館高等学校(智翠館特別コース)、開星高等学校(特別進学コース)などを併願校として選択する傾向があります。
出雲高等学校に設置されている学科・コース
出雲高等学校には、生徒一人ひとりの進路希望や興味関心に応えるため、2つの魅力的な学科が設置されています。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:文系・理系を問わず、国公立大学や難関私立大学への進学を目指すための、幅広く質の高い学力を養います。多様な選択科目が用意されており、自分の進路に合わせた学習が可能です。
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どんな生徒におすすめか:まだ進路が明確に決まっていないけれど高いレベルで学びたい人や、文系・社会科学系・理系など幅広い分野への進学を考えている人におすすめです。
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理数科
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どんなことを学ぶ場所か:数学と理科の専門科目を深く掘り下げて学ぶ、探究活動に重点を置いた学科です。実験や研究活動が多く、科学的な思考力や問題解決能力を徹底的に鍛えます。
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どんな生徒におすすめか:理数系科目が得意で、将来は医学、薬学、工学、理学などの分野で専門家として活躍したいという強い意志を持っている人におすすめです。
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出雲高等学校の特色・校風
学校選びでは、偏差値や進学実績だけでなく、学校全体の雰囲気が自分に合うかどうかも非常に大切なポイントです。
出雲高校の校風を表すキーワードは、「文武両道」「自主自立」「自由闊達」「友愛協和」そして「落ち着いた雰囲気」です。これらの言葉が示す通り、勉強だけでなく多方面で意欲的な生徒が集まり、互いを尊重しながらも、のびのびと学校生活を送っている様子がうかがえます。
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宿題の量と学習ペース
口コミによると、授業の進度は速く、課題の量も「多い」と感じる生徒が多いようです。しかし、それは単に大変だというだけでなく、生徒同士で分からないところを教え合ったり、協力して課題に取り組んだりする文化が根付いていることも意味します。高いレベルの学習内容を、仲間と切磋琢磨しながら乗り越えていく環境です。
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校則(スマホ、服装など)
口コミによると、校則は比較的「緩やか」で「自由」だという声が多く聞かれます。スマートフォンの校内での使用は原則禁止ですが、文化祭や遠足などの学校行事では写真撮影などに限って使用が許可されるなど、柔軟な運用がされているようです。服装に関しても、スカート丈などについて厳しく指導されることは少ないという意見があり、生徒の自主性が尊重されています。ただし、染髪やピアスなどはもちろん禁止です。
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生徒たちの雰囲気
生徒は「真面目」で「勤勉」な生徒が多い一方で、「面白い人」や「ノリが良い人」もたくさんいるようです。学業に対する意識は非常に高いですが、決して堅苦しい雰囲気ではなく、勉強も行事も全力で楽しむ活気があります。学年全体の人数が多いため、多様な個性を持つ友人に出会えるのも魅力の一つです。
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アルバイト
原則として禁止されている可能性が高いですが、家庭の事情など特別な理由がある場合は許可されることもあります。詳細は学校に直接確認することをおすすめします。
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制服の評判
制服に関する評判は、正直なところ意見が分かれるようです。男子の制服は一般的な学ランで、中学校と大差ないという声があります。女子の制服については、一部で「少し個性的」という意見も見られます。こればかりは個人の好みが大きいので、オープンスクールなどで実際に見てみるのが一番です。
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土曜授業
毎週ではありませんが、模擬試験やSSH(スーパーサイエンスハイスクール)関連の活動などで、土曜日に登校する機会は少なくありません。
この学校の文化は、「高い信頼と高い期待」に基づいていると言えます。学校側が生徒に比較的大きな自由を与えているのは、生徒一人ひとりが自ら考えて行動できるという信頼の表れです。その一方で、SSHの課題研究や頻繁なテストなど、学業面では非常に高いレベルを要求します。この環境は、自ら計画を立てて物事を進める「自主自立」の精神を養うための、計算された教育方針と言えるでしょう。自己管理能力が高く、自由な環境でこそ力を発揮できる生徒にとっては最高の環境ですが、細かい指示や厳しい管理が必要なタイプの生徒にとっては、少し戸惑う場面もあるかもしれません。
出雲高等学校の部活動・イベント
充実した高校生活を送る上で、部活動や学校行事は欠かせない要素です。出雲高校は、勉強だけでなく、これらの活動も非常に盛んです。
部活動
「文武両道」を掲げる出雲高校では、生徒の約90%が部活動に加入しており、学校全体が活気に満ちています。大規模校ならではの多種多様な部が揃っており、きっとあなたにぴったりの活動が見つかるはずです。
特に実績が豊富で有名な部活動をいくつか紹介します。
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弓道部:全国優勝の経験もある、全国屈指の強豪です。常に高いレベルで活動しており、多くの生徒がインターハイなどの大舞台で活躍しています。
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野球部:2016年に夏の甲子園に初出場したことは、地域でも大きな話題となりました。文武両道を体現する象徴的な存在です。
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吹奏楽部:コンクールでの全国大会出場経験も豊富で、その演奏レベルの高さは広く知られています。毎年開催される定期演奏会は、多くの観客を魅了します。
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囲碁・将棋部:特に囲碁は全国大会の常連で、団体戦での全国優勝経験もあります。静かな熱気の中で、論理的思考力を磨くことができます。
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ラグビー部、弦楽部:他の高校ではあまり見られない珍しい部活動があるのも、出雲高校の魅力です。自分の興味を追求できる環境が整っています。
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自然科学部:SSH指定校ということもあり、非常に活発に活動しています。地域の科学イベントに出展するなど、研究成果を社会に発信する機会も豊富です。
イベント
出雲高校の学校行事は、生徒たちの手で創り上げられ、非常に盛り上がります。
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久徴祭(きゅうちょうさい):9月に行われる学園祭で、出雲高校で最も大きなイベントです。数日間にわたって行われ、文化祭と体育祭で構成されます。特に体育祭は、プロ野球も使用する「出雲ドーム」を貸し切って行われるなど、その規模の大きさと熱気は圧巻です。クラスTシャツを揃え、仲間と一丸となって応援する経験は、一生の思い出になるでしょう。
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球技大会:7月と12月の年2回開催されます。クラス対抗で様々な球技に汗を流し、クラスの団結力を高める絶好の機会です。
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遠足・研修旅行:春には出雲大社へ、秋にはバスで遠足に出かけます。また、SSHの活動の一環として、1年生は全員が関西の最先端科学施設を訪れる研修に参加します。さらに2年生になると、理数科はシンガポールへ、普通科の希望者はアメリカのサンタクララ市へと、海外研修に参加するチャンスもあります。
出雲高等学校の進学実績
出雲高等学校が県内トップの進学校と言われる最大の理由は、その卓越した大学進学実績にあります。多くの生徒が、自らの目標とする大学への進学を果たしています。
以下は、最新の2024年春の大学合格実績の一部です。
大学分類 | 主な合格大学と人数 |
国公立大学 | 大阪大学(3)、神戸大学(3)、九州大学(4)、名古屋大学(2)、東北大学(1)といった旧帝国大学を含む難関大学に多数合格。また、地元の島根大学(28)や、近県の岡山大学(10)、広島大学(10)、鳥取大学(10)などにも多くの合格者を出しています。 |
難関私立大学 | 関西の難関私立大学群である「関関同立」には合計67名が合格。特に立命館大学(35)や同志社大学(7)への進学者が目立ちます。 |
卒業生の進路を見ると、大多数の生徒が4年制大学へ進学しますが、一部には専門学校や就職を選ぶ生徒もいます。注目すべきは、毎年50名以上の卒業生が、より高いレベルの大学を目指して進学準備(浪人)の道を選んでいる点です。これは、学校全体に「安易に妥協せず、自分の目指す最高の舞台に挑戦する」という高い志の文化が根付いていることを示しています。在学中に育まれた高い目標意識が、卒業後の進路選択にも影響を与えていると言えるでしょう。
こうした高い進学実績を支えているのが、学校独自の教育プログラムです。特に、全校生徒が取り組むSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業の「課題研究」は、単なる知識の暗記にとどまらない、論理的思考力、問題解決能力、表現力を養う上で非常に大きな役割を果たしています。この探究的な学びを通して得られる力は、大学入試はもちろん、その先の社会で活躍するための強固な土台となります。
出雲高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中で、出雲高等学校が持つ独自の強みや魅力を、5つのポイントに絞って紹介します。
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全校生徒で取り組むSSH(スーパーサイエンスハイスクール)
一部の生徒だけでなく、普通科・理数科を問わず全校生徒が「課題研究」に取り組みます。答えのない問いに対して仮説を立て、調査・実験・考察を重ねて発表するこの経験は、本質的な思考力と探究心を育みます。
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植物園の中にある美しいキャンパス
学校の敷地全体が「平田植物園」という歴史ある植物園になっており、緑豊かで落ち着いた学習環境は全国的にも非常に珍しいです。四季折々の自然を感じながら、穏やかな気持ちで学校生活を送ることができます。
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グローバルな視野を育む海外研修
理数科のシンガポール研修や、普通科希望者が参加できるアメリカ・サンタクララ市での研修など、海外の文化や最先端の学問に触れる機会が豊富に用意されています。世界に目を向けるきっかけとなる貴重な体験ができます。
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生徒の自主性を育む「自由な校風」
校則が比較的緩やかで、生徒の自主性を尊重する文化が根付いています。学校から与えられる自由の中で、自らを律し、責任を持って行動する「自主自立」の精神が自然と身につきます。
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全国レベルの部活動と圧倒的な熱気の学校行事
90%という高い部活動加入率が示す通り、学業との両立を実践する生徒がほとんどです。全国レベルで活躍する部活動から、出雲ドームで行われる体育祭まで、仲間と共に何かに打ち込む熱い3年間が待っています。
出雲高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平に紹介します。
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良い点
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「周りのレベルが高く、刺激し合える環境が良い」という声が非常に多いです。勉強熱心な友人に囲まれていると、自然と自分の学習意欲も高まるようです。
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「進学校なのに校風が自由で楽しい」という点も高く評価されています。勉強漬けのイメージとは違い、久徴祭などの行事が非常に盛り上がり、充実した高校生活が送れると感じる生徒が多いようです。
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「先生方のレベルが高い」「質問に熱心に答えてくれる」など、教員のサポート体制を評価する声も聞かれます。
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地元での評判が非常に良く、「出雲高校出身」と言うと周りから褒められる、という卒業生の声もありました。
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気になる点
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「課題が多く、授業のペースが速い」ため、自主的に学習を進められないと大変だと感じる生徒もいます。高いレベルの環境であることの裏返しと言えるでしょう。
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一部の生徒からは「自称進学校」という言葉も聞かれます。これは、学校に任せきりにするのではなく、個人の努力が最終的な進路を大きく左右するという意味合いで使われているようです。学力上位層と下位層の差が大きいと感じる意見もあります。
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施設面では、校舎は比較的新しく快適ですが、トイレに雨水の再生水を利用しているため、ごく稀に水不足でトイレが使えなくなり、休校措置が取られたことがあった、というユニークな指摘がありました。
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「主体性が求められる」という声は、良い点でもあり、注意点でもあります。自由な校風を活かすには、自分で目標を立てて行動する力が必要になります。
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アクセス・通学
出雲高等学校は、交通の便が非常に良い場所にあります。
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最寄り駅からのアクセス
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JR山陰本線「出雲市駅」南口から徒歩約7分
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一畑電車「電鉄出雲市駅」から徒歩約7分
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一畑電車「出雲科学館パークタウン前駅」から徒歩約8分
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主要駅から徒歩圏内という、非常に恵まれた立地です。
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通学エリア
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普通科:島根県の規定により、出雲市外からの入学者は定員の5%以内と定められています。そのため、在校生のほとんどは出雲市内(旧平田市、旧大社町、旧斐川町などを含む)から通学しています。
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理数科:理数科は「全県学区」のため、この5%枠の制限がありません。そのため、出雲市外の大田市や雲南市、松江市など、より広い範囲から高い志を持った生徒が集まっています。
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出雲高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとう。日本有数の伝統と実績を誇る出雲高等学校に目標を定めている君は、それだけで素晴らしい可能性を秘めています。
この学校は、ただ勉強が得意なだけでなく、自分の頭で考え、行動するのが好きな知的好奇心旺盛な人に特におすすめです。「やらされる勉強」ではなく「自ら探究する学び」をしたい、そしてレベルの高い仲間と切磋琢磨しながら最高の3年間を送りたい、そう願う君にとって、出雲高等学校は最高の舞台になるでしょう。
受験勉強では、中学1年生の最初のテストから、全教科でバランス良く得点する意識を持つことが大切です。入試は総合力が問われます。特に、出雲高等学校の探究的な学びに繋がる「なぜそうなるのか?」を考える論理的思考力を、日頃の勉強から養っておくと、入学後も大きな力になります。君の挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。