如水館高等学校は、全国でも珍しい円形の校舎が象徴的な、広島県三原市に位置する私立高校です。高校選びは、これからの3年間をどう過ごすか、どんな自分に成長したいかを考える大切な一歩。その中で、学業のトップ層から部活動に青春を捧げる生徒まで、実に多様な個性と目標を持つ生徒たちが集う如水館高等学校は、一度じっくりと知る価値のある、奥深い魅力を持った学校です。
この学校の大きな特徴は、一言では表せないその多面性にあります。最難関大学を目指すための徹底した学習環境がある一方で、指定校推薦などを活用して着実に未来を切り拓く道も用意されています。この紹介を読めば、如水館高等学校の中に存在する様々な「顔」が見えてくるはずです。自分はどのコースで、どんな仲間と、どんな3年間を送りたいのか。そのイメージを膨らませる手助けができれば幸いです。
さあ、これから一緒に学校の中を巡る旅に出かけましょう。授業の様子から部活動の熱気、そして学校生活のリアルな声まで、一つひとつ丁寧に見ていくことで、あなたにとって如水館が本当に「行きたい」と思える場所なのか、その答えが見つかるはずです。
如水館高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 如水館高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 広島県三原市深町1183 |
代表電話番号 | 0848-63-2423 |
公式サイトのURL | https://www.josuikan.ed.jp |
如水館高等学校の偏差値・難易度・併願校
如水館高等学校の大きな特徴は、コースによって偏差値や目指す目標が大きく異なる点です。自分の学力や目標に合ったコースを選ぶことが、充実した高校生活の第一歩になります。
学科・コースごとの偏差値
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難関特進S類: 69
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特進A類: 58
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総合進学B類: 47
難易度のイメージと内申点の目安
偏差値を見ると、最上位の難関特進S類と総合進学B類では20以上の差があることがわかります。これは、一つの学校の中に、県内トップクラスの進学校に匹敵するコースと、基礎からじっくり学び、多様な進路を目指すコースが共存していることを意味します。この構造を理解することが、如水館高等学校を正しく知る上で最も重要です。
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難関特進S類は、広島大学や岡山大学といった地元の難関国公立大学や、早稲田、慶應などの最難関私立大学を目指す生徒が集まるエリートコースです。合格には、5教科の学力試験で500点満点中400点前後が一つの目安とされています。
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特進A類は、国公立大学や有名私立大学を目指す、学校の中心的なコースです。部活動と勉強を両立させたい生徒も多く在籍しています。学力試験では300点前後が目標となるでしょう。
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総合進学B類は、指定校推薦などを活用して私立大学や専門学校への進学、または就職を目指すコースです。内申点を重視する単願入試での受験も多く、中学校での日々の学習態度が評価されます。学力試験では200点前後が目安です。
入試では、調査書(内申点)も9教科135点満点で評価されます。特に単願(第一志望)で受験する場合、中学校での成績が重要になる傾向があるため、定期テストや提出物など、日々の積み重ねを大切にしましょう。
主な併願校
如水館高等学校は私立のため、多くの受験生が公立高校と併願します。目指すコースによって、併願校のレベルも変わってきます。
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S類・A類を目指す生徒の主な併願校:近畿大学附属広島高等学校(福山校・東広島校)、盈進高等学校、尾道北高等学校、尾道東高等学校など
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A類・B類を目指す生徒の主な併管校:尾道高等学校、三原高等学校、尾道商業高等学校など
如水館高等学校に設置されている学科・コース
如水館高等学校のカリキュラムは、学力別の「類」と、興味関心に応じた「専攻」という、二つの軸で構成されているのがユニークな点です。
学力別の「類」システム
まずは、学力と進路目標に応じて分けられる3つの「類」について見ていきましょう。
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難関特進S類:東京大学や広島大学などの最難関国公立大学や医学部、難関私立大学への現役合格を目指すコースです。少数精鋭で、ハイレベルな授業が展開されます。
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特進A類:広島大学などの国公立大学や、関関同立をはじめとする有名私立大学を目指すコースです。文武両道を実践し、学校生活全体を充実させたい生徒におすすめです。
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総合進学B類:学校の豊富な指定校推薦枠などを活用し、私立大学や短期大学、専門学校への進学、あるいは公務員や企業への就職を目指します。一人ひとりの適性に合わせて、着実な進路実現をサポートします。
興味・関心別の「専攻」システム
火曜・木曜・土曜の授業では、上記の「類」のクラスから離れ、自分の興味や目標に合わせた「専攻」別のクラスで学びます。これにより、S類の生徒とB類の生徒が同じ教室で学ぶ機会が生まれ、学力レベルを超えた交流が生まれるのも大きな特長です。
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学習専攻:大学受験に特化した演習を重ね、応用力を徹底的に鍛えます。進学への意識を高く持ち、学習に集中したい生徒向けです。
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留学専攻:1年間のニュージーランド留学がカリキュラムに組み込まれています。グローバルな視野を身につけ、語学力を活かした進路を目指したい人に最適です。
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クラブ専攻:硬式野球部やチアリーディング部など、指定された部活動で全国レベルを目指す生徒のための専攻です。専門的な指導のもと、競技力向上に集中できます。
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舞台芸術専攻:演技やダンスなどの専門的なレッスンを受け、芸術系の大学や専門学校への進学を目指します。表現者としての夢を追いかけたい人におすすめです。
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機械システム専攻:工業系の専門知識や技術を学び、ものづくりの世界や工業系大学への進路を目指します。実践的なスキルを身につけたい生徒向けです。
如水館高等学校の特色・校風
学校全体の雰囲気は、「文武両道」「規律重視」「多様な生徒層」といったキーワードで表すことができます。
山の上の広大な敷地に立つ円形校舎がシンボルで、生徒たちは落ち着いた環境で学校生活を送っています。宿題の量はS類を中心に多い傾向にあり、日々の努力が求められるようです。
校則については、「厳しい」と感じる生徒が多いようです。「何かあるとすぐに指導される」といった声があり、特にスマートフォンの使用や服装に関しては、一定のルールが定められていると考えられます。自由な校風を求める人には少し窮屈に感じるかもしれませんが、その分、学習や部活動に集中できる環境が整っているとも言えます。アルバイトは原則として難しいようですが、家庭の事情などによっては許可される場合もあるため、学校への確認が必要です。
生徒たちの雰囲気は、コースによって様々ですが、全体的には「挨拶がしっかりできる礼儀正しい生徒が多い」というポジティブな評判があります。一方で、「生徒のやる気には差がある」という意見も見られます。これは、S類からB類まで多様な目標を持つ生徒が集まっていることの表れでしょう。制服については特に目立った評判はありませんが、オープンスクールなどで実際に見てみるのが一番です。
土曜日は休みではなく、「専攻」の授業が行われます。週末を完全にプライベートな時間として使いたい生徒からは「うんざりした」という声もありますが、これは如水館の特色あるカリキュラムの根幹をなす部分であり、入学前に理解しておくべき重要なポイントです。
如水館高等学校の部活動・イベント
部活動
如水館高等学校は部活動が非常に盛んで、学校の大きな魅力の一つです。運動部・文化部ともに充実しており、多くの生徒が熱心に活動しています。
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硬式野球部:甲子園優勝を目標に掲げる、全国的にも有名な強豪部です。専用グラウンドで日々厳しい練習に励み、県外への遠征も頻繁に行うなど、野球に打ち込むための最高の環境が整っています。礼儀や人間形成にも力を入れているのが特徴です。
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合気道部:試合がない武道である合気道を通して、心身を鍛える珍しい部活動です。礼儀作法や護身術を学び、日本武道館での全国演武大会出場を目指します。初心者からでも3年間で黒帯(国際有段者証)の取得が可能です。
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チアリーディング部:学校行事や野球応援などで華やかなパフォーマンスを披露し、学校全体を盛り上げる存在です。高いレベルの技術とチームワークが求められ、クラブ専攻にも指定されています。
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インターアクト部:地域の清掃活動や募金活動といったボランティア、留学生との国際交流など、社会貢献活動を積極的に行う部活です。奉仕の精神や国際感覚を養うことができます。
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女子バスケットボール部:県ベスト4以上、そして全国大会出場を目指して活動しています。顧問の先生が選手一人ひとりに「コードネーム」をつけるというユニークな伝統があり、強い絆で結ばれたチームです。
イベント
生徒たちの手で作り上げる学校行事も、高校生活を彩る大切な思い出になります。
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水明祭(文化祭):毎年大変な盛り上がりを見せる、学校最大のイベントです。クラスや文化部が趣向を凝らした展示や発表、ステージパフォーマンスを行い、学校全体が活気に満ちあふれます。「水明祭は楽しい」という口コミが多く、生徒たちの満足度の高さがうかがえます。
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体育祭:入学して早い時期に行われるため、新入生にとっては先輩やクラスメイトとの絆を深める良い機会となります。学年やクラスの垣根を越えて、一体感を感じられるイベントです。
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修学旅行:高校生活の大きな楽しみの一つです。仲間との共同生活を通して、忘れられない思い出を作ることができます。
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夢ナビライブ:学校として大規模な大学合同進学説明会に積極的に参加しており、生徒が早い段階から自分の進路について具体的に考える機会を設けています。
如水館高等学校の進学実績
如水館高等学校は、生徒の多様な進路目標に応える二つの強力な進路指導体制を持っており、それが高い進学実績に結びついています。
一つは、S類を中心とした難関大学への挑戦を支える徹底した個別サポート体制。もう一つは、A類・B類の生徒の着実な進路を保証する、豊富な指定校推薦枠の活用です。この二本柱が、如水館の進路指導の強みです。
最新の大学進学実績(2023年度・2024年度実績より)
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国公立大学:東京大学(1名)、広島大学(4名)、岡山大学、香川大学(3名)、県立広島大学など、国公立大学に多数の合格者を出しています。特に2023年度には10年ぶりに東京大学への合格者を輩出し、大きな成果を上げています。
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難関私立大学:
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関西エリア(関関同立など):同志社大学(6名)、立命館大学(9名)、関西学院大学(5名)、関西大学(3名)、近畿大学(6名)など、関西の有名私立大学に安定した実績を誇ります。
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関東エリア(GMARCHなど):早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学、青山学院大学などにも合格者を出しています。
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その他:地元の広島修道大学(17名)、広島国際大学(18名)、福山大学(23名)などへの進学者も非常に多いのが特徴です。また、看護専門学校や公務員(自衛隊など)といった、多様な進路選択が実現されています。
進学実績を支える取り組み
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S類・A類向けの個別指導:S類と一部のA類の生徒には、担任・教科担当・進路担当といった最大3名の教員がチームを組み、一人ひとりの学習計画や受験戦略をきめ細かくサポートします。この手厚い指導の結果、第一志望大学への合格率は非常に高い水準にあります。
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A類・B類向けの指定校推薦:大学進学者の約3分の1が、この指定校推薦制度を利用しています。同志社大学や関西大学などの難関私立大学から、地元の主要私立大学まで幅広い推薦枠があり、校内での成績をしっかり収めることができれば、有利に進学を決めることが可能です。これは、模試の成績は振るわなくても、学校の授業を真面目に頑張る生徒にとって大きな強みとなります。
如水館高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、如水館高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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独自のデュアルカリキュラム:学力別の「類」と興味別の「専攻」を組み合わせることで、生徒一人ひとりが自分の目標に合わせて学習内容をカスタマイズできる、非常にユニークな教育システムです。
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二本柱の強力な進路指導:最難関大学を目指す生徒への徹底した個別サポートと、指定校推薦を活用した安定した進路確保という、二つの強力な進路指導体制を両立させています。
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全国レベルを目指す活発な部活動:有名な硬式野球部をはじめ、合気道部やチアリーディング部など、多くの部活動が全国を舞台に活躍しており、本気で打ち込める環境が整っています。
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全国でも珍しい円形校舎:学校のシンボルでもある円形の校舎は、ユニークな学習環境を生み出すだけでなく、生徒たちの記憶に残る学校生活の舞台となっています。
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英語教育とDXへの先進的な取り組み:英検取得を全校で推進し、高い実績を上げています。また、文部科学省の「DXハイスクール」にも認定され、ICTを活用した未来志向の教育を実践しています。
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規律と礼儀を重んじる校風:挨拶の徹底など、社会に出てから通用する礼儀やマナーを重視した指導が行われており、 disciplinedな環境で成長することができます。
如水館高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの重要な参考になります。良い点と気になる点を公平に見ていきましょう。
良い点
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「目標がはっきりしている生徒には、先生方のサポートがとても手厚い」という声が多く聞かれます。特にS類やA類上位層への進路指導は高く評価されています。
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「挨拶が徹底されていて、礼儀正しい生徒が多い」という評判は、保護者からも好意的に受け止められています。
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「S類からB類まで多様な生徒がいるので、いろいろな価値観に触れられるのが良い」という意見もあります。
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「水明祭(文化祭)などの行事がとても楽しく、クラスの団結力が強まる」と、学校行事の盛り上がりを評価する声も多いです。
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「部活動に本気で打ち込める環境と、野球場などの専用施設が整っている」点は、スポーツに力を入れたい生徒にとって大きな魅力です。
気になる点
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「校則が厳しいと感じる生徒が多く、スマートフォンの使用制限など、自由度は低い」という声は、最も多く見られる意見の一つです。
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「先生によって指導の熱心さや生徒への対応に差があるように感じる」という指摘もあります。
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「いじめに対する学校の対応が十分ではない」という、非常に厳しい意見が過去に見られました。学校生活を送る上で、最も注意深く情報を集めるべき点かもしれません。
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「学校が山の上にあるため、バスでの通学が必須で、少し大変」という物理的なアクセスの問題点を挙げる声もあります。
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「土曜日に専攻授業があるので、週末が完全に休みにならないのが残念」という意見も見られます。
アクセス・通学
如水館高等学校への通学方法についてです。
学校は三原市の山間部に位置しているため、多くの生徒が最寄り駅からスクールバスや路線バスを利用して通学しています。「山の奥地にある」という口コミの通り、徒歩での通学は現実的ではありません。
三原駅や尾道駅など、主要な駅からはスクールバスが運行されていると考えられますが、正確なルートや時刻表については、年度によって変更される可能性があります。通学エリアは三原市、尾道市を中心に福山市など広範囲に及び、部活動の強豪校であることから、県外から入学し寮生活を送る生徒もいます。
通学は毎日のことなので、オープンスクールや学校説明会に参加する際に、実際に自分の家からのルートや所要時間を確認しておくことを強くお勧めします。
如水館高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、如水館高等学校を目指すあなたにメッセージを送ります。
如水館高等学校は、大きな可能性を秘めた学校ですが、同時に生徒自身の「本気」が試される場所でもあります。この学校は、特に次のような生徒におすすめです。「自分の目標がはっきりと決まっている人」。S類で最難関大学を目指す、A類・B類で指定校推薦を勝ち取る、クラブ専攻で全国の舞台に立つなど、目的意識が高いほど、学校が持つ手厚いサポート体制を最大限に活用できるでしょう。また、「規律ある環境で、コツコツと努力を積み重ねるのが得意な人」にも向いています。自由な校風よりも、決められたルールの中で集中して物事に取り組みたい生徒にとって、最高の環境が待っています。
受験勉強では、まず中学校の通知表(内申点)を大切にしてください。特に単願での受験を考えている場合、内申点は合否を左右する重要な評価項目になります。日々の授業に真剣に取り組み、提出物を丁寧に行うことが合格への第一歩です。学力試験では、自分が目指す類(S/A/B)の合格ラインを意識し、過去問などを活用して対策を進めることが近道です。如水館高等学校は、あなたの「本気」に全力で応えてくれる学校です。自分の可能性を信じて、頑張ってください!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。