都立小山台高等学校は、ただの進学校ではありません。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがありますが、ここでは「二兎を追う者は、三兎をも得る」が合言葉です。その三兎とは、高いレベルの「勉強」、全国レベルを目指す「班活動(部活動)」、そして学校生活のすべてを懸けるほど熱い「学校行事」のこと。生徒たちは、そのすべてに全力で取り組み、活気に満ちた毎日を送っています。

この記事では、そんなエネルギッシュな都立小山台高等学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな声、そして名物の学校行事まで、あらゆる角度から徹底的に解説します。この学校の持つ独特な「小山台Style」が、あなたにとって最高の3年間をもたらすものかどうか、一緒に見極めていきましょう。

都立小山台高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。

項目 内容
正式名称 東京都立小山台高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒142-0062 東京都品川区小山3-3-32
代表電話番号 03-3714-8155
公式サイトURL https://www.metro.ed.jp/koyamadai-h/

都立小山台高等学校の偏差値・難易度・併願校

都立小山台高等学校を目指す上で、最も気になるのが学力レベルでしょう。具体的な数値と共に、合格の目安を詳しく見ていきます。

偏差値と難易度

各種の模擬試験や塾のデータによると、都立小山台高等学校の偏差値は、おおむねからの間に位置しています。これは東京都内の高校全体で上位10%から12%に入るレベルであり、非常に競争率の高い難関校と言えます。

偏差値だけでなく、合格のためには中学校での成績、つまり「内申点」も非常に重要です。都立高校の入試では、調査書点を点数化した「換算内申」が用いられます。小山台高校に合格するためには、換算内申で点満点中点から点あたりが一つの目安とされています。これを通知表の段階評価に置き換えると、主要教科で「」がつ、「」がつ、実技教科で「」がつ、「」がつ、といったイメージです。推薦入試を目指す場合は、オールに近いから点満点)の素内申が目標となります。

同じくらいの偏差値を持つ都立高校には、以下のような学校があります。これらの学校と比較することで、小山台高校の立ち位置がより明確になるでしょう。

学校名 偏差値の目安
三田高等学校
駒場高等学校
竹早高等学校

主な併願校

東京都の公立高校入試では、原則として一つの高校しか受験できません。そのため、万が一に備えて私立高校を併願することが一般的です。都立小山台高等学校の受験生は、学力レベルや通学の便を考慮して、以下のような私立高校を併願校として選ぶことが多いようです。

併願校選びは、単に偏差値が近い学校を選ぶだけではありません。確実に合格を確保するための「堅実校」を選ぶか、小山台高校と同じくらい魅力的な「最適校」に挑戦するかで戦略が分かれます。例えば、朋優学院の特進コースや國學院高校は、小山台高校に匹敵する難易度を持つ挑戦的な選択肢と言えるでしょう。一方で、日本大学の付属校などは、安定した進学先として人気があります。ご家庭の方針や先生とよく相談して、自分に合った併願パターンを組み立てることが大切です。

学校名 所在地
朋優学院高等学校 品川区
國學院高等学校 渋谷区
東洋高等学校 千代田区
明治学院高等学校 港区
青陵高等学校 品川区
駒込高等学校 文京区
文教大学付属高等学校 品川区
日本大学鶴ヶ丘高等学校 杉並区
淑徳巣鴨高等学校 豊島区

都立小山台高等学校に設置されている学科・コース

都立小山台高等学校に設置されている学科は「普通科」のみです。しかし、その普通科の教育内容は他の高校とは一線を画す、ユニークな哲学に基づいています。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か: 「すべての学問はつながっている」という「小山台教養主義」を掲げ、年生の終わりまで文系・理系のクラス分けを行わないのが最大の特徴です。これにより、生徒は幅広い分野の知識を深く学び、物事を多角的に捉える力を養います。

    • どんな生徒におすすめか: 将来の夢や進みたい学部がまだ明確に決まっていない生徒や、文系・理系にとらわれず幅広い教養を身につけたい生徒に最適です。また、多くの国公立大学が課す教科科目型の大学入学共通テストに完全に対応したカリキュラムであるため、難関国公立大学への進学を強く希望する生徒にとって、非常に合理的な教育システムと言えるでしょう。

このカリキュラムは、学校が「進学指導特別推進校」として国公立大学進学に力を入れていることの表れです。早期に科目を絞らせず、じっくりと自分の興味や適性を見極めさせながら、大学受験で必要となる基礎学力を徹底的に鍛え上げる。これが小山台高校の教育方針の根幹にある考え方です。

都立小山台高等学校の特色・校風

小山台高校の雰囲気は、いくつかのキーワードで表現できます。「文武両道」「自由闊達」、そして「三兎を追う」という言葉が、この学校の文化を最もよく表しています。生徒たちは勉強も班活動も行事も、何一つ手を抜かず、常に全力投球です。

  • 宿題の量は多いか少ないか

    • 「とても多い」という声が圧倒的です。特に週末課題や、ゴールデンウィークなどの長期休暇中には「嘘でしょ…」と思うほどの量が出されることもあるようです。常に時間に追われる忙しい毎日ですが、この課題をこなすことで、自然と学習習慣と自己管理能力が身につきます。

  • 校則は厳しいか緩やかか

    • 全体的には「自主性を重んじる」校風で、校則で厳しく縛るというよりは、生徒の常識的な行動に委ねられている部分が大きいようです。

    • スマホ:校則で禁止されているわけではありませんが、授業中の使用はもちろん厳禁です。ルールを破った場合、長期間没収されるなど、厳しい指導が入ることもあるという声もあり、運用は比較的厳格なようです。

    • 服装:制服の着こなしについては、髪染めやピアスは禁止されていますが、それ以外は常識の範囲内であれば比較的自由なようです。

    • アルバイト:進学校であるため、原則として禁止されています。これは、学業、班活動、行事に集中してほしいという学校からのメッセージでもあります。

  • 生徒たちの雰囲気

    • 真面目で、目標に向かって努力する生徒が多い一方で、行事などでは非常に活発でエネルギッシュな一面を見せます。忙しい毎日を共に乗り越える中で、クラスや班の団結力が非常に強くなるのが特徴です。

  • 制服の評判はどうか

    • 男子は伝統的な黒の詰襟(学ラン)で、「格好いい」と評判が良いようです。女子はブレザーですが、生徒からは「少し地味」「他の学校の制服の方が可愛い」といった声も聞かれます。

  • 土曜授業はあるか

    • あります。難関大学進学に対応するための授業時間数を確保するため、年間約回の土曜授業が実施されています。

  • 施設について

    • 校舎は年に改築されたもので、一部の生徒からは「少し古い」という意見もあります。しかし、全教室に冷暖房が完備されており、都立高校では珍しい人工芝のグラウンドや、充実した蔵書を誇る図書館など、学習や活動のための環境は整っています。

小山台高校の校風は、一見すると「自由」と「厳しさ」が共存しているように見えます。しかし、これは単なる矛盾ではありません。アルバイト禁止や大量の課題といった厳しい「枠組み」の中で、生徒たちは与えられた時間をどう使うか、何を優先するかを常に自分で考え、決断することを求められます。この過程で培われる高いレベルの自己管理能力こそが、小山台高校が育む真の「自由」の正体なのかもしれません。

都立小山台高等学校の部活動・イベント

「三兎を追う」小山台生にとって、勉強と同じくらい重要なのが「班活動」と「学校行事」です。これらは学校生活の中心であり、小山台の文化を象徴するものです。

部活動

小山台高校では、部活動のことを伝統的に「班活動(はんかつどう)」と呼びます。生徒の加入率は非常に高く、複数の班を兼ねる生徒も多いため、延べ加入率は$100%$を超えると言われています。限られた活動時間の中で、どの班も勉強と両立させながら素晴らしい成果を上げています。

  • 硬式野球班

    • 小山台高校の顔ともいえる存在です。最大の功績は、年に「世紀枠」で選抜高等学校野球大会(春の甲子園)に出場したことです。これは都立高校として史上初の快挙でした。夏の東東京大会でも強豪として知られ、近年では年連続で決勝に進出しています。特筆すべきは、これらの実績をスポーツ推薦制度に頼らず、一般入試で入学した生徒だけで成し遂げている点です。野球だけでなく学業にも真摯に取り組み、卒業生は京都大学、一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学といった最難関大学へも進学しています。

  • ブラスバンド班

    • 野球班と並ぶ、もう一つの看板です。東京都の吹奏楽コンクールでは常に上位入賞を果たし、全国大会にも出場する都内トップレベルの実力を誇ります。「心に残る音楽」をモットーに、総勢名を超える部員たちが日々練習に励んでおり、定期演奏会は多くの観客を集める人気のイベントです。

その他にも、陸上競技班やダンス班が全国大会に出場するなど、運動班・文化班を問わず多くの班が活発に活動しています。

イベント

小山台高校の学校行事は、生徒が主体となって創り上げる、熱気と感動に満ちたものばかりです。

  • 寒菊祭(かんぎくさい)

    • 月に行われる運動会と文化祭を合わせた、学校最大のイベントです。

    • 運動会:小山台の行事の中でも、その盛り上がりは「都内トップクラス」と評されるほどの名物行事です。全校生徒が赤・白・青・黄のつの団に分かれ、優勝を目指して競い合います。特に、各団が伝統を受け継ぎ、年生を中心に創り上げる「応援合戦」は圧巻の一言。息の合った演舞や声援は、長期間にわたる厳しい練習の賜物であり、見る者すべてを感動させます。

    • 文化祭:熱狂の運動会からわずか週間後に行われるという、怒涛のスケジュールが特徴です。クラスごとの演劇や映像作品、飲食店に加え、ブラスバンド班やダンス班による華やかなステージ発表など、多彩な催しで盛り上がります。

  • 修学旅行

    • 年生の月に、九州地方を訪れます。主な目的地は長崎県で、平和公園や原爆資料館での平和学習、軍艦島上陸やイルカウォッチングなどの体験学習、そしてハウステンボスでの自由時間など、学びと楽しみが融合した充実したプログラムが組まれています。

これらの行事は、単なる息抜きではありません。特に寒菊祭の、短期間にエネルギーを集中させる過密なスケジュールは、生徒たちに強い連帯感を生み出します。共に汗を流し、困難を乗り越える経験を通じて、一生ものの友情と、クラスや団の固い絆が育まれるのです。これこそが、口コミで多くの生徒が「友達に恵まれた」「団結力が強い」と語る理由でしょう。

都立小山台高等学校の進学実績

「進学指導特別推進校」に指定されている都立小山台高等学校は、その名に恥じない、非常に高い大学進学実績を誇ります。生徒たちは日々の努力を確実に結果に結びつけています。

最新の大学合格実績(2025年入試)

以下は、現役生・既卒生を含んだ最新の合格者数です。一人の生徒が複数の大学に合格している場合も含まれます。

国公立大学

国公立大学には、合計で名が合格しており、安定して高い実績を維持しています。

大学分類 主な大学名と合格者数
最難関大学 東京大学 名、京都大学 名、一橋大学 名、東京工業大学(現:東京科学大学)
旧帝国大学 北海道大学 名、東北大学 名、大阪大学 名、九州大学
首都圏の主な国公立大学 横浜国立大学 名、千葉大学 名、東京都立大学 名、筑波大学

難関私立大学

私立大学においても、最難関大学を中心に圧倒的な合格実績を誇ります。

大学グループ 合格者数 主な内訳
早慶上理 早稲田大学 名、慶應義塾大学 名、上智大学 名、東京理科大学
GMARCH 明治大学 名、法政大学 名、中央大学 名、立教大学 名、青山学院大学 名、学習院大学

進学実績を支える取り組み

これらの輝かしい実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。

  • 講習・補習制度:年間回の土曜授業に加え、夏休みや冬休みなどの長期休暇中には、受験対策の講習が数多く開かれます。また、予備校講師を招いた小論文講座など、専門的な対策も充実しています。

  • キャリア教育:大学教授や社会で活躍する専門家を招いての進路講演会が、年生の時から頻繁に実施されます。これにより、生徒は早い段階から将来の目標を具体的にイメージすることができます。

  • 小山台会館の存在:特筆すべきは、学校に隣接する「小山台会館」の存在です。これは同窓会が運営する施設で、在校生は夜間まで利用可能な自習室として使うことができます。そこには、小山台高校を卒業したばかりの現役大学生がチューターとして常駐しており、受験勉強の質問だけでなく、大学生活のリアルな話を聞くこともできます。この卒業生が後輩を支え、その後輩がまた次の世代を支えるという強力な好循環が、小山台の進学実績を盤石なものにしているのです。

都立小山台高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、都立小山台高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 駅徒歩分の圧倒的なアクセス

    • 東急目黒線「武蔵小山駅」の改札を出たら目の前が校門という、まさに「日本一駅から近い学校」とも言われる抜群の立地です。通学時間を最小限に抑え、その分を勉強や班活動に充てられるのは、非常に大きなアドバンテージです。

  • 「三兎を追う」独自の校風

    • 勉強、班活動、行事のすべてに全力で取り組むことを奨励する文化があります。忙しくも充実した年間を通じて、生徒は時間管理能力と逆境に負けない精神力を身につけます。

  • 都内屈指の盛り上がりを見せる学校行事

    • 特に運動会を中心とした「寒菊祭」は、その熱気と生徒主体の運営で東京中に知られる名物行事です。一生の思い出となるような、熱い体験が待っています。

  • 強力な同窓会と自習室「小山台会館」

    • 同窓会が運営する自習室「小山台会館」は、公立高校としては極めて珍しい、非常に恵まれた学習環境です。卒業生のチューターから直接指導を受けられるこの場所は、小山台の学力を支える心臓部です。

  • 将来の可能性を広げる「小山台教養主義」

    • 年生の終わりまで文理を分けない独自のカリキュラムにより、幅広い教養と多角的な視点を養うことができます。国公立大学を目指す生徒にとって、理想的な教育課程と言えるでしょう。

  • 全国レベルで活躍する「班活動」

    • 硬式野球班やブラスバンド班をはじめ、多くの班がスポーツ推薦に頼らずに全国レベルで活躍しています。これは、生徒の自主性と努力を重んじる、真の「文武両道」の証です。

都立小山台高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの重要な参考になります。ここでは、良い点と気になる点を公平にまとめました。

良い点

  • 「とにかく忙しいけれど、その分、最高に充実した3年間が送れる」という声が非常に多いです。

  • 「運動会や文化祭などの行事が信じられないくらい楽しく、クラスの団結力が強まる」。

  • 「大変な学校生活を一緒に乗り越えるからこそ、一生付き合える最高の友達ができる」。

  • 「周りの生徒の意識が高く、みんなが目標に向かって頑張っているので、自分も頑張れる」。

  • 「先生方は親身で、質問に行けば熱心にサポートしてくれる」。

  • 「駅から徒歩0分という立地は、何物にも代えがたい魅力」。

気になる点

  • 「課題の量が本当に多くて大変。入学当初は後悔した、という声もあるほど」。

  • 「のんびりした高校生活を送りたい人には絶対に向いていない」。

  • 「校舎が少し古いと感じる部分がある」。

  • 「『自由な校風』と言われるが、アルバイト禁止やスマホのルールなど、意外と厳しい面もある」。

  • 「女子の制服は、あまり可愛いデザインではないという意見が多い」。

  • 「授業のペースが速いので、自主的に勉強しないと置いていかれる可能性がある」。

これらの口コミから、小山台高校が「合う人には最高の学校だが、合わない人には厳しい学校」であることが分かります。エネルギッシュで挑戦的な環境に身を置きたいかどうかが、大きな判断基準になりそうです。

アクセス・通学

都立小山台高等学校の最大の魅力の一つが、その交通の便の良さです。

  • 最寄り駅とアクセス

    • 東急目黒線「武蔵小山駅」西口の目の前です。改札から校門まで徒歩分、1分もかかりません。生徒からは「多少の雨なら傘は要らない」という声も聞かれるほどです。

    • 東急目黒線は、都営三田線や東京メトロ南北線と直通運転を行っているため、乗り換えなしで広範囲からアクセス可能です。

  • 主な駅からの所要時間

    • 主要なターミナル駅からのアクセスも良好で、通学時間を有効に活用できます。

出発駅 所要時間の目安
目黒駅
渋谷駅
新宿駅
池袋駅
大井町駅
二子玉川駅
  • 通学エリア

    • この優れたアクセス性から、学校が位置する品川区や目黒区だけでなく、大田区、世田谷区など都内区の広範囲から生徒が通学しています。また、神奈川県方面からの通学者も少なくありません。

都立小山台高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、都立小山台高等学校を目指す君にメッセージを送ります。

都立小山台高等学校は、「あれもこれも、全部やりたい!」と願う、エネルギッシュな君にぴったりの学校です。勉強でトップを目指しながら、部活動で汗を流し、学校行事で最高の青春を謳歌したい。そんな欲張りな夢を、この学校は全力で応援してくれます。もし、常に挑戦し続ける忙しい日々にワクワクするなら、君は「小山台Style」に間違いなくフィットするでしょう。

受験勉強では、もちろん学力検査が重要です。苦手科目の克服も大切ですが、得意科目をさらに伸ばして、全体の得点を引き上げる意識を持ちましょう。そして、都立小山台高等学校の入試で問われる応用力は、確かな基礎力の上に成り立っています。日々の授業を大切にし、提出物や定期考査に真摯に取り組む姿勢が、合格への一番の近道です。その努力は、君の内申点という形で必ず評価されます。

小山台への道は決して平坦ではありません。しかし、そこで得られる経験、知識、そして一生涯の友人は、何にも代えがたい宝物になるはずです。自分の可能性を信じて、全力で挑戦してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。