岩手県立花巻南高等学校は、1911年(明治44年)に開校した「岩手県立花巻高等女学校」を前身とする、110年以上の歴史と伝統を誇る学校です。総合選択制の普通科高校として、生徒一人ひとりの興味や進路に合わせた多様な学びを提供しているのが大きな特長です。花巻駅から西に広がるのどかな田園地帯に、県内でも有数の広大な敷地と充実した設備を備えています。

この学校の魅力は、単なる大学進学のためだけの教育に留まらない点にあります。4つの「学系」という独自のシステムにより、人文科学や自然科学はもちろん、スポーツや国際関係といった専門的な分野まで深く探究することが可能です。生徒たちは、活気あふれる学校生活の中で、学習と部活動を両立させながら、豊かな人間性と社会で生き抜くための確かな学力を育んでいます。

この記事では、そんな岩手県立花巻南高等学校について、受験生や保護者の皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から分かりやすく、そして詳しく解説していきます。偏差値や進学実績といったデータだけでなく、学校の雰囲気や在校生のリアルな声まで、花巻南高等学校の魅力を余すところなくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

岩手県立花巻南高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 岩手県立花巻南高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒025-0053 岩手県花巻市中北万丁目288番1
代表電話番号 0198-23-4236
公式サイト https://www2.iwate-ed.jp/hks-h/

岩手県立花巻南高等学校の偏差値・難易度・併願校

岩手県立花巻南高等学校の偏差値は、選択する学系によって異なりますが、おおむね46から50の範囲です。これは岩手県内の公立高校の中では中堅レベルに位置します。

  • 人文科学・自然科学学系: 偏差値 50

  • 国際科学学系: 偏差値 47

  • スポーツ健康科学学系: 偏差値 46

同じくらいの偏差値の高校としては、盛岡市立高等学校や水沢第一高等学校、黒沢尻北高等学校などが挙げられます。合格に必要な内申点の目安としては、5段階評価で平均3.5以上、特に人文科学・自然科学学系を目指す場合は4近くあると安心できるでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、当日の学力検査の得点も重要になります。

岩手県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、花巻南高等学校を受験する場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、花巻東高等学校や盛岡大学附属高等学校、盛岡中央高等学校などが考えられます。これらの私立高校は、それぞれ特色あるコースを設置しているため、自分の学力や将来の目標に合わせて検討すると良いでしょう。

岩手県立花巻南高等学校に設置されている学科・コース

岩手県立花巻南高等学校は普通科のみですが、その中に「学系」という4つの専門的なコースを設けているのが最大の特長です。1年次は人文科学・自然科学学系が一括募集となり、2年次にそれぞれの学系に分かれます。スポーツ健康科学学系と国際科学学系は、入学時からクラスが分かれています。

  • 人文科学学系

    国語や地歴・公民といった人文科目を重点的に学びます。文学、歴史、法律、経済など、文系分野への進学を考えている生徒におすすめです。

  • 自然科学学系

    数学や理科といった理系科目を深く探究します。理学、工学、医学、薬学、農学など、理数系分野への進学を目指す生徒に適しています。

  • スポーツ健康科学学系

    普通教科に加え、体育に関する専門科目を学びます。将来、アスリートやスポーツ指導者、健康に関わる仕事に就きたい生徒に最適な学系です。

  • 国際科学学系

    英語教育に力を入れ、国際交流活動も盛んです。英語の他に第二外国語(フランス語、ドイツ語、ハングルから選択)も学べ、グローバルな視野を身につけたい生徒におすすめです。

岩手県立花巻南高等学校の特色・校風

岩手県立花巻南高等学校は、「文武両道」と「グローバル」をキーワードに、生徒の自主性を尊重する活気ある校風が特徴です。校訓に「明知・中庸・無限」を掲げ、確かな学力とバランスの取れた人間性を育み、生徒一人ひとりの無限の可能性に挑戦することを応援しています。

口コミなどを見ると、「宿題の量は普通か、やや多め」という声がありますが、これは進学を目指す生徒が多いため、日々の学習習慣を身につけさせるための配慮と考えられます。校則については、「厳しすぎず、緩すぎず、常識の範囲内」という意見が多数です。スマートフォンの校内での使用は、ルールを守れば許可されているようですが、授業中の使用はもちろん禁止です。

生徒たちは真面目で落ち着いた雰囲気がありつつも、行事や部活動には積極的に参加する活発な一面も持ち合わせています。アルバイトは原則として許可されていませんが、家庭の事情など特別な理由がある場合は学校に相談することで可能になる場合もあるようです。

制服は、男子が黒の詰襟学生服、女子が紺のブレザーにチェック柄のスカートで、清楚で伝統的なデザインが評判です。土曜授業は基本的にありませんが、模擬試験や進学補習などが行われることがあります。

岩手県立花巻南高等学校の部活動・イベント

部活動

花巻南高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの部が県大会以上で活躍しています。運動部、文化部ともに充実しており、生徒の加入率も高いようです。

  • 運動部

    特にハンドボール部は全国大会の常連で、過去には全国優勝の経験もある強豪です。また、陸上競技部、弓道部、ソフトテニス部なども県内で常に上位の成績を収めています。広大な敷地には充実した練習施設が整っており、生徒たちは高い目標を持って日々の練習に励んでいます。

  • 文化部

    吹奏楽部はコンクールで優秀な成績を収めており、地域のイベントなどでも演奏を披露しています。また、日本音楽部や書道部、囲碁将棋部なども全国レベルで活躍する生徒を輩出しています。珍しい部活動としては、日本の伝統音楽に触れることができる日本音楽部があります。

イベント

花巻南高等学校では、生徒たちが主体となって作り上げる多彩な年間行事が繰り広げられ、学校生活を彩ります。

  • 体育祭

    6月に行われる体育祭は、3日間にわたって開催される大きなイベントです。バレーボール、バスケットボール、サッカーなどの球技のほか、宝探しやeスポーツといったユニークな種目もあり、クラスごとにデザインしたオリジナルTシャツを着て、団結力を高め合います。

  • 花南祭(文化祭)

    8月の終わりに行われる文化祭は「花南祭」と呼ばれ、多くの来場者で賑わいます。3年生による模擬店、1・2年生のクラス企画、文化部のステージ発表や展示など、多彩な催し物で盛り上がります。

  • 修学旅行

    修学旅行は学系によって行き先が異なるのが特徴です。人文科学・自然科学学系とスポーツ健康科学学系は、京都・奈良・大阪などの関西方面を訪れます。一方、国際科学学系は、グローバルな視野を広げることを目的に、台湾やグアムなどへの海外修学旅行を実施しています。このほかにも、希望者対象の海外ホームステイ研修(ハワイ、ドイツ)なども行われており、国際交流の機会が豊富に用意されています。

岩手県立花巻南高等学校の進学実績

花巻南高等学校は、生徒の約9割が大学・短大・専門学校へ進学する進学校です。国公立大学から私立大学、専門学校、そして公務員や民間企業への就職まで、生徒一人ひとりの多様な進路希望に対応できる指導体制が整っています。

近年の主な進学実績を見ると、国公立大学では岩手大学、岩手県立大学、宮城教育大学、山形大学、秋田大学など、地元や東北地方の大学への進学者が多くなっています。

私立大学では、東北学院大学、岩手医科大学、東北福祉大学などへの進学者に加え、関東圏の大学へ進学する生徒もいます。推薦入試やAO入試を活用して、早期に進路を決定する生徒が多いのも特徴です。

こうした高い進学実績を支えているのが、手厚い進路サポート体制です。夏季・冬季休業中には進学講習が実施され、大学入学共通テスト対策も行われます。また、生徒一人ひとりの希望に応じた個別指導にも力を入れており、夢の実現を力強く後押ししています。

岩手県立花巻南高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、花巻南高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 4つの「学系」による専門的な学び

    普通科でありながら、人文科学、自然科学、スポーツ健康科学、国際科学という4つの専門分野を探究できる「学系制」を導入しています。自分の興味や進路に合わせて、高校時代から専門性の高い学習に取り組むことができます。

  • 活発な国際交流プログラム

    ドイツやアメリカ(ハワイ)に姉妹校・交流校があり、交換留学や海外ホームステイ研修が盛んに行われています。国際科学学系の海外修学旅行もあり、異文化に触れる貴重な機会が豊富です。

  • SGHアソシエイト認定校としての探究活動

    かつてSGH(スーパーグローバルハイスクール)アソシエイトに認定されており、その経験を活かした探究活動や課題解決型学習(PBL)に力を入れています。グローバルな視点から社会問題について考える力を養います。

  • 県内有数の充実した施設と広大な敷地

    広々としたグラウンドや複数の体育館、トレーニングルーム、セミナーハウスなど、学習や部活動に打ち込める環境が整っています。

  • 伝統と革新が共存する校風

    110年以上の歴史を持つ伝統校としての落ち着いた雰囲気と、総合選択制や国際交流といった新しい取り組みに積極的に挑戦する革新的な気風が共存しています。

  • 生徒が主役の活気ある学校行事

    体育祭や花南祭(文化祭)は、生徒会や実行委員会が中心となって企画・運営され、学校全体が一体となって盛り上がります。

  • 一人ひとりの夢を育む手厚い進路指導

    国公立大学進学から専門学校、就職まで、多様な進路希望に対応するきめ細やかな指導体制が整っています。

岩手県立花巻南高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、花巻南高等学校での学校生活に対する様々な声が寄せられています。

  • 良い点

    • 「自分の興味に合わせて授業を選択できるので、学習意欲が高まる」

    • 「部活動がとても盛んで、高いレベルを目指せる環境がある」

    • 「先生方が親身に進路相談に乗ってくれるので心強い」

    • 「体育祭や文化祭などの行事が本当に楽しく、クラスの絆が深まる」

    • 「国際交流の機会が多く、視野が広がった」

    • 「校舎やグラウンドが広く、のびのびと過ごせる」

  • 気になる点

    • 「駅から少し距離があり、徒歩だと25分ほどかかるのが少し不便」

    • 「学系によっては専門的な内容になるので、目的意識がないと大変かもしれない」

    • 「校舎が少し古い部分もある」

    • 「進学を重視する雰囲気なので、宿題や課題が多めに感じることがある」

アクセス・通学

岩手県立花巻南高等学校へのアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅: JR東北本線・釜石線「花巻駅」

    • 花巻駅西口から徒歩で約25分(約1.9km)

  • バス:

    • 花巻駅西口から学校間を直通で結ぶスクールバスが運行されています(有料:片道180円)。特に雨の日などは多くの生徒が利用しています。

  • 自動車:

    • 東北自動車道「花巻南IC」から約1分

通学している生徒は、花巻市内からが最も多いですが、近隣の北上市、紫波町、遠野市など、比較的広いエリアから集まっています。駅からは少し距離があるため、自転車やバスを利用して通学する生徒が多いようです。

岩手県立花巻南高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

岩手県立花巻南高等学校は、「これ」という明確な目標や好きなことを見つけ、それに向かって高校3年間を充実させたいと考えているあなたにぴったりの学校です。特に、スポーツに打ち込みたい、英語や国際交流に興味がある、という生徒にとっては、その専門性を伸ばせる最高の環境が整っています。もちろん、文系・理系の大学進学を目指す生徒にとっても、手厚いサポートが受けられます。

受験勉強においては、まず中学校の基礎・基本を徹底的に固めることが最も重要です。花巻南高等学校の入試では、特定の教科だけが突出しているよりも、5教科のバランスが取れた学力が求められる傾向があります。苦手科目を作らないように、計画的に学習を進めましょう。

そして、面接では「なぜ花巻南高校なのか」「どの学系で何を学びたいのか」を自分の言葉でしっかりと伝えられるように準備しておくことが大切です。この学校でしかできない経験を通して、自分を大きく成長させたいという熱意をアピールしてください。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。