群馬県立松井田高等学校は、1938年の創立以来、80年以上にわたり地域の教育を支え、多くの卒業生を社会に送り出してきました。妙義山麓の豊かな自然に抱かれた環境で、「強く・正しく・美しく」の校訓のもと、生徒一人ひとりの個性を尊重し、地域社会に根ざした温かい教育を実践してきた歴史ある学校です。松井田高等学校は、生徒と教員の距離が近いアットホームな校風で知られていました。

しかし、近年の社会情勢の変化に伴う県立高校の再編により、松井田高等学校は2023年度(令和5年度)から生徒の募集を停止し、在校生の卒業を待って2025年3月末に閉校することが決定されています。これは、未来の高校受験を考える皆さんにとっては大変残念なお知らせです。

この記事では、これから受験する高校としてではなく、これまで地域と共に歩み、多くの生徒たちの青春の舞台となった松井田高等学校が、どのような歴史を持ち、どのような魅力を持った学校であったかを、記録としてまとめたものです。卒業生や地域の方々の心に残る「松高」の姿を、一緒に振り返っていきましょう。

松井田高等学校の基本情報

(※2025年3月末に閉校予定)

項目 内容
正式名称 群馬県立松井田高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒379-0222 群馬県安中市松井田町松井田803-1
代表電話番号 027-393-1525
公式サイトURL https://matuida-hs.gsn.ed.jp/

松井田高等学校の偏差値・難易度・併願校(募集停止前の情報)

生徒募集を行っていた頃の松井田高等学校は、じっくりと基礎から学びたい生徒に適した学校でした。

  • 偏差値(普通科): 38程度

  • 難易度: 偏差値だけで見ると、県内の公立高校の中では比較的入学しやすいレベルに位置していました。合格のためには、中学校の定期テストで平均点前後を着実に取ることが一つの目安とされていました。

  • 主な併願校: 公立高校のため、多くの受験生は私立高校を併願していました。具体的には、高崎商科大学附属高等学校や高崎健康福祉大学高崎高等学校などが主な併願先として選ばれる傾向がありました。

松井田高等学校に設置されていた学科・コース

松井田高等学校には普通科が設置されており、生徒一人ひとりの興味や進路希望に合わせた学習ができるよう、2年次からコース選択制を導入していました。

  • 普通科: 1年次は全員が共通の科目を学び、高校での学習の基礎を固めます。

    • スタンダードコース: 大学、短期大学、専門学校への進学を目指し、普通教科を中心に学習するコースです。

    • キャリアコース: 普通教科に加え、簿記などの商業科目も学び、ビジネス社会で役立つ資格取得を目指せるコースでした。

    • ライフデザインコース: 情報化や環境問題など、現代社会の課題に対応する実践的な科目を学び、将来の生き方を考える力を養うコースでした。

松井田高等学校の特色・校風

松井田高等学校は、「ハートフル松高」をスローガンに掲げ、生徒と教員の距離が近い、温かく家庭的な雰囲気が最大の特色でした。

  • 校風: 「少人数教育」「地域密着」「アットホーム」といった言葉が似合う学校でした。生徒一人ひとりに目が届きやすく、きめ細やかな指導が受けられる環境だったようです。

  • 校則: 2021年度時点の情報では、頭髪の染色やパーマ、装飾品の着用は禁止されていました。 制服は指定のものを着用し、全体的には標準的な校則であったと考えられます。

  • 生徒の雰囲気: 落ち着いた雰囲気の中で、友人との関係を大切にしながら学校生活を送る生徒が多かったようです。

  • 制服: 伝統的なデザインの制服で、男子は詰襟、女子はブレザーでした。

  • アルバイト: アルバイトについては特別な記述は見られませんが、多くの高校と同様に、学業に支障のない範囲で許可制であった可能性が考えられます。

  • 土曜授業: 土曜授業は実施されていませんでした。

松井田高等学校の部活動・イベント

部活動

松井田高等学校は、生徒の自主性を尊重し、部活動にも力を入れていました。 少人数ながらも、チームワークを大切に日々の練習に励む姿が見られました。

  • 運動部: 硬式野球部、バスケットボール部、卓球部、バドミントン部、ソフトテニス部など、基本的な部活動が設置されていました。

  • 文化部: 美術アニメ部、パソコン部、JRC部、吹奏楽部などがありました。 特に吹奏楽部は、学校行事だけでなく地域のイベントでも演奏を披露するなど、活発に活動していました。

  • ボランティア活動: 「松井田高校ボランティアクラブ」の活動が非常に活発で、学校の大きな特色となっていました。 地域のお祭りの手伝いや清掃活動などを通じて、地域社会に貢献していました。

イベント

学校生活を彩るイベントも、生徒たちの手で作り上げられていました。

  • 松嶺祭(しょうれいさい): 3年に一度開催される文化祭で、準備期間から生徒たちが一体となって盛り上がる大きなイベントでした。

  • 体育祭: 文化祭のない年度に開催され、クラス対抗で熱戦が繰り広げられました。

  • 修学旅行: 主に2年生の時に実施され、沖縄などが訪問先となっていました。

  • フィールドワーク: 1年生の時には、地元にある「アプトの道」を散策するなど、地域の自然や歴史に触れる機会も設けられていました。

松井田高等学校の進学実績

松井田高等学校は、生徒一人ひとりの進路希望に寄り添った丁寧な進路指導を行っていました。

  • 多様な進路: 卒業生の進路は、4年制大学や短期大学、専門学校への進学から就職まで、多岐にわたっていました。

  • 主な進学先: 進学先としては、県内の大学や専門学校が多く見られました。

  • 就職: 地元企業への就職者も多く、地域社会で活躍する卒業生を多数輩出しています。

  • 進路サポート: 少人数教育の強みを活かし、個別の面談や補習などを通じて、生徒の進路実現をサポートしていました。

松井田高等学校の特長・アピールポイント

松井田高等学校には、大規模校にはないユニークな魅力がたくさんありました。

  • きめ細やかな少人数指導: 1学年2クラスという小規模校の良さを最大限に活かし、生徒一人ひとりの学習状況や個性に合わせた丁寧な指導を実践していました。

  • 「ハートフル松高」のスローガン: 「人にやさしい学校づくり」を目指し、生徒同士、また生徒と教員が温かい人間関係を築ける環境でした。

  • 活発なボランティア活動: 地域に根ざしたボランティア活動が盛んで、社会貢献の精神を育む貴重な機会となっていました。

  • 充実した体験学習: 地域の自然や文化に触れるフィールドワークなど、教室での学びにとどまらない体験的な学習を重視していました。

  • 選択可能なコース制: 2年生から始まる3つのコースにより、生徒は自らの興味や将来の希望に応じて専門的な学びを深めることができました。

  • 資格取得の積極的な支援: キャリアコースを中心に、簿記検定などの資格取得を学校全体でサポートする体制がありました。

松井田高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、松井田高等学校の温かい校風を評価する声が多く聞かれました。

  • 良い点:

    • 「先生方が親身になって相談に乗ってくれる」

    • 「少人数なので、クラスの団結力が強い」

    • 「いじめなどの話はあまり聞かず、平和な学校生活が送れた」

    • 「自然に囲まれた静かな環境で、勉強に集中できた」

  • 気になる点:

    • 「駅から少し歩くので、アクセスが不便に感じることもあった」

    • 「校舎や施設が少し古いという意見もあった」

    • 「部活動の種類がもう少し多いと良かった」

アクセス・通学

松井田高等学校への主なアクセス方法は以下の通りでした。

  • 最寄り駅: JR信越本線「松井田駅」から徒歩約15分。

  • バス: 最寄りのバス停は「田口医院前」で、徒歩約3分でした。

  • 通学エリア: 主に安中市内や高崎市西部から通学する生徒が多かったようです。高崎駅からはJR信越線で約25分という立地でした。

おわりに

群馬県立松井田高等学校は、2025年3月をもってその長い歴史に幕を閉じます。しかし、「ハートフル松高」のスローガンのもとで育まれた、人を思いやる心や地域を愛する精神は、多くの卒業生の中に生き続けていくことでしょう。小規模校ならではの温かい雰囲気の中で、一人ひとりが主役になれる学校、それが松井田高等学校でした。その歴史と伝統が、これからも地域の中で語り継がれていくことを願っています。