長野県松本工業高等学校は、ものづくりのプロフェッショナルを目指す生徒たちが集まる、活気あふれる専門高校です。長い歴史と伝統の中で、数多くの優れた技術者を社会に送り出してきました。単に専門知識や技術を学ぶだけでなく、「練磨創造」の校訓のもと、自らを磨き、新しいものを創り出す力を育むことを大切にしています。

松本工業高等学校では、機械、電気、電子工業の3つの専門分野で、基礎から応用まで深く学ぶことができます。充実した設備と、経験豊富な先生方の熱心な指導により、生徒一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばせる環境が整っています。部活動も盛んで、全国レベルで活躍する部もあり、勉強と両立させながら充実した高校生活を送ることができます。

この記事では、そんな松本工業高等学校の偏差値や難易度、学校生活の様子、そして卒業後の進路まで、受験生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく解説していきます。ものづくりに興味がある人、専門的なスキルを身につけて将来活躍したいと考えている人にとって、松本工業高等学校がどのような場所なのか、具体的なイメージを掴む手助けになれば幸いです。

松本工業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 長野県松本工業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒390-8525 長野県松本市筑摩4-11-1
代表電話番号 0263-25-1184
公式サイトURL http://www.nagano-c.ed.jp/matuko/

松本工業高等学校の偏差値・難易度・併願校

松本工業高等学校の合格の目安となる偏差値は、学科によって異なりますが、おおむね49〜50程度です。これは長野県内の公立高校の中では中堅レベルに位置します。

  • 機械科: 49

  • 電気科: 50

  • 電子工業科: 49

同じくらいの偏差値の高校としては、近隣では松本蟻ケ崎高等学校(普通科)や田川高等学校(普通科)などが挙げられます。ただし、工業高校は専門科目の学習が中心となるため、普通科の高校とは単純な比較が難しい面もあります。自分の興味や将来の目標と照らし合わせて考えることが大切です。

合格に必要な内申点の目安としては、5段階評価で平均3以上、特に専門科目に関連する数学や理科、技術・家庭科などの成績が重視される傾向があるようです。前期選抜では、中学校での活動実績や面接、作文なども評価の対象となるため、早いうちから準備を進めておくと良いでしょう。

長野県の公立高校入試では、基本的に公立高校同士の併願はできません。そのため、松本工業高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、松商学園高等学校(普通科・商業科)、松本第一高等学校(普通科)、エクセラン高等学校(普通科)などが挙げられます。

松本工業高等学校に設置されている学科・コース

松本工業高等学校には、社会の基盤を支える3つの専門学科が設置されており、それぞれがさらに2つのコースに分かれています。自分の興味や将来の進路に合わせて、より専門的な学びを深めることができます。

  • 機械科

    • 精密工学コース: 時計やカメラのような精密な機械の設計・製作や、加工技術について学びます。細かい作業や、ミクロの世界の技術に興味がある人におすすめです。

    • メカトロ工学コース: 機械と電子回路、コンピュータを組み合わせた「メカトロニクス」技術を学びます。ロボットや自動化された機械を動かすことに興味がある人におすすめです。

  • 電気科

    • 電気・エネルギー工学コース: 発電所から家庭に届くまでの電気の流れや、エネルギーの有効活用について学びます。社会を支える電力システムや、環境問題に関心がある人におすすめです。

    • ロボット制御工学コース: コンピュータを使ってロボットを思い通りに動かすためのプログラミングや制御技術を学びます。ロボットの仕組みやAIに興味がある人におすすめです。

  • 電子工業科

    • 情報技術コース: パソコンの仕組みやプログラミング、ネットワーク技術など、IT社会に不可欠な知識と技術を学びます。アプリ開発や情報セキュリティに興味がある人におすすめです。

    • 電子技術コース: スマートフォンやゲーム機などに使われる電子回路や半導体について学びます。電子工作が好きで、身の回りの電化製品の仕組みを知りたい人におすすめです。

松本工業高等学校の特色・校風

松本工業高等学校は、「質実剛健」「文武両道」といった言葉が似合う、真面目で活気のある校風です。専門的な知識や技術の習得に真剣に取り組む生徒が多く、落ち着いた雰囲気の中で学習に集中できる環境が整っています。

  • 宿題の量: 専門科目に関するレポートや実習の課題などが出されることがありますが、毎日大量の宿題に追われるということは少ないようです。予習・復習をしっかり行う習慣が大切になります。

  • 校則: 他の高校と比較すると、頭髪や服装に関する指導はやや厳しいという声があります。特に、男子の頭髪については定期的に検査があるようです。しかし、「普通に生活していれば問題ない」という意見も多く、社会人として必要なマナーを身につけるための指導と捉えられています。スマートフォンの校内での使用は、基本的には許可されていないようです。

  • 生徒たちの雰囲気: ものづくりが好きな生徒が集まっているため、共通の話題で盛り上がることが多いようです。男子生徒の割合が高いですが、女子生徒も各学科で専門性を磨いています。全体的に真面目で、自分の目標に向かって努力する生徒が多い印象です。いじめはほとんどなく、安心して学校生活を送れるという口コミが多く見られます。

  • アルバイト: アルバイトは原則として禁止されていますが、家庭の事情など特別な理由がある場合は、許可を得て行うことが可能です。

  • 制服: 伝統的な黒の詰襟学生服(男子)とブレザー(女子)です。派手さはありませんが、質実剛健な校風に合った制服と言えるでしょう。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

松本工業高等学校の部活動・イベント

部活動

松本工業高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの部が県大会や北信越大会、全国大会で活躍しています。運動部、文化部ともに充実しており、生徒の多くが部活動に加入し、文武両道を実践しています。

  • 運動部: 野球部、サッカー部、バスケットボール部、バレーボール部、陸上競技部、自転車競技部などが強豪として知られています。特に自転車競技部は全国大会の常連です。他にも、山岳部や弓道部、空手道部など、多様な部活動があります。

  • 文化部: 工業高校ならではの部活動が魅力です。ロボット工学部や電気工学部、機械工学部、原動機部などは、各種コンテストや競技会で全国レベルの成績を収めています。e-sport部といったユニークな部活動もあります。文化部も活発に活動しており、ものづくりの技術を活かした創造的な活動が行われています。

イベント

松本工業高等学校では、生徒たちの手で作り上げる学校行事が大きな盛り上がりを見せます。

  • 松工祭(文化祭): 毎年秋に開催される文化祭は「松工祭(しょうこうさい)」と呼ばれ、地域住民も多く訪れる一大イベントです。各学科や文化部が日頃の学習や研究の成果を発表する展示は、工業高校ならではの見応えがあります。巨大なモニュメントの制作や、各クラスによるユニークな企画など、生徒たちの創造性が発揮されます。

  • 体育祭: クラス対抗で様々な競技に熱中し、クラスの団結力を高める絶好の機会です。応援合戦なども見どころの一つです。

  • 修学旅行: 近年では、関西方面(京都・大阪など)を訪れることが多いようです。歴史的な建造物を見学したり、自主研修で班別行動をしたりと、仲間との絆を深める貴重な体験となります。

  • 課題研究発表会: 3年生が1年間の研究成果を発表する場で、専門性を深める学習の集大成となります。優れた研究は、外部のコンテストなどでも高く評価されています。

松本工業高等学校の進学実績

松本工業高等学校は、就職に非常に強いことで知られていますが、大学や専門学校への進学実績も着実に伸ばしています。生徒一人ひとりの希望進路に合わせた手厚いサポート体制が整っており、進学と就職、どちらの道も選べるのが大きな強みです。

  • 国公立大学: 信州大学、長野大学、公立諏訪東京理科大学、長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学など、工業系の知識を活かせる大学への進学者が多くいます。毎年、安定して国公立大学への合格者を輩出しています。

  • 難関私立大学: 日本大学、東洋大学、東海大学、京都産業大学といった全国の有名私立大学や、金沢工業大学、千葉工業大学、愛知工業大学など、工業系の大学への進学者が多数います。

  • その他: 地元の松本大学や、長野県工科短期大学校などの短期大学校、各種専門学校へ進学する生徒も多くいます。

  • 就職: 就職希望者の内定率はほぼ100%を誇ります。地元の優良企業をはじめ、県内外の大手企業からも多くの求人が寄せられ、学校で学んだ専門知識と技術を高く評価されています。2年生で行われるインターンシップ(就業体験)などを通じて、早期から職業観を育む機会も設けられています。

進学希望者に対しては、放課後や長期休暇中に補習や講習が行われるなど、手厚いサポート体制が整っています。

松本工業高等学校の特長・アピールポイント

松本工業高等学校には、他の高校にはない独自の魅力がたくさんあります。

  • 地域産業界との強い連携: 地元企業約60社で構成される「松本工業高校人材育成支援ネットワーク」が設立されており、インターンシップや出前授業、共同研究などを通じて、企業から直接指導を受ける機会が豊富にあります。

  • 充実した実習設備と「松工ものづくり工房」: 各学科に専門的な実習設備が整っているのはもちろん、学科の枠を越えて高度なものづくりに挑戦できる「松工ものづくり工房」が設置されています。

  • 高い資格取得率: 在学中に、計算技術検定、情報技術検定、危険物取扱者、電気工事士など、将来に役立つ多くの国家資格や検定に挑戦できます。学校全体で資格取得を強力にバックアップしています。

  • 全国レベルで活躍する部活動: ロボット工学部や自転車競技部をはじめ、多くの部活動が全国大会で優秀な成績を収めています。目標に向かって仲間と切磋琢磨できる環境があります。

  • 確かな就職実績: 卒業生は、真面目で実践的な技術を身につけていると企業から高い評価を得ており、就職希望者の内定率は長年100%を維持しています。

  • 進学にも対応できるカリキュラム: 工業高校でありながら、国公立大学や有名私立大学への進学実績も豊富です。専門性を活かした大学進学という選択肢も十分に可能です。

  • 課題研究: 3年生になると、生徒が自らテーマを設定し、1年間かけて研究・製作に取り組む「課題研究」があります。問題解決能力や創造力を養う、工業高校ならではの学びの集大成です。

松本工業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、松本工業高等学校での学校生活について様々な声が寄せられています。

  • 良い点:

    • 「就職に圧倒的に強い。有名企業からの求人も多く、先生方のサポートも手厚い」

    • 「専門的な知識や技術が身につき、資格もたくさん取れるので、将来の目標が明確になった」

    • 「ものづくりが好きな仲間がたくさんいて、毎日が楽しい。先生も専門分野に詳しくて尊敬できる」

    • 「部活動が盛んで、全国大会を目指せる環境がある。勉強との両立は大変だけど、充実している」

    • 「いじめなどの話は聞いたことがなく、治安が良い。真面目な生徒が多いと思う」

  • 気になる点:

    • 「校則、特に頭髪指導が少し厳しいと感じることがある」

    • 「男子生徒の割合が高いので、女子生徒は少し寂しく感じるかもしれない」

    • 「駅から少し距離があり、徒歩だと30分くらいかかるのが少し不便」

    • 「入学直後の応援練習が厳しいという伝統がある」

    • 「専門科目の勉強は、興味がないとついていくのが大変かもしれない」

アクセス・通学

松本工業高等学校へのアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅: JR「松本駅」から約2km

    • 徒歩:約30分

    • バス:松本電鉄バス 並柳団地線「埋橋」下車後、徒歩約10分

    • バス:タウンスニーカー 南コース「筑摩小学校口」下車後、徒歩約10分

松本市内をはじめ、安曇野市、塩尻市など、中信地区の広いエリアから生徒が通学しています。多くの生徒が自転車を利用して通学しているようです。

松本工業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

松本工業高等学校は、「ものづくりが好き」「専門的なスキルを身につけて、将来社会の役に立ちたい」という強い意志を持った生徒に特におすすめの学校です。普通科の高校とは違い、1年生の時から専門科目の授業が始まります。だからこそ、自分が何を学びたいのか、どの学科に興味があるのかを、学校説明会や体験入学に積極的に参加して見極めることがとても大切です。

受験勉強においては、5教科をバランスよく学習することはもちろんですが、特に数学と理科は工業の基礎となる重要な科目なので、重点的に力を入れておきましょう。また、前期選抜では面接も重視されます。「なぜ松本工業高校で学びたいのか」「将来どんな技術者になりたいのか」といった自分の考えを、自分の言葉でしっかりと伝えられるように準備しておくと、熱意が伝わりやすくなります。

松本工業高等学校での3年間は、あなたの「好き」を「得意」に変え、未来を切り拓くための大きな力になるはずです。目標に向かって頑張る皆さんを応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。