樹徳高等学校は、群馬県桐生市に根ざして長い歴史を刻んできた、伝統ある私立の共学校です。高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を左右する大切な一歩。たくさんの選択肢の中から、自分にぴったりの学校を見つけるのは、期待も大きいけれど、不安も同じくらい大きいことでしょう。このページは、そんな皆さんのために、樹徳高等学校がどんな学校なのか、その魅力とリアルな姿を、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解き明かしていきます。
この学校の最も大きな特徴は、その「多様性」にあります。一つの学校の中に、まるで複数の学校があるかのように、多彩な学びのコースが用意されています。最難関大学を目指して日々学問に打ち込む生徒がいる一方で、甲子園という大きな夢を追いかけて白球を追う生徒もいます。それぞれの目標に向かって真剣に取り組む仲間たちが集う場所、それが樹徳高等学校です。
この記事を読み進めていくことで、それぞれのコースが持つ雰囲気の違いや、学校生活の具体的な様子、そして先輩たちのリアルな声を知ることができるはずです。漠然としたイメージが、きっと「ここでなら、私のやりたいことが見つかるかもしれない」という確信に変わるでしょう。さあ、一緒に樹徳の扉を開けて、あなただけの高校生活を探す旅に出かけましょう。
樹徳高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 樹徳高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒376-0023 群馬県桐生市錦町1-1-20 |
代表電話番号 | 0277-45-2258 |
公式サイトのURL | https://www.jutoku.ed.jp/high/ |
樹徳高等学校の偏差値・難易度・併願校
樹徳高等学校の入試難易度は、志望するコースによって大きく異なります。これは、この学校を理解する上で最も重要なポイントです。自分の学力や目標に合ったコースを見極めることが、合格への第一歩となります。
コースごとの最新の偏差値の目安は以下の通りです。
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普通科 SS(スーパーサイエンス)コース: 70
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普通科 K(特別大学進学)コース: 62
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普通科 S(大学進学)コース: 55
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普通科 J(普通)コース: 42
ご覧の通り、最上位のSSコースの偏差値70は、群馬県内でもトップクラスの難易度を誇ります。東京大学や京都大学、国公立大学の医学部といった最難関大学への進学を視野に入れた、非常にレベルの高いコースです。一方で、Jコースはより幅広い学力層の生徒を受け入れており、多様な進路に対応しています。この偏差値の幅の広さが、樹徳高等学校が「一つの学校の中に、複数の学校があるようだ」と言われる理由です。
難易度の具体的なイメージ
偏差値だけでは、具体的な難易度は分かりにくいかもしれません。そこで、合格に必要な内申点の目安も見てみましょう。樹徳高等学校では、中学校の成績(内申点)によって、入試で有利になる「併願優遇」という制度があります。
例えば、KコースやSコースを含む「文理進学型」の併願優遇を得るには、「9教科の評定合計が36以上」または「主要5教科の評定合計が21以上」といった基準が設けられています。最難関のSSコースを目指す場合は、さらに高い内申点が求められ、「5教科23以上」または「9教科38以上」が目安となります。これは、オール4をベースに、5がいくつも必要になるレベル感です。
また、当日の学力試験では、KコースやSコースの合格にはおおよそ6割以上、SSコースでは7割以上の得点が目安とされています。
主な併願校
樹徳高等学校を受験する生徒は、以下のような高校を併願校として選ぶことが多いようです。自分の学力レベルや目指す方向性と照らし合わせて参考にしてください。
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公立高校:
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桐生高校(特に理数科はSSコースの併願先として考えられます)
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桐生清桜高校
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太田高校
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前橋高校
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伊勢崎清明高校
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私立高校:
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桐生第一高等学校
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前橋育英高等学校
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高崎健康福祉大学高崎高等学校
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東京農業大学第二高等学校
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白鴎大学足利高等学校(栃木県)
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特にSSコースやKコースを第一志望とする生徒は、県内のトップクラスの公立高校と合わせて受験を検討する傾向があります。また、樹徳には、上位コースの試験で不合格だった場合に、下位のコースで合格となる「スライド合格」の制度があります。これは、挑戦したい気持ちを後押ししてくれる、受験生にとっては心強いシステムと言えるでしょう。
樹徳高等学校に設置されている学科・コース
樹徳高等学校の最大の魅力は、目標に応じて選べる4つの多彩なコース編成にあります。それぞれのコースがどんな場所で、どんな生徒におすすめなのかを見ていきましょう。
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普通科 SS (スーパーサイエンス) コース
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どんな場所?: 東京大学や京都大学、国公立大学医学部など、最難関理系大学への現役合格を目指す少数精鋭のクラスです。
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どんな人におすすめ?: 高い学力と強い意志を持ち、将来は科学者や医師、研究者として社会の最前線で活躍したいと考えている人。
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普通科 K (特別大学進学) コース
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どんな場所?: 難関国公立大学や有名私立大学への進学を目指す、学習中心のコースです。成績次第でSSコースへ編入する道も開かれています。
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どんな人におすすめ?: 高いレベルの大学進学を目標に、3年間集中して学力を伸ばしたい人。部活動よりも勉強に重点を置きたい人。
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普通科 S (大学進学) コース
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どんな場所?: 勉強と部活動を高いレベルで両立させる「文武両道」を実践するコースです。Kコースとほぼ同じカリキュラムで学びながら、部活動にも全力で打ち込めます。
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どんな人におすすめ?: 大学進学も目指したいけれど、高校生活では部活動にも情熱を注ぎ、仲間と共に成長したい人。
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普通科 J (普通) コース
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どんな場所?: 大学、短大、専門学校への進学から就職まで、一人ひとりの多様な進路希望にきめ細かく対応するコースです。キャリア教育にも力を入れています。
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どんな人におすすめ?: 高校生活を通して自分の興味や適性を見つけ、将来の夢をじっくり探したい人。特定の部活動に集中したい人。
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樹徳高等学校の特色・校風
樹徳高等学校の校風をキーワードで表すなら、「多様性」「文武両道」「仏教精神に基づく教育」「コースごとに異なる雰囲気」といった言葉が挙げられます。学校生活のリアルな部分を、口コミを基に詳しく見ていきましょう。
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宿題の量: コースによって大きく異なると考えられます。SSコースやKコースでは、難関大学合格という目標達成のため、日々の課題や予習・復習の量は多く、家庭学習が習慣化していることが求められるでしょう。SコースやJコースは、部活動や個々の活動との両立を考慮した量になる傾向があります。
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校則: 「比較的厳しい」という声が多く聞かれます。特に、月に一度行われる頭髪・服装検査は厳格なようです。スマートフォンの校内での使用も、授業中は禁止など、一定の制限があると考えるのが自然です。この厳しさは、多様な生徒が在籍する中で、学校全体の秩序を保つために必要な方針なのかもしれません。しかし、上位コースの生徒からは「もう少し自由でも良いのに」という声も聞かれます。
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生徒たちの雰囲気: これもコースによる違いが最も顕著に表れる点です。進学コース(SS・K・S)では、「優しくて穏やかな人が多く、授業も静かで集中できる環境だった」というポジティブな声が多数あります。一方で、Jコースについては、「活発な生徒が多い」「勉強への意欲の差が大きい」といった意見が見られ、時に「少し荒れている」という噂も聞かれることがあるようです。これは、Jコースが多様な個性や目標を持つ生徒を受け入れていることの裏返しとも言えます。
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アルバイト: 校則が厳しい傾向にあることや、進学や部活動に力を入れている学校の方針から、原則としてアルバイトは禁止されているか、特別な事情がある場合に許可制となっている可能性が高いです。
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制服の評判: 女子の制服は「可愛い」と地域でも評判で、入学の決め手の一つになることもあるようです。ブレザースタイルで、清楚なデザインが人気を集めています。一方、男子は伝統的な黒の学ランで、こちらは「可もなく不可もなく」「少し地味」といった意見が見られます。
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土曜授業: 進学探究コース(SS・Sクラス)では、土曜日にも授業や課外活動が設定されています。これは、平日だけでは足りない学習時間を確保し、大学進学に向けた手厚いサポートを行うためのものです。ただし、学校の公式な休業日は土曜日と定められているため、毎週終日授業があるというよりは、必要な講習や探究活動が行われる形だと考えられます。
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仏教教育: 樹徳は仏教の教えを建学の精神としており、宗教的な行事も学校生活の一部です。特に、入学式などの式典ではその特色が強く表れ、「少し驚いた」と感じる生徒もいるようです。これは、他校にはないユニークな文化であり、入学前に知っておくと良いポイントです。
樹徳高等学校の部活動・イベント
部活動
樹徳高等学校の部活動は、運動部・文化部ともに充実しており、多くの生徒が熱心に活動しています。特に全国レベルで活躍する「強化指定部」は、学校の顔とも言える存在です。
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野球部: 群馬県の高校野球をリードする強豪として全国的に有名です。2022年には30年ぶりに夏の甲子園出場を果たし、多くのプロ野球選手も輩出しています。専用グラウンドも完備され、甲子園を目指す生徒にとっては最高の環境が整っています。
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理科部: 運動部と並び、樹徳が誇るもう一つの全国レベルの部活です。その活動は、単なる実験や観察にとどまりません。地元の農業副産物を利用したカイコの研究など、独創的なテーマで課題研究に取り組み、「Google Science Jam」でグランプリを受賞するなど、数々の科学コンテストで輝かしい実績を上げています。科学の探究に情熱を燃やす生徒にとって、これ以上ない環境です。
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陸上競技部: 長距離、短距離ともに県内トップクラスの実力を誇ります。特に駅伝は強く、2018年には県大会で初優勝を成し遂げました。全国大会や関東大会の常連であり、高い目標を持って日々練習に励んでいます。
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卓球部(男女): 「全国制覇」を目標に掲げ、非常に厳しい練習を積んでいる強豪部です。男子は早朝練習も行うなど、練習時間は長くハードですが、その分、高いレベルでの成長が期待できます。
その他にも、相撲部、男子バスケットボール部などが強化指定部に指定されています。文化部では、eスポーツ部やFM桐生放送委員会といったユニークな部もあり、自分の興味に合わせて活動を選ぶことができます。
イベント
高校生活を彩る学校行事については、文化祭や体育祭、修学旅行などが主なイベントとして行われます。ただし、口コミを見ると、「行事が少ない」「先生方が厳しく、あまり盛り上がらない」といった少し残念な声も聞かれることがあります。これは、学校全体として学習や部活動に重点を置いていることの表れかもしれません。しかし、クラスや友人たちと協力して準備を進める過程は、かけがえのない思い出になるはずです。楽しむ気持ち次第で、どんな行事も最高のイベントに変えることができるでしょう。
樹徳高等学校の進学実績
樹徳高等学校は、特に上位コースを中心に、非常に高い大学進学実績を誇っています。最新の2024年度の合格実績を見ると、その実力がよく分かります。
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国公立大学: 24名(現役22名)が合格しています。
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特筆すべきは、最難関の東京大学に1名、さらに群馬大学と山形大学の医学部医学科に合計3名が合格している点です。これは、SSコースを中心とした高い学力の証明と言えます。
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その他、筑波大学、金沢大学、高崎経済大学、群馬大学など、地元の国公立大学にも多数の合格者を出しています。
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難関私立大学:
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早慶上理(早稲田、慶應、上智、東京理科)では、慶應義塾大学に1名、東京理科大学に1名が合格。
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GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)には、合計14名が合格しています(明治3名、青山学院1名、立教2名、中央1名、法政7名)。
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また、私立大学の医学部医学科にも、順天堂大学や自治医科大学をはじめ7名が合格しており、医療系への進学にも強みを発揮しています。
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その他の進路:
SコースやJコースの生徒は、これらの難関大学だけでなく、日本大学や東洋大学といった中堅私立大学や、地元の大学、短期大学、専門学校への進学、さらには就職まで、幅広い進路を選んでいます。一人ひとりの目標に合わせた進路指導が行われている証拠です。
こうした高い進学実績は、SSコースの少人数制指導や、K・Sコースの土曜講習といった手厚いサポート体制によって支えられています。ただし、一部の口コミでは「進学コースでは国公立大学への受験を強く勧められる」という声もあり、学校として国公立大学への進学に力を入れている姿勢がうかがえます。
樹徳高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、樹徳高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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目標別に最適化された多彩なコース設定
東京大学や医学部を目指す超進学型の「SSコース」から、文武両道を実践する「Sコース」、多様な進路に対応する「Jコース」まで、自分の学力や目標にぴったりの学びの場が用意されています。
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全国に名を轟かせるトップレベルの部活動
甲子園出場の「野球部」や数々の強豪運動部だけでなく、Google主催の科学コンテストでグランプリに輝いた「理科部」など、文武の両面で全国レベルの実績を誇る部活動が揃っています。
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医学部・理系難関大への圧倒的な合格実績
国公立・私立を問わず、医学部医学科へ多数の合格者を輩出しているのは大きな強みです。理系トップ層を目指す生徒にとって、非常に魅力的な環境と言えます。
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2路線が使える抜群のアクセス
JR両毛線「桐生駅」と上毛電気鉄道「西桐生駅」の両方が徒歩圏内という、通学に非常に便利な立地です。これにより、桐生市内だけでなく、群馬県の広範囲や県境を越えた栃木県足利市方面からも多くの生徒が通学しています。
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充実した学習・スポーツ施設
全校集会が可能な大きな講堂や、野球部専用グラウンド、サッカーなどができる相生グラウンドなど、生徒の活動を支える施設が充実しています。校内にはコンビニもあり、生徒の利便性も考えられています。
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挑戦を後押しする「スライド合格」制度
入試で上位コースに挑戦し、万が一合格点に届かなくても、基準を満たしていれば下位のコースで合格できる制度があります。これにより、生徒は安心して自分の限界にチャレンジすることができます。
樹徳高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の声を公平にまとめることで、学校のリアルな姿が見えてきます。樹徳高等学校の評判は、在籍するコースによって大きく変わることを念頭に置いてご覧ください。
良い点
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「先生のサポートが手厚い」
特に進学コースでは「先生方が親身になって相談に乗ってくれる」「小規模なクラスだからこそ、きめ細かい指導が受けられる」といった声が多く聞かれます。
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「進学コースは落ち着いて勉強できる環境」
上位コースのクラスは「授業妨害をするような生徒はおらず、皆が真面目に勉強に取り組んでいる」と評価されており、学習に集中したい生徒には最適な環境のようです。
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「施設が綺麗で充実している」
校舎や講堂が大きく綺麗で、気持ちよく学校生活が送れるという意見があります。
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「女子の制服が可愛いと評判」
制服のデザイン性の高さは、多くの女子生徒にとって魅力的なポイントとなっています。
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「駅から近くて通いやすい」
2つの駅が利用できるアクセスの良さは、多くの生徒から高く評価されています。
気になる点
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「コース間の雰囲気や生徒の意識の差が大きい」
これが最も多く指摘される点です。「進学コースとJコースでは、まるで別の学校のよう」と感じる生徒も少なくありません。Jコースについては、「勉強への意欲が低い生徒もいて、雰囲気に馴染めなかった」という声もあります。
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「校則が細かく、厳しいと感じる」
特に頭髪検査など、身だしなみに関するルールが厳しいと感じる生徒が多いようです。
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「いじめへの対応に不安の声も」
一部の口コミでは、「いじめがあったが、学校側の対応が十分ではなかった」という指摘が見られます。これは学校選びにおいて非常に重要な点なので、説明会などで学校側の姿勢を直接確認することをおすすめします。
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「行事の盛り上がりに欠けるという意見」
「文化祭などのイベントが、他の高校に比べて地味に感じる」という声が一部にあります。
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「仏教色が思ったより強い」
入学式などの行事で、宗教的な側面に戸惑いを感じる生徒もいるようです。
アクセス・通学
樹徳高等学校への通学は非常に便利で、広範囲からの通学者がいます。
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最寄り駅:
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JR両毛線 「桐生駅」
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上毛電気鉄道 「西桐生駅」
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アクセス方法:
どちらの駅からも、徒歩で約5分から10分程度です。駅からの近さは、日々の通学の負担を大きく軽減してくれます。
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通学エリアの傾向:
桐生市、みどり市、太田市、伊勢崎市といった群馬県東毛地域からの通学者が中心ですが、JR両毛線や上毛電気鉄道を利用して、前橋市や高崎市方面、さらには県境を越えて栃木県足利市方面から通う生徒も少なくありません。
樹徳高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。樹徳高等学校という学校の、多様で奥深い姿が少し見えてきたのではないでしょうか。最後に、皆さんへの応援の気持ちを込めて、アドバイザーとしてのアドバイスを送ります。
樹徳高等学校は、「明確な目標を持っている生徒」に特におすすめしたい学校です。「最難関大学に行きたい」「甲子園でプレーしたい」「科学の研究に没頭したい」――。そんな強い思いがあるなら、この学校にはその夢を全力でサポートしてくれる環境が整っています。大切なのは、「樹徳高校に行きたい」と漠然と考えるのではなく、「樹徳高校の〇〇コースで、〇〇をしたい」と具体的にイメージすることです。自分自身の学力、興味、そして高校生活で何を一番大切にしたいのかをじっくり見つめ直し、あなたに最適なコースを選んでください。
受験勉強では、まず中学校の成績、つまり「内申点」を一つでも多く上げることが重要です。樹徳高等学校は、入試において内申点を非常に重視する傾向があります。日々の授業を大切にし、定期テストで着実に結果を出すことが、合格への一番の近道です。その上で、志望コースの合格目安となる得点率を目標に、過去問などに取り組んでいきましょう。あなたの挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。