大阪府立港南造形高等学校は、美術やデザイン、工芸といった造形芸術を専門的に学べる、大阪で唯一の公立高校です。自分の「好き」をとことん追求したい、将来はクリエイティブな世界で活躍したい、そんな夢を持つ中学生にとって、まさに理想の環境がここにはあります。専門的な設備は大学にも引けを取らないほど充実しており、同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、3年間を過ごすことができます。
「絵を描くのが好き」「何かを創り出すのが楽しい」その気持ちを、本物の力に変えてくれるのが港南造形高等学校です。普通科目もしっかり学びながら、専門分野の知識と技術を深く学べるカリキュラムが組まれており、国公立の芸術大学や有名美術大学への進学実績も豊富です。
この記事では、そんな魅力あふれる港南造形高等学校について、偏差値や気になる学校生活の様子、そして卒業後の進路まで、進学アドバイザーとして詳しく解説していきます。あなたの未来のキャンバスに、どんな高校生活を描きたいか、一緒に考えていきましょう。
港南造形高等学校の基本情報
まずは、港南造形高等学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
港南造形高等学校の偏差値・難易度・併願校
港南造形高等学校への進学を考える上で、偏差値や難易度は気になるポイントですよね。専門性の高い高校なので、学力だけでなく実技の能力も重要になります。
総合造形科の偏差値は「44」程度とされていますが、これはあくまで学力試験の目安です。 港南造形高等学校の入試では、学力検査に加えて実技検査が課されるのが大きな特徴です。デッサンや色彩表現などの実技能力が合否に大きく影響するため、偏差値だけでは測れない難しさがあります。
合格に必要な内申点の目安としては、5段階評価で平均「3」以上は欲しいところです。もちろん、内申点が高いに越したことはありませんが、それ以上に実技試験で高い評価を得ることが重要視される傾向があります。日頃からデッサンの練習を積んでおくことが、港南造形高等学校合格への近道と言えるでしょう。
大阪府の公立高校入試制度上、他の公立高校との併願はできません。そのため、併願校は私立高校が中心となります。美術系コースを持つ、大阪芸術大学附属高等学校、好文学園女子高等学校、大阪成蹊女子高等学校などが主な併願先として考えられます。
港南造形高等学校に設置されている学科・コース
港南造形高等学校には、「総合造形科」という1つの学科が設置されています。 この学科の中で、生徒一人ひとりの興味や関心、そして将来の夢に合わせて、専門分野を深く学んでいくことになります。
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総合造形科: 1年次ではデッサンや構成など、造形の基礎を全員が共通で学びます。 2年次からは「美術」「デザイン」「工芸」「造形教養」の4つの領域に分かれ、より専門的な知識と技術を身につけていきます。 自分の「好き」をじっくり見つけ、将来の進路を考えながら専門性を高めていきたい生徒におすすめです。3年次には、1年かけて卒業制作に取り組み、その集大成として校外で展覧会も開催します。
港南造形高等学校の特色・校風
港南造形高等学校の校風は、一言で表すと「自由と創造」です。生徒の個性を尊重し、自主性を育むことを大切にしている学校です。
校則は他の公立高校と比較すると緩やかな傾向があり、頭髪の色などに関する厳しい規定は少ないようです。ただし、携帯電話の校内での使用は原則として禁止されています。 生徒たちは落ち着いた雰囲気の人が多い一方で、自分の作品制作には情熱を燃やす、メリハリのある学校生活を送っています。
制服は、えんじ色のチェック柄のスカートやスラックスが可愛いと評判です。 ネクタイとリボンは自由に選択でき、男女の区別なくスカートとスラックスを選べるなど、多様性に配慮されている点も魅力です。
宿題の量は専門科目の課題が中心となり、特に提出前は忙しくなることが多いようです。しかし、それは自分の好きなことに打ち込んでいる証拠でもあります。アルバイトは届け出が必要ですが、学業に支障のない範囲で可能です。土曜日には希望者を対象としたデッサン講習や、3年生向けの学科講習が開かれており、スキルアップや進学対策も万全です。
港南造形高等学校の部活動・イベント
部活動
港南造形高等学校は、専門高校ならではの個性的な文化部が充実しています。多くの生徒が部活動に加入し、複数の部を掛け持ちして楽しむ生徒も少なくありません。
特に、美術部、デザイン部、陶芸部、ガラス工芸部、写真部などは、専門の設備を活かして本格的な活動を行っています。運動部も活動しており、自分のペースで楽しみながら体を動かすことができます。
イベント
港南造形高等学校の学校行事は、生徒たちのクリエイティビティが爆発する、活気あふれるものばかりです。
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文化祭(KONAN祭): 毎年9月に行われる文化祭は、最大のイベントです。 各クラスや部活動が制作した作品の展示・販売、演劇や軽音楽部のライブなど、校内全体がアートに染まります。 そのクオリティの高さは、訪れる人々を驚かせるほどです。
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体育祭: 体育祭も、美術系の高校ならではのユニークなプログラムで盛り上がります。
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修学旅行: 2年生の秋には修学旅行があります。 近年では岩手の中尊寺を訪れたり、函館・青森を巡ったりと、歴史や文化、自然に触れる貴重な体験ができます。
港南造形高等学校の進学実績
港南造形高等学校の生徒の多くは、その専門性をさらに高めるため、美術系・芸術系の大学や専門学校へ進学します。 卒業後の進路は、進学が全体の約85%を占めています。
国公立大学では、最難関の東京藝術大学をはじめ、金沢美術工芸大学、京都市立芸術大学、秋田公立美術大学などへの合格者を輩出しています。 また、私立大学では、多摩美術大学、武蔵野美術大学、京都芸術大学、大阪芸術大学といった全国の有名美術大学に多くの生徒が進学しています。
こうした高い進学実績を支えているのが、手厚い進路サポートです。土曜日の講習はもちろん、毎年6月には全国の美術系大学・短期大学を招いた合同説明会を校内で開催するなど、生徒が早い段階から進路について考えられる機会を豊富に提供しています。
港南造形高等学校の特長・アピールポイント
港南造形高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさん詰まっています。
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大学レベルの専門設備: 洋画、日本画、彫刻のアトリエはもちろん、ガラス工房、陶芸窯、木工室、金工室、漆芸室など、各分野の専門的な設備が非常に充実しています。
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幅広い専門分野を学べるカリキュラム: 1年で基礎を学んだ後、2年から美術、工芸、デザイン、造形教養の4つの領域から自分の興味に合わせて専門分野を選択できます。
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第一線で活躍するプロによる指導: 普段の授業に加えて、特別講師として現役のアーティストやデザイナーを招き、直接指導を受ける機会があります。
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卒業制作展「港南展」: 3年間の学びの集大成として、卒業制作展を校外の美術館などで開催します。 一般のお客さんも来場する本格的な展覧会で、自分の作品を社会に発信する貴重な経験ができます。
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充実した進路サポート: 全国美術系大学・短期大学合同説明会や、きめ細やかな個別指導など、生徒一人ひとりの夢の実現を力強くバックアップします。
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校内に画材店がある: 梅田や難波の専門店と同じ画材店が校内にあり、必要な画材を安く購入することができます。
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イタリア研修旅行: 2023年度からは、希望者を対象としたイタリア研修旅行も予定されており、本場の芸術に触れる機会も設けられています。
港南造形高等学校の口コミ・評判のまとめ
最後に、在校生や卒業生からの声をまとめてみました。学校選びの参考にしてください。
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良い点:
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「美術やデザインを本気で学びたい人にとっては最高の環境。設備が本当にすごい。」
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「同じ趣味や目標を持つ友達がたくさんできるので、毎日が楽しい。」
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「先生方はそれぞれの分野の専門家なので、授業が深く、面白い。」
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「校則が自由な分、自分で考えて行動する力が身についた。」
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「文化祭(KONAN祭)のクオリティが高く、みんなで一つのものを作り上げる達成感がすごい。」
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気になる点:
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「専門的な授業が多いので、美術が好きという気持ちがないと、課題などをこなすのが大変かもしれない。」
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「最寄り駅から少し歩くので、アクセスが少し不便に感じる人もいるようです。」
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「普通科目に比べて、専門科目の授業にかなり力が入っていると感じることがある。」
アクセス・通学
港南造形高等学校へのアクセスは以下の通りです。
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最寄り駅:
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ニュートラム「南港口」駅下車、西へ約400m(徒歩約5分)
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ニュートラム「南港東」駅下車、西へ約400m(徒歩約5分)
大阪市内だけでなく、府内の様々なエリアから生徒が通学しています。専門的な学びを求めて、広い地域から生徒が集まるのが港南造形高等学校の特徴です。
港南造形高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
港南造形高等学校は、「好き」という気持ちを原動力に、自分の可能性を大きく広げることができる学校です。もしあなたが、絵を描いたり、ものを作ったりすることに夢中になれるなら、この学校は最高の場所になるでしょう。周りも同じ志を持つ仲間ばかりなので、お互いに刺激し合いながら、かけがえのない3年間を過ごせるはずです。
港南造形高等学校の入試では、学力だけでなく実技が非常に重視されます。特にデッサンは、造形の基本となる大切な力です。今から画塾に通うなどして、鉛筆デッサンの基礎をしっかりと身につけておくことを強くおすすめします。大切なのは、上手い下手だけでなく、ものをよく見て、粘り強く描く姿勢です。あなたの「好き」という熱い気持ちを、ぜひ作品にぶつけてください。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。