県立広島高等学校は、広島県内でもトップクラスの学力と、独自の教育方針で注目を集める進学校です。2004年に開校した比較的新しい学校でありながら、東京大学や京都大学をはじめとする難関大学への高い進学実績を誇り、グローバル社会で活躍できる人材の育成に力を入れています。中高一貫教育の利点を活かした、先進的で質の高い学びの場として、多くの受験生が憧れを抱いています。
この学校の大きな魅力は、単に学力が高いだけでなく、生徒一人ひとりの「知性・感性・意志」をバランス良く育むことを目指している点にあります。生徒の自主性を重んじる自由な校風の中で、仲間と切磋琢磨しながら、勉強はもちろん、部活動や学校行事にも全力で打ち込める環境が整っています。県立広島高等学校は、高い目標を持ち、自ら学ぶ意欲のある生徒にとって、最高の舞台となるでしょう。
この記事では、進学アドバイザーの視点から、県立広島高等学校の偏差値や進学実績といったデータだけでなく、校風や学校生活、在校生のリアルな声まで、受験生と保護者の皆さんが本当に知りたい情報を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。この記事を通して、学校の魅力や特色を深く理解し、皆さんの志望校選びの一助となれば幸いです。
県立広島高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 広島県立広島高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒739-2125 広島県東広島市高屋町中島31-7 |
代表電話番号 | 082-491-0270 |
公式サイトURL | https://www.hcyuko.hiroshima-c.ed.jp/ |
県立広島高等学校の偏差値・難易度・併願校
県立広島高等学校の受験を考える上で、最も気になるのが学力レベルでしょう。ここでは、偏差値や合格に必要な内申点の目安、そして主な併願校について解説します。
偏差値と難易度
県立広島高等学校の偏差値は非常に高く、広島県内の公立高校では最難関の一つに数えられます。
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普通科:偏差値 69
偏差値69というのは、受験生全体の上位約3%以内に入る学力が必要であることを示しています。同じくらいの偏差値の高校としては、広島市立基町高等学校(普通科:71)があり、これらの学校は県内の学力トップ層が目標とする学校です。
合格の難易度を考える上で、偏差値と同じくらい重要なのが「内申点」です。県立広島高等学校の合格者の多くは、135点満点中120点以上の非常に高い内申点を確保している傾向があります。広島県の公立高校入試では、音楽や美術、保健体育、技術・家庭といった副教科の評価が2倍になる計算方法が採用されているため、主要5教科だけでなく、副教科でも高い評価を得ることが合格への鍵となります。中学1年生の時から、すべての教科で手を抜かず、定期テストで高得点を目指し、授業態度や提出物にも真摯に取り組む姿勢が求められます。
主な併願校
広島県の公立高校入試では、原則として複数の公立高校を併願することはできません。そのため、県立広島高等学校を受験する場合、併願先は私立高校となります。学力レベルや通学の利便性などを考慮して、以下のような私立高校が併願校として選ばれることが多いようです。
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近畿大学附属高等学校東広島校
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広島国際学院高等学校
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広島修道大学ひろしま協創高等学校
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広島なぎさ高等学校
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武田高等学校
これらの学校は、それぞれ特進コースなどを設けており、高い学力を持つ生徒の受け皿となっています。
県立広島高等学校に設置されている学科・コース
県立広島高等学校に設置されている学科は「普通科」のみですが、学年が上がるにつれて、生徒一人ひとりの興味や進路希望に合わせた学びができるよう、カリキュラムが工夫されています。
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普通科
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1年次:高校から入学した生徒と、併設の中学校から進学した生徒が一緒になる「混合クラス」で学びます。多様なバックグラウンドを持つ仲間と協働的な学習を進める中で、新たな視点や価値観に触れることができます。
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2年次:選択科目によって、緩やかに文系・理系の方向性が分かれ始めます。また、特にグローバルな課題に関心のある生徒向けに「グローバルコース」が設置され、より専門的な探究活動や表現活動に取り組むことができます。
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3年次:大学受験に向けて、進路希望に応じて「文科型」と「理科型」にクラスが分かれます。さらに自由選択科目も用意されており、志望する大学・学部の入試に特化した、より実践的な学習を進めることが可能です。
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このように、県立広島高等学校のカリキュラムは、幅広い教養を身につけながら、徐々に専門性を高めていくことができる構成になっています。将来の目標がまだ明確でない生徒も、1年間の学びを通して自分の興味・関心を見つけ、最適な進路を選択していけるでしょう。
県立広島高等学校の特色・校風
学校選びでは、偏差値や進学実績だけでなく、学校全体の雰囲気や文化、つまり「校風」が自分に合っているかどうかも非常に重要です。ここでは、口コミなどを基に、県立広島高等学校のリアルな学校生活に迫ります。
キーワードで表す校風は、「自主自立」「文武両道」「グローバル」「探究心」「落ち着いた学習環境」といった言葉が当てはまります。学校の校訓である「高い知性 豊かな感性 強い意志」は、まさにこの校風を体現しており、生徒たちが自律した学習者として成長することを促しています。
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宿題の量は多いか少ないか
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課題の量は決して少なくはないようですが、「やらされる」というよりは、生徒の知的好奇心を引き出すような質の高いものが多いという声が見られます。自己管理能力が求められますが、計画的に取り組めば十分にこなせる量であり、塾に通わなくても力がつくと評価されています。
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校則は厳しいか緩やかか(スマホ、服装など)
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全体的に「自由」な校風で、校則は比較的緩やかなようです。生徒の自主性や良識を信頼している雰囲気があり、細かなルールで縛るよりも、生徒自身が考えて行動することを重視している様子がうかがえます。
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生徒たちの雰囲気(真面目、活発など)
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「真面目で落ち着いている」「勉強熱心な生徒が多い」という口コミが多数あります。県内各地から高い志を持った生徒が集まるため、互いに刺激し合える学習環境が自然と形成されています。頑張る人を素直に応援する文化があり、いじめなどの心配は少ないようです。
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アルバイトは可能か
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口コミなどでは明確な情報はありませんが、学業のレベルの高さや課題の量、部活動への参加率などを考慮すると、アルバイトをしている生徒は少ないと考えられます。学校としても、学業への専念を推奨している可能性が高いでしょう。
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制服の評判はどうか
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制服については、「あまり格好良くない」「ダサい」といった正直な意見が一部で見られます。デザイン性を重視する人にとっては、少し気になるポイントかもしれません。
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土曜授業はあるか
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毎週ではありませんが、土曜日には模擬試験や進学対策の講座、部活動の大会などが行われることが多いようです。特に3年生になると、大学受験に向けたサポートが土曜日にも手厚く行われます。
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この学校の校風は、その立地と深く関係していると言えるかもしれません。東広島市の落ち着いた環境に位置しているため、都会の高校のような喧騒はなく、生徒は自然と学業や探究活動に集中できます。この「静かな環境」と「高い学力レベル」の組み合わせが、自主性を重んじ、知的な探究を奨励する独特の文化を生み出しているのです。
県立広島高等学校の部活動・イベント
充実した高校生活を送る上で、勉強以外の活動も大切です。県立広島高等学校の部活動と学校行事について見ていきましょう。
部活動
県立広島高等学校では、多くの生徒が部活動に加入し、文武両道を目指して活発に活動しています。体育系、文化系ともに充実したラインナップが揃っています。
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体育系クラブ(全14種)
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軟式野球部、サッカー部、陸上競技部、男女テニス部、男女バスケットボール部、男女バドミントン部、バレーボール部、卓球部、弓道部、剣道部、登山部などがあります。
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文化系クラブ(全11種)
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吹奏楽部、放送部、科学研究部、囲碁将棋部、茶華道部、美術部、演劇部、箏曲部、英会話部など、多様なクラブが活動しています。
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特に全国レベルで突出した実績を持つ部活動の情報は限られていますが、生徒たちはそれぞれの部で熱心に活動し、高校生活を謳歌しています。学習との両立を前提としながらも、真剣に部活動に取り組める環境が整っているのが魅力です。
イベント
一年を通して、生徒たちの心に残る多彩な学校行事が開催されます。
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文化祭
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生徒が主体となって企画・運営されるのが大きな特徴です。クラスや文化部が趣向を凝らした展示や発表を行い、大変な盛り上がりを見せます。生徒たちの自主性や創造性が存分に発揮されるイベントです。
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体育祭
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県立広島高等学校の体育祭で特に有名なのが、男子生徒による伝統の「HAKA(ハカ)」です。ニュージーランドのマオリ族の民族舞踊であるハカを、全男子生徒が一体となって披露する姿は圧巻で、学校の団結力を象徴する名物となっています。
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修学旅行
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高校2年生で実施されます。行き先は年度によって異なりますが、グローバルな視点を養うという学校の方針に基づき、学びの多い研修旅行となるよう計画されています。
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その他の行事
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著名人を招いての講演会が開催されることもあり、過去には戦場カメラマンの渡部陽一氏が訪れたこともあるようです。また、探究学習の成果を発表する機会や、各種コンテスト、球技大会など、年間を通じて生徒の知的好奇心や交流を深めるイベントが豊富に用意されています。
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県立広島高等学校の進学実績
県立広島高等学校の最大の強みの一つが、その卓越した大学進学実績です。全国の最難関大学へ、毎年多くの生徒を送り出しています。
最新の大学進学実績(2024年)
2024年の主要大学合格実績は以下の通りです。卒業生数は232名でした。
大学分類 | 主な大学名と合格者数 |
国公立大学 | 東京大学:5名(現役4名) 京都大学:4名(現役4名) 旧帝大+一橋/東工/神戸大:合計29名(現役) 広島大学:45名(現役) 国公立大学医学部医学科:10名(現役8名) |
難関私立大学 | 早慶上理(早稲田・慶應・上智・東京理科):合計17名 GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政):合計14名 関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館):合計133名 |
特筆すべきは、地元の広島大学への圧倒的な合格者数です。これは、学校のカリキュラムが広島大学の入試に非常に効果的であること、そして学校と大学の間に強い連携があることを示唆しています。広島大学を第一志望とする受験生にとって、これ以上ない環境と言えるでしょう。
進学実績を支える取り組み
こうした輝かしい実績は、学校独自の手厚い進路指導によって支えられています。
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TKI指導
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高校2年生から、特に高い目標を持つ生徒を対象とした「TKI指導」が始まります。これは、T(東京大学)、K(京都大学)、I(医学部医学科)の頭文字を取ったもので、最難関大学・学部への合格を勝ち取るための特別な指導プログラムです。公立高校でこのような特化したプログラムがあるのは非常に珍しく、生徒の意欲を最大限に引き出します。
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補習・講習
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夏休みや冬休みなどの長期休暇中には、集中的な補習や講習が実施されます。教員による質の高い授業が学校内で受けられるため、多くの生徒が塾や予備校に頼ることなく、志望校合格を果たしています。
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県立広島高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、県立広島高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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全国トップレベルのグローバル教育
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文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業で培った経験を活かし、グローバルな課題について探究する授業や、海外の大学とのオンライン講座、海外フィールドワークなど、国際感覚を養うためのプログラムが非常に充実しています。
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生徒の知的好奇心を引き出す「探究学習」
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1年生の「学部・学科探究」から始まり、3年生の「卒業研究」に至るまで、3年間を通じて体系的な探究活動が行われます。自ら課題を設定し、仮説を立て、検証していくプロセスを通して、大学での学びに不可欠な思考力や主体性を育みます。
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最難関大学を目指す手厚い進路指導
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前述の「TKI指導」に代表されるように、生徒一人ひとりの高い志に応えるための、きめ細やかで専門的な進路サポート体制が整っています。
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中高一貫校ならではの効率的で質の高い授業
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6年間を見通した計画的なカリキュラムにより、無駄のない効率的な学習が可能です。高校から入学する生徒も、この先進的な教育環境の中で、内部進学生と共に高いレベルで学ぶことができます。
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勉強に集中できる寮生活という選択肢
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公立高校では珍しく、学校に寮が併設されています。これにより、県内遠方の生徒も通学の負担なく学業に専念でき、規則正しい生活の中で学習習慣を確立することができます。
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生徒の自主性を育む校風と行事
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文化祭などの学校行事が生徒主体で運営されるなど、生徒の自主性を尊重する校風が根付いています。これらの経験を通して、リーダーシップや協調性を学ぶことができます。
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県立広島高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からの声をまとめることで、学校の姿がより立体的に見えてきます。良い点と、人によっては気になるかもしれない点を公平に紹介します。
良い点
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「周りの生徒のレベルが高く、常に良い刺激を受けられる環境。自然と勉強へのモチベーションが上がる」という声が非常に多いです。
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「先生方は、やる気のある生徒にはとことん付き合ってくれる。質問や相談にも親身になって応じてくれるので、塾なしでも難関大を目指せる」と、教員のサポート体制を評価する声も多数あります。
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「生徒の自主性を尊重してくれる自由な校風が良い。行事も生徒主体で本当に楽しい」といった、学校生活の充実度に関するポジティブな意見も目立ちます。
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「国公立大学や医学部を目指すなら最高の環境。TKI指導など、学校のサポートが手厚い」という、進路指導への信頼の声が寄せられています。
気になる点
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「とにかく田舎。学校の周りには遊ぶ場所がほとんどないので、都会的な高校生活に憧れる人には向かないかもしれない」という立地に関する意見があります。
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「学力レベルが高い分、授業の進度も速く、課題も多い。自主的に勉強できないと、ついていくのが大変だと感じるかもしれない」という、学業面での厳しさを指摘する声もあります。
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「制服のデザインがあまり格好良くない」という声が一部で見られます。
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「広島大学をはじめとする国公立大学への進学に強いが、首都圏の私立大学を第一志望にしていると、少し学校の雰囲気と合わないと感じるかもしれない」という意見も考えられます。
これらの口コミから浮かび上がるのは、県立広島高等学校が「自ら学ぶ意欲のある生徒にとっては最高の環境だが、受け身の姿勢ではその良さを活かしきれない可能性がある」ということです。自分に合った学校かどうかを判断する上で、非常に参考になる意見と言えるでしょう。
アクセス・通学
学校へのアクセス方法と、通学エリアの傾向についてです。
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最寄り駅
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JR山陽本線 「西高屋駅」
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駅からのアクセス
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西高屋駅から徒歩約10分
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通学エリアの傾向
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東広島市内にありますが、その高い学力レベルと寮が完備されていることから、広島市や呉市など、広島県内の広範囲から生徒が集まっています。地元の生徒だけでなく、様々な地域から通う仲間と出会えるのも、この学校の魅力の一つです。
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県立広島高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
最後に、進学アドバイザーとして、県立広島高等学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
県立広島高等学校は、探究心にあふれ、高い目標に向かって自ら突き進む力を持った君にこそ、ぴったりの学校です。もし君が「大学でこんなことを学びたい」「将来こんなことで社会に貢献したい」という夢を持ち、その実現のために仲間と切磋琢磨しながらとことん勉強に打ち込みたいと願うなら、この学校は君の可能性を最大限に引き出してくれる最高のステージになるはずです。
県立広島高等学校の合格を勝ち取るためには、今この瞬間からの継続的な努力が何よりも大切です。内申点は中学3年間すべての成績が評価されます。特に評価が2倍になる副教科も決して手を抜かず、すべての授業に真剣に取り組んでください。そして入試本番では、単なる知識の暗記量ではなく、物事の本質を捉え、論理的に考える力が問われます。日々の勉強から「なぜそうなるのか?」を常に考え、自分の言葉で説明する習慣をつけましょう。
受験勉強は決して楽な道のりではありませんが、その先には、知的好奇心を満たし、君を大きく成長させてくれる素晴らしい環境が待っています。自分の力を信じ、高い志を持って挑戦してください。応援しています!
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