兵庫県立篠山鳳鳴高等学校は、2026年に創立150周年を迎える、県下で最も長い歴史を持つ伝統校です。城下町の風情が残る丹波篠山の地で、長きにわたり地域社会を支える多くの人材を育成してきました。その教育の根幹には、創立以来受け継がれる「一以貫之(いつをもってこれをつらぬく)」という、真心や思いやりを大切にする精神が息づいています。

この揺るぎない伝統を誇る一方で、篠山鳳鳴高等学校は未来を見据えた教育改革にも果敢に挑戦しています。2024年度には、最先端の学びを提供する「STEAM探究科」を新設し、これからの社会で必要とされる課題解決能力や創造性を育むための新しい教育をスタートさせました。この動きは、歴史ある学校が時代の変化に対応し、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出そうとする強い意志の表れと言えるでしょう。

この記事では、そんな伝統と革新が融合する篠山鳳鳴高等学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな声に基づく校風や学校生活の様子まで、あらゆる角度から詳しくご紹介します。歴史に裏打ちされた落ち着いた環境と、未来を切り拓く新しい学び。その両方を兼ね備えたこの学校が、あなたにとってどのような場所になるのか、一緒に見ていきましょう。

篠山鳳鳴高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。オープンスクールへの参加申し込みや、学校への問い合わせの際に役立ててください。

項目 内容
正式名称 兵庫県立篠山鳳鳴高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒669-2318 兵庫県丹波篠山市大熊369
代表電話番号 079-552-0047
公式サイトURL https://www.hyogo-c.ed.jp/~homei-hs/

篠山鳳鳴高等学校の偏差値・難易度・併願校

高校選びで気になるのが、やはり偏差値や難易度です。篠山鳳鳴高等学校は、学科によって求められる学力レベルが大きく異なるのが特徴です。

  • 普通科:48

  • STEAM探究科:60(旧:総合科学コースの偏差値)

普通科の偏差値は48で、同じくらいのレベルの高校としては、三田西陵高等学校や柏原高等学校などが挙げられます。合格に必要な内申点の目安は、主要5教科がオール3に4がいくつか、実技教科も3〜4が中心となるイメージです。まずは中学校の授業を大切にし、定期テストで安定した成績を収めることが合格への第一歩となります。

一方、2024年度から新設されたSTEAM探究科は、旧・総合科学コースの流れを汲むため、偏差値60前後と高い学力が求められます。これは、三田祥雲館高等学校などと同じレベルです。このコースを目指す場合は、内申点も主要5教科で4を中心に、5も複数必要となるでしょう。

このように、同じ篠山鳳鳴高等学校の中でも、コースによって難易度に10以上の開きがあります。これは、校内に学力や目標が異なる二つの生徒層が存在することを意味しており、口コミの中には「総合科学コースは普通科から遠く離れていて少し寂しい」といった声も見られます。どちらのコースを目指すかによって、高校生活の雰囲気や学習ペースも変わってくるため、自分の学力や高校で何をしたいかをよく考えて志望コースを決めることが重要です。

兵庫県の公立高校入試では、複数の公立高校を併願することはできません。そのため、篠山鳳鳴高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、三田松聖高等学校や福知山成美高等学校などが多くの受験生に選ばれているようです。

篠山鳳鳴高等学校に設置されている学科・コース

篠山鳳鳴高等学校には、生徒の多様な進路希望に応えるための2つの学科が設置されています。

  • 普通科

    • 幅広い分野の基礎学力をバランスよく身につけることができる学科です。文系・理系の選択はもちろん、大学進学から専門学校、就職まで、様々な進路に対応できるカリキュラムが組まれています。まだ将来の夢がはっきりと決まっていない人や、高校生活を通して自分の興味・関心を探求したい人におすすめです。

  • STEAM探究科(単位制)

    • 2024年度に新設された、これからの時代をリードする人材を育成するための新しい学科です。科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・教養(Arts)、数学(Mathematics)の5つの分野を横断的に学び、複雑な社会課題に立ち向かう力を養います。ドローンや3Dプリンター、レーザー加工機といった最新機材を活用した授業や、大学・企業と連携した本格的な探究活動が特徴です。自ら課題を見つけ、主体的に学ぶ意欲のある人、文理の枠にとらわれず新しい価値を創造したい人におすすめです。この学科は、地域が抱える課題解決にも取り組むことで、地元丹波篠山への貢献も目指しています。

篠山鳳鳴高等学校の特色・校風

150年近い歴史を持つ篠山鳳鳴高等学校は、どのような雰囲気の学校なのでしょうか。キーワードは「伝統と革新」「文武両道」「地域密着」です。

学校全体の雰囲気は、非常に落ち着いていて、生徒同士の仲が良いと評判です。挨拶がきちんとできる生徒が多く、文化祭などの行事ではクラス一丸となって協力する風土があります。この温かい雰囲気は、学校の建学の精神である「一以貫之」(真心や思いやり)が、日々の学校生活に根付いている証拠と言えるでしょう。

宿題の量は、中学校に比べると多く感じられるかもしれませんが、予習・復習をきちんと行えばこなせるレベルのようです。授業のペースは速いため、特に苦手科目は予習をしておくことが推奨されています。

校則は、他校と比較するとやや厳しいと感じるかもしれません。スマートフォンの持ち込みは許可されていますが、校内での使用は禁止です。髪型についても、派手な髪型や編み込みは認められていません。アルバイトは原則禁止ですが、夏休みなどの長期休暇中であれば、許可を得て行うことが可能です。こうしたルールは、学校の生徒信条である「勉強第一」を実践し、生徒が学業に集中できる環境を整えるためのものと捉えることができます。

制服は伝統的なデザインで、女子生徒はスラックスを選択することもできます。ただし、セーターのみでの登下校は認められていないなど、服装に関する細かなルールもあるようです。土曜授業は、基本的には実施されていないようです。

篠山鳳鳴高等学校の部活動・イベント

部活動

篠山鳳鳴高等学校では、運動部・文化部ともに多くの部が活発に活動しており、文武両道を実践しています。

運動部では、特に軟式野球部が全国大会への出場経験を持つなど、輝かしい実績を誇ります。硬式野球部やソフトボール部、男女のバレーボール部、バスケットボール部、ソフトテニス部なども盛んに活動しており、多くの生徒が汗を流しています。

文化部で特にユニークなのが、地域のお祭り「デカンショ祭」で演奏を披露する「デカンショバンド」です。これは、地域との深いつながりを大切にする篠山鳳鳴高等学校ならではの部活動と言えるでしょう。また、かるた部も強豪として知られています。その他にも、吹奏楽部、放送部、茶道・華道などの伝統文化を学べる生活文化部など、多種多様な部活動があり、生徒は自分の興味に合わせて活動を選ぶことができます。

イベント

学校生活を彩るイベントも、篠山鳳鳴高等学校の大きな魅力の一つです。最大のイベントは、文化祭と体育祭を合わせた「鳳鳴祭」です。

文化祭では、1年生は展示、2年生はアクティビティ、3年生は屋台と、学年ごとに役割が分かれており、クラス全員で協力して準備を進めます。舞台では演劇やダンスなどが披露され、学校中が熱気に包まれます。

体育祭も非常に盛り上がります。名物競技の「ぐるぐるバット」では、目が回ってふらふらになりながら走る選手の姿に大きな歓声が上がります。また、「むかで競争」では、クラスのチームワークが試され、転びながらもゴールを目指す姿が見られます。これらの行事は生徒会が中心となって企画・運営しており、生徒が主役となって学校を創り上げていく楽しさを味わうことができます。

篠山鳳鳴高等学校の進学実績

篠山鳳鳴高等学校は、多様な進路希望に対応できる高い進学実績を誇っています。生徒一人ひとりの目標実現に向けた手厚いサポート体制が、その背景にあります。

最新の大学進学実績を見ると、国公立大学へも安定して合格者を出しています。

  • 国公立大学(主な合格実績):大阪大学、神戸大学、岡山大学、兵庫県立大学など、近畿圏を中心に多数の合格者が出ています。

  • 難関私立大学:関西の有力私立大学グループである「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)へは合計22名、「産近甲龍」(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)へは合計30名が合格するなど、多くの生徒が難関私大への進学を果たしています(2024年度実績)。

  • その他の進路:大学進学だけでなく、看護医療系の専門学校への進学者も多いのが特徴です。また、公務員や地元優良企業への就職など、生徒の様々なキャリアプランをサポートしています。

こうした高い進学実績を支えているのが、学校のきめ細やかな学習サポートです。例えば、数学や英語では、生徒の理解度に合わせてクラスを分ける「習熟度別授業」が導入されており、一人ひとりが自分のペースで着実に学力を伸ばすことができます。また、大阪大学との連携事業など、大学と協力した高度な学びの機会も提供されており、生徒の知的好奇心を刺激しています。この柔軟なサポート体制が、幅広い学力層の生徒一人ひとりの進路実現を可能にしているのです。

篠山鳳鳴高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、篠山鳳鳴高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 未来を切り拓く「STEAM探究科」の設置

    2024年度からスタートした、文理の枠を超えて課題解決能力を養う最先端のプログラムです。ドローンや3Dプリンターなどの最新機材を使い、大学や企業と連携しながら主体的な学びを深めることができます。

  • 150年の歴史が育む「一以貫之」の精神

    創立以来受け継がれてきた、真心や思いやりを大切にする教育理念が校風の基盤となっています。歴史と伝統に裏打ちされた落ち着いた環境で、豊かな人間性を育むことができます。

  • 地域と共に歩む学校文化

    地域のお祭り「デカンショ祭」に参加する「デカンショバンド」の活動に象徴されるように、地元・丹波篠山との深いつながりを大切にしています。地域に根ざした活動を通して、ふるさとを愛する心を育みます。

  • 一人ひとりに合わせた手厚い学習サポート

    習熟度別授業や、大阪大学との高大連携プログラムなど、生徒一人ひとりの学力や目標に合わせたきめ細やかな指導体制が整っています。これにより、多様な進路希望の実現を力強く後押しします。

  • 生徒が主役の活気あふれる学校行事

    文化祭と体育祭からなる「鳳鳴祭」は、生徒会が中心となって企画・運営され、学校全体が一体となって盛り上がります。行事を通して、生徒の自主性や協調性を育んでいます。

  • 「探究」を軸とした主体的な学びの重視

    新しいSTEAM探究科だけでなく、学校全体で生徒が自ら問いを立て、答えを探していく「探究活動」に力を入れています。これにより、これからの社会で求められる思考力や表現力を養います。

篠山鳳鳴高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられた口コミを、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。

  • 良い点

    • 「生徒同士の仲が良く、挨拶が飛び交う温かい雰囲気」という声が非常に多く聞かれます。いじめなども少ないようで、安心して学校生活を送れる環境のようです。

    • 「鳳鳴祭(文化祭・体育祭)がとても楽しく、クラスの団結力が強まる」といった、学校行事に対する満足度の高い口コミも目立ちます。生徒主体の運営が、より一層の盛り上がりを生んでいるようです。

    • 「先生方が親身になって質問に答えてくれる」「進路相談に熱心に乗ってくれる」など、教員のサポート体制を評価する声も多数あります。

  • 気になる点

    • 最も多くの口コミで触れられているのが、校門から校舎へと続く急な坂道、通称「鳳鳴坂」の存在です。特に自転車通学の生徒にとっては毎日の試練であり、「夏は汗だくになる」「立ち漕ぎ必須」といった声が聞かれます。しかし、この坂を毎日上り下りすることが、生徒たちの間での一体感や忍耐力を育む、学校の象徴的な存在になっている側面もあります。

    • 「校舎や体育館などの施設が少し古い」という意見もあります。150年近い歴史を持つ学校ならではの点と言えるかもしれません。

    • 「校則が少し厳しいと感じる」という声も一部で見られます。特にスマートフォンの使用制限については、もう少し緩やかであってほしいと感じる生徒もいるようです。

アクセス・通学

篠山鳳鳴高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • JR福知山線「篠山口」駅で下車し、神姫グリーンバスに乗車。「篠山鳳鳴高校前」バス停で下車するのが最も一般的なルートです。バスの乗車時間は約15分です。

  • 通学エリア

    • 篠山鳳鳴高等学校は兵庫県の「第2学区」に属しており、丹波篠山市や三田市、丹波市、西宮市北部などから通学する生徒が多いです。

    • 学校周辺に住む生徒は自転車で通学するケースが多く見られます。

    • 丹波篠山市では、高校へのバス通学を支援するため、バスルートの整備や運賃の上限制度(ニコパカード利用で市内上限200円)などを実施しており、バス通学がしやすくなるような取り組みが行われています。

篠山鳳鳴高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、篠山鳳鳴高等学校を目指すあなたにエールを送ります。

篠山鳳鳴高等学校は、「歴史ある落ち着いた環境で学びたい」という気持ちと、「新しいことにチャレンジしたい」という気持ち、その両方を持っている君に特におすすめの学校です。伝統を重んじる温かい校風の中で、友達と協力して行事を成功させたり、部活動に打ち込んだりする充実した3年間が待っています。そして、新設されたSTEAM探究科では、未来の社会を創るための刺激的な学びが君を待っています。

受験勉強では、まず中学校の基礎を徹底的に固めることを意識してください。特に普通科を目指す君は、苦手科目を作らず、全教科でバランスよく得点できる力が合格の鍵になります。STEAM探究科を目指す君は、高い学力に加えて、「なぜ?」「どうして?」と考える探究心も大切にしてください。日頃からニュースや身の回りの出来事に関心を持つことが、きっと君の力になります。

校門の先にある「鳳鳴坂」は、楽な道のりではないかもしれません。しかし、その坂を毎日上りきった先には、素晴らしい仲間と学びの場が広がっています。その坂を上る一日一日が、君を心身ともに成長させてくれるはずです。篠山鳳鳴高等学校で、充実した高校生活を送りたいという強い気持ちを持って、受験勉強を乗り越えてください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。