茨城工業高等専門学校(通称:茨城高専)は、実践的な技術者を育成するための5年一貫教育を行う国立の高等教育機関です。中学卒業後、すぐに専門的な工学分野の勉強を始められるのが最大の魅力で、「ものづくり」や科学技術に強い興味を持つ中学生にとって、夢を実現するための最短ルートとなり得る学校です。

一般的な高校とは異なり、大学に近い自由な雰囲気の中で、高度な専門知識と技術を深く探求できます。卒業後の進路も多様で、多くの学生が有名大学への編入や、大手企業への就職を果たしています。この記事では、そんな茨城高専の具体的な魅力や特色について、詳しくご紹介していきます。

「高専ってどんなところだろう?」「自分に向いているかな?」そんな疑問を持つあなたに、茨城高専がどのような場所なのか、分かりやすくお伝えします。ぜひ、あなたの未来の選択肢の一つとして、じっくりと読み進めてみてください。

茨城工業高等専門学校の基本情報

茨城工業高等専門学校は、国立の男女共学校です。

項目 内容
正式名称 独立行政法人国立高等専門学校機構 茨城工業高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒312-8508 茨城県ひたちなか市中根866
代表電話番号 029-272-5201
公式サイト https://www.ibaraki-ct.ac.jp/

茨城工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

茨城工業高等専門学校は、県内でもトップクラスの難易度を誇る学校です。専門分野で活躍したいという高い目的意識を持った生徒が集まります。

  • 偏差値:

    • 国際創造工学科: 64

この偏差値は、茨城県内の高校の中でも上位に位置します。同じくらいの偏差値の高校としては、牛久栄進高校の普通科(64)や水戸第二高校の普通科(65)、日立第一高校の普通科(66)などが挙げられます。

合格に必要な内申点の目安については、推薦選抜の出願資格の一つに「中学1年生、2年生、3年生の9教科の成績が、5段階評価の評定の合計で118以上」という基準が設けられていることから、非常に高いレベルが求められることがわかります。

主な併願校としては、同じ国立の高等専門学校という特性上、県立高校を受験する生徒も多いようです。口コミなどを見ると、水戸第二高校、日立第一高校、緑岡高校といった進学校と併願するケースが見られます。

茨城工業高等専門学校に設置されている学科・コース

茨城工業高等専門学校では、1年生では全員が共通の基礎科目を学び、2年生から本人の希望と成績に基づいて各専門系に分かれます。

  • 国際創造工学科

    • 機械・制御系: ロボットや機械の設計・製作など、ものづくりの中心となる分野を学びます。機械いじりが好きな人や、新しいものを生み出したい人におすすめです。

    • 電気・電子系: 電気エネルギーや半導体、通信技術など、現代社会に不可欠な技術を学びます。電気回路やプログラミングに興味がある人に向いています。

    • 情報系: コンピュータの仕組みやソフトウェア開発、AI技術などを学びます。ゲームやアプリ開発、情報セキュリティの専門家を目指したい人におすすめです。

    • 化学・生物・環境系: 新素材の開発やバイオテクノロジー、環境問題の解決など、化学と生物の力で未来を創る分野です。実験が好きで、地球環境などに貢献したい人にぴったりです。

茨城工業高等専門学校の特色・校風

茨城工業高等専門学校は、「自律と創造」を教育理念に掲げ、生徒の自主性を重んじる自由な校風が特徴です。

  • 校風: 「自由闊達」「自主自律」「探究心旺盛」

  • 宿題の量: 一般的な高校に比べてレポートや課題は多い傾向にあるようですが、その分、専門知識が深く身につくという声が多く聞かれます。

  • 校則: 他の高校と比較して非常に緩やかです。 私服通学が可能で、髪型や髪色も自由です。 スマートフォンの持ち込みや使用についても特に厳しい制限はないようです。この自由さは、大学に近い環境で学びたい生徒にとっては大きな魅力と言えるでしょう。

  • 生徒たちの雰囲気: 「ものづくりが好き」「特定の分野を深く探求したい」という共通の目的を持った生徒が集まるため、真面目で落ち着いた雰囲気があります。お互いの個性を尊重し合う文化があるようです。

  • アルバイト: アルバイトは原則として禁止されていませんが、学業との両立が求められます。

  • 制服: 制服はなく、私服での通学となります。入学式などの式典では、標準服(ブレザー)を着用する機会があります。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

茨城工業高等専門学校の部活動・イベント

部活動

茨城工業高等専門学校では、高専ならではの技術系の部活動から一般的な運動部、文化部まで幅広く活動しています。

特に有名なのが、NHKの番組でもおなじみの「高専ロボコン」に出場するロボット部です。 毎年、独創的なアイデアと高い技術力で製作したロボットで全国のライバルと競い合っており、学校を象徴する部活動の一つです。その他、プログラミングコンテスト(プロコン)で活躍する部活動もあります。

運動部では、野球部が関東信越地区高専大会で優勝したり、バレーボール部が9連覇を達成するなど、輝かしい実績を残しています。 文化部も天文部が地域のイベントに参加するなど、活発に活動しています。

イベント

  • 輝峰祭(文化祭): 毎年秋に「茨香祭(しこうさい)」という名称で開催される文化祭は、学生たちが日頃の研究成果を発表する貴重な機会です。 各クラスや部活動によるユニークな展示や模擬店が並び、大変な盛り上がりを見せます。

  • 体育大会: クラス対抗で様々な競技が行われ、学生たちの団結力が高まります。高専ならではのユニークな種目もあるようです。

  • 修学旅行: 主に4年次に実施され、国内や海外へ向かいます。見聞を広め、仲間との絆を深める良い機会となっています。

茨城工業高等専門学校の進学実績

茨城工業高等専門学校の卒業生は、約6割が就職、約4割が進学という多様な進路選択をしています。就職希望者の就職率はほぼ100%を誇り、多くの企業から高い評価を得ています。

進学の場合、多くはさらに専門性を高めるために大学の3年次へ編入します。また、茨城高専に設置されている「専攻科」へ進学し、4年制大学卒業と同等の「学士」の学位を取得する道もあります。

  • 主な進学先(大学編入・専攻科進学後):

    • 国公立大学: 豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学、茨城大学、筑波大学、東北大学、東京大学大学院など

  • 主な就職先:

    • 大手企業を中心に、一人あたり20件以上の求人がある年もあるなど、非常に恵まれた状況です。 製造業、情報通信業、建設業、サービス業など、幅広い分野で卒業生が活躍しています。

茨城工業高等専門学校の特長・アピールポイント

茨城工業高等専門学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 5年間の一貫教育: 中学卒業後、大学レベルの専門教育までを5年間かけてじっくりと学ぶことができます。受験勉強に時間を割かれることなく、興味のある分野を深く探求できるのが大きな強みです。

  • 大学への編入制度: 5年間の準学士課程を卒業後、多くの国公立大学や有名私立大学の工学部3年次に編入学する道が開かれています。高専での学びをさらに発展させることが可能です。

  • 高い就職率と求人倍率: 卒業生に対する企業の評価は非常に高く、就職希望者の就職率は毎年ほぼ100%です。大手企業からの求人も多く、安定した将来を築きやすい環境です。

  • 実践的な授業と充実した設備: 実験や実習を重視したカリキュラムが組まれており、大学レベルの高度な実験装置や設備を早い段階から使うことができます。

  • 自由な校風と大学のような環境: 校則が緩やかで、生徒の自主性を尊重する雰囲気があります。私服通学も可能で、大学のキャンパスライフに近い経験ができます。

  • グローバル教育の推進: 英語での授業を取り入れたり、留学生との交流の機会を設けたりと、国際的に活躍できる技術者の育成にも力を入れています。

  • 学寮(学生寮)の完備: 自宅が遠方の学生のために学寮が用意されており、全国から集まる仲間たちと共同生活を送りながら、自律性を育むことができます。

茨城工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

茨城工業高等専門学校の在校生や卒業生からは、その専門性と自由な環境を評価する声が多く寄せられています。

  • 良い点:

    • 「専門的なことを早くから深く学べるのが良い」という意見が最も多く見られます。

    • 「大学のように自由な校風で、自分のペースで勉強に打ち込める」

    • 「就職にも進学にも強く、将来の選択肢が広がるのが魅力」

    • 「同じ趣味や目標を持つ友人が多く、充実した学生生活が送れる」

    • 「先生方が専門分野のエキスパートで、質問にも丁寧に答えてくれる」

  • 気になる点:

    • 「課題やレポートが多く、勉強はかなり大変」という声もあります。自主的に学習を進める力が必要です。

    • 「5年間という長い期間なので、途中で進路を変えたくなった時に悩む可能性がある」

    • 「専門科目に重点が置かれている分、普通科目が少し物足りなく感じることもある」という意見も見られます。

    • 「最寄り駅から少し距離があるため、バスの利用が必須」という通学の便に関する声もあります。

アクセス・通学

茨城工業高等専門学校へのアクセスは、公共交通機関の利用が中心となります。

  • 最寄り駅からのアクセス:

    • JR常磐線「勝田駅」東口から茨城交通バス「中央研修所・海浜公園」行きに乗車し、「茨城高専前」で下車(所要時間約15分)。

    • ひたちなか海浜鉄道湊線「工機前駅」からは徒歩約43分です。

ひたちなか市内や水戸市、日立市、那珂市など、近隣の市町村から通学している生徒が多いようです。また、学寮があるため、県内外の遠方から入学する生徒もいます。

茨城工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

茨城工業高等専門学校は、「ものづくりが好き」「科学技術にワクワクする」そんなあなたのための学校です。もしあなたが、普通の高校では物足りない、もっと早く専門的なことを学びたいと考えているなら、茨城高専は最高の環境を提供してくれるでしょう。5年間という時間は、あなたを技術のプロフェッショナルへと育ててくれるはずです。

受験勉強においては、数学と理科が特に重要になります。推薦選抜では適性検査、学力選抜では学力検査で問われるため、中学校の範囲を完璧に理解し、応用問題にも対応できる力をつけておくことが合格への鍵となります。早い段階から過去問に挑戦し、高専の入試問題の形式に慣れておくことを強くお勧めします。

茨城高専での学びは決して楽ではありませんが、同じ夢を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら過ごす5年間は、何にも代えがたい貴重な経験となるはずです。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。