長野県諏訪清陵高等学校は、ただ勉強するだけの場所ではありません。ここは、キミが主役となって、自分だけの高校生活をデザインできる特別なステージです。100年以上の歴史を誇る伝統校でありながら、その校風は驚くほど「自由」。生徒一人ひとりの自主性を最大限に尊重する文化が根付いています。

この「自由」には、自らを律し、主体的に行動する「自治」の精神が求められます。宿題がほとんどない代わりに日々の予習・復習が欠かせなかったり、厳しい校則がない代わりに自分たちで考えて行動したりと、高いレベルでの自己管理能力が自然と身につく環境です。この独特の文化こそが、諏訪清陵高等学校が多くの卒業生から深く愛され、誇りに思われている理由なのです。

この記事では、そんな諏訪清陵高等学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな声、そして他の高校にはないユニークな伝統行事まで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。この先を読み進めれば、キミの高校選びの地図に、新たな輝く目的地が加わるかもしれません。

諏訪清陵高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。

項目 内容
正式名称 長野県諏訪清陵高等学校
公立/私立 公立
共学/別学 男女共学
所在地 〒392-8545 長野県諏訪市清水1-10-1
代表電話番号 0266-52-0201
公式サイト https://www.suwaseiryo.ed.jp/

諏訪清陵高等学校の偏差値・難易度・併願校

諏訪地域トップクラスの進学校である諏訪清陵高校。その難易度を具体的に見ていきましょう。

各種進学情報サイトによると、諏訪清陵高校の偏差値は63から64前後とされています。これは長野県内でも上位に位置し、合格には高い学力が求められることを示しています。

偏差値だけでなく、より具体的な目標として、合格の目安となる内申点(通知表の評定)は、9教科合計で38前後(5段階評価)が必要とされています。また、入試本番では500点満点中395点近くが目標点となるでしょう。この数字からわかるのは、入試一発勝負ではなく、中学3年間を通した日々の学習への取り組みが非常に重要だということです。中学1、2年生のうちから定期テストで着実に得点し、高い内申点を確保しておくことが、諏訪清陵高校合格への大きな一歩となります。

同じくらいの偏差値の高校としては、伊那北高校(普通科 偏差値62)、飯田高校(普通科 偏差値61)、長野西高校(普通科 偏差値62)などがあり、これらの高校が学力的なライバル校と言えるでしょう。

長野県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、万が一の場合に備えて、私立高校を併願するのが一般的です。諏訪清陵高校の受験生が多く併願する私立高校としては、長野日本大学高等学校や佐久長聖高等学校、東海大学付属諏訪高等学校などが挙げられます。

諏訪清陵高等学校に設置されている学科・コース

諏訪清陵高校に設置されている学科は「普通科」のみです。しかし、そのカリキュラムは一般的な普通科とは一線を画す、非常にユニークで探究的な内容となっています。

1年次は全員が共通の科目を学び、基礎学力を固めます。そして2年次からは、生徒一人ひとりの進路希望に応じて「文系コース」と「理系コース」に分かれます。

  • 普通科 文系コース – 国語、地理歴史、英語などの科目に重点を置きます。将来、法学部や経済学部、文学部、教育学部などへの進学を考えている生徒におすすめです。

  • 普通科 理系コース – 数学や理科の専門的な科目に重点を置きます。将来、医学部や薬学部、工学部、理学部などへの進学を目指す生徒におすすめです。

この学校のカリキュラムの真骨頂は、文部科学省から指定を受けている「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」としての取り組みにあります。これにより、学校独自の科目が多数設定されており、大学での研究活動を先取りするような学びが展開されています。

  • 課題研究基礎・課題研究 – 1年次から「研究の方法」を学び、2年次には全員が必修で興味のあるテーマについてグループで研究活動を行います。仮説を立て、データを集め、分析し、論文やポスターにまとめて発表するという一連のプロセスは、まさに大学での研究そのものです。

  • 科学技術研修 – 地元の先進企業(セイコーエプソンなど)や大学と連携した講座や研修に参加し、最先端の科学技術に触れる機会が設けられています。

  • 多様な「探究」科目 – 「古典探究」や「日本史探究」、「数学探究」といった科目が設定されており、単なる暗記に留まらない、物事の本質を深く掘り下げる力が養われます。

このように、諏訪清陵高校の普通科は、生徒の知的好奇心をとことん刺激し、将来大学や社会で必要とされる「探究力」を育むための特別なカリキュラムが組まれているのです。

諏訪清陵高等学校の特色・校風

諏訪清陵高校の最も大きな特色は、キーワードで表現するなら「自由闊達」「自主自立」「個性の尊重」に集約されます。この校風が、学校生活のあらゆる場面に浸透しています。

  • 宿題・課題

    宿題の量は「ほとんどない」と言われるほど少ないのが特徴です。これは、生徒を信頼し、学習を個人の自主性に委ねていることの表れです。しかし、授業のレベルは高いため、自ら予習・復習する習慣がなければ、あっという間についていけなくなるという厳しさも併せ持っています。まさに「自由には責任が伴う」ことを体現した環境です。

  • 校則・服装・スマホ

    校則は非常に緩やかです。特に服装や髪型に関する規定はなく、髪を染めたり、メイクやアクセサリーをしたりしている生徒も珍しくありません。制服も定められていませんが、附属中学校で2024年度からブレザータイプの選択制制服が導入されたこともあり、今後の動向が注目されます。スマートフォンの持ち込みも許可されており、授業中の使用に関するルールを守れば、休み時間などに自由に使えます。

  • 生徒たちの雰囲気

    「真面目な人も、活発な人も、色々な人が集まる学校」と多くの在校生が語るように、非常に多様な個性を持つ生徒たちが集まっています。お互いの違いを認め合う文化が根付いているため、「気の合う友達が必ずできる」という声が非常に多いのも特徴的です。

  • アルバイト・土曜授業

    アルバイトは原則として禁止されています。また、毎週の土曜授業はありませんが、模擬試験や著名人を招いての講演会、キャリア教育などを目的とした「土曜講座」が開催されることがあります。

この自由な校風は、生徒に高いレベルの自己管理能力を求めますが、それを乗り越えた先には、大きな自信と人間的な成長が待っています。

諏訪清陵高等学校の部活動・イベント

勉強だけでなく、部活動や学校行事にも全力で打ち込むのが清陵生のスタイル。ここでは、その熱気あふれる活動の一部を紹介します。

部活動

運動部、文化部ともに数多くの部が活発に活動しており、加入率も高いようです。特に、SSH指定校としての強みや、学校の伝統を色濃く反映した部活動が全国レベルで活躍しています。

  • 科学系部活動(化学部など)

    SSH指定校の顔とも言える存在です。化学部は、大学の研究室と共同で有機ELに関する研究を行い、その成果を日本化学会の全国大会で発表するなど、高校生のレベルを遥かに超えた活動を展開しています。また、有志で結成されたチームが「科学の甲子園」全国大会で総合2位という快挙を成し遂げるなど、科学分野での活躍は目覚ましいものがあります。

  • 端艇部(ボート部)

    後述する学校の伝統行事「端艇大会」と深く結びついた部活動です。諏訪湖という絶好の環境を活かし、日々練習に励んでいます。インターハイ(全国高等学校総合体育大会)に何度も出場し、入賞経験もある強豪として知られています。

  • 吹奏楽部

    地域の大きなコンサートホール(カノラホール)で毎年定期演奏会を開催しており、非常に高いレベルの演奏を披露しています。地域に根差した活発な文化部活動の象徴です。

イベント

諏訪清陵高校の学校生活を語る上で欠かせないのが、生徒たちが主体となって作り上げる、伝統と熱気に満ちた三大行事です。

  • 清陵祭(文化祭)

    毎年7月に行われる、学校が一年で最も熱く盛り上がる3日間の祭典です。「颺璘(ようりん)」といったような、毎年設定される漢字二文字のテーマのもと、全校生徒が一丸となります。クラスごとの娯楽企画や展示、文化部の発表、合唱コンクールはもちろん、男子が女装し女子が男装してパフォーマンスを競う「美男美女コンテスト」など、ユニークな企画が満載です。そして、最終日の夜を飾るのが、校庭に巨大な炎が燃え盛る「ファイヤーストーム」。全校生徒で火を囲んで踊り、クライマックスに打ち上げられる花火は、一生忘れられない思い出となるでしょう。

  • 端艇大会(ボート大会)

    100年以上の歴史を誇る、諏訪清陵ならではの伝統行事です。毎年夏休みの終わりに、諏訪湖を舞台にクラス対抗のボートレースが繰り広げられます。大会前の練習期間からクラスの団結力は高まり、当日は湖上に生徒たちの「ソー、キャッチ!」という掛け声と熱い応援が響き渡ります。

  • 湖周マラソン

    秋に行われる、こちらも100年以上の歴史を持つ伝統行事です。全校生徒が諏訪湖1周(約16km)を走ります。タイムを競うだけでなく、「己の向上心に基づき、困難に立ち向かう姿勢を見つめる」ことを目的としており、自分自身の限界に挑戦する貴重な機会となっています。

これらの行事は、単なる楽しいイベントではなく、生徒たちが企画・運営の多くを担う「自治」の実践の場でもあり、清陵生の人間性を育む重要な役割を果たしています。

諏訪清陵高等学校の進学実績

自由な校風の中で育まれた自主性と、SSHとしての高度な探究活動は、優れた大学進学実績として見事に結実しています。

  • 国公立大学

    地域の基幹大学である信州大学へは毎年多数の合格者を輩出しています。それに加え、千葉大学をはじめとする全国の難関国公立大学にも多くの生徒が進学しており、高い学力を証明しています。

  • 難関私立大学

    私立大学への進学実績も非常に優れています。2025年の入試では、早稲田大学に8名、慶應義塾大学に4名が合格しています。また、GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)や関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)といった難関私立大学グループにも、毎年多くの合格者を出しています。

    (2025年実績例:明治大14名、法政大15名、立命館大6名など)

この高い進学実績を支えているのが、学校独自の教育プログラムです。特に「課題研究」などの探究活動で培われる論理的思考力やプレゼンテーション能力は、ペーパーテストの点数だけでは測れない力として、近年重視されている総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜で絶大な強みとなります。大学や企業と連携した先進的な理数系教育も、生徒たちの知的好奇心を刺激し、高いレベルの進路実現へと繋がっているのです。

諏訪清陵高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、諏訪清陵高校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての高度な探究学習

    大学レベルの本格的な研究活動を全校生徒が経験できます。大学や企業と連携した最先端の学びは、知的好奇心を最大限に満たしてくれます。

  • 「自由と自治」を尊重する校風

    校則が緩やかで、生徒の自主性を重んじる文化が根付いています。自分で考え、判断し、行動する力が3年間で自然と身につきます。

  • 100年を超える圧倒的な伝統行事

    「清陵祭」のファイヤーストーム、「端艇大会」、「湖周マラソン」という三大行事は、学校生活を彩るだけでなく、強い絆と一生モノの思い出を作ってくれます。

  • 生徒の主体性を育む「課題研究」

    1年次から始まる探究活動は、答えのない問いに挑む力を養います。この経験は、大学入試はもちろん、その先の人生においても大きな武器となります。

  • 多様な個性が輝ける環境

    真面目な人、活発な人、ユニークな趣味を持つ人など、様々な生徒がお互いを尊重し合う雰囲気があります。「自分らしくいられる場所」として、多くの生徒が学校生活に満足しています。

  • 輝かしい歴史と強力な卒業生ネットワーク

    小説家の新田次郎氏やすかいらーく創業者の横川紀夫氏など、各界で活躍する多くの著名な卒業生を輩出しています。この歴史と伝統が、生徒たちの誇りとなっています。

諏訪清陵高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からのリアルな声を集めました。良い点だけでなく、気になる点も知ることで、より深く学校を理解できるはずです。

  • 良い点(ポジティブな口コミ)

    • 「とにかく自由で楽しい。本当の意味での『青春』が送れる」という声が圧倒的に多いです。

    • 「清陵祭や端艇大会などの行事が最高に盛り上がり、クラスや学年の団結力が非常に強い」。

    • 「個性的な友達がたくさんできて、自分らしくいられる。気の合う仲間が必ず見つかる」。

    • 「先生方も個性的で面白い。卒業生である先生も多く、学校への愛情が感じられる」。

    • 「自由な環境だからこそ、自主性が身につき、人間的に大きく成長できる」という意見も多数あります。

  • 気になる点(ネガティブな口コミ・注意点)

    • 「伝統校なので、校舎や施設が全体的に古い。特に冬は教室が寒いことがある」という声があります。

    • 「最寄り駅から学校までが急な坂道になっており、毎日の通学が体力的に大変」という点は、多くの生徒が指摘しています。

    • 「宿題がほとんどない分、自分で勉強する習慣がないとすぐにおいていかれる。自己管理能力が厳しく問われる」という点は、自由な校風の裏返しと言えるでしょう。

    • 「原則としてアルバイトが禁止されている」点を残念に思う声もありました。

これらの口コミから、「歴史ある自由な校風」という学校のアイデンティティが、良い点と気になる点の両方に繋がっていることがわかります。この環境が自分に合っているかどうか、じっくり考えてみることが大切です。

アクセス・通学

諏訪清陵高校への通学方法についてです。

最寄り駅はJR中央本線の「上諏訪駅」です。駅から学校までは、徒歩で約20分、自転車を利用すると約5分ほどの距離です。

ただし、多くの在校生や卒業生が口を揃えて言うのが、駅から学校へと続く急な坂道の存在です。特に雨や雪の日、また入学したての頃は大変に感じるかもしれませんが、3年間通ううちに足腰が鍛えられ、「良いトレーニングになる」と前向きに捉えている生徒も多いようです。

通学エリアとしては、諏訪市、茅野市、岡谷市、下諏訪町といった諏訪地域全域から多くの生徒が通っています。地域のトップ進学校であるため、電車を利用してさらに広域から通学している生徒もいるようです。

諏訪清陵高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとう。最後に、進学アドバイザーとして、諏訪清陵高校を目指すキミにメッセージを送ります。

諏訪清陵高等学校は、「誰かに管理されるのではなく、自分で考えて行動したい」という強い意志を持つ生徒に特におすすめの学校です。勉強も、部活も、行事も、すべてに全力で打ち込みたい。自由な環境で自分の可能性を思いっきり試してみたい。そんな熱い想いを持つキミにとって、諏訪清陵高校は最高の3年間を約束してくれる場所になるでしょう。

合格を勝ち取るためには、まず中学1・2年生のうちから、日々の授業を大切にし、定期テストで着実に点数を取って高い内申点を確保することが何よりも重要です。そして、宿題が出されない校風だからこそ、今から自分で学習計画を立てて実行する「自学自習」の習慣を身につけておきましょう。この習慣は、入学後もスムーズに学校生活に馴染むための、そして大学受験を乗り越えるための大きな力になります。キミの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。