将来の夢に向かって、どんな道に進もうか考えている皆さん、こんにちは。もし、ものづくりや科学技術の世界に心を惹かれているなら、「都城工業高等専門学校」は、あなたの未来を切り拓く特別な場所になるかもしれません。この学校は、中学校を卒業した皆さんが、5年間という時間をかけて、じっくりと専門技術を学ぶための「高等専門学校」、略して「高専」です。一般的な高校とは少し違い、15歳から未来のエンジニアとしての第一歩を踏み出すことができる、夢と可能性に満ちた学び舎なのです。
都城工業高等専門学校の最大の魅力は、大学のような自由な雰囲気と、それに伴う高いレベルでの学びの両立にあります。ここでは、生徒一人ひとりが「学生」として尊重され、自分の興味や関心を深く追求することが奨励されます。しかし、その自由には、自らを律し、主体的に学ぶという大きな責任も伴います。この環境は、自立心旺盛な皆さんにとって、最高の成長の舞台となるでしょう。
この記事では、そんな都城工業高等専門学校がどんな場所なのか、偏差値や難易度、学校生活の様子、そして卒業後の輝かしい進路まで、皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーとして分かりやすく、そして詳しくお伝えしていきます。この記事を読み終える頃には、あなたの進路選びの地図に、新しい、そしてとても魅力的な選択肢が加わっているはずです。
都城工業高等専門学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 独立行政法人国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校 |
公立/私立の別 | 国立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒885-8567 宮崎県都城市吉尾町473-1 |
代表電話番号 | 0986-47-1247 |
公式サイト | https://www.miyakonojo-nct.ac.jp/ |
都城工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校
都城高専への進学を考える上で、やはり気になるのはその難易度ですよね。具体的な数字と合わせて、合格のイメージを掴んでいきましょう。
各学科の偏差値は、おおむね62から63とされており、これは宮崎県内の高校の中でもトップクラスに位置します。具体的には、県内168校中5位、国立の学校としては1位という高い水準です。この偏差値は、宮崎大宮高校の普通科(63)とほぼ同じ、都城泉ヶ丘高校の理数科(65)に次ぐレベルであり、合格にはしっかりとした学力が必要なことが分かります。
難易度を測るもう一つの指標として、入試の倍率があります。令和5年度の入試では、全体の倍率が1.7倍となっており、多くの受験生がこの都城工業高等専門学校を目指していることがうかがえます。
合格に必要な内申点の目安ですが、都城高専には「推薦選抜」と「学力検査選抜」という2つの入口があり、それぞれで重視されるポイントが異なります。
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推薦選抜:中学校3年間の9教科の成績(5段階評価)の合計が「111以上」であることが出願の基準となります。これは非常に高い基準であり、日々の授業態度や定期テストでの安定した成績が求められます。
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学力検査選抜:内申点も評価の一部にはなりますが、それ以上に当日の学力検査の得点が重要視される傾向があります。試験科目は理科・英語・数学・国語の4教科で、社会科の試験はありません。理数系科目が得意な生徒にとっては、力を発揮しやすい試験と言えるでしょう。
主な併願校としては、同じくらいの学力レベルの私立高校が選ばれることが多いようです。具体的には、宮崎日本大学高等学校の特別進学科(偏差値60)や、日向学院高等学校の普通科(偏差値58)などが挙げられます。高専は国立のため、公立高校との併願はできませんので、私立高校を併願先として考えるのが一般的です。
都城工業高等専門学校に設置されている学科・コース
都城工業高等専門学校では、1年生の時から専門分野に分かれて学びを深めていきます。未来に繋がる4つの専門学科と、さらに高度な学びを目指す専攻科が設置されています。
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機械工学科
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どんなことを学ぶ?:ロボットや自動車、医療機器など、私たちの生活を支えるあらゆる「もの」やシステムを設計・製作するための知識と技術を学びます。
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どんな生徒におすすめ?:ものづくりが好きで、機械の仕組みを考えたり、新しい機械をデザインしたりすることに興味がある人。
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電気情報工学科
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どんなことを学ぶ?:電気エネルギー、コンピュータ、情報通信など、現代社会に不可欠な技術のプロフェッショナルを目指します。電力からプログラミングまで幅広く学びます。
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どんな生徒におすすめ?:パソコンやスマートフォンが好きで、プログラミングや電子回路の仕組みに興味がある人。
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物質工学科
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どんなことを学ぶ?:新しい素材や化学製品、バイオテクノロジーなど、化学の力で未来を創造する分野です。環境問題や医療に貢献する研究も行います。
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どんな生徒におすすめ?:理科の実験が好きで、新しい物質を開発したり、化学の力で社会問題を解決したりしたい人。
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建築学科
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どんなことを学ぶ?:快適で安全な家やビル、美しい街並みをデザインし、実現するための知識と技術を学びます。コンピュータを使った設計(CAD)にも力を入れています。
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どんな生徒におすすめ?:絵を描いたり、デザインを考えたりするのが好きで、建物の設計やインテリアに興味がある人。
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専攻科(本科5年間を卒業後に進学)
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どんなことを学ぶ?:本科で学んだ知識をさらに深め、より高度な研究開発に挑戦します。2年間学ぶことで、大学卒業と同じ「学士(工学)」の学位を取得することができます。
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どんな生徒におすすめ?:研究者や開発者として、専門分野を極めたい人。大学院への進学も視野に入れている人。
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都城工業高等専門学校の特色・校風
都城高専の学校生活を語る上で最も重要なキーワードは、「自由闊達」と「自主自律」です。
校風は、一言で言えば「大学のよう」と表現されることが多く、非常に自由な雰囲気が特徴です。校則は「ないに等しい」という声もあるほど緩やかで、スマートフォンの持ち込みや使用、アルバイトも基本的に許可されています。服装や髪型についても、他の高校に比べてかなり自由度が高いようです。生徒たちは自分の趣味や好きなことに打ち込みながら、のびのびと学校生活を送っている様子がうかがえます。
しかし、この自由には大きな責任が伴います。それは「学業に対する責任」です。都城高専では、テストの赤点が60点と非常に高く設定されており、これを下回ると単位を落としてしまいます。一定数の単位を落とすと進級できない、いわゆる「留年」という厳しい現実があります。このため、生徒たちは自由な環境の中で、自分自身で学習計画を立て、高いレベルで学び続ける「自己管理能力」を身につけていくことになります。宿題の量は少ないという声もありますが、レポートなどの課題は非常に専門的で、時には徹夜で取り組む必要があるほど大変だという意見もあり、主体的な学習姿勢が不可欠です。
生徒たちの雰囲気は、同じ興味を持つ仲間が集まっているためか、「似た者同士が集まっている感じ」で、和気あいあいとしているようです。専門的な話で盛り上がれる友人ができるのは、高専ならではの魅力でしょう。
制服は、男子が学ラン、女子がブレザーです。特に女子の夏服は「とてもかわいい」と評判が良いようです。
土曜授業は基本的にありませんが、図書館は土曜日も開館しており、特に試験期間中は多くの学生が自主的に勉強に励んでいます。
都城工業高等専門学校の部活動・イベント
部活動
都城高専では、勉強だけでなく部活動も盛んです。約6割の学生が何らかの部活動や同好会に所属し、充実した学生生活を送っています。運動部、文化部ともに多種多様なクラブがあり、特に高専ならではの技術系の部活動が充実しているのが大きな特徴です。
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高専の顔!技術系クラブ
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ロボット製作局:毎年開催される「高専ロボコン」は、高専生の甲子園とも言える大きな大会です。都城高専のロボット製作局も、全国大会を目指して日夜ロボット開発に励んでおり、全国レベルで優秀な成績を収めています。アイデアを形にし、チームで一つの目標に向かう経験は、何物にも代えがたい財産になります。
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低燃費車製作研究部:自分たちで設計・製作した車で、1リットルのガソリンでどれだけ走れるかを競う「Hondaエコマイレッジチャレンジ」などの大会に参加しています。エネルギー効率を極限まで追求する、まさに未来のエンジニアリングを体現した活動です。
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情報処理部:プログラミングの技術を競う「プログラミングコンテスト(プロコン)」への参加を目標に活動しています。アプリ開発やアルゴリズムの設計など、実践的なスキルを磨くことができます。
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運動部・文化部
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運動部は、高校生対象の大会(高体連)と、全国の高専生が集う「全国高等専門学校体育大会」の両方に出場できるのが特徴です。ラグビー部などは全国的にも強豪として知られています。
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文化部も吹奏楽部や語学部などが活発に活動しています。また、ジャグリング同好会、モータースポーツ同好会、天文研究同好会など、ユニークな同好会がたくさんあり、自分の「好き」をとことん追求できる環境が整っています。
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イベント
都城高専の学校行事は、学生が主体となって企画・運営されるものが多く、生徒たちの手作り感あふれる楽しいイベントが多いのが特徴です。
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高専祭(こうせんさい):秋に開催される文化祭です。各学科の研究発表や作品展示、クラスや部活動による模擬店、ステージ企画など、キャンパス全体が一年で最も活気づくイベントです。専門知識を活かしたユニークな展示は、高専祭ならではの見どころです。
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体育競技会:学科対抗で行われるスポーツの祭典です。クラスや学科の団結力が試される一日で、学年を超えた交流が生まれます。
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研修旅行:一般的な高校の修学旅行とは異なり、キャリア教育の一環として行われます。3年生や4年生になると、最先端の技術を持つ企業や大学の研究室を訪問する研修旅行が企画されており、将来の進路を具体的に考える貴重な機会となっています。
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国際交流プログラム:都城高専はグローバルな視点を持つ技術者の育成にも力を入れています。アメリカでの学会発表や、モンゴル、韓国、台湾、ベトナムなどでの研修や学生交流プログラムが実施されており、世界に視野を広げるチャンスが豊富にあります。
都城工業高等専門学校の進学実績
都城工業高等専門学校の卒業生は、社会から即戦力として高く評価されており、その進路は大きく分けて「就職」と「進学」の2つの輝かしい道に分かれています。
驚くべきはその就職率の高さです。本科卒業生の約7割が就職の道を選びますが、企業からの求人数は卒業生の数をはるかに上回り、その求人倍率は毎年15倍から25倍にも達します。これは、一般的な高校新卒者の求人倍率が2〜3倍程度であることと比べると、いかに高専卒業生が産業界から求められているかが分かります。
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主な就職先
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製造業:京セラ、日産自動車、三菱重工業、旭化成、ファナックなど、日本を代表する大手メーカーが名を連ねています。
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インフラ・情報通信:九州電力、中部電力、西日本電信電話(NTT西日本)、富士通など、社会基盤を支える重要企業への就職実績も豊富です。
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建設業:大林組、竹中工務店、大和ハウス工業など、スーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社にも多くの卒業生を送り出しています。
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一方、本科卒業生の約3割と、さらに専門を深めた専攻科修了生の多くは、大学への「編入学」という道を選びます。これは、高専で培った高い専門知識を武器に、4年制大学の3年次に編入する制度です。
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主な進学先(大学編入学)
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国公立大学:東京工業大学、九州大学、東北大学といった旧帝国大学をはじめ、九州工業大学、熊本大学、鹿児島大学など、全国のレベルの高い国公立大学への進学実績が多数あります。特に、技術科学大学(長岡、豊橋)は高専からの編入生を多く受け入れています。
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自校の専攻科:本科卒業後、そのまま都城高専の専攻科に進学し、2年間で学士(工学)の学位取得を目指す学生も非常に多いです。慣れ親しんだ環境で、少人数教育のもと、研究に没頭できる大きなメリットがあります。
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このように、都城高専は「大手企業への就職」と「難関大学への進学」という、2つの優れた選択肢を卒業生に提供しているのです。
都城工業高等専門学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、都城高専ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
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15歳から専門家へ!5年間の一貫した専門教育
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中学卒業後すぐに、機械・電気情報・物質・建築という専門分野の学習をスタートできます。豊富な実験や実習を通して、理論だけでなく実践的な技術を深く、じっくりと身につけることができます。
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世界が認める教育の質「JABEE認定プログラム」
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都城高専の教育プログラムは、技術者教育の国際的な品質基準である「JABEE」に認定されています。これは、卒業生の技術力が世界レベルであることを証明するものであり、国際的に活躍するためのパスポートにもなります。
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技術者の国家資格への近道
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JABEE認定プログラムを修了すると、技術者にとって最も権威ある国家資格の一つ「技術士」の第一次試験が免除されるという大きな特典があります。将来、プロの技術者としてキャリアを築く上で、非常に有利なスタートを切ることができます。
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平均15社以上!驚異的な求人倍率に支えられた就職力
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卒業生一人あたりに平均して15社から25社もの企業から求人が来るという、圧倒的な就職実績を誇ります。これは、社会が都城高専の教育レベルと卒業生の能力を高く評価している証です。
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難関国立大学への編入という選択肢
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高専からの大学3年次編入制度を利用して、東京工業大学や九州大学などのトップクラスの国立大学に進学する道が確立されています。学問をさらに探求したい学生にとっても、最高の環境が用意されています。
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自由と自律を育む大学のようなキャンパス文化
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校則が緩やかで、学生の自主性を尊重する校風が特徴です。自由な環境の中で自己管理能力を養い、自分の興味や関心をとことん追求することができます。
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世界に羽ばたくグローバル教育
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海外での学会発表や研修、学生交流など、国際的な経験を積む機会が豊富に用意されています。世界で通用する技術者になるためのグローバルな視野を養うことができます。
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都城工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ
実際に通っている在校生や卒業生の声は、学校選びの重要な参考になります。ここでは、様々な口コミを公平にまとめました。
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良い点
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「1年生の時から自分の好きな専門分野を深く学べるのが最高の魅力」という声が非常に多いです。普通の高校では味わえない、専門的な学びに満足している様子がうかがえます。
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「校則が緩くて自由。大学みたいな雰囲気で、自分で考えて行動する力が身につく」と、自主性を重んじる校風を評価する声が多数あります。
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「就職にも進学にも強く、将来の選択肢が広いのが心強い。先生方のサポートも手厚い」といった、卒業後の進路に対する安心感や満足度の高さを示す意見も目立ちます。
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「分からないことがあっても、先生の研究室に直接質問に行けるし、先輩も親切に教えてくれる」など、学習環境の良さを挙げる声もあります。
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「女子の夏服が可愛いと評判です」という、制服に関するポジティブな口コミも見られます。
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「女子学生が増えてきていて、女子寮も綺麗で過ごしやすい」という、女子生徒にとっての環境の良さを評価する声もあります。
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気になる点
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「赤点が60点と高く、勉強は本当に大変。少しでも油断するとすぐに単位を落としてしまう」という、学業の厳しさに関する声は最も多く聞かれます。留年や退学する人も実際にいるようです。
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「自由な校風は、自己管理ができない人にとっては逆に危険。自分で勉強する習慣がないと、あっという間に落ちこぼれてしまう」という、自由さの裏返しとも言える注意点を指摘する意見があります。
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「レポートなどの課題が多くて、徹夜になることも珍しくない」と、課題の量や難易度の高さを挙げる声もあります。
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「一度入学すると専門分野が決まってしまうので、もし途中で『この分野は合わないかも』と思っても、進路変更が難しい」という、専門教育ならではのデメリットを指摘する声も考えられます。
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アクセス・通学
都城高専は、宮崎県都城市にあり、様々なエリアから学生が通学しています。
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最寄り駅からのアクセス
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JR都城駅から:宮崎交通バス(51番・52番 小林バスセンター行き、または特急バス 宮崎空港・宮崎行き)に乗車し、「高専前」バス停で下車。所要時間は約10分です。バス停は学校の目の前なので非常に便利です。
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遠方からのアクセス
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宮崎空港から:高速道路経由の特急バス(西都城駅前行き)に乗車し、「高専前」バス停で下車。所要時間は約45分です。
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自動車でのアクセス
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都城ICから国道10号線を都城市街地方面へ約4km、所要時間は約7分です。
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都城高専は、都城市内や宮崎県内各地からはもちろん、県境に近い立地のため、隣の鹿児島県から通学している学生も多くいます。学校の持つ高い専門性と魅力が、広い地域から学生を引きつけている証拠です。また、遠方からの学生のために「高千穂寮」という学生寮も完備されており、安心して勉学に集中できる環境が整っています。
都城工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、都城工業高等専門学校に興味を持ってくれた皆さん、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、皆さんへの応援メッセージを贈ります。
都城工業高等専門学校は、「好き」を仕事にしたい、という強い想いを持つ君にこそ、おすすめしたい学校です。もし君が、機械をいじったり、プログラムを組んだり、化学の実験に夢中になったり、建物のデザインを空想したりすることが大好きなら、ここは天国のような場所になるでしょう。普通の高校では物足りない、もっと早く専門的なことを学びたい、という知的好奇心と探究心にあふれた君を、都城高専は待っています。
受験勉強では、特に数学と理科に力を入れてください。この2教科は、高専でのすべての学びの土台となります。中学校で習う基礎を完璧に理解し、応用問題にもチャレンジしておきましょう。また、推薦選抜を考えている人は、日々の授業を大切にし、全教科で高い成績を維持することが合格への鍵となります。都城工業高等専門学校での5年間は、決して楽な道のりではありませんが、同じ夢を持つ仲間たちと共に、未来の技術者として大きく成長できる、かけがえのない時間になるはずです。君の挑戦を、心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。