東京都立三田高等学校は、都心の一等地にありながら、勉強だけでなく、充実した高校生活を送りたいと考える多くの中学生にとって憧れの存在です。高い進学実績を誇る一方で、生徒の自主性を重んじる自由な校風が魅力。しかし、「自由」と聞くと、勉強との両立は大丈夫だろうか、どんな生徒たちがいるのだろうかと、期待と同時に不安を感じるかもしれません。

この紹介記事では、そんな皆さんの疑問や不安に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。偏差値や進学実績といった客観的なデータはもちろん、在校生や卒業生だからこそ語れるリアルな学校生活の様子、校則の厳しさ、部活動や学校行事の盛り上がりまで、都立三田高校の魅力を余すところなくお伝えします。

高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を左右する大切な決断です。この記事が、あなたとご家族にとって、都立三田高等学校が本当に自分に合った場所なのかを見極めるための、信頼できる道しるべとなることを願っています。さあ、一緒に三田高校の扉を開けてみましょう。

都立三田高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 東京都立三田高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学 男女共学
所在地 〒108-0073 東京都港区三田1-4-46
代表電話番号 03-3453-1991
公式サイトURL http://www.mita-h.metro.tokyo.jp/site/zen/

都立三田高等学校の偏差値・難易度・併願校

都立三田高校を目指す上で、まず気になるのが学力レベル。ここでは偏差値だけでなく、合格に必要な内申点の目安や、一緒に受験を検討されることが多い併願校について具体的に見ていきましょう。

偏差値と難易度のイメージ

都立三田高校の偏差値は、複数の調査機関から発表されていますが、おおむね「61」前後が目安となります。これは東京都内の高校全体で見ても上位約14%に入るレベルで、しっかりとした学力が求められることを示しています。

偏差値だけではイメージしにくいかもしれませんので、同じくらいの学力レベルの都立高校をいくつかご紹介します。

  • 小山台高等学校(偏差値62)

  • 竹早高等学校(偏差値62)

  • 小松川高等学校(偏差値60)

これらの高校と並べて考えることで、都立三田高校の学力的な立ち位置がより明確になるでしょう。

合格に必要な内申点の目安

都立高校の入試では、当日の学力検査の点数だけでなく、中学校での成績である「内申点」も非常に重要になります。特に三田高校のような人気校では、内申点が合否を大きく左右することもあります。

都立高校の入試で使われるのは、主要5教科(国語・数学・英語・理科・社会)の成績を1倍、実技4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の成績を2倍して計算する「換算内申」です。この仕組みのため、実技教科の成績が良いと有利になる傾向があります。

例えば、以下のように内申点によって学力検査で目指すべき点数が変わってきます。

  • オール4に近い成績(換算内申52点/65点満点)の場合:学力検査で500点満点中、約436点(各教科平均87点)が合格の目安です。

  • オール3に近い成績(換算内申39点/65点満点)の場合:学力検査で500点満点中、約479点(各教科平均96点)が必要となり、非常に高い得点が求められます。

このことからも分かるように、受験は3年生になってから始まるものではありません。中学1・2年生のうちから、日々の授業や定期テストに真剣に取り組み、高い内申点を確保しておくことが、都立三田高校合格への大きなアドバンテージになります。

主な併願校

都立高校が第一志望の場合、併願する私立高校選びも大切な戦略の一つです。三田高校を受験する生徒がよく併願校として選ぶのは、以下のような高校です。これらは三田高校と学力レベルが近く、大学進学にも力を入れている学校です。

  • 國學院高等学校

  • 明治学院高等学校

  • 朋優学院高等学校

  • 東洋高等学校

  • 順天高等学校

  • 青稜高等学校

都立三田高等学校に設置されている学科・コース

都立三田高校に設置されているのは「普通科」のみです。しかし、そのカリキュラムは生徒一人ひとりの進路希望に柔軟に対応できるよう、学年が上がるにつれて選択の幅が広がるように設計されています。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:1年生では全員が共通の科目を履修し、幅広い知識の土台を築きます。2年生になると、文系・理系の希望に応じて一部の科目(地学基礎と物理基礎、世界史と化学など)を選択し始め、少しずつ専門性を高めていきます。そして3年生では、文系・理系に完全に分かれ、それぞれの志望大学の受験科目に合わせて、豊富な自由選択科目の中から自分の時間割を組み立てていきます。少人数で行われる講座も多く、きめ細かい指導が受けられるのが特長です。

    • どんな生徒におすすめか:特定の分野に絞らず、高校生活を通して自分の興味や適性を見つけたい生徒や、難関大学への進学を目指し、受験に必要な科目を集中的に学びたい生徒におすすめです。

このカリキュラムの最大の利点は、1年生の段階で将来の道を決め打ちする必要がないことです。様々な学問に触れる中で、自分の本当にやりたいことを見つける時間的な猶予があるため、幅広い可能性を持つ生徒にとって最適な環境と言えるでしょう。

都立三田高等学校の特色・校風

三田高校が多くの受験生を惹きつける最大の理由は、その独特の校風と生徒たちの雰囲気にあります。キーワードで表すなら、「自由闊達」「文武両道」「生徒主体」そして「穏やかで明るい」といった言葉がぴったりです。

  • 宿題の量:宿題は決して少なくはありませんが、毎日コツコツとこなしていれば対応できる量という声が多いようです。一夜漬けで乗り切るというよりは、日々の学習習慣が身についている生徒が多い印象です。

  • 校則:校則は他の都立高校と比較しても緩やかな傾向にあります。

    • 服装:制服の着こなしはある程度自由で、女子生徒の中にはメイクやピアス、ネックレスなどのアクセサリーを楽しんでいる人も見られます。ただし、髪を染めることや、パーカー・トレーナーの着用は禁止されているようです。生徒会が学校側と協議し、校則をより良く変えていこうとする動きもあり、生徒の意見が尊重される文化が根付いています。

    • スマホ:スマートフォンに関する厳しい規制はあまり聞かれず、休み時間などには多くの生徒が自由に使用しているようです。

  • 生徒たちの雰囲気:明るく、穏やかで、誰に対しても優しい生徒が多いと評判です。いわゆる「スクールカースト」のようなものはなく、どんな個性も受け入れられる雰囲気があります。勉強するときは真剣に取り組み、行事や部活では全力で楽しむという、メリハリのついた生徒が多いのが特徴です。「キラキラした高校生活」を送りたい生徒と、落ち着いた学校生活を望む生徒のどちらもが満足できる、バランスの取れた環境です。

  • アルバイト:アルバイトについては、特別な事情がある場合に許可制となっている可能性があります。基本的には学業や部活動に専念することが推奨されているようです。

  • 制服の評判:特に女子の制服は、チャコールグレーのブレザーに青系のチェックのスカートという組み合わせで、「上品で可愛い」と人気があります。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的に実施されていませんが、部活動や行事の準備などで多くの生徒が登校しています。

三田高校の「自由」は、単なる「放任」ではありません。生徒一人ひとりが責任感と自律心を持っているからこそ成り立っているものです。学校は生徒を信頼して多くのことを任せ、生徒はその期待に応える。この良好な関係が、三田高校の心地よい雰囲気を作り出しているのです。

都立三田高等学校の部活動・イベント

「文武両道」を掲げる三田高校では、勉強だけでなく部活動や学校行事にも全力で打ち込む生徒がほとんどです。

部活動

部活動への加入率は9割を超え、35以上の部や同好会が活発に活動しています。運動部、文化部ともに充実しており、自分の興味に合った活動が必ず見つかるはずです。

  • ダンス部:三田高校の顔とも言える部活動で、全国大会の常連です。過去には全国準優勝という輝かしい実績もあり、そのパフォーマンスは圧巻の一言。文化祭でのステージは、毎年多くの観客で埋め尽くされます。

  • 弓道部:運動部の中でも特に強豪として知られ、関東大会に出場するなど高いレベルで活動しています。静かな集中力と礼儀作法が身につく、奥深い武道です。

  • 外国語クラブ:国際交流に力を入れる三田高校らしいユニークなクラブです。ネイティブの講師から、英語だけでなくスペイン語や韓国語などを学ぶことができます。

  • その他の部活動:他にも、関東大会出場経験のある陸上部や卓球部、都心には珍しいアメリカンフットボール部、そして音楽講堂に設置された世界最高峰の「スタインウェイ」製のピアノで練習できる弦楽部や吹奏楽部など、魅力的な部活動が数多くあります。

イベント

三田高校の学校生活を彩るのは、生徒が主体となって作り上げる「四大行事」です。これらは単なるお祭りではなく、クラスや学年の団結力を高め、企画力や協調性を育む大切な学びの場となっています。

  • 白珠祭(文化祭):毎年9月に行われる文化祭で、三田高校が一年で最も熱気に包まれる日です。1年生はクラス全員で一つの劇を作り上げる「クラス劇」、2年生は趣向を凝らした「体験型企画」、3年生は本格的な「飲食模擬店」と、学年ごとに役割が決まっているのが特徴です。その人気は非常に高く、近年では一般来場者は事前抽選制になるほどです。

  • 体育祭:学校のグラウンドではなく、外部の陸上競技場を貸し切って盛大に行われます。全校生徒が赤・青・白の3つの団に分かれて優勝を争い、3年生の応援団長を中心に繰り広げられる応援合戦は迫力満点です。クラスTシャツを揃え、仲間と汗を流す一日は、一生の思い出になるでしょう。

  • 修学旅行:2年生の修学旅行先は台湾です。異文化に触れ、現地の学生と交流するプログラムなどを通して、国際的な視野を広げる貴重な機会となっています。

  • 合唱コンクール:冬に行われる伝統行事です。各クラスが練習を重ねてきた歌声を披露し、最後はオーケストラの伴奏で全校生徒でベートーヴェンの「第九」を合唱します。その荘厳な響きは多くの生徒の心に深く刻まれます。

都立三田高等学校の進学実績

東京都教育委員会から「進学指導推進校」に指定されている三田高校は、その名にふさわしく、国公立大学や難関私立大学へ多数の合格者を輩出しています。

最新の大学進学実績(2025年入試結果)

近年の進学実績を見ると、特に早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学や、GMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)といった難関私立大学への強さが際立っています。

大学群 主な大学名と合格者数 合計
国公立大学 一橋大学(2), 筑波大学(4), 千葉大学(6), 東京都立大学(6), 横浜国立大学(3)など 54
早慶上理 早稲田大学(54), 慶應義塾大学(35), 上智大学(24), 東京理科大学(26) 139
GMARCH 明治大学(114), 青山学院大学(58), 立教大学(85), 中央大学(31), 法政大学(80), 学習院大学(25) 393

進学実績を支える取り組み

高い進学実績の背景には、生徒の自主性を尊重しつつも、必要なサポートを的確に行う学校の姿勢があります。

多くの卒業生が語るように、三田高校の先生方は「国立大学に行きなさい」といった画一的な指導はしません。生徒一人ひとりの希望や適性を尊重し、対話を重ねながら進路選択をサポートしてくれます。この「押し付けない」指導方針が、生徒たちが自ら考え、主体的に受験戦略を立てる力を育んでいます。結果として、多くの生徒が効率的に対策できる3教科型の入試で受験できる難関私立大学を戦略的に目指し、見事な合格実績に繋がっていると考えられます。

また、冬休みには希望者向けに「スタディチャレンジ」という自主学習の習慣づけを目的としたプログラムが用意されるなど、受験に向けたサポート体制も整っています。

都立三田高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、三田高校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 生徒主体で創り上げる熱狂的な学校行事

    体育祭や白珠祭(文化祭)などの「四大行事」は、すべて生徒の実行委員会が中心となって企画・運営されます。自分たちの手で最高のイベントを作り上げる経験は、大きな達成感と仲間との強い絆を生み出します。

  • 全国レベルで活躍する部活動と高い加入率

    全国大会で準優勝したダンス部を筆頭に、多くの部活動がハイレベルな活動を展開しています。それでいて部活動加入率は9割を超え、ほとんどの生徒が学業と両立しながら打ち込めるものを見つけています。

  • 自由な校風と生徒の自主性を尊重する文化

    緩やかな校則のもと、生徒一人ひとりの個性が尊重されます。この自由な環境が、自分で考えて行動する「自律心」を育みます。

  • 都心ならではの抜群のアクセスと立地

    JRや地下鉄など複数の路線・駅から徒歩圏内という立地は、都内全域からの通学を可能にします。学校帰りに寄り道できる場所も豊富で、都会の高校生活を満喫できます。

  • 国際感覚を養う独自のプログラム

    修学旅行先の台湾や、留学生との交流、ネイティブ講師が指導する外国語クラブなど、世界に目を向けるきっかけとなる機会が数多く用意されています。

  • 充実した音楽設備(スタインウェイのピアノ)

    音楽講堂には、世界三大ピアノの一つであるスタインウェイ社のグランドピアノが設置されています。これは都立の普通科高校としては極めて珍しく、音楽に打ち込みたい生徒にとって最高の環境です。

  • 高いレベルで文武両道を実現する環境

    「進学指導推進校」としての確かな学習サポートと、活発な部活動・学校行事。勉強も、青春も、どちらも本気で頑張りたい生徒にとって、三田高校は最高の舞台です。

都立三田高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、実際に三田高校に通う生徒や卒業生から寄せられた声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。

良い点

  • 「とにかく学校生活が楽しい!最高の友人、最高の行事に出会える場所です。」

  • 「自由な校風で、先生も生徒もお互いを尊重している感じがします。いじめなども聞いたことがありません。」

  • 「勉強するときはする、遊ぶときは遊ぶ、というメリハリがしっかりしている生徒が多いです。」

  • 「立地が最高。学校帰りに渋谷や新宿にもすぐ行けるので、放課後も充実しています。」

  • 「先生が進路に干渉しすぎないので、自分の意志で大学を選べます。相談には親身に乗ってくれます。」

  • 「ダンス部や弓道部など、本気で打ち込める部活がたくさんあります。」

気になる点

  • 「校舎が古くて、正直きれいとは言えません。特に壁の汚れが気になることがあります。」

  • 「1年生の教室が6階にあるなど、校舎が縦に長いため毎日の階段の上り下りが大変です。」

  • 「『英語の三田』と言われるけれど、学校のサポートが特別手厚いというよりは、留学制度があることや、もともと英語が得意な生徒が自分で頑張っている印象です。」

  • 「自由な校風だからこそ、自分で勉強の計画を立てて実行しないと、周りに置いていかれてしまう可能性があります。」

アクセス・通学

三田高校の魅力の一つは、その交通アクセスの良さです。複数の駅・路線が利用できるため、都内の様々なエリアから通学しやすいのが特長です。

路線 最寄り駅 徒歩
都営大江戸線 赤羽橋駅 約5分
都営三田線 芝公園駅 約7分
東京メトロ南北線 麻布十番駅 約10分
都営浅草線 三田駅 約12分
JR山手線・京浜東北線 田町駅 約13分

通学エリア

これだけ多くの路線が使えるため、生徒は都内全域から通学しています。特に多いのは大田区で、次いで江戸川区、足立区、品川区、世田谷区などから通う生徒が多い傾向にあります。

なお、都心という立地と安全上の理由から、自転車での通学は原則として認められていないようです。

都立三田高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、都立三田高校を目指す君たちにメッセージを送ります。

都立三田高校は、「自由な環境で、勉強も行事も部活も、すべてに全力で打ち込みたい」と考える、自律した生徒にぴったりの学校です。周りに流されるのではなく、自分で目標を立てて努力できる人、仲間と協力して何かを成し遂げることに喜びを感じる人なら、最高の3年間が待っているでしょう。

そんな都立三田高校の合格を勝ち取るためには、何よりもまず「内申点」を意識してください。入試本番での逆転が難しい人気校だからこそ、中学1・2年生のうちから授業態度や提出物、定期テストに真剣に取り組み、一つでも高い評価を得ることが合格への一番の近道です。受験勉強では、苦手科目を作らず、5教科すべてで安定して高得点を取れる基礎学力を固めることを目指しましょう。

高校選びは、君の未来への大きな一歩です。三田高校は、その一歩を力強く踏み出すための素晴らしい環境と、かけがえのない仲間を与えてくれるはずです。自分の可能性を信じて、挑戦してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。