金沢泉丘高等学校は、石川県内において学業の頂点に立つ公立高校として、毎年多くの受験生が憧れの眼差しを向ける存在です。
県内トップという響きから、「勉強ばかりで大変そう」というイメージを持つ中学生や保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのイメージだけで金沢泉丘高等学校を判断してしまうのは、非常にもったいないことです。この学校の真の魅力は、高い学力レベルだけでなく、生徒の「自主自律」を重んじる自由な校風と、勉強も部活動も学校行事も、すべてに全力で取り組む「文武両道」の精神にあります。
ここでは、単なる偏差値や進学実績の数字だけでは伝わらない、生徒たちが主役となって創り上げる活気に満ちた学校生活のリアルな姿を、様々な角度から詳しくご紹介します。この記事を読めば、金沢泉丘がなぜ多くの生徒にとって「最高の3年間」を送れる場所なのか、その理由がきっと見えてくるはずです。
金沢泉丘高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 石川県立金沢泉丘高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒921-8517 石川県金沢市泉野出町3丁目10番10号 |
代表電話番号 | 076-241-6117 |
公式サイトURL | https://cms1.ishikawa-c.ed.jp/izumih/ |
金沢泉丘高等学校の偏差値・難易度・併願校
金沢泉丘高等学校の合格を目指す上で、最も気になるのが学力的な難易度でしょう。ここでは最新の偏差値から、合格に必要な力の目安、そして併願校戦略までを詳しく解説します。
偏差値・難易度
金沢泉丘高等学校の偏差値は、石川県内の公立高校でトップに位置します。学科ごとに見ると、その高さがよく分かります。
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理数科:74
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普通科:72
この数字は、全国的に見ても非常に高いレベルです。偏差値だけではイメージが湧きにくいかもしれませんので、他の県内トップレベルの高校と比較してみましょう。
高校名 | 学科・コース | 偏差値 |
金沢泉丘高等学校 | 理数科 | 74 |
金沢泉丘高等学校 | 普通科 | 72 |
金沢大学附属高等学校 | 普通科 | 72 |
小松高等学校 | 理数科 | 70 |
金沢二水高等学校 | 普通科 | 68 |
金沢桜丘高等学校 | 普通科 | 66 |
このように、金沢泉丘は県内屈指の進学校である金沢大学附属高校と双璧をなし、他の上位校とも明確な差があることが分かります。
合格に必要な内申点・当日点の目安
石川県の公立高校入試は、当日の学力検査(500点満点)と中学校からの調査書(内申点、最大180点)で総合的に判断されます。金沢泉丘に合格するためには、この両方で高いレベルが求められます。
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内申点の目安:中学校3年間の評定平均で「4.2以上」が一つの目安とされています。実際に合格した先輩たちのデータを見ると、9教科合計45点満点中、40点以上を取得している生徒が多いようです。これは、主要5教科だけでなく、副教科においても高い成績を維持し続ける、中学時代からの継続的な努力が必要であることを示しています。
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当日点の目安:その年の問題の難易度によって変動しますが、理数科は400点以上、普通科でも370点以上が目標ラインとなることが多いようです。しかし、これはあくまで最低ライン。本気で合格を目指す生徒たちの間では、「5教科合計で450点(1教科平均90点)を狙う」という高い意識が共有されています。このレベルを目指すには、苦手科目を作らず、全教科で高得点を取るためのバランスの取れた学力が不可欠です。
主な併願校
石川県では公立高校の併願ができないため、金沢泉丘を受験する生徒の多くは、万が一に備えて私立高校を併願します。その際、学力レベルや進学実績を考慮して、以下の高校の特進・選抜コースが選ばれることが一般的です。
区分 | 男子生徒の主な併願校 | 女子生徒の主な併願校 |
私立 | 星稜高等学校(Aコース/Bコース)、金沢高等学校(Sコース/特進コース) | 星稜高等学校(Aコース/Bコース)、金沢高等学校(Sコース/特進コース)、北陸学院高等学校(特別進学コース) |
これらの情報は、進研ゼミの調査に基づいています。金沢泉丘と比べると偏差値には差がありますが、これらの私立高校のトップコースも高いレベルにあり、多くの受験生が安心して受験に臨むための選択肢としています。
金沢泉丘高等学校に設置されている学科・コース
金沢泉丘高等学校には、生徒一人ひとりの興味や進路希望に応じた学びの場が用意されています。全日制課程には「普通科」と「理数科」があり、さらに通信制課程も設置されています。
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全日制 普通科 (定員360名)
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文系・理系に分かれ、幅広い学問分野に対応するカリキュラムが組まれています。2年次には、希望と成績によって選抜される「SG(スーパーグローバル)コース」が設置され、より国際的な視野を養うための特別なプログラムが用意されています。文理を問わず、高いレベルで学びたいすべての生徒におすすめです。
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全日制 理数科 (定員40名)
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理数分野に特に強い興味と探究心を持つ生徒のための専門学科です。文部科学省指定のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業の中核を担い、大学や研究機関と連携した高度な実験や課題研究に取り組みます。将来、科学技術分野のリーダーとして活躍したい生徒に最適の環境です。
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通信制課程 普通科・衛生看護科
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働きながら高卒資格を目指す人や、自分のペースで学習を進めたい人のための課程です。石川県立の高校で唯一、通信制が設置されています。
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金沢泉丘高等学校の特色・校風
金沢泉丘の最大の魅力は、その独特の校風にあります。キーワードは「文武両道」「自主自律」「自由闊達」です。ここでは、在校生や卒業生の声を基に、学校生活のリアルな姿を詳しく見ていきましょう。
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宿題の量は多い?少ない?
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「課題は多い」というのが多くの生徒の一致した意見です。特に、国語・数学・英語の週間課題や日々の小テスト、授業の予習は大変だと感じる生徒が多いようです。しかし、入学当初から徐々に慣れていくように配慮されており、生徒たちはスキマ時間を活用するなど、自分なりのペースを掴んで乗り越えています。この経験を通じて、高い自己管理能力が身につきます。
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校則は厳しい?緩やか?
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校則は「かなり緩やか」で、生徒の自主性が尊重されています。
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スマホ:持ち込みは自由で、授業中以外(休み時間や放課後)は使用可能です。勉強に活用している生徒も多く、この自由度の高さは好評です。
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服装・髪型:髪型は自由で、制服の着こなしに関しても厳しく注意されることはほとんどないようです。
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その他:休み時間にお菓子やジュースを飲食することも自由で、リラックスした雰囲気があります。
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生徒たちの雰囲気は?
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「真面目だけどガリ勉ばかりではない、エネルギッシュな生徒が多い」と評されています。勉強するときは集中し、遊ぶときや行事のときは全力で楽しむ、メリハリのある生徒が多いようです。互いを尊重し、高め合える環境があり、「いじめは聞いたことがない」という声が多数を占めます。また、数学や鉄道など、様々な分野の「オタク」的な知識を持つ個性豊かな生徒も多く、知的好奇心が刺激される毎日を送ることができます。
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アルバイトは可能?
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校則で明確に禁止されているわけではないようですが、膨大な課題や部活動、学校行事で非常に忙しいため、現実的にアルバイトをしている生徒は少ないようです。
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制服の評判は?
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制服は紺色のブレザーに、男子はスラックス、女子はグレーのスカート、そして緑色がアクセントのネクタイ・リボンです。数年前にブレザーに変更されてから、評判は良いようです。
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土曜授業はある?
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基本的に土曜日は休みで、毎週の授業はありません。ただし、過去には「土曜スクール」といった希望者向けの講座が開かれていたこともあり、自主的に学ぶ機会は提供されているようです。この「自由な土曜日」があることで、生徒は部活動に打ち込んだり、平日の課題の遅れを取り戻したりと、自分のために時間を使うことができます。
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金沢泉丘高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる金沢泉丘では、部活動や学校行事も学校生活の重要な柱です。
部活動
部活動への加入率は毎年90%を超え、ほとんどの生徒が勉強と両立しながら活動に打ち込んでいます。運動部・文化部合わせて40以上のクラブがあり、選択肢が非常に豊富です。限られた時間の中で成果を出すため、生徒自らが練習方法を工夫する文化が根付いています。
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特に有名な部活動
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新聞部:全国高校新聞コンクールで文部科学大臣賞を受賞するなど、全国トップレベルの実績を誇ります。
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ESS (English Speaking Society):全国大会の常連で、高い英語力を実践的に磨くことができます。
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囲碁・将棋部:少人数ながら、こちらも全国大会に駒を進める強豪です。
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SSHロボット部:SSH指定校ならではの部活動で、先進的なものづくりに挑戦できます。
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全体の様子
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運動部も非常に盛んで、多くの部が県大会で上位入賞を果たしています。野球部は過去に甲子園出場経験もあり、伝統的にスポーツが強い一面も持っています。文化部も活発で、どの部も高い目標を掲げて活動しています。
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イベント
金沢泉丘の学校行事は、生徒たちの手で創り上げられ、毎年大きな盛り上がりを見せます。
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創立記念祭(通称:泉丘祭)
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9月初旬に行われる最大のイベントです。1年生はクラスごとの催事(展示やお化け屋敷など)、2年生は模擬店(焼きそばやクレープなど)、そして3年生はグラウンドの特設ステージで上演する壮大な「野外劇」を担当します。特に野外劇は泉丘祭の華であり、クラス一丸となって脚本、衣装、大道具、演出のすべてを創り上げます。このほか、有志によるバンド演奏やダンス発表もあり、学校全体が熱気に包まれます。
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校内陸上競技大会
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5月に行われる、学校全体でのスポーツの祭典です。金沢市営陸上競技場という本格的な施設を貸し切って行われ、クラス対抗で様々な種目に挑みます。リレーなどは特に盛り上がり、生徒たちの本気の勝負が見られます。
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修学旅行
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2年生の秋に実施されますが、その行き先はコースごとに大きく異なるのが特徴です。
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普通科(文系・理系):台湾を訪れ、現地の高校生との交流や文化探訪を行います。
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SGコース:海外研修としてアメリカ東海岸へ。ニューヨークなどを訪れ、プリンストン大学などで知的な刺激を受けます。
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理数科:海外研修としてアメリカ西海岸へ。スタンフォード大学やシリコンバレーを訪問し、最先端の科学技術に触れます。
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これらは単なる観光旅行ではなく、将来の視野を広げるための貴重な「研修」と位置づけられています。
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金沢泉丘高等学校の進学実績
金沢泉丘高等学校が県内トップの進学校たる所以は、その圧倒的な大学進学実績にあります。ほぼ100%の生徒が大学進学を目指し、その多くが難関大学への合格を果たしています。
最新の大学進学実績(2025年入試)
最新の合格実績を見ると、旧帝国大学をはじめとする最難関国公立大学や、難関私立大学に多数の合格者を出していることが分かります。特に東京大学、京都大学への合格者数は全国の公立高校の中でもトップクラスです。
2025年度 国公立大学 主な合格実績
大学名 | 合格者数 |
東京大学 | 23 |
京都大学 | 34 |
大阪大学 | 56 |
北海道大学 | 21 |
東北大学 | 17 |
名古屋大学 | 13 |
九州大学 | 8 |
神戸大学 | 25 |
金沢大学 | 53 |
2025年度 私立大学 主な合格実績
大学群 | 主な大学名 | 合計合格者数 |
早慶上理 | 早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学 | 79 |
MARCH | 明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学 | 82 |
関関同立 | 同志社大学、立命館大学、関西学院大学、関西大学 | 314 |
進学実績を支える取り組み
この高い進学実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校のサポート体制によって支えられています。
特に難関大学を目指す生徒に対しては、3年次に先生から個人添削指導を受けられるなど、手厚いサポートがあります。また、学校には各大学の豊富なデータが蓄積されており、的確な進路指導を受けることができます。
一方で、他の進学校と比較して、夏休みなどの長期休暇中の補習は少なめという声もあります。これは、生徒の自主性を重んじ、自分で計画を立てて学習する時間を確保させるという学校の方針の表れと言えるでしょう。
金沢泉丘高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、金沢泉丘ならではの強みや魅力をまとめました。
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全国トップレベルのSSH(スーパーサイエンスハイスクール)プログラム
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理数科だけでなく全校生徒が参加できる「サイエンスツアー」や、生徒が主体となって企画・運営する「金沢泉丘サイエンスグランプリ」など、知的好奇心を満たす独自のプログラムが満載です。
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世界を視野に入れたグローバルな学びの機会
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普通科の台湾修学旅行に加え、SGコースはアメリカ東海岸、理数科はアメリカ西海岸への海外研修があり、世界トップレベルの大学や文化に触れることで、将来の可能性を大きく広げることができます。
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生徒を信頼する「自主自律」の自由な校風
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緩やかな校則に象徴されるように、学校は生徒一人ひとりを大人として扱い、その自主性を最大限に尊重します。この信頼に応えようとすることで、生徒は高い自己管理能力と責任感を身につけます。
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県内No.1を誇る圧倒的な大学進学実績
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東京大学・京都大学をはじめとする最難関大学へ、毎年安定して多数の合格者を輩出しています。この実績が、質の高い教育の何よりの証明です。
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一生の思い出になる生徒主体の学校行事
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特に3年生の「野外劇」に代表される創立記念祭は、クラス全員で数ヶ月かけて一つの作品を創り上げる、他では味わえない感動的な体験です。この経験を通じて、本気でぶつかり合える仲間との強い絆が生まれます。
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互いに高め合える、刺激的な仲間との出会い
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県内中から集まった意欲的で才能あふれる仲間たちに囲まれる環境は、何よりの財産です。「周りの友人を見ていると自然と頑張ろうと思える」という声が多く、3年間を通じて切磋琢磨し、共に成長できます。
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120年以上の歴史と充実した教育施設
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長い伝統に裏打ちされた教育ノウハウと、多くの卒業生が築いてきたネットワークは大きな強みです。蔵書が豊富な図書館や、全校集会が可能な講堂など、学習環境も非常に充実しています。
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金沢泉丘高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生から寄せられるリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。
良い点
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「最高の仲間と出会える場所」という声が圧倒的に多いです。勉強だけでなく、部活や行事にも全力で取り組む刺激的な友人に囲まれ、毎日が充実していると感じる生徒が多いようです。
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「自由な校風が素晴らしい」という点も高く評価されています。校則が緩やかで、自分のやりたいことに集中できる環境が整っていると感じられています。
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「先生のサポートが手厚い」という意見も見られます。質問すれば親身になって教えてくれる先生が多く、進路相談なども真剣に乗ってくれるようです。
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「行事が本当に楽しい」という声も多数あります。特に創立記念祭は一生の思い出になると言われており、クラスの団結力が非常に強まります。
気になる点
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「とにかく課題が多くて大変」という点は、多くの生徒が口を揃えるところです。授業の進度も速く、入学当初はついていくのに苦労することがあるようです。
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「レベルが高すぎて自信をなくすことがある」という声もあります。中学時代はトップクラスの成績だった生徒でも、周りのレベルの高さに驚き、最初のうちは戸惑うことがあるようです。
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「自主性が求められすぎる」と感じる生徒もいるかもしれません。手取り足取り教えてもらうというよりは、自分で考えて行動することが基本となるため、受け身の姿勢だと厳しいと感じる可能性があります。
これらの「気になる点」は、裏を返せば、高いレベルの環境に身を置いていることの証明でもあります。この厳しい環境を乗り越えることで、大きな成長が得られるのが金沢泉丘の特長と言えるでしょう。
アクセス・通学
金沢泉丘高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。
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バスでのアクセス
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JR金沢駅のバスターミナルから、北陸鉄道バスの30番(光が丘行き)、31番(額住宅行き)、または32番(円光寺行き)に乗車し、「泉丘高校前」バス停で下車するのが最も一般的です。バス停は学校の目の前にあります。
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電車でのアクセス
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最寄り駅は北陸鉄道石川線の「野町駅」ですが、駅から学校までは徒歩で約26分かかります。毎日の通学には少し距離があるため、多くの生徒は金沢駅からのバスを利用しています。
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石川県は全県一学区のため、金沢市内だけでなく、小松市や加賀市、能登地方など、県内の広い範囲から生徒が通学しています。そのため、多くの生徒が地元の駅からJR線で金沢駅まで来て、そこからバスに乗り換えるという通学スタイルをとっています。
金沢泉丘高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
金沢泉丘高等学校を目指す皆さんへ、心からの応援を込めてアドバイスを送ります。
この学校は、ただ勉強が得意なだけでなく、「学ぶこと」そのものが好きで、難しい課題に挑戦することにワクワクできる知的好奇心旺盛な生徒に特におすすめです。また、誰かに指示されるのを待つのではなく、自分で目標を立てて行動できる「自走できる力」を持つ生徒が、金沢泉丘の自由な環境を最大限に活かして大きく成長できるでしょう。
受験勉強においては、何か一つの得意科目に頼るのではなく、5教科すべてで穴のない基礎学力を固めることが何よりも重要です。金沢泉丘の入試では、総合力が問われます。そして、今のうちから「時間を管理する習慣」を身につけてください。高校生活は、想像以上に忙しく、充実しています。その中で自分の夢を実現するためには、計画的に学習を進める力が必要不可欠です。金沢泉丘は、皆さんの高い志に応えてくれる最高の舞台です。目標に向かって、最後まで自分を信じて頑張り抜いてください。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。