香川県立観音寺第一高等学校、地元では親しみを込めて「観一(かんいち)」と呼ばれ、120年以上の歴史を誇る西讃地域を代表する伝統校です。長い歴史の中で、多くの卒業生を社会に送り出し、地域からの厚い信頼を寄せられてきました。その一方で、昔ながらの伝統を守るだけでなく、常に新しい学びの形を模索し続けているのが、今の観音寺第一高等学校の大きな魅力と言えるでしょう。
この学校の最も特徴的なキーワードは「文武両道」と「探究心」です。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されていることからも分かるように、生徒一人ひとりが自ら課題を見つけ、深く掘り下げていく「探究心」を育むことに力を入れています。勉強はもちろん、部活動や学校行事にも全力で打ち込む生徒が多く、活気に満ち溢れています。
この記事では、そんな観音寺第一高等学校がどんな学校なのか、偏差値や進学実績といったデータだけでなく、学校生活のリアルな雰囲気、先輩たちの声、そしてこの学校ならではのユニークな取り組みまで、詳しく、そして分かりやすく解き明かしていきます。あなたの高校選びの旅が、素晴らしい未来につながる一歩となるよう、全力でサポートします。
観音寺第一高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 香川県立観音寺第一高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒768-0069 香川県観音寺市茂木町4丁目2番38号 |
代表電話番号 | 0875-25-4155 |
公式サイトのURL | https://www.kagawa-edu.jp/kanich02/ |
観音寺第一高等学校の偏差値・難易度・併願校
「観一に行きたい!」と思ったら、次に気になるのはどのくらいの学力が必要か、ということですよね。ここでは、偏差値や合格に必要な内申点の目安など、具体的な難易度について見ていきましょう。
観音寺第一高等学校の偏差値は、普通科・理数科ともに「65」前後とされています。これは香川県内の公立高校の中でもトップクラスに位置し、三木高校(文理科)などと並ぶ高いレベルです。県内全体で見ても、常に上位にランクインする進学校であることが分かります。
ただし、偏差値はあくまで一つの目安です。香川県の公立高校入試では、中学校での成績である「内申点」と、入試当日の「学力検査点」の合計で合否が決まります。観音寺第一高等学校に合格するためには、この両方で高いレベルが求められます。
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合格に必要な内申点の目安
内申点は、中学1年生から3年生までの成績が評価され、合計220点満点で計算されます。合格者の平均的な内申点は180点前後と言われています。安全圏を目指すなら190点以上、ボーダーラインとしては175点あたりが意識されることが多いようです。オール4(176点)以上の成績が目標となります。
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合格に必要な当日点の目安
入試当日の学力検査は5教科で各50点、合計250点満点です。内申点が180点の場合、当日点は190点前後が目標となります。つまり、各教科でバランス良く得点する力が必要です。内申点と当日点の合計で360点~380点以上が、一つの大きな目安となるでしょう。
香川県の公立高校入試では、原則として他の公立高校を併願することはできません。そのため、観一を受験する多くの生徒が、滑り止めとして私立高校を併願します。主な併願校としては、以下のような高校が挙げられます。
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尽誠学園高等学校(特別進学コース)
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香川県藤井高等学校(ユリーカコース、特別進学コース)
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四国学院大学香川西高等学校(特別進学コース)
これらの私立高校もそれぞれ特色があるので、観音寺第一高等学校だけでなく、併願校についてもよく調べておくことをお勧めします。
観音寺第一高等学校に設置されている学科・コース
観音寺第一高等学校の大きな特徴の一つが、入学時の「くくり募集」というシステムです。これは、入学試験の段階では普通科と理数科の区別なく全員を募集し、1年間同じカリキュラムで学んだ後、2年生に進級する際に本人の希望や適性、成績に応じてそれぞれの科・コースに分かれるというものです。じっくり自分の興味や将来の夢を考える時間があるのは、大きなメリットと言えるでしょう。
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1年次(共通)
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特色コース:1年生の中に、特に高い学習意欲を持つ生徒を対象とした「特色コース」が2クラス設置されます。文系・理系を問わず難関大学を目指す生徒や、理数科への進級を強く希望する生徒が所属します。周りの仲間と切磋琢磨できる環境で、高校生活の好スタートを切りたい人におすすめです。
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2・3年次(専門課程)
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理数科:理科や数学への強い探究心を持ち、理系難関大学や国公立大学の医学部などを目指す生徒に最適のコースです。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の中心として、大学と連携した課題研究や校外研修など、専門的な学びを深める機会が豊富に用意されています。
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普通科(文系コース・理系コース):自分の進路希望に合わせて文系と理系に分かれ、幅広い大学進学に対応するコースです。3年生になると選択科目が大幅に増え、国公立大学から私立大学まで、一人ひとりの目標に合わせた効率的な学習が可能です。
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普通科(文系特色クラス):普通科の文系コースの中に設置される、より高いレベルを目指すクラスです。文系教科に強い関心を持ち、難関国公立大学や有名私立大学の法学部、経済学部などを目指す生徒におすすめです。
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観音寺第一高等学校の特色・校風
観音寺第一高等学校の雰囲気をキーワードで表すなら、「文武両道」「探究心」、そして何より「自分次第」という言葉がぴったりです。伝統ある進学校としての誇りを持ちつつも、生徒の自主性を重んじる自由な気風が流れています。ここでは、中学生の皆さんが特に気になる学校生活のリアルな部分を、先輩たちの口コミを基に詳しく見ていきましょう。
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校風・生徒の雰囲気
口コミで最も多く見られるのが、「勉強を頑張る生徒とそうでない生徒の差が大きい」という声です。特に、2年生から分かれる理数科や特色クラスは、大学受験に向けて非常に意識が高く、集中して学べる環境が整っているようです。一方で、普通科のクラスは和気あいあいとした雰囲気のところもあれば、少し落ち着きがないと感じる生徒もいるなど、クラスによってカラーが異なる傾向があります。ただし、全体的には生徒同士の仲は良く、いじめが少ないというポジティブな意見も多く見られます。良くも悪くも他人に干渉しすぎず、自分のペースで過ごしやすいと感じる生徒が多いようです。
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宿題・学習について
「テストがとにかく多い」「課題が多い」という声が多数あります。毎週のように何かしらの小テストがあり、定期考査前は学校全体が勉強モードになります。これは大学進学を重視する学校ならではの特徴で、日々の積み重ねを大切にする姿勢が求められます。自習室も人気で、テスト期間中は席の取り合いになるほどだそうです。
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校則について
伝統校ということもあり、校則は比較的厳しいという意見が多いです。
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スマートフォンの持ち込み:原則として校内での使用は禁止されています。登下校時の連絡など、やむを得ない事情がある場合は、保護者からの申請書を提出すれば持ち込み自体は許可されますが、校内では電源を切り、カバンにしまっておくのがルールです。
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服装:制服は、男子が伝統的な黒の詰襟(学ラン)、女子は黒のブレザーにえんじ色のネクタイです。女子はスカートだけでなく、スラックスも選択可能です。着こなしについては、きちんとルールを守ることが求められます。
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アルバイト:原則として禁止されています。家庭の事情などでやむを得ない場合は、学校に申請し、許可を得る必要があります。
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制服の評判
男子は伝統的な詰襟、女子は品のあるブレザースタイルで、特に女子の制服は落ち着いたデザインで良いという声がある一方、もう少し現代的なデザインが良いという意見も見られます。
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土曜授業
毎週の土曜授業はありません。ただし、希望者を対象とした土曜日の講義「樟樹(くすき)セミナー」や、定期考査前の「土曜学習会」が開催されており、意欲のある生徒が自主的に参加しています。
観音寺第一高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる観一では、勉強だけでなく部活動や学校行事も非常に盛んです。多くの生徒が部活動に加入し、仲間と共に汗を流し、一生の思い出を作っています。
部活動
観音寺第一高等学校には14の運動部、17の文化部、2つの同好会があり、ほとんどの生徒が何らかの活動に参加しています。全国レベルで活躍する部も多く、学校全体で部活動を応援する雰囲気に満ちています。
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特に有名な部活動
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陸上競技部:全国大会の常連で、特に棒高跳びでは数々の輝かしい実績を誇ります。インターハイで入賞する選手を毎年輩出しており、まさに学校の顔とも言える部活動です。
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アーチェリー部:男女ともに県内トップレベルの実力を持ち、団体・個人で全国大会に出場しています。集中力と精神力が鍛えられる競技で、高い目標を持って取り組む生徒が集まっています。
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弓道部:こちらも県大会で常に上位入賞を果たしており、伝統的に強い部活動の一つです。武道ならではの礼儀作法と、静かな緊張感の中で心身を鍛えることができます。
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文化部も活発:吹奏楽部は部員数も多く、夏のコンクールやコンサートに向けて熱心に活動しています。また、コーラス部、演劇部、写真部なども全国高等学校総合文化祭に出場するなど、文化の面でも高いレベルを誇っています。
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イベント
観一の学校生活を彩るイベントは、どれも生徒が主役。クラスや学年の垣根を越えて、学校全体が一つになる瞬間です。
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体育祭(5月)
クラス対抗で長縄跳びやリレーなどの種目を競い合い、団結力を高めます。観一の体育祭で特徴的なのが、女子生徒全員で踊る優雅な「カドリール」や、学年ごとに踊る「フォークダンス」です。これらは準備から本番まで、クラスの仲を深める絶好の機会となっています。
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文化祭「観一祭」(9月)
観一で最も盛り上がるイベントと言っても過言ではありません。毎年テーマを掲げ、2日間にわたって開催され、地域の方々も多く訪れます。各クラスが趣向を凝らした展示や模擬店を出すほか、文化部の発表も見どころの一つです。
そして、観一祭のフィナーレを飾るのが、男子生徒による伝統の「デカンショ」です。これは1950年から続く、観一のバンカラな校風を象徴する勇壮な踊りで、これを見るために観一祭に来る人もいるほどです。この「デカンショ節」は、元々江戸時代の民謡が大学の学生たちの間で広まったもので、観一の生徒たちはその歴史ある文化を今に受け継いでいるのです。
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修学旅行(2年次)
2年生の普通科生徒が参加します。行き先はコース選択制で、北陸や名古屋、京都方面などを巡り、仲間との絆を深めます。
観音寺第一高等学校の進学実績
西讃地域を代表する進学校として、観音寺第一高等学校は毎年優れた大学進学実績を上げています。特に国公立大学への進学を希望する生徒が多く、学校全体で手厚いサポート体制が整えられています。
近年の主な大学合格実績は以下の通りです。(合格者数は過年度生を含む場合があります)
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国公立大学
毎年100名近くの生徒が国公立大学に合格しています。地元の香川大学や岡山大学、愛媛大学といった中国・四国地方の大学への進学者が多いのが特徴ですが、それに加えて大阪大学、神戸大学、九州大学といった旧帝大を含む難関大学にも合格者を輩出しています。年度によっては東京大学への合格者も出ています。
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難関私立大学
私立大学では、関西の「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)に毎年多数の合格者を出しており、合計で70名近くにのぼる年もあります。また、首都圏の「GMARCH」(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)にも安定して合格者を出しています。早稲田大学、慶應義塾大学、東京理科大学といった最難関私立大学への合格実績もあります。
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その他の進路
卒業生のほとんどが大学進学を選びますが、一部の生徒は専門学校で専門知識を学んだり、就職したりする道を選びます。
こうした高い進学実績を支えているのが、学校独自の学習サポートです。通常の授業に加えて、希望者を対象とした土曜講義「樟樹セミナー」や、長期休暇中の補習、先生方による個別添削や面接指導など、生徒の「学びたい」という意欲に応えるためのプログラムが充実しています。
観音寺第一高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、観音寺第一高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。これらが、あなたが観一を選ぶ決め手になるかもしれません。
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全国レベルのSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業
文部科学省からSSHの指定を受け、先進的な理数教育を実践しています。特に理数科では、大学や研究機関と連携した本格的な「課題研究」に取り組みます。アメリカでの海外科学体験研修など、世界レベルの科学に触れる貴重な機会も用意されており、知的好奇心をとことん満たすことができます。
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1年間じっくり自分と向き合える「くくり募集」
入学時に学科を決めず、1年生全員が同じスタートラインに立つ「くくり募集」制度は、将来の道をまだ決めかねている生徒にとって大きな魅力です。1年間、様々な教科を学ぶ中で自分の適性を見極め、2年生から最適なコースを選択できます。
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心に刻まれる伝統の学校行事「観一祭」
学校最大のイベントである「観一祭」は、生徒たちの自主性と創造性が爆発する場です。特に、男子生徒が一体となって踊る「デカンショ」は、70年以上の歴史を持つ観一の魂とも言える伝統行事。ここで生まれる一体感や達成感は、一生の宝物になるでしょう。
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文武両道を体現するハイレベルな部活動
陸上競技部やアーチェリー部をはじめ、多くの部活動が全国大会で活躍しています。高いレベルで勉強と部活動を両立させたい生徒にとって、これ以上ない環境が整っています。
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「自分次第」でどこまでも成長できる環境
口コミで多くの先輩が語る「自分次第」という言葉は、観一の校風を最もよく表しています。意欲のある生徒のために、人気の自習室や希望制の土曜講義「樟樹セミナー」など、学校は豊富なリソースを用意しています。受け身ではなく、自ら学びを掴み取りにいく生徒を全力で応援してくれる学校です。
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偉大な先輩の名を冠した「大平賞」
観一の卒業生である大平正芳元内閣総理大臣にちなんだ「大平賞」という独自の表彰制度があります。これは、優れた課題研究を行った生徒に贈られるもので、学校の高い学術的探究心を象徴する名誉ある賞です。
観音寺第一高等学校の口コミ・評判のまとめ
最後に、在校生や卒業生のリアルな声をまとめてみました。良い点も気になる点も公平に見て、自分に合った学校かどうかを判断する材料にしてください。
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良い点
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「やる気さえあれば、先生方は夜遅くまで質問に付き合ってくれるなど、サポートが手厚い」という声が、特に進学意欲の高い生徒から多く聞かれます。
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「SSHの活動は普通の高校では絶対に体験できないことばかり。知的好奇心が刺激される」と、独自のプログラムを評価する声が多数あります。
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「観一祭や体育祭などの行事が本当に楽しく、クラスの団結力が強まる。最高の思い出が作れる」という意見は、多くの生徒に共通しています。
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「自習室などの学習環境が整っている。周りも勉強する雰囲気なので、自然と自分も頑張れる」という声も多いです。
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「いじめの話は聞いたことがなく、男女問わず仲が良い。過ごしやすい雰囲気」という人間関係に関するポジティブな口コミも見られます。
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気になる点
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「勉強に対する意識が、理数科・特色クラスと普通科のクラスでかなり違う。クラスによっては授業に集中しづらいと感じることもあった」という、生徒間の温度差を指摘する声が最も多く挙がっています。
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「自称進学校的な側面があり、課題やテストが多すぎる。自主的に勉強したい人には合わないかもしれない」という意見もあります。
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「校則が厳しい。特にスマホの校内使用禁止は今の時代に合っていないと感じる」という不満の声は少なくありません。
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「先生によっては、国公立大学への進学を強く勧めすぎる傾向がある」と感じる生徒もいるようです。
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「大事な連絡が直前になることがあり、戸惑うことがあった」という、学校運営に関する指摘も見られました。
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アクセス・通学
観音寺第一高等学校への主な通学方法と、どのエリアから生徒が通っているかについて説明します。
アクセス方法 | 最寄り駅・バス停 | 所要時間 |
電車 | JR予讃線「観音寺駅」 | 駅から徒歩 約12分~15分 |
バス | 三豊市コミュニティバス「観音寺第一高校口」 | バス停から徒歩 約6分 |
バス | 観音寺市のりあいバス「観音寺中学校前」 | バス停から徒歩 約10分 |
最も一般的な通学方法は、JR観音寺駅からの徒歩です。駅からも近く、利便性の高い立地と言えます。
香川県の公立高校には学区制度があり、観音寺第一高等学校は「第2学区」に属しています。そのため、観音寺市や三豊市を中心に、丸亀市、坂出市、善通寺市など、西讃の広い地域から生徒が通学しています。
観音寺第一高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、観音寺第一高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。
観音寺第一高等学校は、「誰かに与えられるのを待つのではなく、自分で未来を切り拓きたい」と考える、知的好奇心と独立心にあふれた生徒に特におすすめの学校です。受け身でいると物足りなさを感じるかもしれませんが、自ら手を挙げ、行動を起こす生徒には、先生方も学校も惜しみないサポートをしてくれます。SSHでの探究活動やハイレベルな部活動、伝統の学校行事など、君が主役になれる舞台がたくさん用意されています。この「自分次第」でどこまでも伸びていける環境こそ、観音寺第一高等学校の最大の魅力です。
受験勉強では、内申点と当日点の両方が重要になります。まずは、中学3年間を通じて、苦手科目を作らずにバランス良く成績を上げ、内申点「180点」以上を安定して取れるように心がけましょう。その上で、入試本番で「190点」以上を目指せるよう、5教科の基礎を徹底的に固め、応用問題にも対応できる実力を養ってください。もし機会があれば、ぜひ9月の「観一祭」に足を運んでみてください。先輩たちのエネルギーと学校の活気を肌で感じれば、「この学校で学びたい!」という気持ちが、きっと何よりのモチベーションになるはずです。君の挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。