広島大学附属高等学校は、単に学力が高い生徒が集まる進学校という言葉だけでは語り尽くせない、特別な魅力と挑戦に満ちた場所です。ここでは、生徒一人ひとりが「自由と自主自律」の精神のもと、自分だけの高校生活をデザインすることが求められます。決められたレールの上を走るのではなく、自ら考え、問いを立て、仲間と協力しながら道を切り拓いていく。そんな主体性が尊重される環境が、この学校の最大の特長と言えるでしょう。

これからご紹介するのは、広島大学附属高等学校が持つ独自の文化、全国トップクラスの学力を支える教育、そして生徒たちが主役となって創り上げる学校行事の熱気です。偏差値や進学実績といった数字の向こう側にある、生徒たちの活気あふれる日常や、そこで得られる一生ものの経験を、具体的にお伝えしていきます。この記事を読めば、なぜ多くの優秀な中学生がこの学校に憧れ、目指すのか、その理由がきっと見えてくるはずです。

この学校は、あなたにとってどんな未来への扉を開いてくれる場所なのでしょうか。自分自身の可能性を最大限に引き出し、知的好奇心を満たしながら、かけがえのない仲間と共に成長したいと願うなら、ぜひこのまま読み進めてみてください。あなたの高校選びにとって、重要なヒントがここに隠されているかもしれません。

広島大学附属高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。特に国立の学校である点は、他の公立・私立高校とは異なる特色を持つことを意味します。

項目 内容
正式名称 広島大学附属高等学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒734-0005 広島県広島市南区翠一丁目1番1号
代表電話番号 082-251-0192
公式サイトURL https://www.hiroshima-u.ac.jp/fu_midori

広島大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校

広島大学附属高等学校への入学は、広島県内でも最難関の一つとされています。その難易度を、具体的な数字と情報から詳しく見ていきましょう。

偏差値

  • 普通科:

この偏差値は、広島県内の高校でトップクラスに位置し、全国的に見ても非常に高いレベルです。合格するためには、中学校の学習内容を完璧に理解していることはもちろん、それを応用して複雑な問題を解き明かす思考力が求められます。

難易度と内申点の目安

広島大学附属高等学校の入試は、多くの公立高校とは異なり、内申点(調査書点)よりも当日の学力検査の結果が非常に重視される傾向にあります。これは、学校側が、これまでの成績以上に、試験本番で実力を発揮できる真の学力と知的体力を測ろうとしていることの表れです。

もちろん、調査書の内容が無視されるわけではありません。このレベルの高校を受験する生徒の多くは、主要5教科はもちろん、実技教科でも非常に高い評価を得ています。そのため、高い内申点は「持っていて当たり前」と考え、その上で学力検査でいかに高得点を取るかが合格の鍵となります。目安として、オール5に近い成績であっても、決して油断はできません。入試問題は、単なる知識の暗記では太刀打ちできない、深い思考力や記述力を問う良問が揃っています。

主な併願校

広島大学附属高等学校は国立のため、広島県の公立高校入試とは別の日程で試験が行われます。そのため、多くの受験生は私立高校や他の国立高校を併願します。主な併願先としては、同じく高い学力レベルが求められる学校が選ばれることが多いようです。

  • AICJ高等学校(私立)

  • 広島大学附属福山高等学校(国立)

また、公立高校では、広島市内のトップ校である基町高等学校などを第一志望としながら、力試しやより高いレベルへの挑戦として広島大学附属高等学校を受験する生徒もいます。

広島大学附属高等学校に設置されている学科・コース

広島大学附属高等学校に設置されているのは、以下のコースのみです。

  • 普通科

「普通科」と聞くと、標準的なカリキュラムをイメージするかもしれませんが、この学校の普通科は全く異なります。実質的には、最難関大学への進学を前提とした、非常に高度でアカデミックな内容を学ぶコースです。

特筆すべきは、文系・理系という早い段階でのコース分けを行わない点です。生徒は幅広い分野の学習に触れながら、自らの興味・関心を見極めていきます。そして、後述するSSH(スーパーサイエンスハイスクール)としての「課題研究」などを通じて、文理の枠を超えた自分だけの専門性を深めていくことができます。これは、生徒の自主性を重んじ、固定観念にとらわれない知性の育成を目指す、広島大学附属高等学校ならではの教育方針の表れと言えるでしょう。

広島大学附属高等学校の特色・校風

この学校の最も大きな魅力は、その独特の校風にあります。キーワードは「自由・自主自律」「知的探究心」「個性の尊重」です。

学校生活のリアル

中学生の皆さんが最も気になるであろう、学校生活の具体的な様子を口コミなどから見ていきましょう。

  • 校風・雰囲気:

    一言で言えば「大学のよう」な雰囲気です。「自由・自主自律」が徹底されており、生徒一人ひとりが大人として扱われます。個性的な生徒が多く、互いの違いを認め合い、尊重する文化が根付いています。内進生(附属中学校からの進学者)と外進生(高校からの入学者)の壁もなく、すぐに打ち解けられるという声が多数聞かれます。

  • 宿題の量:

    驚くほど少ない、あるいはほとんどない、というのが多くの在校生・卒業生の一致した意見です。これは学校がサボらせてくれるという意味では全くありません。「自分の課題は自分で見つけ、自分のペースで学習計画を立てて実行しなさい」という、学校からの信頼とメッセージの表れです。この自由を活かして自分の苦手分野を徹底的に克服する生徒もいれば、塾や予備校をうまく活用して受験勉強を進める生徒もいます。この環境を使いこなせるかどうかが、附属での成功を左右します。

  • 校則(スマホ・服装など):

    校則は非常に緩やかで、ないに等しいと言われることもあります。髪を染めたり、制服を自分らしく着こなしたりする生徒もおり、それらが問題視されることはほとんどありません。スマートフォンの使用についても、授業の妨げにならない限り、個人の判断に委ねられています。この自由さは、生徒への深い信頼に基づいています。

  • 生徒たちの雰囲気:

    「賢くて優しい」「尊敬できる人ばかり」といった声が多く聞かれます。勉強はもちろん、趣味や特技など、何か一つ秀でたものを持っている生徒が多く、互いに知的な刺激を受けながら高め合える環境です。活発な生徒もいれば、物静かに探究を深める生徒もおり、多様な個性が共存しています。

  • アルバイト:

    校則で明確に禁止されているわけではないようですが、学業や部活動、学校行事の準備などが非常に忙しいため、実際にアルバイトをしている生徒は少ないようです。時間管理を徹底できる自信がある場合を除き、学業に専念するのが一般的と考えられます。

  • 制服の評判:

    制服そのもののデザインについては、「正直、あまり格好良くない」という声が聞かれることもあります。しかし、着こなしが自由であるため、あまり気にしていない生徒が多いようです。

  • 土曜授業:

    基本的に毎週土曜授業があるわけではありません。模試や特別な講座、行事などで登校日になることはあります。

  • 施設・設備:

    「施設が少し古い」という口コミが見られますが、これは歴史ある学校ならではの側面でもあります。特に講堂は被爆建物として知られ、学校の歴史を物語る象徴的な存在です。一方で、近年は耐震補強工事や改修が積極的に進められており、テニスコートや生徒集会所(食堂)、体育館などがリニューアルされています。歴史的な重みと現代的な快適さが共存するキャンパスへと進化を続けています。

広島大学附属高等学校の部活動・イベント

勉強だけでなく、部活動や学校行事にも全力で取り組むのが附属生のスタイルです。ここでは、学校生活を彩る活動の一部をご紹介します。

部活動

運動部・文化部ともに「班」と呼ばれ、活発に活動しています。部活動加入率は高く、多くの生徒が文武両道を目指しています。練習時間は平日2時間、休日は3時間程度が基準とされ、定期試験1週間前は原則活動休止となるなど、学業との両立が図られています。

特に有名な部活動をいくつかピックアップします。

  • サッカー班:

    過去に2度の全国制覇を成し遂げたこともある、輝かしい歴史を持つ名門です。多くの日本代表選手も輩出しており、伝統と実力を兼ね備えています。

  • 軟式野球班:

    こちらも全国大会出場の経験を持つ強豪です。県大会では常に上位に名を連ね、中国地区大会でも好成績を収めています。文武両道を体現する部活動の一つです。

  • 軽音楽班:

    全国規模の大会で最優秀賞や作曲賞など数々の賞を受賞した実績があり、文化部の中でも特に注目されています。

この他にも、アーチェリー班や数学研究班、ユネスコ班など、ユニークで知的な活動を行う班も多く、生徒は自分の興味に合わせて所属先を選ぶことができます。

イベント

広島大学附属高等学校の学校行事は、生徒が企画・運営の全てを担う「生徒主体」が徹底されています。中でも、体育祭と文化祭は、学校の二大イベントとして知られています。

  • 体育祭:

    毎年6月頃に開催される体育祭は、多くの卒業生が「高校生活で一番の思い出」と語るほど熱気に満ちたイベントです。最大の見どころは、赤組(太陽)と白組(月)に分かれて行われる「マスゲーム」と呼ばれる集団演技です。華やかな衣装を身にまとった生徒たちが、音楽に合わせて一糸乱れぬ動きを披露する様子は圧巻の一言。この他にも、巨大な櫓(やぐら)や山車の制作、伝統的な応援団の演舞など、準備期間を含めて数ヶ月にわたって全校生徒が情熱を注ぎ込みます。

  • 文化祭:

    9月頃に開催される文化祭も、生徒たちの創造性が爆発する場です。各文化部や有志のサークルが、研究発表、演劇、ライブパフォーマンス、作品展示など、多彩な企画で来場者を楽しませます。こちらも生徒による運営局が中心となって企画され、自主自律の精神が存分に発揮されます。近年は一般公開もされており、学校の雰囲気を肌で感じられる絶好の機会となっています。

広島大学附属高等学校の進学実績

「自由な校風」と「全国トップクラスの進学実績」を両立させているのが、広島大学附属高等学校の最大の強みです。生徒たちは、学校から与えられる課題が少ない分、自らで高い目標を設定し、それに向かって努力を重ねます。その結果が、以下の驚異的な進学実績に繋がっています。

2025年度の最新の大学合格実績(浪人生含む)は以下の通りです。

分類 主な大学名と合格者数
最難関国公立大学 東京大学 4名、京都大学 12名、一橋大学 3名、大阪大学 12名、神戸大学 8名、九州大学 8名、広島大学 30名 など
難関私立大学 早慶上理 合計 52名 (早稲田大学 20名、慶應義塾大学 11名 など) 関関同立 合計 91名 (関西学院大学 25名、立命館大学 54名 など) GMARCH 合計 27名 (明治大学 18名 など)
医学部医学科 国公立大学 合計 33名 (広島大学 7名、神戸大学 4名、岡山大学 3名、京都大学 2名 など) 私立大学 合計 13名 総合計 46名

進学実績を支える取り組み

この高い進学実績は、生徒個人の努力だけに支えられているわけではありません。学校側も、生徒の自主性を尊重しつつ、きめ細やかなサポート体制を整えています。

例えば、長期休暇中には受験対策講座が開講され、受講希望者がたとえ1人でも開講されるなど、生徒の意欲に徹底的に応える姿勢が見られます。また、広島大学の附属校である強みを活かし、大学教員による専門的な講義を受けられる機会も設けられています。進路指導においても、生徒の意思を最大限に尊重し、総合型選抜などを活用して難関大学へ進む生徒を力強く後押ししています。

特に医学部への進学実績が突出している背景には、公式なカリキュラムだけでなく、同じ目標を持つ生徒同士が情報を交換し、切磋琢磨する強力なピア・ネットワーク(仲間との繋がり)が存在することも大きいでしょう。先輩から後輩へと受け継がれる知識や経験が、難関突破のための大きな力となっているのです。

広島大学附属高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、広島大学附属高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 全員参加の高度な「課題研究」

    文部科学省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けており、全生徒が1年間かけて個別の研究テーマに取り組む「課題研究」が必修です。大学レベルの研究プロセスを経験することで、探究心や論理的思考力、プレゼンテーション能力が飛躍的に向上します。

  • 「自由と自主自律」を尊重する大学のような校風

    厳しい校則や大量の宿題で生徒を管理するのではなく、生徒一人ひとりの自主性を信じ、尊重する文化が根付いています。この自由な環境が、自ら考えて行動する力を育みます。

  • 生徒が完全主役の学校行事

    体育祭や文化祭は、企画から運営、後片付けまで、その全てを生徒自身の手で行います。大規模なイベントを成功させる経験を通して、リーダーシップや協調性、問題解決能力といった社会で生きる力が養われます。

  • 全国トップクラスの進学実績と医学部への圧倒的な強さ

    東京大学・京都大学をはじめとする最難関大学へ、毎年多数の合格者を輩出しています。特に国公立大学医学部医学科への合格者数は全国でも屈指の実績を誇り、質の高い教育レベルを証明しています。

  • 広島大学との連携によるアカデミックな環境

    大学附属校のメリットを活かし、大学の講義を受講したり、大学の研究室と連携したりする機会があります。高校にいながらにして、学問の最先端に触れることができる刺激的な環境です。

  • 多様な才能が集まる刺激的な仲間との出会い

    全国から集まった、知的好奇心旺盛で個性豊かな仲間たちと過ごす3年間は、何物にも代えがたい財産となります。互いに学び、高め合える友人関係が、卒業後も続く強い絆となります。

広島大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生から寄せられる声には、この学校の魅力と、入学を考える上で知っておくべき注意点の両方が含まれています。公平な視点で、その両方をご紹介します。

良い点

  • 「とにかく自由なのが最高。自分のやりたい勉強や活動に打ち込める環境がある」

  • 「先生方は、こちらから積極的に質問や相談に行けば、本当に親身になって応えてくれる」

  • 「周りの友達がみんな賢くて個性的。話しているだけで刺激になるし、自然と自分も頑張ろうと思える」

  • 「体育祭のマスゲームは一生の思い出。クラスや学年を超えた団結力が生まれる」

  • 「宿題がないので、受験勉強では自分の苦手な科目に集中的に時間を使えたのが良かった」

  • 「内進生と外進生の間に壁は全くなく、すぐに仲良くなれた。多様なバックグラウンドを持つ人がいて面白い」

気になる点

  • 「自己管理ができない人には向かない。自由な分、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまうので、強い意志が必要」

  • 「先生から手取り足取り教えてもらうのを待っていると、どんどん置いていかれる。自分から学ぶ姿勢が不可欠」

  • 「歴史がある分、校舎の一部は古いと感じることがある。ただ、改修工事も進んでいる」

  • 「周りのレベルが非常に高いので、成績が伸び悩んだ時に精神的に辛く感じることがあるかもしれない」

  • 「スポーツで全国を目指したい人にとっては、練習環境や指導体制がスポーツ強豪校と比べると物足りなく感じる可能性がある」

アクセス・通学

広島大学附属高等学校は、広島市中心部からのアクセスが非常に良い場所にあります。

  • 最寄り駅・停留所:

    • 広島電鉄(路面電車)宇品線 「広大附属学校前」電停下車、徒歩約2分

    • 広島バス 「広大附属学校前」バス停下車、徒歩約2分

  • 主なアクセス方法:

    JR広島駅や、紙屋町・八丁堀といった市の中心部から、路面電車やバス一本でアクセスできます。横川駅方面からの直通電車もあり、交通の便は非常に良いと言えます。

  • 通学エリアの傾向:

    交通アクセスの良さから、広島市内の全域はもちろん、呉市、東広島市、廿日市市など、広範囲の市町から生徒が通学しています。

広島大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、広島大学附属高等学校を目指すあなたにメッセージを送ります。

この学校は、「学ぶことが大好きで、誰かに言われるのではなく、自分の意志で探究したい」と強く願う生徒にとって、最高の環境です。もしあなたが、受け身の勉強に物足りなさを感じ、「なぜ?」を突き詰めることに喜びを感じるタイプなら、広島大学附属高等学校はまさにあなたのための場所です。周りも同じように知的好奇心に溢れた仲間ばかりなので、毎日が刺激的な発見に満ちていることでしょう。

受験勉強においては、単に公式や年号を暗記するだけでなく、「なぜそうなるのか」という本質を理解することに力を入れてください。入試では、知識の量だけでなく、それをどう活用するかという「思考の柔軟性」が試されます。難しい問題に粘り強く取り組む力、自分の考えを論理的に説明する力を、今から意識して養っていくことが、合格への一番の近道です。広島大学附属高等学校で、あなたの可能性を大きく花開かせることを心から応援しています!