愛媛県立松山南高等学校砥部分校は、全国でも珍しいデザイン科だけの専門高校です。焼き物の里として知られる砥部町にあり、伝統工芸から最新のデジタルデザインまで、幅広く深く学べる環境が整っています。この記事では、そんな魅力あふれる松山南高等学校砥部分校について、中学生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく解説していきます。

「とべぶん」の愛称で親しまれるこの学校は、ただデザインの技術を学ぶだけではありません。地域と連携したプロジェクトや、台湾の姉妹校との交流などを通して、社会で活躍できる豊かな人間性を育むことにも力を入れています。将来クリエイティブな仕事に就きたい、ものづくりが大好きだという人にとって、松山南高等学校砥部分校は夢への第一歩を踏み出すのに最高の場所と言えるでしょう。

この記事を読めば、学校の雰囲気、学べる内容、卒業後の進路まで、具体的なイメージが湧いてくるはずです。偏差値や入試の情報はもちろん、在校生や卒業生のリアルな声も交えながら、とべぶんの魅力を余すところなくお伝えします。あなたの高校選びの参考に、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

松山南高等学校砥部分校の基本情報

松山南高等学校砥部分校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 愛媛県立松山南高等学校砥部分校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒791-2141 愛媛県伊予郡砥部町岩谷口7番地
代表電話番号 089-962-4040
公式サイトURL https://matsuyamaminami-h-b.esnet.ed.jp/

松山南高等学校砥部分校の偏差値・難易度・併願校

松山南高等学校砥部分校への進学を考える上で、偏差値や難易度は気になるところでしょう。ここでは、具体的な数値や併願校の例を挙げて解説します。

偏差値

  • デザイン科:43

松山南高等学校砥部分校の偏差値は43とされています。これは愛媛県内の公立高校の中では中堅レベルに位置します。ただし、デザイン科という専門学科のため、単純な学力だけでなく、デッサンなどの実技試験の結果や、デザインへの興味・関心が合否に大きく影響します。

難易度のイメージと内申点の目安

偏差値43は、中学校の定期テストで平均点前後を取れていれば十分に目指せるレベルです。内申点については、5段階評価で平均3程度がひとつの目安となるでしょう。しかし、最も重要なのは入学者選抜で行われる実技テストと面接です。日頃からデッサンの練習をしたり、自分の作品をポートフォリオとしてまとめておいたりすることが合格への鍵となります。

主な併願校

愛媛県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、松山南高等学校砥部分校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。デザインや美術系のコースを持つ以下の私立高校が併願先として考えられます。

  • 新田高等学校(総合進学コースなど)

  • 聖カタリナ学園高等学校(美術科)

  • 松山東雲高等学校

松山南高等学校砥部分校に設置されている学科・コース

松山南高等学校砥部分校は、全国でも唯一のデザイン科単科の高校です。1学年が40名(令和7年度からは80名に増員予定)という少人数教育で、専門的な知識と技術をじっくりと学ぶことができます。

  • デザイン科

    • どんなことを学ぶ場所か:デッサンや色彩構成などの基礎から、砥部焼といった伝統工芸、さらにはCGやプログラミングといった最先端のデジタル表現まで、デザインに関する幅広い分野を網羅的に学びます。

    • どんな生徒におすすめか:絵を描くことや、ものづくりが好きな生徒はもちろん、将来デザイナーやクリエイターとして活躍したいという強い意志を持つ生徒におすすめです。

2年生からは、より専門性を高めるためにコース選択があります。

  • デザインコース:3つの領域に分かれ、より専門的な分野を深く探求します。

  • ゲームデザインコース(令和7年度から新設予定):プログラミングや3DCGなど、ゲーム業界で必要とされる分野を総合的に学びます。

松山南高等学校砥部分校の特色・校風

松山南高等学校砥部分校は、専門性の高い学びとアットホームな雰囲気が魅力の学校です。

  • 校風キーワード:創造性、地域密着、アットホーム、自主自律

学校生活のリアル

  • 宿題の量:専門的な課題が多く、特に作品制作の締め切り前は忙しくなることが多いようです。しかし、自分の好きな分野に打ち込めるため、やりがいを感じる生徒が多いという声があります。

  • 校則:他の高校と比較すると、校則は標準的か、やや緩やかという意見が見られます。ただし、頭髪や服装については高校生としての品位を保つよう指導されます。スマートフォンの校内での使用は原則禁止で、授業中や休み時間に使用すると没収されることがあります。

  • 生徒たちの雰囲気:デザインやアートが好きという共通の目標を持った生徒が集まっているため、お互いの個性を尊重し合う、落ち着いた雰囲気があります。女子生徒の比率が例年高い傾向にあります。

  • アルバイト:アルバイトは原則として許可されていませんが、特別な事情がある場合は学校に相談することで許可される可能性があります。

  • 制服:制服は、男子が標準的な学生服、女子がブレザーとスカート(またはスラックス)です。デザイン科の学校らしく、着こなしに個性を出す生徒もいるようです。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的にありませんが、文化祭の準備や特別講習などが行われることがあります。

松山南高等学校砥部分校の部活動・イベント

松山南高等学校砥部分校では、専門高校ならではの特色ある部活動や、生徒が主体となって盛り上がるイベントが充実しています。

部活動

デザイン科単科の学校らしく、文化部の活動が非常に活発です。多くの生徒が部活動に加入し、専門知識をさらに深めたり、新たな表現に挑戦したりしています。

  • 美術部:各種コンクールで高い実績を誇ります。文化祭ではポストカードやオリジナルグッズの販売も行い、人気を集めています。

  • イラストレーション部:カーペインティングなど、ユニークな活動にも取り組んでいます。

  • メディアコミュニケーション部:広報部門では、学校の魅力を発信するだけでなく、砥部町の地域活性化にも貢献する活動を行っています。

  • ファッション部:「ファッション甲子園」に出場するなど、全国レベルで活躍しています。

運動部は限られていますが、バドミントン部や卓球部などがあり、勉強や制作活動と両立しながら楽しんでいます。

イベント

生徒たちの創造性が存分に発揮されるイベントは、学校生活の大きな楽しみの一つです。

  • 砥部分校祭(文化祭):毎年11月に行われる最大のイベントです。授業や部活動で制作したレベルの高い作品展示はもちろん、生徒によるオリジナルグッズの販売、卒業生を招いた「OBマルシェ」など、多彩な企画で盛り上がります。

  • ファッションショー:文化祭の目玉企画で、3年生が衣装のデザインから制作、演出まで全てを手がけます。毎年立ち見が出るほどの盛況ぶりで、そのクオリティの高さは圧巻です。

  • 体育祭:本校である松山南高校と合同で開催されることもあり、学校全体で一体感を感じられる行事です。

  • 修学旅行:例年、関東方面へ行き、美術館やデザイン関連の施設を見学するなど、専門性を高める研修の機会ともなっています。

松山南高等学校砥部分校の進学実績

松山南高等学校砥部分校の生徒たちは、3年間で培った専門性を活かし、多様な進路に進んでいます。美術・デザイン系の大学や専門学校への進学が中心ですが、就職を選ぶ生徒もいます。

主な進学先(2024年度実績)

  • 私立大学:6名

  • 短期大学:6名

  • 専門学校:17名

  • 就職:5名

具体的な進学先としては、京都精華大学、成安造形大学、大阪芸術大学といった美術系の有名私立大学や、地元の専門学校などが挙げられます。国公立大学では、愛媛大学や高知大学などへの進学実績があります。

進路サポート

少人数教育の強みを活かし、生徒一人ひとりの希望に合わせたきめ細やかな進路指導が行われています。ポートフォリオ(作品集)の作成指導や、専門家を招いての進路相談会など、夢を実現するためのサポート体制が整っています。

松山南高等学校砥部分校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、松山南高等学校砥部分校ならではの強みやユニークな取り組みを紹介します。

  1. 全国唯一のデザイン科単科高校

    全国で唯一、デザイン科のみが設置されている専門高校です。施設やカリキュラムがデザインに特化しており、専門性をとことん追求できる環境です。

  2. 伝統工芸「砥部焼」から最先端技術まで学べる

    国の伝統的工芸品である「砥部焼」の里という立地を活かし、陶芸の授業が充実しています。一方で、CGやプログラミングなどデジタルデザインの分野も深く学べます。

  3. 地域と連携した実践的な学び

    砥部町役場や地元企業と連携し、商品パッケージのデザインや広報活動など、社会と直接関わるプロジェクトに数多く取り組んでいます。

  4. 台湾の姉妹校との国際交流

    台湾の「新北市立鶯歌高級工商職業学校」と姉妹校提携を結んでおり、国際的な視野を広げる機会があります。

  5. クオリティが圧巻の「ファッションショー」

    文化祭で開催されるファッションショーは、衣装制作から演出まで生徒が手がける一大イベント。その完成度の高さは地域でも評判です。

  6. 第一線で活躍する卒業生とのつながり

    イラストレーターのカナヘイさんなど、多くのクリエイターを輩出しています。卒業生を招いた講演会やイベントも開催され、プロの世界に触れる貴重な機会となっています。

  7. 新コース・新寮の設置でさらに進化

    令和7年度から「ゲームクリエーションコース」を新設し、個室完備の寮も完成予定です。これにより、全国からさらに意欲の高い生徒が集まることが期待されます。

松山南高等学校砥部分校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、専門的な学びへの満足度の高さがうかがえる一方で、施設面やアクセスに関する意見も見られます。

良い点

  • 専門性を深く学べる:「デザインが好きなら最高の環境」「同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる」といった、学習内容の充実度を評価する声が多数あります。

  • 先生のサポートが手厚い:「先生方が親身になって相談に乗ってくれる」「専門的な知識が豊富な先生が多く、尊敬できる」など、少人数教育ならではのきめ細やかな指導体制が好評です。

  • 行事が楽しい:「文化祭、特にファッションショーは一生の思い出になる」「クラスや学年を超えて協力する雰囲気が良い」という声が多く、学校全体でイベントを創り上げる楽しさが伝わってきます。

  • 個性が尊重される:「自分の『好き』を否定されない」「周りを気にせず創作に打ち込める」など、自由で落ち着いた校風を魅力に感じる生徒が多いようです。

気になる点

  • 施設が古い:校舎の老朽化を指摘する声が一部で見られます。ただし、専門的な実習に必要な設備は整っています。

  • アクセスが不便:最寄り駅がなく、バスでの通学が基本となるため、「交通の便が悪い」と感じる生徒もいるようです。松山市駅からのバスは学校近くまで運行されています。

  • 課題が多い:専門的な課題が多く、「制作に追われて大変な時もある」という声もあります。しかし、これを成長の機会と捉える生徒がほとんどです。

アクセス・通学

松山南高等学校砥部分校へのアクセス方法と、通学エリアについて説明します。

最寄りからのアクセス

  • 鉄道の最寄り駅はありません。

  • 伊予鉄バス「砥部町大南」バス停:徒歩 約4分

  • 伊予鉄バス「新岩谷口」バス停:徒歩 約5分

松山市駅からのバス路線があり、多くの生徒がバスを利用して通学しています。

通学エリア

地元の砥部町や松山市内から通学する生徒が中心ですが、県内全域から生徒が集まっています。中には、片道3時間近くかけて通学する生徒や、下宿をして通う生徒もいるなど、デザインを学びたいという強い意欲を持った生徒が遠方からも入学しています。令和7年度からは全国募集も開始され、県外からの入学者も増える見込みです。

松山南高等学校砥部分校受験生へのワンポイントアドバイス

松山南高等学校砥部分校を目指す皆さんへ、進学アドバイザーとして最後に応援メッセージを送ります。

この学校は、「好き」をとことん追求したい君にぴったりの場所です。もし君が、絵を描いたり、何かを作ったりすることに夢中になれるなら、とべぶんでの3年間は、かけがえのない宝物になるでしょう。同じ夢を持つ仲間たちと刺激し合いながら、自分の可能性を無限に広げることができます。

受験に向けては、学科の勉強と並行して、とにかくたくさん手を動かすことを意識してください。デッサンの練習はもちろん大切ですが、それだけでなく、自分が何に興味があって、どんなものを創りたいのかを表現する練習をしてみましょう。一日体験入学や実技講習会には積極的に参加して、学校の雰囲気を肌で感じ、先生方に自分の作品を見てもらうのも良い経験になります。松山南高等学校砥部分校は、君の「好き」という情熱を待っています。自信を持って、夢への扉を叩いてください。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。