島根県立松江農林高等学校は、1900年(明治33年)に創立された、120年以上の歴史と伝統を誇る専門高校です。 宍道湖を望む自然豊かな環境の中、広大な敷地を活かした実践的な学びを通して、農業や福祉、地域社会の未来を担う人材を育成しています。単に知識や技術を学ぶだけでなく、「生命を慈しみ育てる」ことを通して、豊かな人間性を育む教育を大切にしているのが、松江農林高等学校の大きな魅力です。

「食や自然環境に興味がある」「人の役に立つ仕事がしたい」「専門的なスキルを身につけて、社会で活躍したい」そんな想いを持つ中学生にとって、松江農林高等学校は夢を実現するための最高の舞台となるでしょう。充実した施設での実習や、地域と連携した様々な活動は、普通高校では決して味わえない貴重な経験となります。

この記事では、そんな松江農林高等学校の具体的な学びの内容から、学校生活のリアルな様子、気になる偏差値や進路実績まで、受験生と保護者の皆さんが本当に知りたい情報を詳しくご紹介します。この記事を読めば、きっと「松農」で学ぶことの楽しさと、その先にある未来の可能性を感じていただけるはずです。

松江農林高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 島根県立松江農林高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒690-8507 島根県松江市乃木福富町51番地
代表電話番号 0852-21-6772
公式サイトURL https://www.matsuno.ed.jp/

松江農林高等学校の偏差値・難易度・併願校

松江農林高等学校には、専門分野に特化した3つの学科があり、それぞれで偏差値が異なります。自分の興味や将来の目標に合わせて、どの学科を目指すかじっくり考えてみましょう。

学科・コースごとの最新の偏差値は以下の通りです。

  • 総合学科: 45

  • 生物生産科: 43

  • 環境土木科: 43

同じくらいの偏差値の他の高校としては、松江商業高等学校(偏差値44)、出雲商業高等学校(偏差値44-45)、松江工業高等学校(偏差値42-44)などがあります。

合格に必要な内申点の目安としては、島根県の公立高校入試では中学3年間の9科目の成績が評価対象となります。 特に中学3年生の成績は重視される傾向があるため、日々の授業態度や定期テストにしっかりと取り組むことが大切です。具体的な内申点の目安は公表されていませんが、各教科で平均的な成績を収めていることが一つの基準となるでしょう。

島根県の公立高校入試では、原則として1校1学科しか出願できません。 そのため、松江農林高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、松江西高等学校、開星高等学校、松徳学院高等学校などが挙げられます。

松江農林高等学校に設置されている学科・コース

松江農林高等学校には、それぞれ特色ある3つの学科が設置されています。2年生からはさらに専門的なコース・系列に分かれ、自分の興味関心を深く探求することができます。

  • 生物生産科

    • どんなことを学ぶ場所か:作物の栽培や家畜の飼育、バイオテクノロジーまで、生命を生み出し育てるための知識と技術を幅広く学びます。

    • どんな生徒におすすめか:植物を育てたり、動物と触れ合ったりするのが好きな人、食料生産や生命科学に興味がある人におすすめです。

    • コース:作物コース、野菜コース、草花コース、植物バイオコース

  • 環境土木科

    • どんなことを学ぶ場所か:測量や設計、施工管理など、人々が安全で快適に暮らすための社会基盤を整備する技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか:ものづくりが好きな人、地図を見たり、まちづくりに興味がある人、自然環境の保全に関心がある人におすすめです。

    • コース:土木コース、造園コース

  • 総合学科

    • どんなことを学ぶ場所か:食品、福祉、地域振興という3つの系列から、自分の興味や進路希望に合わせて幅広く学ぶことができます。

    • どんな生徒におすすめか:まだ将来の夢がはっきり決まっていないけれど、専門的なことを学びたい人、幅広い分野に興味がある人におすすめです。

    • 系列:食品系列、福祉系列、地域系列

松江農林高等学校の特色・校風

松江農林高等学校は、「質実剛健」「自主創造」「奉仕協同」を校訓に掲げ、落ち着いた雰囲気の中で、生徒一人ひとりが主体的に学べる環境が整っています。

  • 校風・雰囲気: 生徒たちは真面目で落ち着いているという声が多いようです。広大な敷地でのびのびと学校生活を送ることができ、少人数でのんびりとした雰囲気があります。 先生と生徒の距離が近く、親身に相談に乗ってくれる先生方が多いという評判もあります。

  • 校則: 他の高校と比較して、校則は標準的か、やや厳しいと感じる生徒もいるようです。特にスマートフォンの校内での使用は禁止されています。 アルバイトは長期休暇中のみ可能となっています。 服装や頭髪の検査は定期的に行われるようです。

  • 宿題: 専門的な実習やレポートが多く、宿題の量は少なくないという声があります。特に、資格取得に向けた勉強など、自主的に学習に取り組む姿勢が求められます。

  • 制服: 制服はブレザータイプで、男子はネクタイ、女子はリボンを着用します。 濃い赤色のネクタイとリボンが特徴で、市内の高校の中でも人気があるようです。 夏服はポロシャツも選択できます。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

松江農林高等学校の部活動・イベント

部活動

松江農林高等学校では、多くの生徒が部活動に加入し、熱心に活動しています。 運動部、文化部ともに充実しており、専門高校ならではの部活動もあります。

  • 運動部: 野球部や女子バレーボール部などが特に活気があり、県大会でも上位の成績を目指して日々練習に励んでいます。 そのほか、サッカー部、陸上競技部、ソフトテニス部、柔道部など、多くの運動部が活動しています。

  • 文化部: 農業系の高校ならではの「農業クラブ」や「家庭クラブ」があり、全国大会での発表や地域でのボランティア活動など、日頃の学習の成果を活かした活動を積極的に行っています。 また、吹奏楽部、書道部、美術部、茶道部など、文化的な部活動も盛んです。

イベント

松江農林高等学校では、生徒たちの手で作り上げる学校行事が大きな盛り上がりを見せます。

  • 体育祭: 8月または9月に行われる体育祭は、学科やクラス対抗で様々な競技に熱戦を繰り広げます。

  • くろがね祭(収穫祭): 11月に行われる収穫祭は、松江農林高等学校最大のイベントです。 生徒たちが実習で生産した新鮮な野菜や果物、手作りのジャムやパンなどの加工品を販売する模擬店には、毎年多くの地域住民が訪れ、大変な賑わいを見せます。

  • 修学旅行: 2年生の冬にはスキー研修が行われるなど、仲間との絆を深める宿泊行事も用意されています。

  • 松江農林高校発表会: 2月には、1年間の学習の成果を発表する場として、島根県民会館で発表会が開催されます。

松江農林高等学校の進学実績

松江農林高等学校の卒業生は、専門知識や技術を活かして、多様な進路に進んでいます。例年、約7割が進学、約3割が就職という状況です。

  • 国公立大学: 島根大学や島根県立大学への進学者が毎年います。

  • 私立大学: 農業系の大学をはじめ、看護・医療系、保育系、食物・栄養系の大学や短期大学への進学者が多いのが特徴です。

  • 専門学校: 地元の専門学校を中心に、理学療法士や看護師、栄養士、パティシエなどを目指して進学する生徒も多数います。

  • 就職: 就職希望者の多くは、県内の企業に就職しています。 特に、土木・建設業、製造業、サービス業などが主な就職先となっています。 また、公務員試験に合格する生徒も毎年複数名います。

進路実現に向けて、島根大学や島根県立大学との高大連携学習を推進しており、大学の講義を受けたり、研究室を訪問したりする機会が設けられています。

松江農林高等学校の特長・アピールポイント

松江農林高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 広大な敷地と充実した実習施設: 松江城の敷地の約5個分にもなる広大なキャンパスには、水田、畑、果樹園、演習林、各種実験室など、専門的な学びを深めるための施設が整っています。

  • 実践的な「プロジェクト学習」: 生徒が自ら課題を見つけ、解決策を探る「課題研究」に力を入れています。 例えば、宍道湖の水を利用した稲作研究や、地元の食材を使った新商品の開発など、地域に根ざしたテーマに取り組んでいます。

  • 地域との深いつながり: 学校で生産した農産物や加工品の販売実習、地域のイベントへの参加、小中学校への出前授業など、地域社会と深く関わる機会が豊富にあります。

  • 豊富な資格取得のチャンス: ガス溶接、測量士補、危険物取扱者、介護職員初任者研修など、将来に役立つ専門的な資格の取得を学校が全面的にサポートしています。

  • 「しまね留学」で県外からの生徒も歓迎: 島根県外の中学生を対象とした「しまね留学」制度があり、全国から意欲ある生徒を受け入れています。遠方からの生徒のために寮も完備されています。

  • 高大連携による専門的な学び: 島根大学や島根県立大学と連携し、大学レベルの講義や実験を体験する機会があります。

  • 命を育む教育: 動物の飼育や植物の栽培といった日々の実習を通して、命の尊さや食の大切さを肌で感じることができます。

松江農林高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、松江農林高等学校での学校生活について様々な声が寄せられています。

  • 良い点:

    • 「専門的な知識や技術が身につき、将来の夢に直結する学びができた」という満足の声が多く聞かれます。

    • 「先生方が親身で、進路相談にも熱心に乗ってくれた」

    • 「実習が多く、座学だけでは得られない貴重な体験ができた」

    • 「収穫祭などの行事がとても楽しく、クラスや学校全体の一体感が強い」

    • 「少人数でのんびりした雰囲気で、人間関係のストレスが少ない」

  • 気になる点:

    • 「校舎や実習施設が少し古い部分がある」という意見があります。

    • 「敷地が広いため、授業間の教室移動が大変なことがある」

    • 「スマートフォンの使用禁止など、校則が少し厳しいと感じる」

    • 「最寄り駅から少し距離があり、バスを利用する必要がある」

    • 「夏場の教室の冷房が効きにくいことがある」

アクセス・通学

松江農林高等学校へのアクセスは以下の通りです。

  • 最寄り駅: JR山陰本線「乃木駅」

    • 乃木駅から徒歩で約25分

    • 乃木駅バス停から一畑バス「平成町車庫」行きに乗車、「乃木小学校前」バス停で下車後、徒歩約5分

  • 松江駅からのアクセス:

    • 松江駅バス停から一畑バスまたは市営バスに乗車し、「乃木小学校前」または「松江農林高校前」バス停で下車。

通学エリアとしては、松江市内から通う生徒が最も多いですが、出雲市や安来市など、近隣の市町村から通学している生徒もいます。また、「しまね留学」制度を利用して、県外から寮生活を送りながら通学している生徒もいます。

松江農林高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

松江農林高等学校は、「好き」を専門的な学びに変え、将来の夢へとつなげることができる、とても魅力的な学校です。自然や動物が好き、ものづくりが好き、人の役に立ちたい、そんな純粋な気持ちを大切にしてください。この学校は、普通科の高校とは違い、明確な目的意識を持って入学してくる生徒が多く、お互いに刺激し合いながら成長できる環境があります。

受験勉強においては、まず中学校の基礎・基本を徹底することが何よりも大切です。特に、理科や数学は、入学後の専門科目の学習にもつながる重要な教科ですので、苦手意識をなくすように努力しましょう。また、2025年度から島根県の公立高校入試では、面接や作文、口頭試問などがより重視される「総合選抜」が導入されます。 なぜ松江農林高等学校で学びたいのか、将来どんなことに挑戦したいのか、自分の言葉でしっかりと伝えられるように、今から自己分析を進めておくことを強くお勧めします。

松江農林高等学校での3年間は、あなたの可能性を大きく広げてくれるはずです。目標に向かって、頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。