東京農業大学第三高等学校、通称「農大三高」。この名前を聞いて、皆さんはどんな学校を思い浮かべるでしょうか。豊かな自然に囲まれた埼玉県東松山市に広大なキャンパスを構えるこの学校は、ただ学ぶだけの場所ではありません。緑あふれる落ち着いた環境は、生徒一人ひとりが自分自身と向き合い、じっくりと成長するための最高の舞台です。ここでは、日々の喧騒から少し離れて、勉強や部活動に思う存分打ち込むことができます。

この東京農業大学第三高等学校が大切にしているのは、系列である東京農業大学から受け継がれる「実学主義」という教育の精神です。実学とは、机の上だけで完結しない、実社会で役立つ生きた学問のこと。農大三高では、ユニークな学校行事や体験型の学習プログラムを通して、知識を知恵に変え、未来を切り拓く力を育んでいます。教科書から学ぶことはもちろん大切ですが、それ以上に仲間と共に汗を流し、時には悩みながら何かを成し遂げる経験が、皆さんを大きく成長させてくれるはずです。

この記事では、そんな農大三高の魅力を、進学アドバイザーの視点から余すところなくお伝えします。偏差値やコースといった基本的な情報から、学校生活のリアルが分かる在校生の口コミ、そして全国レベルで活躍する部活動や名物行事まで、皆さんが本当に知りたい情報をぎゅっと詰め込みました。この記事を読み終える頃には、農大三高があなたにとって「特別な一校」になるかもしれません。さあ、一緒にその扉を開けてみましょう。

東京農業大学第三高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。

項目 内容
正式名称 東京農業大学第三高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒355-0005 埼玉県東松山市大字松山1400-1
代表電話番号 0493-24-4611
公式サイトURL http://www.nodai-3-h.ed.jp/

東京農業大学第三高等学校の偏差値・難易度・併願校

農大三高の大きな特徴は、目標に応じて選べる3つのコースが設置されており、それぞれで求められる学力レベルが異なる点です。自分の目標と現在の学力を照らし合わせながら、どのコースを目指すか考えてみましょう。

学科・コースごとの偏差値の目安は以下の通りです。複数の情報源を参考にしているため、少し幅を持たせて見ておくと良いでしょう。

  • Ⅰコース (進学重視): 62 – 66

  • Ⅱコース (文武両道): 58

  • Ⅲコース (スポーツ科学): 54

偏差値の数字だけでは、具体的な難易度がイメージしにくいかもしれません。合格に必要な内申点の目安としては、偏差値と合わせた合計点で、Ⅰコースが423点、Ⅱコースが374点、Ⅲコースが275点あたりが一つの基準とされています。また、同じくらいの偏差値の高校としては、Ⅰコースの場合、淑徳与野高校のR類や大宮開成高校の特進選抜Ⅱ類などが挙げられます。これらの学校と比べることで、農大三高の学力的な立ち位置がよりはっきりと見えてくるはずです。

東京農業大学第三高等学校は私立高校なので、多くの受験生が公立高校と併願します。主な併願校としては、以下のような学校が挙げられます。

  • 私立高校: 本庄東高校、栄北高校、星野高校など

  • 公立高校: 熊谷高校、松山高校、坂戸高校、熊谷西高校など

偏差値が54から66までと幅広いコース設定は、多様な学力層の生徒を受け入れていることを示しています。これは、トップレベルの大学を目指す生徒と、スポーツに打ち込む生徒が同じキャンパスで学ぶ、活気ある環境を生み出しています。一方で、コースによって生徒の学習意欲や目標が異なるため、自分の選んだコースが高校生活の雰囲気を大きく左右するという特徴もあります。

東京農業大学第三高等学校に設置されている学科・コース

農大三高には普通科の中に、目標に合わせて選べる3つの個性的なコースがあります。それぞれのコースがどんな場所なのか、詳しく見ていきましょう。

  • Ⅰコース (進学重視)

    国公立大学や難関私立大学への現役合格を目指すコースです。高い目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら、ハイレベルな授業で実力を伸ばしたい人におすすめです。

  • Ⅱコース (文武両道)

    勉強と部活動を高いレベルで両立させることを目指すコースです。系列の東京農業大学への進学も視野に入れつつ、充実した高校生活を送りたい人にぴったりです。

  • Ⅲコース (スポーツ科学)

    特定のスポーツで全国レベルの活躍を目指す生徒のためのコースです。専門的なトレーニングに打ち込みながら、スポーツに関連する大学進学やキャリアを目指す人におすすめです。

東京農業大学第三高等学校の特色・校風

農大三高の校風をキーワードで表すなら、「文武両道」「実学重視」「自然豊か」「主体性が育つ」といった言葉がぴったりです。ここでは、学校生活のリアルな様子を、口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。

  • 宿題の量と勉強のスタイル

    宿題の量は標準的ですが、週に何回か小テストが実施されるため、日々のこつこつとした学習が大切になります。やる人とやらない人の差がつきやすい環境とも言えるでしょう。自習室や図書室、さらには廊下にまで自習机が設置されており、やる気のある生徒が集中して勉強できる環境は非常に整っています。

  • 校則(スマホ、服装など)

    校則は、スマートフォンの扱いに特徴があります。校内での使用は禁止されており、毎朝学校に預ける決まりになっています。これは、生徒が授業や友人との対面に集中するための学校の方針の表れです。服装については、年に3回ほど頭髪・服装検査がありますが、注意されても次までに直せば良いという比較的緩やかな運用のようです。制服は青いワイシャツが可愛いと評判です。

  • 生徒たちの雰囲気

    「主体性がある人に向いている学校」という声が多く聞かれます。学校側が手厚く何でもしてくれるというよりは、用意された環境や機会を自分で活かせる生徒が伸びる校風です。友人は優しく、最高の仲間ができるというポジティブな意見がある一方で、コースによる学力やモチベーションの差が大きいという指摘もあります。

  • アルバイトと土曜授業

    アルバイトは原則として禁止されているようです。また、土曜日も授業があり、通常4限まで授業が行われます。週末の過ごし方を考える上で、この点は知っておく必要があります。

学校の少し不便な立地と、寄り道禁止やスマホ禁止といったルールは、生徒のエネルギーを自然とキャンパス内に集中させます。その結果、部活動や行事への熱量が高まり、クラスや部活内での強い絆が育まれるという側面があります。この環境は、自ら目標を見つけて行動できる生徒にとっては、最高の成長の場となるでしょう。

東京農業大学第三高等学校の部活動・イベント

部活動

農大三高の「文武両道」を象徴するのが、活発な部活動です。多くの部が県大会や全国大会で活躍しており、学校全体が活気に満ちています。

  • 全国レベルで活躍する強豪部

    • 弓道部: 「日本一」を目標に掲げる全国屈指の強豪です。インターハイでは男子団体3位、女子団体ベスト16という輝かしい実績を誇ります。勝利だけでなく、弓道を通じた人間的成長も重視しています。

    • 陸上競技部: 短距離から長距離まで、全国制覇を目指すハイレベルな部活動です。箱根駅伝で活躍した卒業生も輩出しています。

    • 応援団(リーダー部・チアリーダー部): 野球部や駅伝などの応援活動で学校を盛り上げるだけでなく、地域のお祭りにも参加するなど、学校の顔として活躍しています。チアリーダー部は全国大会にも出場する実力派です。

  • 農大三高ならではのユニークな部活動

    • ワンダーフォーゲル部: 学校周辺の豊かな自然をフィールドに、本格的な登山活動を行っています。オフシーズンにはボルダリングにも挑戦するなど、活動は多彩です。

    • オリエンテーリング部: 地図とコンパスを頼りに山野を駆け巡る、知力と体力が試される珍しいスポーツです。自然の中で自分を試したい人にはたまらない魅力があります。

  • 生徒の「やりたい!」から生まれた部活動

    • ダンス部: 2024年に誕生した新しい部です。特筆すべきは、ダンス部を作りたいという生徒たちの熱意から始まったこと。生徒が企画書を作成して校長先生にプレゼンし、創部が認められました。このエピソードは、生徒の主体性を尊重する農大三高の校風を象徴しています。

イベント

農大三高の学校行事は、生徒が主体となって作り上げる、エネルギーと笑顔にあふれたものばかりです。

  • 体育祭と名物「大根リレー」

    体育祭で最も盛り上がるのが、農大三高名物「大根リレー」です。バトンの代わりに本物の大根を使い、リレーが進むにつれて渡される大根の本数が増えていくというユニークな競技。最終走者は何本もの大根を抱えて走ります。ユーモアと学校のルーツが詰まったこの競技は、生徒にとって忘れられない思い出になります。

  • 文化祭「浪漫祭(ろまんさい)」

    毎年9月に行われる文化祭は「浪漫祭」と呼ばれ、大変な盛り上がりを見せます。クラスごとの展示や3年生による模擬店、文化部の発表、有志によるステージパフォーマンスなど、キャンパス中がお祭りムード一色に。近隣の高校との合同企画もあり、地域全体で楽しむイベントとなっています。

  • 修学旅行

    高校2年生の修学旅行はオーストラリアへ行きます。単なる観光旅行ではなく、現地の農家にホームステイする「ファームステイ」がプログラムに組み込まれているのが大きな特徴です。動物の世話や農作業を手伝いながら、ホストファミリーと英語で交流する体験は、まさに農大三高が掲げる「実学」そのものです。シドニー市内の班別行動もあり、国際感覚を養う貴重な機会となっています。

東京農業大学第三高等学校の進学実績

農大三高の進路指導は、大きく分けて二つの柱があります。一つは、系列である東京農業大学への強力な進学ルート。もう一つは、Ⅰコースを中心に国公立大学や難関私立大学を目指すための徹底した受験サポートです。

  • 東京農業大学への進学

    系列大学への進学は、この学校の大きな強みです。2025年度入試では98名が東京農業大学へ合格しています。卒業生のおよそ4人に1人が進学する計算になり、特に農学や生命科学分野に興味がある生徒にとっては非常に魅力的な進路です。内部推薦の枠も多く、Ⅱコースの生徒を中心に多くの生徒がこの制度を利用しています。

  • 国公立大学・難関私立大学への進学実績

    一方で、他大学への進学実績も非常に堅調です。特にⅠコースの生徒たちが高い実績を上げています。

    • 国公立大学: 2025年度は30名が合格。主な合格先として、埼玉大学、群馬大学、お茶の水女子大学、東京外国語大学などが挙げられます。

    • 難関私立大学 (GMARCH): 2025年度は合計で42名が合格。特に法政大学(14名)、明治大学(8名)といった大学への合格者が多くなっています。

    • その他私立大学: 日本大学、東洋大学といった「日東駒専」レベルの大学にも多数の合格者を出しています。

このように、東京農業大学への安定した進学ルートを確保しつつ、外部の難関大学受験にもしっかりと対応できる体制が整っているのが、農大三高の進路指導の大きな特徴です。系列大学への進学者が多いことは、学校全体にどこかおおらかな雰囲気をもたらす一方で、難関大学を目指す生徒には、周囲に流されず自分の目標に向かって努力し続ける強い意志が求められるとも言えるでしょう。

東京農業大学第三高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、農大三高ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 強力な大学連携

    東京農業大学への太いパイプがあり、農学・生命科学分野への進学に圧倒的な強みを持ちます。明確な目標がある生徒にとって、これ以上ない環境です。

  • 多様な目標に応える3コース制

    難関大学受験を目指す「Ⅰコース」、文武両道を実践する「Ⅱコース」、トップアスリートを育成する「Ⅲコース」と、一人ひとりの夢に合わせた学びの場が用意されています。

  • 「実学」を体験する独自のプログラム

    オーストラリアでのファームステイ修学旅行や、名物「大根リレー」など、座学だけでは得られない貴重な体験を通して「生きる力」を育みます。

  • 全国レベルで活躍する活発な部活動

    弓道部や陸上競技部をはじめ、多くの部活動が全国を舞台に活躍しています。高いレベルでスポーツや文化活動に打ち込みたい生徒にとって最高の環境です。

  • 生徒の主体性を尊重する校風

    生徒自身の「やりたい」という声を大切にする文化があります。ダンス部の創設エピソードのように、熱意があれば新しい挑戦ができる学校です。

  • 豊かな自然に囲まれた学習環境

    広大で緑豊かなキャンパスは、落ち着いて学習に集中できるだけでなく、ワンダーフォーゲル部などの活動の舞台にもなっています。

  • 学校全体で盛り上がる名物イベント

    体育祭の「大根リレー」や文化祭「浪漫祭」など、生徒が主役となって作り上げるユニークで楽しい行事が、一生の思い出と仲間との絆を育みます。

東京農業大学第三高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生からのリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。

  • 良い点

    • 「自主性を伸ばせる環境」という声が非常に多いです。自習室などの設備が充実しており、やる気さえあればどこまでも頑張れる環境が整っていると評価されています。

    • 「最高の友達ができる」という意見も目立ちます。学校行事や部活動が盛んなため、自然と仲間との絆が深まるようです。

    • 「行事が本当に楽しい」という声も多数あります。特に体育祭の「大根リレー」など、他校にはないユニークなイベントが生徒の満足度を高めています。

    • 「自然が豊かで落ち着いている」という、恵まれたキャンパス環境を魅力に感じる生徒も多いようです。

  • 気になる点

    • 「先生の質にばらつきがある」という意見は、しばしば見られます。「先生ガチャ」という言葉が使われることもあり、熱心で分かりやすい先生がいる一方で、そうでない先生もいると感じる生徒がいるようです。

    • 「通学が大変」という点は、最も多く指摘される課題です。最寄り駅からスクールバスを利用する必要があり、バスの本数が少なかったり、混雑したりすることが不満点として挙げられています。

    • 「農大以外の大学への進学指導」について、手厚いサポートがあると感じる生徒がいる一方で、系列大学への進学がメインという雰囲気があり、他大学を目指すには強い意志が必要だと感じる生徒もいます。

    • 「生徒間のモチベーションの差」を挙げる声もあります。コースが分かれているため、学習に対する意識がクラスによって大きく異なり、戸惑うことがあるようです。

アクセス・通学

農大三高への通学は、多くの生徒にとってスクールバスが中心となります。学校の立地上、公共交通機関だけで通うのは少し難しいため、どの駅からバスが出ているかを確認しておくことが非常に重要です。

  • 主なスクールバス発着駅

    • 東武東上線: 東松山駅 (バスで約10分)

    • JR高崎線: 熊谷駅、吹上駅、鴻巣駅、上尾駅

    • 西武新宿線: 本川越駅

    • 秩父鉄道: 行田市駅

  • 通学エリア

    スクールバスの路線網が充実しているため、非常に広い範囲から生徒が通学しています。東松山市や熊谷市といった近隣エリアはもちろん、さいたま市、川越市、上尾市、鴻巣市など、埼玉県内の様々な地域から生徒が集まっています。一部、東京都から通う生徒もいます。

通学時間が長くなる可能性は、学校選びにおいて考慮すべき大切なポイントです。口コミでもバスに関する不満の声が見られるように、毎日のことなので、実際にオープンキャンパスなどに参加する際に、自宅からのルートを一度体験してみることを強くお勧めします。

東京農業大学第三高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。東京農業大学第三高等学校は、自ら考えて行動できる「主体性」を大切にし、勉強だけでなく部活動や行事にも全力で打ち込みたいと考えている君に、特におすすめしたい学校です。緑豊かなキャンパスで、他ではできないユニークな経験をしながら、最高の仲間たちと充実した3年間を過ごしたいと願うなら、農大三高は最高の選択肢になるでしょう。

受験勉強では、まず英・数・国の基礎を固めることが何よりも大切です。その上で、東京農業大学第三高等学校の3つのコースの中から、自分が高校で何をしたいのか、どんな自分になりたいのかを真剣に考え、目標のコースを定めてください。その目標が、きっと辛い受験勉強を乗り越えるための大きな力になってくれるはずです。学校説明会に参加して、先生や先輩たちの雰囲気を肌で感じてみることも忘れないでください。皆さんの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。