法政大学国際高等学校は、単なる知識の詰め込みではなく、これからの社会を生き抜くための「実践知」を育む、新しいスタイルの高校です。法政大学の付属校として受け継がれる「自由と進歩」の精神は、生徒一人ひとりの学校生活の隅々にまで息づいています。ここでは、生徒が主役となり、自らの興味や関心をとことん追求できる環境が整えられています。
この学校の最も大きな魅力は、「圧倒的な自由」と「高いレベルの学問」が両立している点にあります。法政大学国際高等学校では、生徒は一人の大人として信頼され、学習計画から学校生活の過ごし方まで、その多くを自らの裁量で決めることが求められます。この責任ある自由は、他では得難い自主性や自己管理能力を育む土壌となっているのです。
この記事では、そんな法政大学国際高等学校のユニークなコース内容、生徒が主体となって創り上げる伝説的なイベント、そして法政大学への進学をはじめとする多様な進路について、在校生のリアルな声も交えながら詳しく解説していきます。この学校が、あなたにとって最高の学び舎となるか、一緒に見ていきましょう。
法政大学国際高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 法政大学国際高等学校 |
公立/私立の別 | 私立 |
共学/男子校/女子校の別 | 共学 |
所在地 | 〒230-0078 神奈川県横浜市鶴見区岸谷1-13-1 |
代表電話番号 | 045-571-4482 |
公式サイト | https://kokusai-high.ws.hosei.ac.jp/ |
法政大学国際高等学校の偏差値・難易度・併願校
法政大学国際高等学校は、そのユニークな教育内容から非常に人気が高く、入学難易度も最難関レベルに位置します。
偏差値・難易度
最新の偏差値はコースによらずおおむねから前後とされており、神奈川県内および首都圏でもトップクラスの難関校として知られています。この数値は、非常に高い学力が求められることを示しています。
合格の目安となる内申点ですが、特に書類選考での合格を目指す場合、9教科の合計が点満点中程度が一つの基準とされています。これは、ほとんどの教科で最高の「5」を取得し、一部「4」があるというレベル感です。また、英検準2級以上、数検準2級以上、漢検2級以上などの資格は、評価で考慮されることがあるようです。
この高い入学基準は、単に学力が高い生徒を選抜するためだけではありません。法政大学国際高等学校の特色である「自由な校風」は、生徒一人ひとりが高い自己管理能力と学習意欲を持っているという信頼の上に成り立っています。厳しい入試を乗り越えてきた生徒だからこそ、学校は大きな裁量を安心して任せることができるのです。つまり、高い学力基準と自由な校風は、互いに支え合う車の両輪のような関係にあると言えるでしょう。
同じくらいの偏差値の高校
難易度をより具体的にイメージするために、同じくらいの偏差値の高校をいくつかご紹介します。
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私立高校:法政大学第二高等学校、中央大学附属横浜高等学校、桐蔭学園高等学校、山手学院高等学校、桐光学園高等学校など。
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公立高校:横浜緑ケ丘高等学校、川和高等学校、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校、多摩高等学校、相模原高等学校など。
主な併願校
法政大学国際高等学校を受験する生徒が併願先として選ぶことが多い学校は以下の通りです。これらの学校も難関校が多いため、しっかりとした受験対策が必要です。
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私立高校:慶應義塾湘南藤沢高等部、中央大学杉並高等学校、明治大学付属八王子高等学校、桐蔭学園高等学校、山手学院高等学校など。
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公立高校:横浜翠嵐高等学校、横浜緑ケ丘高等学校、川和高等学校、鎌倉高等学校など。
法政大学国際高等学校に設置されている学科・コース
法政大学国際高等学校には、生徒の興味や将来の目標に合わせて選べる、特色豊かな2つのコースが設置されています。
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グローバル探究コース
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どんなことを学ぶ場所か:1年次に基礎科目を学んだ後、2・3年次では多彩な選択科目の中から自分の時間割を自由に組み立てる、大学のような単位制コースです。
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どんな生徒におすすめか:特定の分野を深く掘り下げたい、あるいは文理に縛られず幅広く学びたいという、知的好奇心が旺盛で自律的に学習計画を立てられる生徒に最適です。
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国際バカロレア(IB)コース
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どんなことを学ぶ場所か:世界的な大学入学資格である国際バカロレアのディプロマ・プログラムを、日本語と英語のバイリンガルで学ぶコースです。探究型の学習や論文作成、プレゼンテーションが中心となります。
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どんな生徒におすすめか:国内外の難関大学への進学を視野に入れ、世界標準のハイレベルな教育に挑戦したい、知的なタフさを持つ生徒におすすめです。
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法政大学国際高等学校の特色・校風
法政大学国際高等学校の最大の特色は、その自由な校風にあります。ここでは、学校生活のリアルな姿を詳しく見ていきましょう。
キーワード:自由と進歩、自主規律、グローバル、多様性、大学のような雰囲気
学校生活のリアル
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宿題の量:授業内容が高度なため、宿題は「多い方」という声が多いようです。しかし、多くの生徒は授業のない「空きコマ」や通学時間を有効活用して、うまくこなしているようです。
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校則:驚くことに、法政大学国際高等学校には細かな校則がほとんどありません。学校は「自主規律の精神」を重んじており、生徒自身が考えて行動することを尊重しています。
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服装:制服はなく、生徒は毎日私服で通学します。髪型、髪染め、メイク、ピアスなども全て自由で、生徒はそれぞれの個性を表現しています。
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スマホ・ICT機器:授業での調べ学習やプレゼンテーション作成のために、iPadなどのICT機器が積極的に活用されています。スマホの使用も自由ですが、この自由をどう活かすかは生徒の自己管理能力に委ねられています。
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生徒たちの雰囲気:明るく活発で、何事にも全力で取り組む生徒が多いようです。「勉強する時はする、遊ぶ時は遊ぶ」というメリハリがしっかりしており、お互いの個性を尊重し合う文化が根付いています。
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アルバイト:許可されており、勉強や部活動と両立しながらアルバイトをしている生徒も少なくありません。
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制服の評判:日常的に着用する制服はありませんが、式典などで着用する旧女子高時代のデザインを踏襲した式服があります。私服通学が基本のため、制服に関する話題は少ないようです。
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土曜授業:週5日制のため、土曜授業は原則としてありません。
この学校の環境は、単に「自由」なのではなく、生徒を「社会の一員」として扱うための意図的なデザインと捉えることができます。チャイムがないこと、自分で時間割を組むこと、校則ではなく自己の判断で行動すること、これら全てが生徒に社会で求められる自己管理能力や責任感を育むための仕掛けです。この「小さな社会」の中で、生徒は失敗や成功を繰り返しながら、自立した「地球市民」へと成長していくのです。この環境に主体的に関われる生徒にとっては最高の場所ですが、受け身の姿勢でいると「放置されている」と感じてしまう可能性もあるため、自分に合った環境かどうかを見極めることが重要です。
法政大学国際高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、部活動や学校行事も法政大学国際高等学校の大きな魅力です。生徒主体の活動が、学校生活をより一層豊かにしています。
部活動
運動部、文化部ともにバランス良く設置されており、多くの生徒が活発に活動しています。兼部も可能で、興味のある活動に複数参加することができます。
特に以下の部活動は、全国レベルでの活躍が目立ちます。
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軽音楽部:数々の大会で輝かしい実績を誇る、学校を代表する部活動の一つです。全国高等学校軽音楽コンテストやMUSIC DAYS FINALなどでグランプリや準グランプリを受賞するなど、その実力は全国トップクラスです。
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応援部(チアリーディング):チーム名「METEORS」として知られ、全国大会にも出場しています。高いパフォーマンス技術と表現力で、ベストインプレッション賞を受賞するなど、観る人を魅了しています。
イベント
法政大学国際高等学校のイベントは、生徒たちのエネルギーと創造性が爆発する場です。
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体育祭:SNSで「#宇宙一の体育祭」と称されるほど有名な、学校最大のイベントです。6色のチームに分かれ、生徒たちが自分たちでテーマを決め、何週間もかけて豪華な衣装をデザイン・制作します。髪をチームカラーに染めるのも恒例で、その光景はまさにカーニバルのよう。企画から運営まで全て生徒主体で行われ、学校全体の団結力と自主性を象徴する一日となります。
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文化祭(オレンジ祭):体育祭と並ぶ大きなイベントで、こちらも生徒が中心となって企画・運営されます。各クラスや部活動が趣向を凝らした展示や発表を行い、大変な盛り上がりを見せます。
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修学旅行・海外研修:一般的な全員参加の修学旅行はありませんが、代わりに多彩な研修プログラムが用意されています。探究学習の一環としてインドネシアやカンボジアを訪れるPBL研修や、スウェーデン、台湾への文化研修など、興味に応じて参加できるグローバルな学びの機会が豊富にあります。
法政大学国際高等学校の進学実績
法政大学の付属校という強みを活かしつつ、多様な進路選択が可能なのが法政大学国際高等学校の大きな特長です。
法政大学への内部推薦
卒業生の約75%〜80%が、内部推薦制度を利用して法政大学へ進学します。ただし、進学は自動的に保証されるわけではなく、以下の3つの基準を満たす必要があります。
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高校3年間の学業成績が一定の基準以上であること。
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英検2級以上など、学校が指定する外部英語資格試験の基準をクリアすること。
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法政大学の全付属校生が対象の「基礎的思考力確認テスト」で一定の成績を収めること。
日々の学習への真摯な取り組みが、希望の学部への道を開きます。
他大学への進学実績
法政大学国際高等学校の最大の強みの一つが、法政大学への推薦権を保持したまま、他の国公立大学や私立大学を併願受験できる制度です。この「セーフティネット」があるおかげで、生徒は安心して自分の限界に挑戦し、より高い目標を目指すことができます。
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国公立大学:北海道大学、お茶の水女子大学、横浜国立大学、横浜市立大学など、毎年難関国公立大学への合格者を輩出しています。
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難関私立大学:早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学といった最難関私立大学(早慶上理)に、近年では合計で49名もの合格者を出すなど、非常に高い実績を誇ります。特に慶應義塾大学(15名)、上智大学(26名)などの合格者数は際立っています。
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海外大学・その他:IBコースの生徒を中心に、海外の大学へ進学する生徒もいます。韓国の高麗大学校、延世大学校などの名門大学への進学実績もあります。
法政大学国際高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、法政大学国際高等学校ならではの強みをまとめました。
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大学のような自由なカリキュラム
グローバル探究コースでは、2年次から生徒自身が膨大な選択科目の中から自分の興味や進路に合わせて時間割をデザインします。これはまさに大学の履修登録と同じで、高校生のうちから主体的に学ぶ姿勢が身につきます。
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世界レベルの国際バカロレア(IB)プログラム
世界中の大学への扉を開くIBディプロマを、日本語と英語のバイリンガルで取得できる国内では数少ない認定校です。探究型の授業を通じて、国際社会で通用する思考力と表現力を養います。
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独自の探究学習プログラム
1年次の「クリティカル・シンキング」や2・3年次の「地球市民」といった独自の探究科目を通じて、社会問題に多角的にアプローチする力を養います。学びの集大成として全員が卒業研究に取り組むことで、本物の探究力が身につきます。
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最強の「セーフティネット」を持つ大学受験
法政大学への推薦入学資格を確保したまま、他の難関大学に挑戦できる独自の制度があります。この安心感が、生徒たちの挑戦意欲を後押しし、高い進学実績につながっています。
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徹底された自由と自主規律の文化
制服なし、校則なし、チャイムなし。学校は生徒を信頼し、その自主性に委ねます。この環境が、他に類を見ないほどの自己管理能力と責任感を育み、生徒を精神的に大きく成長させます。
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生徒が創り上げる伝説の学校行事
「#宇宙一の体育祭」に象徴されるように、学校行事は生徒の創造性とリーダーシップが発揮される最高の舞台です。企画から運営まで生徒が主体となる経験は、かけがえのない思い出と自信になります。
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日常に溶け込むグローバルな環境
帰国生が多く在籍し、多彩な海外研修プログラムが用意されているなど、国際交流が特別なイベントではなく日常の一部となっています。多様な価値観に触れる中で、自然とグローバルな視野が広がります。
法政大学国際高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からの声をまとめました。学校選びの参考にしてください。
良い点
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「とにかく学校生活が楽しい。一生の友達ができた」という声が非常に多いです。自由な雰囲気の中、気の合う仲間と出会いやすいようです。
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「自由だからこそ、自分のやりたいことに集中できる。アルバイトや趣味との両立もしやすい」と、自主性を尊重する校風が高く評価されています。
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「行事は全力で楽しみ、テスト前はみんなで必死に勉強する。このメリハリが最高」という意見も多く、充実した高校生活を送っている様子がうかがえます。
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「先生との距離が近く、相談しやすい。ディスカッション中心の授業は知的好奇心を刺激される」など、教育内容への満足度も高いです。
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「法政大学への推薦権を確保しながら他大学を受験できるのは、精神的にとても大きい」と、独自の進学システムを魅力に感じる声も多数あります。
気になる点
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「自由すぎて、自主性がないと『放置』されているように感じるかもしれない。授業中に集中していない生徒もいる」という指摘もあります。自己管理が苦手な生徒には厳しい環境かもしれません。
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「個性が強い生徒が多い分、人間関係が合う・合わないははっきり分かれるかもしれない」という声も。自分から積極的に関わっていく姿勢が求められるようです。
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「校舎や設備が少し古いと感じる部分がある」という意見が一部で見られます。
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「カリキュラムが外部大学受験に特化しているわけではないので、一般受験で難関大学を目指すには、塾に通うなど個人の努力がかなり必要になる」という現実的な意見もあります。
アクセス・通学
法政大学国際高等学校へのアクセス方法と、通学エリアについてです。
最寄り駅からのアクセス
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京急線「生麦」駅:下車後、徒歩約5分。最も利用者が多いルートです。
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JR京浜東北線「鶴見」駅:駅前から横浜市営バスに乗車し、「安養寺前」バス停で下車。バス停から徒歩約3分です。
通学エリア
その魅力から、非常に広い範囲から生徒が通学しています。横浜市内や神奈川県内からはもちろんのこと、東京都内、さらには千葉県や埼玉県から毎日時間をかけて通う生徒も少なくありません。多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まることが、学校のグローバルな雰囲気をさらに豊かにしています。
法政大学国際高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、法政大学国際高等学校を目指す君へのメッセージです。
この学校は、「誰かに指示されるのではなく、自分で考えて行動したい」「自分の『好き』をとことん追求したい」と考える、自立心と好奇心にあふれた生徒にこそ、最高の場所です。もし君が、受け身で授業を聞くよりも、仲間と議論したり、自分だけのプロジェクトに没頭したりすることにワクワクするタイプなら、法政大学国際高等学校は君の可能性を無限に広げてくれるはずです。
受験勉強では、高い内申点と学力を目指すことはもちろん大切です。それに加えて、ぜひ「自分のアンテナ」を磨いてください。普段のニュースや本から「なぜだろう?」と考えたり、自分の興味があることについて少し深く調べてみたりする。その探究心こそが、この学校が最も大切にしている力であり、入学後の学びを何倍も豊かにする鍵となります。法政大学国際高等学校は、単なるゴールではなく、君が世界へ羽ばたくための最高のスタートラインです。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。