神奈川県立鎌倉高等学校は、湘南の海を見下ろす丘の上に立ち、江ノ電の走る音が聞こえる唯一無二のロケーションを誇る学校です。多くの卒業生が口を揃えて「青春偏差値日本一」と語るこの場所は、ただ景色が美しいだけではありません。そこには、生徒一人ひとりが主役になれる自由な校風と、仲間と共に何かに熱中できる熱い空気が満ちています。高校生活で、勉強も、部活も、友情も、すべてを全力で楽しみたいと考える君にとって、鎌倉高等学校は最高の舞台になるかもしれません。
しかし、その輝かしい「青春」の裏側には、県内トップクラスの進学校としての確かな学びがあります。「学力向上進学重点校エントリー校」や「理数教育推進校」にも指定されており、自由な雰囲気の中にも、高いレベルの学力が求められます。この学校が持つ独特の文化は、自主性と自己管理能力を生徒に問いかけ、文武両道を高い次元で実現することを期待しています。
この記事では、そんな神奈川県立鎌倉高等学校がどんな場所なのか、受験を考える中学生とその保護者の皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーとして詳しく、そして分かりやすく解説していきます。この学校の持つ魅力と、そこで待っている挑戦を知り、君にとって最高の3年間を送るための選択ができるよう、一緒に見ていきましょう。
鎌倉高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。一目で分かるように表にまとめました。
項目 | 内容 |
正式名称 | 神奈川県立鎌倉高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒248-0026 神奈川県鎌倉市七里ガ浜2-21-1 |
代表電話番号 | 0467-32-4851 |
公式サイトURL | https://www.pen-kanagawa.ed.jp/kamakura-h/ |
鎌倉高等学校の偏差値・難易度・併願校
鎌倉高等学校は、神奈川県内でも屈指の人気と難易度を誇ります。合格を勝ち取るために必要な学力レベルを具体的に見ていきましょう。
-
偏差値
普通科の最新の偏差値は「66」程度です。これは神奈川県の公立高校の中でトップクラスに位置しており、高い学力が求められることを示しています。
-
合格に必要な内申点の目安
合格者の平均内申点は、135点満点中「124.7」前後です(2024年度入試実績)。この数値は、中学2年生と3年生の成績で、主要5教科だけでなく技能4教科においても、ほとんどの科目で「5」を取得している必要があることを意味します。日々の授業態度や提出物、定期テストでの高得点を継続的に取ることが非常に重要です。
-
学力検査・特色検査の目安
神奈川県の公立高校入試では、内申点・学力検査・特色検査の3つの要素で合否が決まります。鎌倉高等学校の選考比率は「内申:学力検査:特色検査=4:6:1」と、当日の学力検査が重視される配分です。学力検査(5教科500点満点)では、「390点〜400点」あたりが目標となります。
さらに、思考力や表現力を問われる「特色検査」も実施されます。単純な知識だけでなく、資料を読み解き、論理的に考える力が試されるため、専用の対策が不可欠です。
-
倍率
例年、志願倍率は1.5倍前後と非常に高く、多くの受験生が集まる人気校です。高いレベルでの競争になることを覚悟しておく必要があります。
-
同じくらいの偏差値の他の高校
神奈川県内の公立高校では、平塚江南高校、茅ケ崎北陵高校、希望ケ丘高校などが、鎌倉高校と近い学力レベルの学校として挙げられます。
-
主な併願校
鎌倉高等学校を第一志望とする受験生が併願する私立高校としては、以下のような学校が多く選ばれる傾向があります。
-
山手学院高等学校
-
日本大学藤沢高等学校
-
横浜隼人高等学校
-
鎌倉学園高等学校
-
鎌倉高等学校に設置されている学科・コース
鎌倉高等学校に設置されている学科は「普通科」のみです。ただし、学年が上がるにつれて、生徒一人ひとりの進路希望に合わせたきめ細やかなコース分けが行われます。
-
普通科
-
1年次:全員が共通のカリキュラムで学び、文系・理系を問わず、全ての教科の基礎学力を徹底的に固めます。特に国語・数学・英語の主要3教科に力を入れ、大学受験に向けた土台を築きます。
-
2年次:生徒の希望や適性に応じて、「文系」と「理系」の2つのコースに分かれます。
-
文系コース:将来、法学、経済学、文学、国際関係学などの分野に進みたい生徒におすすめ。社会科や国語科の授業時間数が増え、より専門的な内容を学びます。
-
理系コース:将来、医学、理工学、薬学、農学などの分野に進みたい生徒におすすめ。数学や理科の授業時間数が大幅に増え、高度な内容に取り組みます。
-
-
3年次:さらに進路を具体化し、文系・理系コースの中で、国公立大学や難関私立大学の受験科目に対応した多様な選択科目が用意されます。看護系の進路を目指す生徒向けの「文理系」という選択も可能になり、自分の目標に合わせた時間割を組むことができます。
-
鎌倉高等学校の特色・校風
鎌倉高校の最大の魅力は、その独特の校風にあります。キーワードで表すなら「自由闊達」「文武両道」「青春偏差値日本一」です。
-
校風・生徒たちの雰囲気
生徒たちは明るく活発で、何事にも全力で取り組むエネルギーに満ちています。勉強も部活も行事も、すべてにメリハリをつけて楽しむ「文武両道」の精神が根付いています。自由な校風のため、生徒の自主性が非常に尊重されており、自分で考えて行動することが求められます。そのため、真面目に勉強に打ち込む生徒もいれば、部活動や友人との時間を大切にする生徒もいて、多様な価値観が共存しています。
-
校則は厳しい?緩やか?
校則は県内の公立高校の中でも特に緩やかで、生徒への信頼を基本としています。
-
スマホ:授業中以外は自由に使用できます。先生によっては授業で活用することもあるようです。
-
服装・頭髪:制服は男子が黒の学ラン、女子が紺のブレザーとスカートというシンプルなデザインですが、着こなしは比較的自由です。スカート丈も厳しく注意されることは少ないようです。カーディガンやセーターは色やデザインも自由で、髪染めやピアスも基本的には認められています(ただし、部活動によっては独自のルールがある場合があります)。
-
アルバイト:学校への届け出は不要で、許可されています。部活動と両立している生徒も多くいます。
-
-
宿題の量や授業について
宿題の量は先生や教科によって差が大きいようです。毎日コツコツとこなす必要がある小テストが頻繁に行われる授業も多く、日々の学習習慣が大切になります。授業は1コマ65分制で、一般的な50分授業よりも長く、一つのテーマをじっくり掘り下げて学ぶことができます。
-
土曜授業はある?
毎週の土曜授業はありません。ただし、希望者向けの進学補習や講座が土曜日に開かれることがあり、多くの生徒が自主的に参加しています。
鎌倉高等学校の部活動・イベント
部活動
鎌倉高等学校の「文武両道」を支えるのが、非常に活発な部活動です。多くの生徒が部活動に所属し、高校生活をより充実させています。
運動部、文化部ともに種類が豊富で、エネルギーに満ち溢れています。特に以下の部活動は規模が大きく、学校を代表する存在です。
-
ダンス部
「カマダン」の愛称で親しまれ、特に女子生徒に絶大な人気を誇る部活動です。文化祭でのパフォーマンスは最大の見せ場の一つで、体育館が満員になるほどの盛り上がりを見せます。神奈川県の新人大会で4位入賞を果たすなど、実力も兼ね備えています。
-
アメリカンフットボール部
公立高校では珍しい部活で、男子生徒を中心に人気があります。力強いプレーとチームワークで、学校のスポーツシーンを盛り上げています。
-
サッカー部・弓道部・ハンドボール部
いずれも部員数が多く、練習も活発に行われています。仲間と切磋琢磨しながら高い目標を目指せる環境です。
-
軽音楽部
140名を超える部員が所属する、学校で最も規模の大きい部活動の一つです。文化祭の最後を飾る後夜祭でのライブは、鎌高祭の象徴的なイベントとなっています。
-
科学研究会
「理数教育推進校」としての側面を象徴する部活動です。日々の研究活動に熱心に取り組み、全国大会で入賞するなど、輝かしい実績を上げています。
イベント
鎌倉高校の学校生活を彩るイベントは、生徒が主体となって企画・運営され、どれもが最高の盛り上がりを見せます。
-
鎌高祭(かまこうさい)
7月に行われる文化祭で、鎌高生活のハイライトと言える一大イベントです。最大の特徴は、3年生の各クラスが上演するオリジナルの演劇。役作りのために髪を染める生徒も多く、この期間は「鎌高ゴールデンウィーク」と呼ばれ、校内がカラフルになります。1・2年生は趣向を凝らした模擬店やお化け屋敷などを出店し、来場者を楽しませます。最終日の夜には生徒限定の「後夜祭」が開かれ、軽音楽部のライブなどで熱狂的な盛り上がりを見せます。
-
鎌高スポーツ大会(かまスポ)
体育祭に代わって行われるようになったスポーツイベントです。クラス対抗で様々な競技が行われ、学年の垣根を越えて応援に熱が入ります。
-
修学旅行
2年生の11月頃に、3泊4日で沖縄を訪れます。美しい自然や文化に触れるだけでなく、平和学習の時間も設けられており、学びと楽しみを両立させた充実した旅行となっています。
鎌倉高等学校の進学実績
「学力向上進学重点校エントリー校」として、鎌倉高等学校は非常に高い大学進学実績を誇ります。生徒の希望進路を実現するため、放課後や長期休暇中には数多くの進学講座が開講されるなど、手厚いサポート体制が整っています。
卒業生の多くが4年制大学へ進学しており、特に難関私立大学への合格者数が際立っています。
大学群 | 主な大学名と合格者数(延べ人数) |
国公立大学 | 合計 約45-60名。主な合格先: 横浜国立大学, 東京都立大学, 千葉大学, 筑波大学, 東北大学, 北海道大学など |
難関私立大学 (早慶上理) | 早稲田大学 (約23-35名), 慶應義塾大学 (約13-21名), 上智大学 (約2-21名), 東京理科大学 (約11-15名) |
難関私立大学 (GMARCH) | 合計 約389名。明治大学 (約84名), 青山学院大学 (約70名), 立教大学 (約80名), 中央大学 (約59名), 法政大学 (約78名), 学習院大学 (約18名) |
その他 | 明治学院大学 (約101名), 日本大学 (約79名) など、近隣の有名私立大学にも多数の合格者を輩出 |
これらの実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校全体で学力向上に取り組む姿勢の表れと言えるでしょう。特に夏休みなどに開講される多数の夏期講座は、塾に通わずとも大学受験に対応できる力を養う機会として、多くの生徒に活用されています。
鎌倉高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、鎌倉高校ならではの魅力を7つのポイントにまとめました。
-
唯一無二のロケーションと学習環境
目の前には湘南の海が広がり、江ノ電が走る。人気アニメ『SLAM DUNK』の舞台としても世界的に有名なこの景色は、日々の通学路であり、学びの場です。この最高の環境が、感受性豊かな高校生活を彩ります。
-
地域に根差した探究学習「かまくら学」
1年生全員が取り組む独自の総合学習プログラムです。生徒たちは学校を飛び出し、歴史と文化の街・鎌倉をフィールドワークします。地域の魅力を深く知ることで、探究心やプレゼンテーション能力を養います。
-
本格的な理数探究プログラム「K-ARP」
「理数教育推進校」として、大学レベルの研究活動を体験できる「K-ARP(Kamakura-Academic Research Project)」を実施。生徒自らが仮説を立て、実験・検証を行い、その成果を発表する本格的なプログラムです。
-
自由と信頼に基づく校風
緩やかな校則は、学校が生徒一人ひとりを信頼している証です。この環境は、自分で考えて行動する「自主自立」の精神を育み、大学生活や社会で必要となる自己管理能力を自然と身につけさせます。
-
生徒が主役の熱狂的な学校行事
鎌高祭をはじめとする学校行事は、企画から運営まで生徒が中心となって行います。クラスや部活の仲間と一つの目標に向かって全力で取り組む経験は、何物にも代えがたい一体感と達成感を生み出します。
-
集中力を高める65分授業
1コマ65分という長めの授業時間設定により、表面的な知識の習得にとどまらず、議論や演習などを通じた「深い学び」を実現しています。
-
活発な国際交流プログラム
オーストラリアの姉妹校との相互訪問や、カナダ、ニュージーランドへの語学研修など、国際的な視野を広げる機会が豊富に用意されています。
鎌倉高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からは、学校生活への満足度が非常に高い声が多く聞かれます。一方で、その独特の環境ゆえの注意点も指摘されています。
-
良い点
-
「最高のロケーションと環境」:多くの生徒が「毎日が映画のワンシーンのよう」と語るほど、学校から見える海の景色や江ノ電での通学を魅力に感じています。「放課後に友達と海辺で語り合ったのが一番の思い出」という声も多数あります。
-
「自由な校風と一生の友人」:「校則が緩やかで、自分らしくいられる場所だった」「行事を通じてクラスの団結力が強まり、一生付き合える仲間ができた」など、自由な雰囲気の中で築かれる深い人間関係を評価する声が目立ちます。
-
「学校行事がとにかく楽しい」:「鎌高祭の3年生の劇にかける情熱は他では味わえない」「後夜祭の一体感は忘れられない」など、学校行事が最高の思い出として心に残っている卒業生が非常に多いです。
-
「文武両道が実現できる」:「勉強も部活も本気で取り組む仲間が多く、刺激し合える環境だった」というように、高いレベルで両立を目指せる点を魅力と感じる声も多いです。
-
-
気になる点
-
「施設の古さ」:1928年創立という長い歴史を持つため、「校舎の一部が古い」という意見は少なくありません。ただし、トイレなど必要な箇所は改修されており、清潔に保たれているようです。
-
「通学時の坂道」:最寄りの鎌倉高校前駅から学校までは、急な坂道を上る必要があります。これは「鎌高坂」と呼ばれ、毎日の通学では少し大変に感じる点として挙げられます。
-
「自主性が強く求められる学習環境」:「自由な分、すべてが自分次第」「流されてしまうと勉強が疎かになる」といった声は、この学校の最も重要な注意点です。先生方が手取り足取り指導するというよりは、生徒の自主性に任せる傾向があるため、自己管理が苦手な生徒は苦労する可能性があります。
-
「観光客の多さ」:学校周辺、特に最寄り駅の踏切は世界的な観光名所となっているため、特に休日は多くの観光客で混雑します。通学時にはマナーを守ることが求められます。
-
アクセス・通学
鎌倉高等学校への主なアクセス方法は江ノ島電鉄(江ノ電)です。
-
最寄り駅
-
江ノ島電鉄 「鎌倉高校前」駅より徒歩約5分
-
江ノ島電鉄 「七里ヶ浜」駅より徒歩約14分
-
多くの生徒が、JR藤沢駅やJR鎌倉駅で江ノ電に乗り換えて通学しています。車窓から海を眺めながらの通学は、鎌高生にとって日常であり、特別な体験の一つです。藤沢市、鎌倉市、茅ヶ崎市など、湘南エリアを中心に幅広い地域から生徒が通っています。
鎌倉高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとう。鎌倉高等学校の魅力、少しは伝わったでしょうか。最後に、進学アドバイザーとして、君への応援メッセージを贈ります。
鎌倉高等学校は、「誰かに与えられる高校生活」ではなく、「自分で創り上げる高校生活」を送りたいと願う君に、最高の環境を提供してくれる学校です。勉強はもちろん、部活や行事に本気で打ち込みたい。そして何より、かけがえのない仲間と、二度とない「青春」の時間を全力で駆け抜けたい。そんな熱い想いを持つ君にこそ、鎌倉高等学校の門を叩いてほしいと思います。
合格を勝ち取るためには、まず中学2年生からの内申点を一つでも高く積み上げることが絶対条件です。日々の授業を大切にし、定期テストで着実に結果を出してください。その上で、学力検査で高得点を取るための応用力と、特色検査を突破するための思考力を鍛えましょう。道のりは決して平坦ではありませんが、鎌倉高等学校で待っている素晴らしい日々を想像すれば、きっと乗り越えられるはずです。君の挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。