神奈川県立平塚江南高等学校は、1921年(大正10年)に神奈川県立平塚高等女学校として開校して以来、100年以上の歴史を持つ伝統校です。創立以来の建学の精神である「自主自律」を礎に、生徒一人ひとりが自らの意志で学び、行動することを重んじています。長い歴史の中で、地域社会をリードする多くの卒業生を輩出してきました。

この学校の最大の魅力は、高いレベルでの学習と、情熱を傾ける学校行事や部活動との両立にあります。文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受け、先進的な探究活動に取り組む一方で、体育祭や文化祭では学校全体が一体となって熱く盛り上がります。平塚江南高等学校での3年間は、ただ大学進学のためだけではない、人間的に大きく成長できる時間となるでしょう。

この記事では、そんな平塚江南高校がどんな学校なのか、皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。皆さんの高校選びが、未来への素晴らしい一歩となるよう、心から応援しています。さあ、一緒に江南高校の魅力を見ていきましょう。

平塚江南高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校見学や問い合わせの際に役立ててください。

項目 内容
正式名称 神奈川県立平塚江南高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学 男女共学
所在地 〒254-0063 神奈川県平塚市諏訪町5-1
代表電話番号 0463-31-2066
公式サイトURL http://www.hiratsukakonan-h.pen-kanagawa.ed.jp/

平塚江南高等学校の偏差値・難易度・併願校

平塚江南高等学校を目指す上で、まず気になるのが学力的な難易度でしょう。具体的な数字を見ながら、どのくらいのレベルなのかを掴んでいきましょう。

平塚江南高校の偏差値は、各種の模擬試験や塾のデータによると、おおむね64〜66の範囲に位置しています。これは神奈川県の公立高校の中でもトップクラスであり、合格には高い学力が求められます。同じくらいの偏差値の高校としては、希望ヶ丘高校、鎌倉高校、大和高校などがあり、これらの学校が比較対象となることが多いです。

合格の目安として、内申点と学力検査の得点が重要になります。内申点は、135点満点中、120点前後が合格者平均となっています。これは、9教科の5段階評価で平均4.5程度が必要になる計算で、中学2年生からの継続的な努力が不可欠です。

当日の学力検査(500点満点)では、8割にあたる400点以上が目標となります。平塚江南高校の入試で特徴的なのは、内申点・学力検査・特色検査の評価比率が「3:7:1」であることです。学力検査の比重が非常に高いため、中学校での成績が良いことに加え、入試本番で確実に得点できる実力が合格の鍵を握ります。

公立高校のため、県内の他の公立高校との併願はできません。そのため、併願校は私立高校となります。受験生の学力に応じて、以下のような私立高校が併願先として選ばれることが多いようです。

  • 挑戦校:山手学院高校、鎌倉学園高校

  • 実力相応校:桐蔭学園高校、法政大学国際高校、日本大学藤沢高校

  • 併願確約校:平塚学園高校(特進コース)、鵠沼高校

平塚江南高等学校に設置されている学科・コース

平塚江南高校に設置されているのは、以下の学科・コースのみです。

  • 全日制 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:特定の専門分野に偏らず、国公立大学や難関私立大学への進学を視野に入れた、幅広く深い学力を養うためのカリキュラムが組まれています。

    • どんな生徒におすすめか:まだ将来の夢が具体的に決まっていないけれど、大学で専門的な学問を学びたいと考えている人や、文系・理系を問わず高いレベルの学習に取り組みたい人におすすめです。

学科は普通科のみですが、平塚江南高校の学びの最大の特徴は、学校全体で取り組む「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」事業にあります。これは理系の生徒だけのものではありません。「共創探究」という授業では、全生徒が自ら課題を設定し、情報を収集・分析し、発表するという一連の研究プロセスを学びます。この経験を通じて、文理を問わず、大学での研究や社会に出てからも役立つ論理的思考力や問題解決能力を育てることができます。

平塚江南高等学校の特色・校風

学校選びでは、偏差値だけでなく、学校の雰囲気や文化が自分に合うかどうかも非常に大切です。

  • 校風を表現するキーワード:自主自律、文武両道、落ち着いた雰囲気、やるときはやる

平塚江南高校の校風は、創立以来の精神である「自主自律」という言葉に集約されます。生徒の主体性を尊重する自由な雰囲気がありながらも、勉強や行事には真剣に取り組む、けじめのある生徒が多いのが特徴です。

  • 宿題の量:宿題の量はそれほど多くないという声が多いようです。ただし、授業は1コマ65分と長く、特に数学などは進度が非常に速いため、日々の予習・復習が欠かせません。受け身ではなく、自分で学習計画を立てて進める姿勢が求められます。

  • 校則(スマホ、服装など):校則は、他の進学校と比較して標準的か、やや緩やかという印象です。

    • スマホ:持ち込みは可能で、授業で活用する場面も多くあります。個人の端末を学校のWi-Fiに接続して調べ学習や発表に使う「BYOD」という仕組みも導入されており、ICT活用に積極的です。

    • 服装:制服の着用が定められています。男子は伝統的な黒の詰襟学生服(学ラン)、女子は2023年度入学生から新しいデザインのブレザー制服になりました。この新制服は、生徒や保護者へのアンケートを基に決定され、学校のシンボルである藤の花をイメージしたデザインで、在校生や受験生からも「かわいい」と評判が良いようです。

  • 生徒たちの雰囲気:全体的に穏やかで真面目な生徒が多く、落ち着いて学校生活を送りたい人には非常に良い環境です。いじめなどの話はほとんど聞かれず、互いを尊重し合う文化が根付いているようです。行事の際にはクラス一丸となって盛り上がるなど、メリハリのある生徒が多い印象です。

  • アルバイト:校則で禁止はされていませんが、勉強や部活動、学校行事で忙しいため、実際にアルバイトをしている生徒は少ないようです。

  • 土曜授業:全学年を対象とした難関大学対策講座や土曜講習などが実施されており、希望する生徒が参加しています。

平塚江南高等学校の部活動・イベント

勉強だけでなく、高校生活を彩る部活動やイベントも江南の大きな魅力です。

部活動

平塚江南高校は「文武両道」を掲げており、部活動への加入率も高く、非常に活発です。運動部・文化部ともに多くの選択肢があり、複数の部活を掛け持ちしている生徒もいるようです。

  • 運動部:陸上競技部やサッカー部をはじめ、多くの部が県大会などで活躍しています。近年では、比較的珍しいスポーツクライミング部も設置されており、多様なニーズに応えています。

  • 文化部:文化部の中でも特に有名なのが「競技かるた部」です。全国大会の常連であり、ベスト8に入るなど輝かしい実績を誇ります。また、放送委員会も全国レベルで活躍しています。他にも、吹奏楽部や弦楽部といった音楽系の部活から、物理部、化学部といった探究活動につながる部活まで、幅広く充実しています。

イベント

江南の学校生活で最も輝く瞬間ともいえるのが、生徒が主体となって作り上げる学校行事です。

  • 体育祭:江南の行事の中で、最も熱く盛り上がるのが体育祭です。最大の名物は、学年を超えた縦割りのブロック対抗で行われる「仮装の部」。これは単なる仮装行列ではなく、各ブロックが壮大なテーマを掲げ、衣装、背景となる巨大な立て看板、そして音楽に合わせたダンスパフォーマンスまでを数ヶ月かけて創り上げる一大プロジェクトです。3年生がリーダーシップを発揮し、下級生をまとめ上げていく過程は、まさに青春そのもの。ここで生まれる一体感や達成感は、一生の宝物になると多くの卒業生が語っています。

  • 江麗祭(文化祭):秋に開催される文化祭は「江麗祭(こうれいさい)」と呼ばれ、こちらも大変な盛り上がりを見せます。クラスごとのお化け屋敷やアトラクション、文化部による展示やステージ発表、有志によるパフォーマンスなど、内容は多彩です。一般公開もされ、毎年多くの来場者で賑わいます。

  • 修学旅行:2年次には沖縄を訪れるのが恒例となっています。美しい自然や文化に触れ、平和について学ぶ貴重な機会です。

平塚江南高等学校の進学実績

伝統ある進学校として、平塚江南高校は国公立大学や難関私立大学へ多数の合格者を輩出しています。

最新の2025年春の大学進学実績(既卒生含む)を見ると、そのレベルの高さがうかがえます。

大学群 主な大学名と合格者数
国公立大学 合計48名。横浜国立大学 10名、東京都立大学 4名、東京科学大学(旧東京工業大学) 3名、東北大学 1名、北海道大学 1名など。
難関私立大学 早稲田大学 12名、慶應義塾大学 10名、上智大学 1名(合計23名)。
GMARCH 明治大学 66名、青山学院大学 47名、法政大学 50名、中央大学 43名、立教大学 16名、学習院大学 15名(合計237名)。

これらの高い進学実績を支えているのが、手厚い学習サポート体制です。通常の授業に加えて、難関大学進学を目指す生徒向けの講習や、夏休み・冬休み中の集中講習が数多く開講されています。また、全生徒が「スタディサプリ」などのオンライン学習ツールを活用できる環境が整っており、個々の進度や目標に合わせた自学自習を強力に後押ししています。生徒たちの高い目標意識と、それを支える学校の体制が、優れた進学実績へと結びついています。

平塚江南高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、平塚江南高校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 全生徒が取り組む「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」

    文理を問わず、全生徒が「共創探究」という授業で本格的な研究活動を体験します。これにより、論理的思考力やプレゼンテーション能力といった、将来にわたって役立つスキルを身につけることができます。

  • 県内でも先進的なICT教育環境

    全県に先駆けて一人一台のタブレット端末を活用してきた実績があり、授業でのデジタルツール活用が日常的です。生徒自身のスマホやPCを使うBYODも推進しており、最先端の学習環境が整っています。

  • 思考力を深める65分授業

    1コマの授業時間が65分と長めに設定されています。これにより、表面的な知識の暗記にとどまらず、一つのテーマをじっくりと掘り下げ、生徒同士で議論するなど、より深い学びを実践することが可能です。

  • 生徒が主役の圧巻の学校行事

    特に体育祭の「仮装」は、企画から運営までほぼ全てを生徒たちの手で行います。この大規模なプロジェクトを成功させる経験を通じて、計画性、協調性、リーダーシップなど、学力だけでは測れない「生きる力」を育みます。

  • 地域に貢献する「スタディアシスト」

    江南生が地域の小中学生に勉強を教えるボランティア活動です。人に教えることで自らの理解を深めると同時に、地域社会とのつながりを実感できる貴重な機会となっています。

  • 手厚い進学サポート体制

    難関大学対策講座や長期休暇中の講習、豊富なオンライン学習コンテンツなど、生徒の高い進学目標を実現するためのサポートが充実しています。

平塚江南高等学校の口コミ・評判のまとめ

実際に通っている生徒や卒業生の声は、学校のリアルな姿を知る上でとても参考になります。ここでは、様々な口コミを公平にまとめて紹介します。

  • 良い点

    • 「とにかく学校生活が楽しい。今までで一番充実している」という満足の声が非常に多いです。

    • 「穏やかで優しい人が多く、自分に合う友達が必ず見つかる」といった、人間関係の良さを挙げる声も目立ちます。

    • 「体育祭や文化祭などの行事が本当に盛り上がり、クラスの団結力が強まる」という意見は、江南の大きな魅力として共通しています。

    • 「やるときはやる、遊ぶときは遊ぶ、というメリハリがしっかりしている」と、校風を評価する声も多数あります。

    • 「質問に行けば先生が親身に教えてくれる」など、教員のサポート体制を評価する声もあります。

  • 気になる点

    • 「良くも悪くも『自分次第』の学校。積極的に行動しないと、楽しめないかもしれない」という意見があります。自主性が求められる校風の裏返しと言えるでしょう。

    • 「先生の授業の質には差がある(当たり外れがある)」と感じる生徒も一部いるようです。

    • 「課題や小テストが多く、授業の進度も速いので、ついていくのが大変な時がある」という声も聞かれます。

    • 「校舎や施設が全体的に少し古い」という点は、多くの生徒が指摘しています。ただし、体育館の床がきれいになるなど、改修も進められているようです。

    • 「最寄り駅から徒歩25分と遠いのが難点」という、アクセスの不便さを挙げる声は非常に多いです。

    • 「冬はストーブ、夏は冷房の設定温度など、教室の空調が快適でないことがある」という具体的な指摘もありました。

アクセス・通学

平塚江南高等学校への通学方法です。自宅からのルートをイメージしてみてください。

  • 所在地:神奈川県平塚市諏訪町5-1

  • 最寄り駅からのアクセス:

    • JR東海道線「平塚駅」から

      • 徒歩で約25分

      • バスの場合:神奈川中央交通バス「伊勢原駅南口」行きに乗車し、「共済病院前総合公園西」バス停で下車、そこから徒歩約2分

平塚市内や、JR東海道線沿線の茅ヶ崎市、大磯町、藤沢市などから通学している生徒が多いようです。平塚駅から距離があるため、駅から自転車を利用する生徒が多数派です。バスも利用できますが、雨の日などは道路が混雑し、遅刻の原因になることもあるため注意が必要との声があります。

平塚江南高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、平塚江南高校を目指す皆さんへメッセージを送ります。

平塚江南高等学校は、「高い目標に向かって、仲間と協力しながら主体的に努力できる生徒」に特におすすめの学校です。勉強だけに集中するのではなく、行事や部活動にも全力で打ち込みたい、そんなエネルギーに溢れた君を待っています。自由な校風の中で自分を律し、文武両道を実践したいと考えるなら、江南は最高の環境になるはずです。

受験勉強では、まず中学2年生からの内申点を確実に取ることが大前提です。その上で、入試本番で高得点を取るための学力を養いましょう。特に、配点の大きい学力検査対策が合否を分けます。基礎を固めた上で、応用問題にも粘り強く取り組む練習を重ねてください。平塚江南高校への挑戦は決して簡単ではありませんが、その先には、かけがえのない3年間が待っています。自分の可能性を信じて、頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。