親和女子高等学校は、1887年の創立以来、神戸・六甲の地で130年以上にわたり女子教育の伝統を築いてきた歴史ある学校です。ただ歴史が長いだけでなく、「誠実・堅忍・忠恕」の校訓のもと、高い学力と豊かな人間性を育む教育を実践し、時代を生き抜くたくましい女性を社会に送り出してきました。

その親和女子高等学校が、2025年4月、大きな変革の時を迎えます。これまでの女子部の伝統を守りつつ、新たに共学部を設置するという、中高一貫校としては日本で初めての試みをスタートさせるのです。これは、ますますグローバル化し、多様性が求められる社会で活躍できる人材を育成するための、未来を見据えた新しい挑戦と言えるでしょう。

この記事では、そんな伝統と革新が共存する親和女子高等学校について、偏差値やコースの特色、学校生活のリアルな様子、そして在校生や卒業生の口コミまで、皆さんが本当に知りたい情報を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。あなたの未来の可能性を広げる、大切な高校選びの参考にしてください。

親和女子高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。2025年度からは、女子部に加えて共学部が新設される点が大きなポイントです。

項目 内容
正式名称 親和女子高等学校
公立/私立の別 私立
共学/女子校の別 女子部と共学部を併設
所在地 〒657-0022 兵庫県神戸市灘区土山町6-1
代表電話番号 078-854-3800
公式サイトURL https://www.kobe-shinwa.ed.jp/

この学校の最もユニークな点は、2025年度から「女子だけの環境で学びたい」というニーズと、「男女が共に学ぶ環境で切磋琢磨したい」という両方のニーズに応えられる体制になることです。これは、長い女子校としての歴史で培った教育の良さを継承しながら、新しい時代の要請に応えていくという学校の強い意志の表れです。受験を考える際には、自分がどちらの環境で高校生活を送りたいかをイメージすることが、大切な第一歩になります。

親和女子高等学校の偏差値・難易度・併願校

親和女子高等学校の合格に必要な学力レベルを具体的に見ていきましょう。コースごと、そして専願(第一志望)か併願(他の高校も受験する)かによって、求められる偏差値の目安が異なります。

コース名 専願 併願
アドバンストコース 58 60
スポーツ・カルチャーコース 56 58
グローバルコース 56 58

偏差値60というのは、兵庫県内の公立高校でいうと、三田祥雲館高校や明石城西高校などが同じくらいのレベルにあたります。合格に必要な内申点の具体的な目安は公表されていませんが、この偏差値レベルを考えると、主要5教科では「4」を中心に、全体としてもバランス良く高い成績を収めておくことが望ましいでしょう。

ここで注目したいのが、専願と併願で偏差値に2ポイントの差がある点です。これは、「親和女子高等学校に絶対入学したい」という強い意志を持つ受験生を、学校側が評価していることの表れです。もしこの学校が第一志望なら、専願で受験することで合格の可能性を少し高めることができるかもしれません。

親和女子高等学校は私立のため、多くの受験生が公立高校と併願します。主な併願校としては、偏差値が近い神戸市内の公立高校や、同じ阪神間の私立高校などが考えられます。自分の学力や通学の便などを考慮して、併願パターンを検討することが大切です。

親和女子高等学校に設置されている学科・コース

親和女子高等学校には、生徒一人ひとりの夢や目標に合わせて選べる、特色豊かな3つのコースが設置されています。

  • アドバンストコース

    国公立大学や難関私立大学への進学を目指す、学力向上に特化したコースです。高校から入学する生徒のために、1年生のうちは内部進学生の進度に追いつくためのフォローアップ授業が週1回行われ、2年生から内部進学生と合流するカリキュラムになっています。学習量は多いですが、高い目標を持つ仲間と切磋琢磨したい人におすすめです。

  • スポーツ・カルチャーコース

    スポーツや芸術活動に本格的に取り組みながら、大学進学も目指せるコースです。特にバレーボール部はVリーグチームと連携するなど強化指定されており、全国レベルでの活躍を目指せます。遠征などで授業を欠席した場合のフォロー体制も整っており、勉強と好きなことの両立を本気で考えている人に最適です。また、併設の神戸親和大学への進学に有利な点も大きな魅力です。

  • グローバルコース

    高い語学力と国際感覚を身につけ、世界で活躍できる人材を目指すコースです。このコースの最大の特徴は、高校1年の3学期から原則全員が3ヶ月、半年、1年から選んで留学を経験することです。1年間留学しても3年間で卒業できるカリキュラムが組まれています。また、第二外国語として中国語か韓国語を必修で学ぶなど、将来、海外で活躍したいという夢を持つ人にぴったりの環境です。

親和女子高等学校の特色・校風

親和女子高等学校の校風は、一言で表すのが難しい、多面的な魅力を持っています。キーワードを挙げるとすれば、「自由闊達」「文武両道」「伝統と革新」といった言葉が当てはまるでしょう。

口コミを見ると、生徒たちのリアルな声が浮かび上がってきます。

  • 宿題の量

    コースによって差があるようですが、特にアドバンストコースは予習が欠かせず、学習量は多いという声があります。長期休暇中の補習なども希望制で実施されており、やる気のある生徒には手厚いサポートがあるようです。

  • 校則

    全体的には自由な雰囲気ですが、守るべきところは厳しいという印象です。スマートフォンの校内への持ち込みは許可されていますが、使用は禁止で、朝礼時に預けて下校時に返却されるというルールのようです。アルバイトや髪を染めることは禁止されています。制服は最近リニューアルされて可愛いと評判で、冬でも暖かく過ごせるスラックス(パンツスタイル)が導入されたことも好評です。

  • 生徒たちの雰囲気

    「学年全体が家族のように仲が良い」「サバサバした子が多くて、女子校だけど面倒なことは少ない」といったポジティブな声が多く聞かれます。一方で、「授業中に騒がしい時がある」という意見もあり、生徒の自主性に任されている部分が大きいようです。自分から積極的に行動できる生徒にとっては最高の環境ですが、静かに集中したい生徒は少し戸惑う場面もあるかもしれません。

  • 土曜授業

    土曜日も4限まで授業があります。最初は大変に感じるかもしれませんが、「他の高校生が休んでいる間に勉強している自分は偉いと思える」といった前向きな意見もあり、すぐに慣れる生徒が多いようです。

この学校の雰囲気は、「自由」と「自己責任」がセットになっていると考えると分かりやすいかもしれません。学校から細かく管理されるのではなく、生徒一人ひとりの自主性が尊重されます。そのため、自ら目標を見つけて積極的に行動できる生徒は、友人関係も勉強も部活動も、すべてにおいて充実した学校生活を送れる可能性が高いでしょう。

親和女子高等学校の部活動・イベント

部活動

親和女子高等学校には約30の部活動があり、中学生と高校生が一緒に活動することも多く、学年を超えた絆が育まれる環境です。運動部も文化部も、活発に活動しています。

  • バレーボール部

    学校を代表する強化指定クラブの一つです。プロのVリーグチーム「ヴィクトリーナ姫路」と連携し、全国大会出場を目指してハイレベルな練習に励んでいます。春高バレーの兵庫県予選で準優勝するなど、輝かしい実績を誇り、本気でバレーボールに打ち込みたい生徒にとっては最高の環境です。

  • 器楽部

    近畿圏では珍しく、中学校からオーケストラに参加できる部活です。中高6年間を通して同じ楽器を続けることで、高い演奏技術を身につけることができます。

  • コーラス部

    夏の全国高校野球選手権大会の開会式・閉会式で大会歌を合唱するという、大変名誉な役割を担っています。甲子園球場で歌うという経験は、他では決して味わえない、一生の思い出になるでしょう。

イベント

学校生活を彩るイベントも、親和女子高等学校の大きな魅力です。生徒が主体となって作り上げる行事は、毎年大変な盛り上がりを見せます。

  • 文化祭

    毎年5月に行われる、学校最大の一大イベントです。文化部の発表や模擬店、有志によるパフォーマンスなど、中高生が一体となって作り上げます。「文化祭に来た人はみんな親和に入りたくなる」と言われるほど、活気と楽しさに満ちあふれています。

  • 体育祭

    中学1年生から高校3年生までの全学年が、学年の垣根を越えて優勝を目指す、白熱したイベントです。リレーや騎馬戦などの競技はもちろん、応援にも熱が入ります。

  • カレドニアン

    体育祭のフィナーレを飾る、高校3年生による伝統のダンス「カレドニアン」は、親和の象徴ともいえるプログラムです。このダンスは昭和初期から続く非常に歴史あるもので、卒業生も参加することがあります。後輩や先生、保護者が見守る中、卒業を前にした生徒たちが踊る姿は、会場全体が感動に包まれる、まさに親和ならではの光景です。

親和女子高等学校の進学実績

親和女子高等学校は、伝統的に高い進学実績を誇っています。生徒一人ひとりの希望進路を実現するための、手厚いサポート体制がその背景にあります。

以下は、2024年の最新の大学合格実績です。

  • 国公立大学:26名

    大阪大学(2名)、神戸大学(1名)、九州大学(1名)といった難関大学をはじめ、兵庫県立大学(6名)など、多くの生徒が国公立大学への進学を果たしています。

  • 難関私立大学

    • 関関同立(関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学):合計117名

      (内訳:関西学院大学 49名、関西大学 34名、立命館大学 21名、同志社大学 13名)

    • 早慶上理(早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学):合計2名

      関西の難関私立大学グループである「関関同立」には、毎年100名を超える合格者を出しており、非常に強い実績を持っています。

  • その他の進路

    産近甲龍(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)にも117名が合格しています。また、薬学部や看護学部など医療系への進学者も多いのが特徴です。近年では、グローバルコースの成果もあり、海外の大学へ進学する生徒も出てきています。

こうした高い進学実績を支えているのが、学校の学習サポート体制です。放課後には大学生サポーターが常駐する学習室が開放され、自由に質問や相談ができます。また、長期休暇中の講習や、難関大学を目指す生徒向けに大手予備校と提携した「ハイレベル講座」を開講するなど、意欲のある生徒を力強く後押しするプログラムが充実しています。ただし、これらのサポートは基本的に希望制です。一部の口コミで「勉強のフォローがない」という声が見られるのは、こうしたサポートを自ら活用する姿勢が求められるためかもしれません。主体的に学ぶ意欲のある生徒にとっては、非常に恵まれた環境と言えるでしょう。

親和女子高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、親和女子高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 日本初の「女子部・共学部」併設校

    2025年からスタートする、女子だけの環境と男女共学の環境を一つの学校で選べるという画期的なシステムは、最大の特長です。自分の性格や目標に合った学びの場を選択できます。

  • 全員留学を経験する本格的なグローバル教育

    グローバルコースでは、3ヶ月から1年の留学が原則必修となっており、生きた語学力と国際感覚を養います。海外大学への進学実績もあり、本気で世界を目指せる環境です。

  • 全国レベルを目指す強化クラブ

    プロチームと連携するバレーボール部を筆頭に、全国で戦うことを目標にしたハイレベルな部活動に打ち込めます。スポーツや芸術で自分の才能を伸ばしたい生徒を全力で応援する体制が整っています。

  • 世代を繋ぐ感動の伝統行事「カレドニアン」

    体育祭で高校3年生が踊る伝統のダンスは、単なる学校行事ではなく、卒業生と在校生、教員が一体となる親和の魂の象徴です。この感動体験は、一生の宝物になるでしょう。

  • 併設大学への有利な進学ルート

    スポーツ・カルチャーコースからは、教育や心理、国際文化など多様な学部を持つ神戸親和大学への進学に有利な道が開かれています。将来の目標が明確な生徒にとって、大きな安心材料となります。

  • やる気を引き出す豊富な学習サポート

    放課後の大学生チューターによる学習支援や、大手予備校と連携したハイレベル講座など、生徒の「もっと学びたい」という意欲に応える選択肢が豊富に用意されています。

  • 生徒が主役となって創り上げる学校行事

    文化祭をはじめとする多くのイベントが、生徒会を中心に生徒たちの手で企画・運営されます。この経験を通して、自主性や協調性、リーダーシップを育むことができます。

親和女子高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。

  • 良い点

    • 「一生の友達ができた」「学年全体が家族みたい」という声が多く、生徒同士の絆が非常に強いようです。

    • 先生との距離が近く、フレンドリーで相談しやすいという意見も多数あります。

    • 文化祭や体育祭などの行事が非常に盛り上がり、クラスの団結力が高まることが大きな魅力として挙げられています。

    • 自主性を重んじる校風なので、自ら考えて行動したい生徒にとっては、のびのびと過ごせる環境のようです。

  • 気になる点

    • 「勉強のフォローが手薄に感じる」「赤点を取らない限り、あまり面倒を見てもらえない」といった声があり、手厚い指導を期待する生徒には物足りないと感じる場合があるようです。

    • 自由な校風の裏返しとして、「授業中に集中しづらい雰囲気のクラスもある」という意見も見られます。

    • 一部には「先生に気に入られている生徒とそうでない生徒で対応に差があるように感じる」という厳しい指摘もあります。

    • 施設については、伝統があるため「少し古い」と感じる部分もあるようですが、2025年の共学部設置に向けて改修が進められているとの情報もあります。

アクセス・通学

親和女子高等学校は、神戸市灘区の閑静な住宅街に位置しています。主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 阪急神戸線「六甲」駅から徒歩約15分

  • JR神戸線「六甲道」駅から神戸市バス16系統に乗車(約10分)、「高羽町」バス停で下車後、徒歩約5分

  • 阪神本線「御影」駅から神戸市バス16系統に乗車(約20分)、「高羽町」バス停で下車後、徒歩約5分

神戸市内からはもちろん、三田方面や西神方面からは専用のスクールバスも運行されており、広範囲からの通学が可能です。このスクールバスの存在から、神戸市北区や三田市、西区など、様々なエリアから生徒が通っていることがうかがえます。

親和女子高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、親和女子高等学校を目指す皆さんへメッセージを送ります。

親和女子高等学校は、自ら考え、行動する意欲のある生徒にとって、無限の可能性が広がる学校です。もしあなたが「誰かに指示されるのを待つのではなく、自分で面白いことを見つけたい」「勉強も部活も行事も、全部に全力で挑戦したい」と考えているなら、この学校は最高の舞台になるでしょう。特に、リーダーシップを発揮して文化祭を盛り上げたり、仲間と励まし合って高い学習目標に挑んだり、そんな主体的な姿勢を持つあなたを、親和女子高等学校は温かく迎え入れてくれるはずです。

受験勉強では、まず各コースの偏差値の目安をしっかりとクリアできる基礎学力を固めることが大切です。その上で、面接や書類では、「この学校で何をしたいのか」を自分の言葉で具体的に語れるように準備しておきましょう。伝統を守りながら、共学化という新しい未来へ大胆に踏み出すこの学校で、あなただけの素晴らしい3年間を創り上げてください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。