小山工業高等専門学校は、栃木県小山市にある国立の高等専門学校で、中学校を卒業した生徒が5年間の一貫教育を受けることができるユニークな学校です。普通科の高校とは異なり、15歳という早い段階から工学系の専門知識と技術を深く学べるのが最大の特長と言えるでしょう。「高専」の愛称で親しまれ、その歴史は60年を超え、地域社会を支える優秀な技術者を数多く輩出してきました。

ものづくりや科学技術に強い興味を持つ中学生にとって、小山工業高等専門学校はまさに夢を実現するための最適な環境です。充実した実験・実習設備と、各分野の専門家である先生方の丁寧な指導のもと、5年間かけてじっくりと自分の専門性を高めていくことができます。大学受験に縛られず、興味のある分野を思う存分探求できる時間は、将来の大きな財産になるはずです。

この記事では、そんな小山工業高等専門学校の偏差値や難易度、学校生活のリアルな様子、そして卒業後の輝かしい進路まで、進学アドバイザーの視点から詳しく解説していきます。この記事を読めば、あなたの知らない「高専」の魅力がきっと見つかるはずです。

小山工業高等専門学校の基本情報

小山工業高等専門学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 独立行政法人国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒323-0806 栃木県小山市大字中久喜771
代表電話番号 0285-20-2100
公式サイト https://www.oyama-ct.ac.jp/

小山工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

小山工業高等専門学校、通称「小山高専」を目指すなら、まずはその難易度をしっかり把握しておくことが大切です。

偏差値

2025年最新のデータによると、小山高専の偏差値は全学科共通で「62」となっています。これは栃木県内でも上位に位置し、しっかりとした学力が求められることを示しています。

  • 機械工学科: 62

  • 電気電子創造工学科: 62

  • 物質工学科: 62

  • 建築学科: 62

難易度

偏差値62というのは、栃木県内の公立高校でいうと、宇都宮中央高校(普通科 57-61)、栃木女子高校(普通科 63)などが近いレベルの学校として挙げられます。合格するためには、中学校の定期テストで常に上位の成績を維持し、特に数学と理科で得意を築いておくことが重要です。高専の入試問題は、公立高校の入試問題よりも難易度が高い傾向があり、思考力や応用力が問われる問題が多く出題されるため、過去問などを活用した専門的な対策が欠かせません。

内申点については明確な基準は公表されていませんが、合格者の傾向を見ると、9教科合計で高い評価を得ていることが望ましいでしょう。

主な併願校

小山高専が第一志望の場合、併願校として私立高校を受験するケースが一般的です。主な併願先としては、以下のような高校が挙げられます。

  • 作新学院高等学校

  • 宇都宮短期大学附属高等学校

  • 佐野日本大学高等学校

  • 國學院大學栃木高等学校

これらの高校は、小山高専の受験生の学力層と近く、万が一の場合の受け皿として選ばれることが多いようです。

小山工業高等専門学校に設置されている学科・コース

小山工業高等専門学校には、社会の様々なニーズに応える4つの専門学科が設置されています。それぞれの学科で特色ある教育が行われており、自分の興味や将来の夢に合わせて選ぶことができます。

  • 機械工学科

    エンジンからロボットまで、あらゆる「機械」の設計・製作について幅広く学びます。ものづくりの根幹を支える技術者になりたい人におすすめです。

  • 電気電子創造工学科

    エネルギー、情報通信、エレクトロニクスといった現代社会に不可欠なハイテク技術を学びます。スマートフォンやコンピュータの仕組みに興味がある人にぴったりです。

  • 物質工学科

    化学や生物、物理といった多角的な視点から、新しい機能を持つ材料や環境にやさしい技術を開発することを学びます。新素材開発や環境問題の解決に貢献したい人におすすめです。

  • 建築学科

    建物の設計やデザインはもちろん、歴史や環境、構造など、建築を総合的に学びます。人々が快適に暮らせる空間を創造したい人におすすめです。

小山工業高等専門学校の特色・校風

小山工業高等専門学校は、一般的な高校とはひと味違った独特の校風と特色を持っています。

キーワードで表すなら、「自主自律」「専門探求」「自由な雰囲気」といった言葉がぴったりでしょう。入学すると「生徒」ではなく「学生」と呼ばれ、大学に近い雰囲気の中で自主的に学ぶ姿勢が求められます。

  • 宿題の量

    レポートや課題は多い傾向にあるようです。特に専門科目の学習が進むにつれて、実験レポートなどに追われることが多くなりますが、その分、着実に実力がつきます。

  • 校則

    校則は非常に緩やかで、服装も自由です。髪を染めたりピアスを開けたりすることも禁止されていません。バイクや自動車の免許取得も可能で、条件を満たせば通学も認められています。この自由さは、学生一人ひとりの自主性を尊重する校風の表れと言えるでしょう。

  • 生徒たちの雰囲気

    「オタクが多い」という声があるように、何か一つのことに熱中している学生が多いようです。鉄道や自転車、アニメなど、様々なジャンルの趣味を持つ仲間と出会えるため、互いの個性を認め合い、尊重する雰囲気が根付いています。

  • アルバイト

    アルバイトは原則として許可制ですが、多くの学生が経験しているようです。学業との両立が前提となります。

  • 制服

    制服はなく、私服での通学となります。常識の範囲内であれば、自分の好きな服装で学校生活を送ることができます。

  • 土曜授業

    基本的に土曜授業はありません。

小山工業高等専門学校の部活動・イベント

部活動

小山工業高等専門学校では、学業だけでなく部活動も盛んに行われています。運動部・文化部ともに充実しており、多くの学生が文武両道を目指して活動しています。

  • 特徴的な部活動

    • 機械工作研究部・エレクトロニクス研究部: 「高専ロボコン」の常連として全国的に有名です。2023年の全国高専ロボコン大会では、関東甲信越地区大会で優勝し、全国大会でデザイン賞を受賞するなど、輝かしい実績を誇っています。ものづくりのアイデアを形にする楽しさを存分に味わえる部活です。

    • 加速器製作チーム「アテーナ」: 手のひらサイズの加速器を製作するという、全国的にも珍しい活動をしています。研究所や大学の研究者と協力しながら、最先端の科学技術に挑戦できる貴重な機会があります。

  • 運動部

    硬式野球部、サッカー部、バスケットボール部、陸上競技部など、多くの運動部が活動しています。特にソフトテニス部やバドミントン部は、関東信越地区大会で優勝し全国大会に出場するなど、高いレベルで活躍しています。

  • 文化部

    吹奏楽部や写真部といった一般的な文化部に加えて、デザイン部や模型部など、高専ならではの専門性を活かせる部活も多数あります。

イベント

小山高専では、学生生活を彩る様々なイベントが年間を通して開催されます。

  • 工陵祭(こうりょうさい)

    毎年秋に開催される文化祭です。各クラスや部活動による研究発表、模擬店、ステージ企画などで大変盛り上がります。地域住民も多く訪れ、学生たちの学びの成果を発表する貴重な場となっています。

  • 体育祭

    学科対抗で行われるため、クラスだけでなく学科全体の団結力が深まります。高専ならではのユニークな競技もあり、毎年白熱した戦いが繰り広げられます。

  • 研修旅行

    1年生の時には宿泊を伴う研修旅行があります。また、海外への研修旅行や短期留学プログラムも用意されており、グローバルな視野を養う機会も豊富です。

小山工業高等専門学校の進学実績

小山工業高等専門学校の卒業後の進路は、大きく分けて「就職」と「進学」の2つがあり、その割合は例年およそ半々です。どちらの道を選んでも、5年間で培った高い専門性が大きな強みとなります。

就職

就職希望者の就職率はほぼ100%を誇り、求人倍率は毎年20倍以上という驚異的な数字です。これは、多くの企業から小山高専の卒業生が高く評価されている証拠です。

  • 主な就職先:

    キヤノン、SUBARU、本田技研工業、日産自動車、トヨタ自動車、JR東日本、東京電力、日立製作所、パナソニックなど、日本を代表する大手企業が名を連ねています。

進学

卒業生の約半数は、さらに学びを深めるために進学の道を選びます。

  • 主な進学先:

    • 国公立大学(大学3年次への編入): 最も多い進学先は、同じキャンパス内にある専攻科、そして高専からの編入生を積極的に受け入れている長岡技術科学大学や豊橋技術科学大学です。その他にも、地元の宇都宮大学をはじめ、筑波大学、千葉大学、横浜国立大学、東京工業大学といった難関国公立大学への編入実績が多数あります。

    • 小山高専 専攻科: 本科5年間の教育の上に、さらに2年間の高度な教育を受ける課程です。専攻科を修了すると、大学卒業と同じ「学士」の学位が取得でき、大学院へ進学する道も開かれます。

このように、小山高専は就職にも進学にも非常に強く、将来の選択肢が大きく広がる学校です。

小山工業高等専門学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、小山工業高等専門学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 5年間の一貫教育による高度な専門性

    大学受験に左右されず、15歳から5年間かけてじっくりと専門分野を学ぶことができます。理論だけでなく実験・実習を重視したカリキュラムで、実践的な技術力が身につきます。

  • 圧倒的な就職率と大手企業からの高い評価

    就職率はほぼ100%で、毎年1人あたり20社以上の企業から求人が来るほど、産業界からの信頼が厚いです。

  • 国公立大学への編入という選択肢

    卒業後、多くの国公立大学の3年次に編入することが可能です。一般入試とは異なる「編入」というルートで、ハイレベルな大学を目指せるのは大きな魅力です。

  • ロボコンに代表される全国レベルのコンテストへの挑戦

    「高専ロボコン」をはじめ、プログラミングコンテストなど、日頃の学びの成果を試す様々なコンテストに挑戦する文化が根付いています。仲間と協力して一つのものを創り上げる経験は、何物にも代えがたい財産になります。

  • 大学レベルの充実した実験・研究設備

    各学科に専門的な実験・実習を行うための最新設備が整っており、最先端の技術に触れながら学ぶことができます。

  • 自由で自主性を重んじる校風

    校則が緩やかで服装も自由な、大学に近い雰囲気です。学生一人ひとりが「学生」として扱われ、自主的に行動することが求められます。

  • 学生寮「青嵐寮(せいらんりょう)」の完備

    遠方からの学生のために、学校の敷地内に学生寮が完備されています。約190名の学生が共同生活を送っており、学年や学科を超えた深い絆を育むことができます。

小山工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

小山工業高等専門学校について、在校生や卒業生からは様々な声が寄せられています。ここでは、ポジティブな口コミとネガティブな口コミ(注意点)を公平に紹介します。

良い点

  • 専門的な知識が深く学べる

    「将来やりたいことが決まっている人には最高の環境」「大学で学ぶような内容を早くから学べる」といった、専門教育の質の高さに対する評価が非常に多いです。

  • 就職に圧倒的に強い

    「就職率が良く、大手の企業に就職できる」「先生方のサポートが手厚く、希望の進路に進みやすい」など、将来の安定性を魅力に感じる声が多数あります。

  • 自由な校風

    「校則が緩く、個性を尊重してくれる」「大学のような雰囲気で過ごしやすい」といった、自由度の高さを評価する口コミが多く見られます。

  • 同じ趣味の仲間が見つかる

    「オタクが多いので、趣味の合う友達が見つかりやすい」「互いの好きなことを尊重し合える雰囲気がある」など、居心地の良さを挙げる声もあります。

気になる点

  • 課題やレポートが多くて大変

    「テスト前は勉強が大変」「実験レポートに追われることが多い」など、学習内容の高度さゆえの苦労についての声が見られます。自由な反面、自己管理能力が求められます。

  • 留年の可能性がある

    学業成績が一定の基準に満たない場合、進級できずに留年することがあります。毎日の予習・復習が欠かせません。

  • アクセスが不便

    最寄りのJR小山駅からバスで約20分と、交通の便が良いとは言えません。多くの学生がバスや自転車、または保護者の送迎で通学しています。

  • 女子生徒の割合が少ない

    工学系の学校という特性上、女子生徒の割合は全体の約25%とまだ少ないのが現状です。しかし、学校側も女子中学生向けのイベントを開催するなど、積極的に女子生徒の受け入れを進めています。

アクセス・通学

小山工業高等専門学校へのアクセス方法です。

  • 最寄り駅

    • JR宇都宮線・両毛線・水戸線「小山駅」

  • 駅からのアクセス

    • JR小山駅東口より、小山市コミュニティバス「おーバス」で約20分、「高専正門」下車。

    • JR小山駅東口よりタクシーで約10分。

通学エリア

栃木県内全域から生徒が通学していますが、特に小山市、宇都宮市、栃木市、下野市などからの通学者が多い傾向にあります。また、地理的に近い茨城県古河市、結城市や、埼玉県、群馬県など、近隣の県から通う学生も少なくありません。遠方の学生のために学生寮も完備されています。

小山工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

小山工業高等専門学校を目指す君へ。進学アドバイザーとして、最後に応援メッセージを送ります。

もし君が「ものづくりが好きだ」「科学の仕組みを解き明かしたい」「普通科の勉強だけじゃ物足りない」と感じているなら、小山工業高等専門学校は最高の選択肢になるでしょう。この学校は、探求心と情熱を持った君のような学生を待っています。5年間という時間を使って、自分の「好き」を「専門」に変えることができる場所、それが小山高専です。

受験勉強においては、特に数学と理科の基礎を徹底的に固めてください。公式を丸暗記するだけでなく、「なぜそうなるのか」という本質的な理解を深めることが、高専の難易度の高い入試問題を解く鍵となります。また、面接では「なぜ高専で学びたいのか」「将来どんな技術者になりたいのか」という君自身の熱い思いを、自分の言葉でしっかりと伝える準備をしておきましょう。小山工業高等専門学校で、夢への第一歩を踏み出してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。