岩手県立盛岡第四高等学校、通称「四高(しこう)」。盛岡市にあるこの高校は、自由な校風と文武両道を掲げ、多くの受験生が憧れる人気の進学校です。高校生活は、勉強はもちろん、部活動や学校行事、友人との時間など、すべてがかけがえのない宝物になります。自分にぴったりの高校を選ぶことは、その大切な3年間を最高に充実させるための第一歩です。

では、盛岡第四高等学校は、あなたにとって本当に「行きたい」と思える場所でしょうか。この学校の持つ独特の雰囲気、生徒たちのリアルな声、そして卒業後の未来へと続く道筋。それらを深く知ることで、漠然とした憧れが、具体的な目標へと変わっていくはずです。

ここでは、進学アドバイザーとして、中学生とその保護者の皆さんが本当に知りたい情報を、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。偏差値や進学実績といったデータだけでなく、校風や日々の生活まで、四高の魅力を余すところなくお伝えします。さあ、一緒に「未来の自分」を想像しながら、読み進めていきましょう。

盛岡第四高等学校の基本情報

まずは、盛岡第四高等学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの基本となるデータは、しっかり押さえておくことが大切です。特に、公式サイトと公式noteは、学校の最新情報を得るために欠かせません。学校側が積極的に情報発信しているnoteは、生徒目線の活動報告も多く、学校の「今」を知るのに最適です。

項目 内容
正式名称 岩手県立盛岡第四高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学の別 男女共学
所在地 〒020-0835 岩手県盛岡市津志田26-17-1
代表電話番号 019-636-0742
公式サイトURL https://www2.iwate-ed.jp/mo4-h/
公式note https://mo4-hs.note.jp/

盛岡第四高等学校の偏差値・難易度・併願校

盛岡第四高等学校を目指す上で、最も気になるのが偏差値と難易度でしょう。自分の学力と照らし合わせ、現実的な目標を立てるための重要な指標です。

偏差値と県内での位置づけ

盛岡第四高等学校の偏差値は、各種の模擬試験や塾のデータによると、おおむね5759の範囲にあります。これは岩手県内の公立高校の中でトップクラスに位置し、盛岡一高、盛岡三高に次ぐ進学校グループの一角を占めています。同じくらいの偏差値の高校としては、盛岡北高等学校(偏差値58前後)や一関第一高等学校(偏差値58前後)が挙げられ、これらの高校と共に多くの優秀な生徒が集まる、まさに激戦区と言えるでしょう。

合格に必要な内申点・学力点の目安

岩手県の公立高校入試では、中学3年間の成績を総合した「内申点(調査書点)」と、入試当日の「学力検査点」の合計で合否が決まります。盛岡第四高等学校の場合、この二つの比率は「学力検査:調査書=6:4」と、当日の学力検査がより重視される配点になっています。

合格のボーダーラインとして、以下の数字が目安とされています。

  • 内申点(調査書点):440点満点中、340点程度。これは9教科の5段階評定で、平均してオール4に近い成績が必要になる計算です。

  • 学力検査点:500点満点中、280点程度。

もちろん、これはあくまで目安です。内申点が少し足りなくても、当日の学力検査で370点以上といった高得点を取れば逆転合格の可能性は十分にあります。逆に、内申点に自信があっても油断は禁物です。重要なのは、中学1年生の時から定期テストに真剣に取り組み、コツコツと内申点を積み上げること。そして、入試本番で実力を発揮できるよう、応用力を鍛えていくことです。この6:4という比率は、日々の努力と本番での勝負強さの両方が求められることを示しています。

主な併願校

岩手県の公立高校入試は一度しかチャンスがないため、万が一に備えて私立高校を併願するのが一般的です。盛岡第四高等学校を受験する生徒の多くが、以下のような私立高校の特進コースを併願校として選ぶ傾向にあります。

  • 盛岡白百合学園高等学校(特別進学コースなど)

  • 盛岡中央高等学校(特進選抜SZコース、特進Zコースなど)

これらの高校は、四高に合格する学力があれば、奨学生として迎えられる可能性もあります。早い段階で私立高校の学校説明会にも参加し、自分に合った併願校を見つけておくと、安心して公立高校入試に臨むことができます。

盛岡第四高等学校に設置されている学科・コース

盛岡第四高等学校の学科は、シンプルで分かりやすい構成になっています。多様な進路希望に対応できる、柔軟なカリキュラムが特徴です。

  • 全日制課程 普通科

    • 1年次では、文系・理系を問わず、全ての教科を幅広く学び、基礎学力を徹底的に固めます。この期間に自分の興味や適性を見極めることが大切です。

    • 2年次から、生徒一人ひとりの進路希望に応じて「文系コース」と「理系コース」に分かれます。文系は国語・社会・英語、理系は数学・理科の授業時間が増え、より専門的な内容を学びます。国公立大学や難関私立大学の入試に対応できる学力を養成することを目的としています。

このように、盛岡第四高等学校では、まず全員が同じ土台で学び、その上で自分の夢に向かって専門性を高めていくという、理想的なステップを踏むことができます。将来やりたいことがまだ決まっていない人でも、1年間の高校生活を通してじっくりと自分の道を探せる環境が整っています。

盛岡第四高等学校の特色・校風

偏差値や進学実績だけでは分からない、学校の「空気感」。これが高校選びで最も大切な要素かもしれません。盛岡第四高等学校は、キーワードで表すなら「自由闊達」そして「文武両道」です。

自由と自律を重んじる文化

四高の最大の特色は、生徒の自主性を尊重する校風にあります。多くの在校生や卒業生が口を揃えるのが、「宿題が少ない」ということです。他の進学校に比べて課題の量が抑えられているため、生徒は「やらされる勉強」ではなく、自分の意志で学習計画を立てる「自学」の時間を十分に確保できます。

しかし、この「自由」は、裏を返せば「自己責任」を意味します。学校側が手取り足取り指導するというよりは、生徒一人ひとりが自分の目標に向かって努力することが求められる環境です。自主的に勉強を進められる生徒にとっては最高の環境ですが、厳しい管理がないとサボってしまうタイプの生徒には、少し厳しいかもしれません。「自由をどう活かすか」が問われる、それが四高のカルチャーです。

校則は比較的緩やか

自由な校風は、校則にも表れています。

  • 校則全般:他の高校と比較して、校則は緩やかであるという声が多いです。生徒の良識を信頼する姿勢がうかがえます。

  • スマートフォンの扱い:持ち込みは許可されていますが、ルールは明確です。登校後から放課後(16時20分)までは電源を切り、カバンの中にしまっておく必要があります。使用は放課後、校舎外での連絡目的に限られています。

  • 服装:制服の着こなしに関する指導も、比較的緩やかだと言われています。冬場に着用するカーディガンの色が自由であるなど、個性を尊重する面も見られます。

  • アルバイト:原則として禁止されています。学業と部活動に専念してほしいという学校の考えが表れています。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業はありません。その代わりに、平日は「45分×7コマ」という授業形態をとり、効率的に学習時間を確保しています。

生徒たちの雰囲気と制服

生徒たちは全体的に「明るく」「活発」で、「平和な雰囲気」が漂っていると評判です。偏差値が高いこともあり、落ち着いた生徒が多く、いじめなどの話はほとんど聞かれないようです。

そして、四高を語る上で欠かせないのが「制服」です。

  • 女子制服:セーラー服で、「とにかく可愛い」と県内でも非常に人気が高いです。夏服は爽やかなグレーで、半袖はパフスリーブ。冬服は濃紺です。襟の右下には、宮沢賢治が愛したギンドロ樹の葉をモチーフにした「シルバーリーフ」の刺繍が施されており、これが四高生の証となっています。

  • 男子制服:伝統的な黒の学生服(学ラン)です。

この人気の制服に憧れて四高を目指す生徒も少なくありません。

盛岡第四高等学校の部活動・イベント

「文武両道」を掲げる盛岡第四高等学校では、勉強だけでなく部活動や学校行事にも全力で打ち込む生徒たちの姿が輝いています。

部活動

運動部、文化部ともに非常に活発で、毎年多くの部が全国大会などのハイレベルな舞台で活躍しています。部活動加入率も高く、ほとんどの生徒が何らかの部に所属し、充実した放課後を過ごしています。

運動部の主な実績

  • 硬式野球部:かつて夏の甲子園に出場した実績を持つ名門です。県内でも常に上位を狙える強豪として知られています。

  • 陸上競技部・テニス部:個人・団体ともに全国大会の常連で、インターハイなどで活躍する選手を多数輩出しています。

文化部の充実ぶりは特筆もの

四高の大きな強みの一つが、文化部のレベルの高さです。実は、盛岡第四高等学校は「全国高等学校文化連盟」の事務局が置かれている、いわば高校文化活動の拠点校なのです。この背景が、文化部の目覚ましい活躍を支えています。

  • 音楽部(合唱):全日本合唱コンクール全国大会で金賞を受賞するなど、全国トップレベルの実力を誇ります。

  • 文芸部:全国高校生短歌大会での優勝や、全国高等学校文芸コンクールでの優秀賞など、輝かしい実績を重ねています。

  • バトントワリング部:全国大会に出場し、華麗な演技で観客を魅了しています。

  • 書道部、美術部、吹奏楽部なども、常に高いレベルで活動しています。

このほか、県内では珍しい「弦楽部」や、日本の伝統文化に触れられる「茶道部」「華道部」など、多様な選択肢があるのも魅力です。

イベント

学校生活を彩るイベントは、生徒たちが主体となって企画・運営され、毎年大変な盛り上がりを見せます。

  • 体育祭:クラス対抗でサッカーやバレーボールなどの球技で競い合います。クラスTシャツを揃え、応援にも熱が入る一日です。教員チームも参加するなど、学校全体が一体となります。

  • 志高祭(しこうさい):四高最大のイベントである文化祭です。1年生は学年企画、2年生はお化け屋敷やフォトスポットなどのクラス企画、そして3年生は模擬店と、学年ごとに役割が分かれているのが特徴です。ステージ発表や有志のパフォーマンスもあり、数日間にわたって学校中が熱気に包まれます。

  • 修学旅行:例年、関西方面を訪れ、奈良や京都の歴史的建造物を見学します。友人たちと過ごす数日間は、一生の思い出になることでしょう。

  • 八重山高校との交流事業:四高ならではのユニークな行事が、沖縄県立八重山高等学校との姉妹校交流です。毎年、選ばれた生徒がお互いの学校を訪問し、ホームステイなどを通じて異文化を体験します。他校では決して得られない、貴重な経験ができるプログラムです。

盛岡第四高等学校の進学実績

高校卒業後の進路は、誰もが気になるところです。盛岡第四高等学校は、県内有数の進学校として、確かな進学実績を誇っています。特に、地元の国公立大学への進学に強いのが大きな特徴です。

最新の大学進学実績(2024年・2025年卒業生実績より)

現役生を中心に、毎年多くの生徒が難関を突破しています。以下は主な大学の合格者数です(延べ人数を含む場合があります)。

分類 主な大学名 合格者数(2024年/2025年)
国公立大学 合計 155名 / 127名
岩手大学 51名 / 46名
岩手県立大学 27名 / 24名
東北大学 3名 / –
山形大学 11名 / 3名
弘前大学 8名 / 8名
秋田大学 7名 / 1名
高崎経済大学 5名 / 3名
難関私立大学 東北学院大学 32名 / 34名
日本大学 4名 / 7名
東洋大学 3名 / 14名
明治大学 1名 / 2名
中央大学 – / 1名
法政大学 – / 1名
その他 岩手医科大学 14名 / 10名
盛岡大学 39名 / 48名

この実績から分かるように、盛岡第四高等学校の最大の強みは、地元の国公立大学である岩手大学と岩手県立大学への圧倒的な合格者数です。毎年、卒業生の4分の1近くがこの2大学に進学しており、地域に根ざした人材育成に大きく貢献しています。これは、学校のカリキュラムや進路指導が、これらの大学の入試に非常によく対応していることの証です。

進学実績を支える取り組み

かつては「放任主義」と言われることもあった四高ですが、近年は学習指導にも力を入れています。具体的な補習や講習といった情報は見られませんが、日々の授業の質を高めるとともに、以下のような取り組みで生徒の進路実現をサポートしています。

  • 総合的な探究の時間:1、2年次で行われる探究活動では、自分の興味関心を深めるだけでなく、その成果を発表する機会が設けられています。この活動を通して、大学入試の志望理由書や小論文、面接で必要となる思考力・表現力を養います。

  • 進路指導:学校推薦型選抜なども積極的に活用し、生徒一人ひとりに合った進路を提案してくれると評判です。

盛岡第四高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、盛岡第四高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。これらが、四高が多くの生徒に選ばれる理由です。

  • 沖縄・八重山高校との本格的な交流事業

    他では体験できない、沖縄の姉妹校との相互訪問・ホームステイプログラム。異文化に触れ、視野を広げる絶好の機会です。

  • 全国高文連の拠点校という特別な立ち位置

    全国高等学校文化連盟の事務局が置かれているため、文化部が非常に活発。全国レベルの芸術文化に触れるチャンスが豊富にあります。

  • 生徒が主役で創り上げる学校行事

    志高祭や体育祭は、企画から運営まで生徒会が中心となって行います。リーダーシップや協調性を育む、最高の舞台です。

  • 「自由と自律」を育む校風

    宿題が少なく、自分の裁量で学習を進めるスタイル。自ら考え行動する力が自然と身につきます。この環境が、自立した学習者を育てます。

  • 地域に根ざした確かな進学実績

    岩手大学や岩手県立大学など、地元の国公立大学に毎年多数の合格者を輩出。地域社会で活躍したい生徒にとって、確かな道筋を示してくれます。

  • 心を落ち着ける毎朝の「朝読書」

    毎朝10分間、全校生徒で一斉に読書をします。1日の始まりに静かに本と向き合うことで、集中力と豊かな感性を育みます。

  • 効率的な45分×7コマ授業

    土曜授業を行わず、平日の授業時間を工夫することで、学力向上と部活動の時間を両立。メリハリのある学校生活を実現しています。

盛岡第四高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられた「生の声」を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校生活を具体的にイメージするのに役立ててください。

良い点

  • 「とにかく学校生活が楽しい」という声が圧倒的に多いです。「明るく平和な雰囲気で、すぐに良い友達ができた」「行事が本当に盛り上がって、クラスの団結力が強まる」など、充実した高校生活を送っている様子がうかがえます。

  • 「文武両道が実現できる」という点も高く評価されています。「部活も勉強も自分のペースで頑張れる」「宿題が少ない分、部活に打ち込めるし、自分で計画して勉強もできる」といった、自由な校風をポジティブに捉える意見が目立ちます。

  • 「女子の制服が可愛くて、モチベーションが上がる」という声は、昔から変わらない四高の魅力の一つです。

  • 「先生のサポートも親身」という意見もあります。「進路相談に熱心に乗ってくれる」「質問に行くと丁寧に教えてくれる」など、生徒のやる気に応えてくれる先生方がいるようです。

気になる点

  • 「『自称進学校』という言葉がしっくりくる」という、少し厳しい意見も散見されます。「結局は本人次第。自主性がないと学力は伸び悩む」「自由な校風は、裏を返せば放任。流されてしまうと3年間があっという間に終わる」といった声は、四高の「自由」が持つもう一つの側面を的確に表しています。

  • 「先生のサポートには差がある」と感じる生徒もいるようです。「テストの点数で生徒を見るような先生もいる」といった口コミは、どこの学校にもあることかもしれませんが、心に留めておくべき点です。

  • 「駅から遠くて通学が少し大変」という物理的なデメリットを挙げる声もあります。特に電車通学の場合は、毎日のことなのでよく考える必要があります。

  • 「文武両道は言うほど簡単ではない」という現実的な意見も。「強豪部活に入ると、勉強との両立はかなり大変。結局どちらかが中途半端になってしまう人も多い」という声は、理想と現実のギャップを示唆しています。

アクセス・通学

盛岡第四高等学校への通学方法は、毎日のことなので非常に重要です。自宅からのルートを具体的にシミュレーションしてみましょう。

  • 電車でのアクセス

    最寄り駅はJR東北本線の「仙北町駅」です。ただし、駅から学校までは徒歩で約25分〜30分かかります。これは決して短い距離ではなく、特に雨や雪の日は大変かもしれません。

  • バスでのアクセス

    最も便利なのはバス通学です。岩手県交通バスの「川久保」バス停で下車すれば、学校までは徒歩わずか2分です。盛岡駅や市内の主要な場所から多くのバス路線が出ているため、自宅がバス通りに近い場合は、こちらが断然おすすめです。

  • 主な通学エリア

    通学している生徒は、盛岡市内全域から集まっていますが、特に学校の所在地に近い仙北中学校、見前中学校、見前南中学校、河南中学校などの出身者が多い傾向にあります。盛岡市南部や矢巾町方面から通う生徒にとって、アクセスしやすい立地と言えるでしょう。

盛岡第四高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、盛岡第四高等学校を目指すあなたにエールを送ります。

盛岡第四高等学校は、「誰かに管理されるのではなく、自分の意志で高校生活をデザインしたい」と考える、自立心旺盛な生徒に特におすすめの学校です。高いレベルの勉強と、本気で打ち込める部活動や行事。その両方を手に入れたいという欲張りなあなたにとって、四高の「自由」な環境は、可能性を最大限に引き出してくれる最高のステージになるでしょう。自分の時間を管理し、目標に向かって努力できる人なら、これほど楽しく、成長できる場所はありません。

受験勉強では、内申点と学力検査点のバランスを常に意識してください。特に、6:4という比率を考えると、中学1、2年生のうちから定期テストで着実に得点し、高い内申点を確保しておくことが、大きなアドバンテージになります。その上で、入試本番では280300点を目安に、苦手科目をなくし、得意科目をさらに伸ばす勉強を進めていきましょう。あなたの努力が、憧れの盛岡第四高等学校での素晴らしい日々に繋がることを、心から応援しています。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。