今回ご紹介する岩手県立一関第一高等学校は、県南地域を代表する進学校として、多くの受験生が憧れを抱く伝統校です。120年を超える長い歴史の中で築かれてきた「質実剛健」の精神と、未来を切り拓く人材を育てる先進的な教育が、この学校の大きな魅力と言えるでしょう。
「関高(かんこう)」の愛称で親しまれるこの学校は、ただ勉強が大変なだけの場所ではありません。仲間と切磋琢磨しながら学業に励むのはもちろん、部活動や学校行事にも全力で打ち込む「文武両道」の気風が根付いています。特に、国から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受け、科学技術の分野で日本をリードする人材育成にも力を入れている点は、他の高校にはない大きな特色です。
この記事では、そんな一関第一高等学校がどんな学校なのか、偏差値や進学実績といったデータから、校則や日々の生活、在校生のリアルな声まで、皆さんが本当に知りたい情報を、一つひとつ丁寧に解きほぐしていきます。この記事を読み終える頃には、きっと「関高」での高校生活を具体的にイメージできるようになっているはずです。あなたの高校選びの旅が、素晴らしいものになるよう、心から応援しています。
一関第一高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を知ることから始まります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 岩手県立一関第一高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒021-0894 岩手県一関市磐井町9-1 |
代表電話番号 | 0191-23-4311 |
公式サイトURL | http://www2.iwate-ed.jp/ic1-h/ |
一関第一高等学校の偏差値・難易度・併願校
一関第一高等学校を目指す上で、まず気になるのが学力的な難易度でしょう。ここでは、偏差値や合格の目安、そして併願校について具体的に見ていきます。
最新のデータによると、一関第一高等学校の偏差値は普通科・理数科ともに「56〜57」程度です。これは岩手県内の公立高校の中では上位に位置し、高い学力が求められることを示しています。同じくらいの偏差値の高校としては、盛岡第四高等学校(普通科)や花巻北高等学校(普通科)などが挙げられます。また、水沢高等学校(普通科・理数科)や盛岡北高等学校(普通科)なども、志望校を考える上での比較対象となるでしょう。
偏差値だけではイメージしにくいかもしれませんので、合格に必要な具体的な点数の目安もお伝えします。一般的に、入試本番の学力検査では500点満点中「410点以上」、そして中学校での成績を点数化した内申点では44点満点中「40点以上」が、安心して合格を目指せるラインと言われています。この数字は、日々の授業態度や提出物、定期テストでの頑張りが非常に重要であることを物語っています。
次に併願校についてです。岩手県の公立高校入試では、原則として一つの高校しか受験できません。そのため、一関第一高等学校を第一志望とする場合、併願するのは私立高校となります。多くの受験生が併願先として選んでいるのは、「一関学院高等学校」(特に学力上位の特別進学コース)や「一関修紅高等学校」です。これらの私立高校は、万が一の場合の進学先としてだけでなく、入試本番の雰囲気に慣れるための「受験の練習」としても活用されています。自分の学力や目指す進路に合わせて、最適な併願パターンを考えていくことが大切です。
一関第一高等学校に設置されている学科・コース
一関第一高等学校には、生徒一人ひとりの興味や進路希望に応えるための2つの学科が設置されています。それぞれの特色を理解し、どちらが自分に合っているか考えてみましょう。
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普通科
国公立大学や難関私立大学への進学を目指す、学校の中心となる学科です。1年生では文系・理系を問わず幅広い基礎学力を身につけ、2年生から文系と理系に分かれます。さらに3年生では、国公立文系、私立文系、国公私立理系など、より具体的な志望校に合わせたコースに細分化され、効率的に受験対策を進めることができます。将来の夢がまだ漠然としている人や、幅広い選択肢の中からじっくり進路を考えたい人におすすめです。
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理数科
理科や数学をとことん探究したい生徒のための専門学科です。普通科よりも高度で専門的な内容を学び、学校の大きな特色であるSSH(スーパーサイエンスハイスクール)活動の中心を担います。実験や研究活動に多くの時間が割かれており、自ら課題を見つけて探究する能力を養います。将来、研究者や医師、エンジニアなど、理系の専門職を目指す強い意志を持っている人に最適な環境です。
一関第一高等学校の特色・校風
「関高」がどんな雰囲気の学校なのか、キーワードと具体的な口コミからその素顔に迫ります。学校のキーワードは、ずばり「文武両道」と「質実剛健」です。これは、学業と部活動の両方で高いレベルを目指し、真面目で飾り気のない、芯の通った人間性を育むという学校の文化を表しています。
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宿題の量と授業のペース
「課題が尋常じゃないくらい多い」「授業のペースが速くて大変」といった声が昔から多く聞かれます。ただし、最近では「以前ほどではない」という口コミもあり、学校側も生徒の負担を考慮しているのかもしれません。いずれにせよ、日々の予習・復習をこなし、計画的に学習を進める自己管理能力が求められる環境であることは間違いないでしょう。
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校則(スマホ、服装など)
校則は「質素・端正」を基本としており、比較的厳しいという意見が多いようです。服装については、男子は指定の学生服(学ラン)、女子は指定のブレザー、ブラウス、スカートと定められています。特に女子のスカート丈は「膝にかかる程度」と細かく規定されています。頭髪もパーマや染色は禁止です。スマートフォンの校内での使用については明確な情報はありませんが、伝統を重んじる進学校の雰囲気から、授業中の使用は厳しく制限されていると考えるのが自然でしょう。
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生徒たちの雰囲気
「真面目」「自分の高校に誇りを持っている」という声が多く、落ち着いた雰囲気の中で学習に集中できる環境です。レベルの高い仲間と切磋琢磨できることに魅力を感じる生徒が多い一方で、「生徒間での学力差が激しい」と感じる人もいるようです。自分の目標に向かって真剣に取り組む生徒が多いため、刺激を受けながら成長したい人には最適な環境と言えます。
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アルバイト
アルバイトに関する明確な規定は見当たりませんが、学校の雰囲気や学習量の多さから、原則として禁止されているか、特別な事情がある場合に許可制となっている可能性が高いです。学業と部活動に集中することが第一に求められます。
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制服の評判
男子は伝統的な黒の学生服、女子は紺のブレザースタイルです。デザインは非常にオーソドックスで、良くも悪くも「伝統校らしい」「真面目な印象」という評価が多いようです。流行を追うような華やかさはありませんが、品があり、誰からも好感を持たれる制服と言えるでしょう。
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土曜授業
学校案内によると、授業は基本的に月曜日から金曜日までの週5日制で、1日50分授業が7コマ行われます。ただし、進学指導を重視する学校のため、模試や補習などが土曜日に行われることはあります。
一関第一高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる一関第一高等学校では、部活動や学校行事も非常に盛んです。勉強だけではない、充実した高校生活が待っています。
部活動
運動部・文化部ともに種類が豊富で、多くの生徒が部活動に加入し、活気にあふれています。特に全国レベルで活躍する部もあり、高い目標を持って打ち込める環境が整っています。
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運動部
インターハイ出場経験のある「陸上競技部」や「卓球部」は、学校を代表する強豪部です。その他にも、水泳部、バレーボール部、サッカー部、硬式野球部など、多くの部が県大会上位を目指して日々練習に励んでいます。部活動の活動時間は平日18時30分まで、最終下校は19時までと定められており、学習との両立が図られています。
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文化部
文化部で特にユニークで有名なのが「競技歌留多部」です。県内でも設置している高校は珍しく、全国大会の常連として知られています。また、「英語研究部」も活発に活動しており、SSH指定校らしく「科学探究部」も設置されています。吹奏楽部や音楽部、書道部、美術部なども盛んに活動しており、文化的な活動に打ち込みたい生徒にとっても満足できる環境です。
イベント
関高の学校生活を彩るイベントは、生徒たちの手で作り上げられ、毎年大きな盛り上がりを見せます。
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体育祭
関高の体育祭は、附属中学校と合同で行われるのが大きな特徴です。1年生から3年生までを縦割りにしたチームを編成し、学年を超えた交流が生まれます。競技だけでなく、各チームが創作する応援「演舞」は圧巻で、体育祭の大きな見どころとなっています。
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文化祭「秋桜祭(しゅうおうさい)」
毎年8月下旬に行われる文化祭は、学校が一年で最も活気づくイベントの一つです。クラスごとの展示や出店、文化部による発表や公演など、多彩な企画で盛り上がります。近年は新型コロナウイルスの影響で非公開の年もありましたが、2023年度には4年ぶりに一般公開が復活し、地域の人々も訪れる賑やかなお祭りとなりました。SSHの学校らしく、生徒による研究発表も行われ、知的好奇心を刺激する展示も豊富です。
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その他のイベント
体育祭の直前には、クラス対抗の球技大会「クラスマッチ」が開催されます。また、他校ではあまり見られない「合唱コンクール」も行われ、クラスの団結力を高める良い機会となっています。
一関第一高等学校の進学実績
県内有数の進学校である一関第一高等学校は、その名に恥じない優れた大学進学実績を誇ります。生徒たちの努力と、学校の手厚いサポート体制の結晶と言えるでしょう。
最新の令和7年度大学入試(令和6年度卒業生)の実績を見ると、そのレベルの高さがよく分かります。
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国公立大学
最難関とされる大学への合格者を多数輩出しています。
・東京大学:1名
・京都大学:1名
・東北大学:9名
・北海道大学:2名
・大阪大学:1名
・東京科学大学:2名
この他にも、地元の岩手大学をはじめ、全国の国公立大学に多くの合格者を出しています。特に、医学部医学科には国公立・私立合わせて14名もの合格者を出しており、これは全国的に見ても非常に高い実績です。
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難関私立大学
早稲田大学に1名、慶應義塾大学に2名が合格するなど、難関私立大学にも着実に実績を残しています。
このような高い進学実績は、日々の授業だけでなく、学校独自の取り組みによって支えられています。その中心となるのが、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業の一環として行われる探究活動「高志探究」です。1年生から3年生まで、全校生徒が自ら設定したテーマについて研究し、論文にまとめて発表します。この活動を通して、大学での学問や研究に不可欠な論理的思考力、課題解決能力、プレゼンテーション能力が徹底的に鍛えられます。
さらに、大学の先生を招いて講義を受ける「高大連携講座」や、長期休暇中の補習、放課後の講習なども充実しており、生徒一人ひとりの進路希望を実現するための万全のサポート体制が整っています。
一関第一高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、一関第一高等学校ならではの強みや魅力を5つのポイントにまとめました。
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国が認めた科学教育の拠点「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」
文部科学省から先進的な理数系教育を行う高校として指定されています。大学レベルの実験設備や、大学との連携講座など、他では経験できない高度な学びの機会が豊富に用意されています。
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全校生徒で取り組む本格的な探究学習「高志探究」
理数科の生徒だけでなく、全校生徒が3年間かけて一つのテーマを研究する独自のプログラムです。答えのない問いに挑戦するこの経験は、大学入試はもちろん、社会に出てからも役立つ本質的な「学ぶ力」を育てます。
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全国トップクラスの大学・医学部への高い進学実績
東京大学、京都大学、東北大学といった最難関大学や、医学部医学科へ毎年多数の合格者を輩出しています。高い目標を持つ仲間と共に、夢の実現を目指せる環境です。
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120年以上の歴史が育んだ「伝統」とSSHが導く「革新」の融合
新入生を力強く激励する伝統の「バンカラ応援」に象徴されるような古き良き校風と、科学技術の未来を担う人材を育てる先進的な教育プログラムが共存する、ユニークな文化を持っています。
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附属中との合同行事で育まれる強い一体感
体育祭などの大きな学校行事を附属中学校と合同で実施することで、中高6学年にわたる強い絆とリーダーシップが育まれます。高校生が中学生を導く姿は、学校全体の温かい雰囲気を作り出しています。
一関第一高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校生活をイメージするための参考にしてください。
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良い点
・「先生方が熱心で、大学受験へのサポートが手厚い。塾に行かなくても国公立大学を目指せる」という声が非常に多いです。
・「周りの生徒のレベルが高く、真面目なので、勉強に集中できる環境が整っている」と、学習環境を評価する声が目立ちます。
・「体育祭や文化祭などの行事が本当に楽しく、クラスや学年を超えて団結できる」と、学校行事の満足度は非常に高いようです。
・「校舎が新しく綺麗で、気持ちよく学校生活が送れる」という意見もあります。
・「歴史と伝統に誇りを持ち、生徒も先生も学校愛が強い」と感じる卒業生も多いです。
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気になる点
・「とにかく課題が多く、授業の進度も速いので、ついていくのが大変。自分のペースで勉強したい人には向かないかも」という声は、この学校の最も特徴的な注意点です。
・「典型的な自称進学校で、勉強へのプレッシャーが強い」と感じる生徒もいます。
・「生徒間の学力差が大きく、一部の先生の指導が一方的に感じられることがある」という指摘もあります。
・「伝統を重んじるあまり、少し堅苦しいと感じる部分がある」という意見も見られます。
アクセス・通学
一関第一高等学校への通学方法について確認しておきましょう。
最寄り駅はJR「一ノ関駅」です。駅の西口から学校までは約1.3kmの距離があります。
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徒歩の場合:駅から歩いて約15分〜20分です。
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バスの場合:岩手県交通バスまたは栗原市民バスに乗り、「一関一高前」バス停で下車します。バス停から学校までは徒歩約3分です。
通学エリアは一関市内にとどまりません。県南地域の広範囲から生徒が通学しています。その学力レベルの高さから、隣接する宮城県の北部から毎日通学してくる生徒もいるほどです。多様な地域から意欲の高い生徒が集まることも、この学校の魅力の一つです。
一関第一高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、一関第一高等学校を目指す君にエールを送ります。
この学校は、「高い目標に向かって、とことん努力したい」と考える君に、最高の環境を提供してくれる場所です。周りのレベルの高さや課題の多さに圧倒されることもあるかもしれませんが、それは君を大きく成長させてくれる貴重な試練です。特に、将来、科学や医療の分野で活躍したいという夢があるなら、SSHや「高志探究」での学びは、何物にも代えがたい財産になるでしょう。伝統を重んじる真面目な校風の中で、仲間と切磋琢磨しながら「文武両道」の高校生活を送りたいと願う君に、一関第一高等学校は心からおすすめできます。
受験勉強では、まず基礎を徹底的に固めることが何よりも大切です。その上で、理数科やSSHに関心があるなら、数学と理科の応用問題に粘り強く取り組む力を養っておくと、入学後もスムーズに学習を進められます。合格の目安となる点数は決して低くありませんが、日々の努力を積み重ねれば、必ず道は拓けます。これからの挑戦が、君の未来を輝かせる大きな一歩となることを信じています。頑張ってください!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。