京都教育大学附属高等学校は、単に大学進学を目指すだけの場所ではありません。ここは、生徒一人ひとりが持つ無限の可能性を信じ、その知的好奇心に火をつけ、自らの力で未来を切り拓くための「学びの設計力」を育む特別な環境です。国立大学の附属校という恵まれた立場で、高いレベルの学問と、生徒の自主性を最大限に尊重する自由な空気が見事に融合しています。
この学校の根幹にあるのは、「自主・自律」という精神です。先生から与えられた課題をこなすだけでなく、自分が何を学びたいのか、どう成長したいのかを常に考え、行動することが求められます。この校風のもと、京都教育大学附属高等学校の生徒たちは、勉強はもちろん、部活動や学校行事においても主体的に関わり、仲間と切磋琢磨しながら、責任感と行動力を兼ね備えた人間に成長していきます。
この記事では、偏差値や進学実績といったデータはもちろん、在校生や卒業生のリアルな声をもとに、学校生活の隅々までを詳しくご紹介します。校則は厳しいのか、どんな部活動が盛んなのか、文化祭はどんな雰囲気なのか。皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から丁寧にお伝えします。この情報が、皆さんの高校選びの確かな一歩となることを心から願っています。
京都教育大学附属高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。進路を考える上で、所在地や連絡先は大切な情報です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 京都教育大学附属高等学校 |
公立/私立の別 | 国立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒612-8431 京都府京都市伏見区深草越後屋敷町111 |
代表電話番号 | 075-641-9195 |
公式サイトURL | https://koukou.kyokyo-u.ac.jp/ |
京都教育大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校
京都教育大学附属高等学校への合格を目指す上で、偏差値や難易度を正確に把握することは非常に重要です。
学科・コースごとの最新の偏差値は以下の通りです。
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普通科: 69 – 70
この偏差値は京都府内でもトップクラスに位置し、合格には非常に高い学力が求められることを示しています。同じくらいの偏差値の高校としては、公立では京都市立堀川高等学校(探究科)や京都市立西京高等学校(エンタープライジング科)、私立では立命館高等学校などが挙げられます。これらの学校と比較することで、京都教育大学附属高等学校の難易度がより具体的にイメージできるでしょう。
合格に必要な内申点の目安も気になるところです。京都府の公立高校入試(中期選抜)に準じた内申点計算(中学1〜3年の9教科の成績が対象、合計195点満点)が参考にされますが、この学校の合格者の評定平均は非常に高いレベルにあります。近年のデータを見ると、9教科の平均評定は45点満点中37点以上、つまりオール4に加えて5がいくつも必要という水準です。特に、音楽や美術、体育などの実技4教科の評定が2倍で計算されるため、主要5教科だけでなく、全ての教科で高い成績を維持し続けることが合格への鍵となります。単にテストの点数が良いだけでなく、授業態度や提出物など、日々の学習姿勢が総合的に評価されるのです。
京都教育大学附属高等学校は国立のため、多くの受験生が私立高校を併願します。主な併願校としては、同じくレベルの高い大谷高等学校、龍谷大学付属平安高等学校、京都産業大学附属高等学校、京都成章高等学校などがよく選ばれているようです。これらの学校の入試情報も合わせて調べておくと、より戦略的な受験計画を立てることができます。
京都教育大学附属高等学校に設置されている学科・コース
京都教育大学附属高等学校に設置されているのは、以下の学科のみです。
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普通科
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一見するとシンプルな「普通科」ですが、その中身は非常に多岐にわたります。生徒一人ひとりの興味や進路希望に応じて、深く、そして自由に学べる環境が整っています。文系・理系という大枠にとらわれず、自分の知的好奇心をとことん追求したい生徒に最適です。
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この普通科の大きな特徴は、学校独自の多彩な教育プログラムにあります。長年にわたり文部科学省から指定されている「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」では、大学の研究室と連携した実験や、海外の高校生と科学研究を行う「日英サイエンスワークショップ」など、通常の高校では体験できない高度な理数教育が受けられます。
さらに、「京教リベラルアーツアクティビティ(京教LA2)」という独自の課外活動は、この学校の学びを象徴する取り組みです。自然科学から人文科学、社会科学まで、様々な分野の探究活動が用意されており、生徒は自分の興味に合わせて自由に参加できます。例えば、「金属結晶格子モデルの作製」や「大学の図書館訪問」、「金融のプロからお金について学ぶ講座」など、ユニークで知的な刺激に満ちたプログラムが数多くあります。これは、決まったコースに所属するのではなく、大学のように自分で履修科目を選び、自分だけの学びのポートフォリオを築き上げていくスタイルと言えるでしょう。
京都教育大学附属高等学校の特色・校風
京都教育大学附属高等学校の雰囲気をキーワードで表すなら、「自主・自律」「自由闊達」「知的探究心」「穏やかな校風」といった言葉がぴったりです。生徒一人ひとりが尊重され、のびのびと個性を発揮できる環境が整っています。
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宿題の量
多くの在校生が「宿題や予習は多い」と感じているようです。特に主要教科では、授業についていくために事前の準備が必須となることが多く、日々の家庭学習の習慣が自然と身につきます。楽な道のりではありませんが、この積み重ねが確かな学力に繋がっています。
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校則(スマホ、服装など)
校則は全体的に緩やかで、生徒の自主性が信頼されています。スマートフォンの持ち込みは許可されており、授業で調べ物などに活用する場面もあるようです。服装に関しても、制服はありますがその着用は個人の判断に委ねられており、私服で登校する生徒も多く見られます。この「制服を着るも着ないも自由」という点は、学校の自由な校風を象徴しています。
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生徒たちの雰囲気
生徒たちは真面目に学習に取り組む一方で、行事や部活動には全力で打ち込む活発さも持ち合わせています。周りのレベルが高いため、互いに刺激し合い、高め合おうとする知的な雰囲気が学校全体に流れています。落ち着いた環境で、自分のペースでじっくりと物事を探究したい生徒には最適な環境です。
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アルバイト
アルバイトは原則として禁止されています。これは、生徒たちに学業や学校活動に集中してほしいという学校側の考えの表れと言えるでしょう。自由な校風の中にも、高校生としての本分を大切にするという一本筋の通った姿勢がうかがえます。
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制服の評判
制服は、紺色のスカートまたはスラックスに白いシャツというシンプルなデザインです。着用が自由なため、式典などの際にはきっちりと制服を着こなし、普段は自分らしい服装を選ぶなど、生徒たちがTPOに合わせて主体的に判断しています。
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土曜授業
土曜授業は基本的にありません。平日は毎日7時間目まで授業があるため、週末は部活動や自分の探究活動、あるいは休息に時間を充てることができます。
京都教育大学附属高等学校の部活動・イベント
部活動
京都教育大学附属高等学校では、生徒の自主性を重んじる校風が部活動にも色濃く反映されています。運動部・文化部ともに充実しており、多くの生徒が勉強と両立させながら熱心に活動に取り組んでいます。複数の部を掛け持ちする「兼部」も珍しくありません。
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陸上部
特に実績が豊富な部活動の一つです。大学の広々としたグラウンドという恵まれた環境で練習に打ち込むことができ、近畿大会やインターハイに出場する選手を輩出しています。
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放送部
文化部の中でも特に活躍が目覚ましく、府の大会で上位入賞を果たし、全国大会へ進出する実力を持っています。アナウンスや番組制作など、専門的なスキルを磨くことができます。
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華道部
「花の甲子園」とも呼ばれる全国高校生花いけバトルで、近畿地区大会を制するなどの輝かしい成績を収めています。日本の伝統文化に触れながら、感性を磨くことができます。
この他にも、水泳部やボクシング部、卓球部などが高いレベルで活躍しています。また、茶道部や軽音楽同好会など、文化的な活動も盛んで、生徒たちはそれぞれの興味に合わせて活動を楽しんでいます。活動日は週4日以内が原則とされており、生徒自身がグランドや体育館の利用調整を行うなど、運営面でも自主性が尊重されています。
イベント
学校行事も生徒が主体となって企画・運営するのが、この学校の大きな特徴です。仲間と協力して一つのものを創り上げる経験は、何物にも代えがたい思い出となるでしょう。
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文化祭「千染祭(ちせんさい)」
学校最大のイベントであり、その盛り上がりは格別です。学年ごとに発表内容が決まっており、1年生は映画制作、2年生はクラス一丸となって演劇を創り上げ、そして3年生は中庭のステージでハイレベルなダンスパフォーマンスを披露します。特に3年生のダンスは圧巻で、観客の生徒たちがペンライトを振って応援するなど、まるでライブ会場のような熱気に包まれます。
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体育祭
文化祭の直後に開催され、クラス対抗で様々な競技に臨みます。企画から運営まで生徒会が中心となって行い、全校生徒が一体となって楽しみます。
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研修旅行(修学旅行)
2年生の夏に行われます。近年では北海道を訪れ、豊かな自然の中でのラフティング体験や、SDGsに関連した探究学習など、学びと楽しさが融合したプログラムが組まれています。
その他にも、新入生を歓迎するための大縄跳び大会や、生徒会主催で経済の仕組みを学ぶ「貿易ゲーム」など、ユニークで知的なイベントが年間を通して行われます。
京都教育大学附属高等学校の進学実績
京都教育大学附属高等学校は、その高い教育水準を反映し、国公立大学を中心に非常に優れた進学実績を誇っています。生徒たちは、日々の質の高い授業や探究活動を通して培った力を武器に、難関大学への扉を開いています。
以下は、最新(2025年度)の主要大学合格実績です。
大学分類 | 主な大学名と合格者数 |
国公立大学 | 京都大学 1人、大阪大学 2人、神戸大学 3人、その他国公立大学 32人など、合計46人以上 |
難関私立大学 | 早稲田・慶應・上智: 2人 関関同立: 合計86人(同志社大学 20人、立命館大学 34人、関西学院大学 12人、関西大学 20人) 産近甲龍: 合計97人(龍谷大学 43人、近畿大学 33人、京都産業大学 21人) |
医学部 | 2人(私立大学) |
この優れた進学実績の背景には、学校独自の教育システムがあります。特に、長年にわたるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての取り組みは、理系分野、とりわけ医学部や難関大学の理工系学部への進学を志す生徒にとって大きな強みとなっています。大学レベルの実験や研究に高校時代から触れることで、深い専門知識と探究心を育むことができます。
また、毎日7時間目まで組まれた授業や、夏休みなどの長期休暇中に行われる補習・講習も、生徒たちの学力を着実に引き上げています。ただし、この学校の進学指導は、手厚く管理するスタイルとは一線を画します。生徒の「自主・自律」を重んじる校風のもと、学校はあくまで質の高い「学びの機会」や「探究の場」を提供することに主眼を置いています。生徒一人ひとりが、その恵まれた環境を最大限に活用し、時には塾などの外部の力も借りながら、自らの意志で進路を切り拓いていく、というのが実情に近いでしょう。
京都教育大学附属高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、京都教育大学附属高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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大学附属の強みを活かした先進的教育
京都教育大学に隣接し、大学の施設を利用したり、大学教員から直接指導を受けたりする機会が豊富にあります。高校の枠を超えた本物の学問に触れることができるのは、最大の魅力です。
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長年の実績を誇るSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校
2002年から継続してSSHの指定を受けており、そのノウハウの蓄積は国内でもトップクラスです。将来、科学技術分野で活躍したい生徒にとって、これ以上ない環境が整っています。
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生徒の知的好奇心に応える「京教LA2」
「京教リベラルアーツアクティビティ」は、生徒が自らの興味関心に応じて自由に参加できる、文理の垣根を越えた探究活動です。このプログラムを通じて、生徒は「学びの設計力」を身につけていきます。
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生徒の主体性を育む「自主・自律」の校風
制服の着用が自由であることに象徴されるように、学校生活の多くの場面で生徒の主体的な判断が尊重されます。この信頼に基づいた校風が、生徒の責任感と自立心を育みます。
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生徒主体で作り上げる熱気あふれる学校行事
文化祭「千染祭」や体育祭は、企画から運営まで生徒が中心となって行われます。仲間と協力して一つのものを創り上げる達成感と、クラスの強い団結力は、この学校でしか味わえない貴重な経験です。
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緑豊かで開放的な学習環境
京都市内にありながら、敷地は緑に溢れ、落ち着いた雰囲気が漂います。教室が直接屋外に面している独特の校舎構造も相まって、のびのびとした気持ちで学校生活を送ることができます。
京都教育大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からの声を集めると、この学校のリアルな姿が浮かび上がってきます。良い点と、入学前に知っておきたい気になる点を公平にご紹介します。
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良い点
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「自由な校風が最高。信頼されていると感じる」という声が圧倒的に多いです。服装やスマホに関する校則が緩やかで、自分のスタイルで高校生活を送れる点を高く評価しています。
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「周りの生徒のレベルが高く、常に刺激をもらえる」という意見も目立ちます。学習意欲の高い仲間に囲まれることで、自然と自分の目標も高くなるようです。
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「SSHやLA2など、他ではできない面白い活動が多い」と、学校独自のプログラムへの満足度は非常に高いです。知的好奇心を満たしてくれる機会が豊富にあることが魅力とされています。
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「行事が本当に楽しくて、一生の思い出になる」という声も多数あります。特に文化祭は、生徒主体で作り上げるからこその達成感と一体感が格別なようです。
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「先生方は、質問に行けばとても丁寧に教えてくれる」という評価もあります。自主性が求められる一方で、助けを求めればしっかりとサポートしてくれる体制があるようです。
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気になる点
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「自主性を求められすぎて、戸惑うこともある」という意見もあります。手厚い指導を期待していると、「学校のサポートが少ない」と感じてしまう可能性があるようです。自分で計画を立てて行動するのが苦手な生徒には、厳しい環境かもしれません。
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「難関大学を目指すなら塾は必須だと感じる」という声は、生徒・保護者の双方から聞かれます。学校の授業レベルは高いものの、受験対策としては学校だけに頼るのではなく、塾を併用している生徒が多いのが実情のようです。
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「先生によって授業の分かりやすさに差がある」という指摘もあります。これは多くの学校に共通する点ですが、大学教員による専門的な授業などもあるため、時折「アタリハズレがある」と感じる生徒もいるようです。
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「国立大学の附属校ならではの、独特のルールや制限を感じることもある」という少数意見もありました。全体としては自由な校風ですが、研究機関としての側面から、一部で細かな決まりごとが存在する可能性も心に留めておくと良いでしょう。
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アクセス・通学
京都教育大学附属高等学校は3つの鉄道路線からアクセス可能で、通学に便利な立地です。
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京阪本線「墨染」駅より徒歩約8分
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近鉄京都線「伏見」駅より徒歩約10分
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JR奈良線「藤森」駅より徒歩約15分
京都市内全域はもちろん、宇治市や城陽市といった京都府南部、さらには大阪府や滋賀県から通学している生徒もいます。複数の路線が利用できるため、広範囲からの通学が可能です。
京都教育大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。京都教育大学附属高等学校という学校の魅力と、そこで求められるものが少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
最後に、進学アドバイザーとして、皆さんへ応援のメッセージを送ります。もしあなたが、「誰かに教えてもらうのを待つのではなく、自分の『なぜ?』を原動力に、自ら学びをデザインしたい」と考える人なら、京都教育大学附属高等学校は最高の舞台になるはずです。ここは、知的好奇心が旺盛で、自由な環境の中で自分を律し、目標に向かって努力できる生徒が輝ける場所です。
京都教育大学附属高等学校の受験勉強では、5教科で高いレベルの学力を身につけることはもちろんですが、内申点も非常に重要です。副教科にも手を抜かず、中学3年間を通じて全ての学習に真摯に取り組む姿勢が合格を引き寄せます。そして何より、日頃から物事の本質を探究しようとする「探究心」を大切にしてください。その姿勢こそが、この学校が最も評価する力です。ぜひ一度、学校説明会やオープンスクールに足を運んで、その独特で知的な空気を感じてみてください。皆さんの挑戦を心から応援しています。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。